Discordで悪口や誹謗中傷の書き込みを見つけた場合の対処方法とは

Discordとは、ゲーマー向けのボイスチャットサービスです。ブラウザ版とアプリ版があり、ブラウザ版はアカウント登録をせずに仮アカウントとして始めることもできます。ユーザーはチャットや通話を楽しむだけでなく、サーバーというコミュニティを開設することができるなど多くの機能があるため、利用者数が増えています。
ただ、どうしても閉鎖的な空間になってしまうことも多く、誹謗中傷にあたるような書き込みがなされるケースもあります。本記事では、Discordで悪質な書き込みがあった場合の対処方法についてご説明します。
この記事の目次
Discordとは
Discordは、通話やチャットでのコミュニケーションを無料で楽しむことができるサービスです。ユーザーはオンラインゲームをしながら、世界中のユーザーとコミュニケーションをとることができます。Discordの運営会社は、米国カリフォルニア州に本社を置くDiscord Inc.です。
Discordで行われる誹謗中傷の例
Discordでは、Vtuber関連で炎上が起きるなど、ときに誹謗中傷に当たるような書き込みが多数書き込まれてしまうケースもあります。下記で詳しくご説明しますが、こうしたケースで投稿者の特定を行うためには、その投稿に違法性がある必要があります。そのため、Discordに悪質な書き込みがなされている場合には、その書き込みの違法性の有無をまず確認しなければなりません。
https://monolith.law/reputation/privacy-invasion[
投稿者特定の手続1:IPアドレス開示請求
IPアドレスとは
投稿者を特定するために最初に行うのは、IPアドレスの開示請求です。IPアドレスは、PCやスマホなどでインターネットを使う際に利用される番号です。
Discordのアカウントは、メールアドレスとパスワードを入力すれば作成できます。

【Discordアカウント登録画面】
そのため、Discordの運営側は、投稿者の個人情報をメールアドレスしか把握していない可能性が高く、また、このアドレスは匿名性の高いフリーアドレスでもよいため、このアドレスだけを開示してもらっても投稿者の特定にはつながりません。なお、ブラウザ版で利用する場合は、アカウントを作成しなくてもユーザーネームと生年月日を入れれば利用することができますので、さらに匿名性は高くなります。そのため、投稿者を特定するためには、IPアドレスを開示してもらう必要があるのです。
仮処分手続によるIPアドレス開示請求

IPアドレスの開示請求は、仮処分という裁判所手続によって行うことができます。仮処分とは、民事保全法に基づく手続で、1-2ヶ月で結果が出るためスピーディです。この手続を弁護士へ依頼した場合、弁護士費用は、
着手金が30万円程度、成果報酬金が30万円程度
https://monolith.law/reputation/reputation-lawyers-fee
が相場とされています。なお、この費用の相場は、IPアドレスの開示請求と書き込みの削除請求を行う場合の相場です。書き込みの内容や量などにより、費用は上下しますので、ご留意ください。また、Discordの運営会社は米国に本社を置く海外法人のため、書類の英訳費用などで実費が上乗せされます。
投稿の違法性を主張・立証する
削除依頼フォームで書き込みの削除を依頼する場合、Discordコミュニティガイドライン違反であるとして削除を依頼することができます。Discordコミュニティガイドラインには、
他者への嫌がらせ(ハラスメント)を率先して行ったり、嫌がらせに加わったり、嫌がらせを奨励したりしてはならない。
https://discord.com/guidelines
という禁止事項があります。運営側がこの禁止事項に該当すると判断すれば、その書き込みが削除される可能性がありますが、その書き込みに違法性があるかどうかまでは問われません。
一方、裁判所にIPアドレスの開示を認めてもらうためには、書き込みに違法性がある旨の法的な主張とその証拠が必要です。こうした法的な主張や証拠集めについては、高度な専門知識が必要ですので、インターネット上の風評被害対策に強い弁護士へ相談しましょう。
投稿者特定の手続2:ログの削除禁止
IPアドレスの開示請求が認められれば、投稿者が使っていたプロバイダが特定できます。プロバイダは、そのIPアドレスを使っていた者のログを持っているのですが、そのログは時間が経てば削除されてしまいます。特に、携帯回線の場合は保存期間が短く、約3ヶ月で削除されてしまいます。ログを保存しておいてもらうためには、さらに別の裁判所手続を経てログの削除禁止命令を出してもらう必要があります。
ただ、実務上は、裁判まで起こさなくても、ログの削除をしないでほしい旨の通知を出せば、削除しないでおいてくれることも少なくありません。通知を出すだけであっても、書き込みの違法性を主張したり、証拠を集めたりする必要はあります。
この通知の作成を弁護士へ依頼した場合の費用の相場は、だいたい10万円をみておけばよいでしょう。
投稿者特定の手続3:住所氏名開示請求
次は、投稿者の住所氏名開示請求手続です。この手続は、仮処分で行うことはできませんので、正式な裁判を起こす必要があります。Discordに他人の評判を落とすような書き込みがあったとしても、その投稿が事実であり、その事実を公表することに社会的意義があると考えられる場合などは、その投稿者の住所氏名が開示されるのは不適切であると言えるでしょう。住所や氏名や特に重要な個人情報のため、裁判所は慎重な審議のうえでその投稿に違法性を認めた場合にのみ、住所氏名の開示命令を出すことになります。
この手続の弁護士費用の相場は、
着手金が30万円程度、成果報酬金が20万円程度
https://monolith.law/reputation/reputation-lawyers-fee
とされています。この金額もあくまで相場のため、書き込みの内容や量によって上がることも考えられます。
投稿者特定の手続4:損害賠償請求
住所氏名の開示が認められれば、悪質な書き込みの投稿者が使用していた回線の契約者の住所氏名が開示されます。そうすれば、一連の手続に要した弁護士費用や慰謝料などの損害賠償を請求することができるようになります。
投稿者が特定でき、損害賠償請求に成功すれば、被害者の金銭負担は相殺されます。ただ、必ずしも投稿者の特定に成功しないケースや、損害賠償金を全て回収しきれないケースもあります。これらのリスクに関しては、下記記事にて詳細に解説しています。
まとめ
Discordに悪質な書き込みがされた場合、その投稿者を特定する手続は複雑なものです。こうした手続を単独で行うのはとても難しく、専門知識も必要です。Discordに書き込まれた悪質な書き込みでお悩みの場合は、インターネット上の誹謗中傷対策に詳しい弁護士へ早めに相談しましょう。
カテゴリー: 風評被害対策