【訪問記】中央アジアの成長ハブ・カザフスタンの有力法律事務所「Unicase(アスタナ支店)」を往訪しました

モノリス法律事務所では、IT・フィンテック・AIなどの先端領域やWeb3ビジネスにおいて、国境を越えた先駆的なクロスボーダー法務を展開しています。これまで日本企業にとって中央アジアはどこか遠い存在でしたが、近年、金融やデジタル領域を中心に「新しい国際ビジネスのハブ」として急速に存在感を高めています。 今回は、当事務所の代表・河瀬弁護士が、カザフスタンの主要法律事務所「Unicase Law Firm」のアスタナ支店を訪問した際の模様をレポートいたします。
この記事の目次
なぜいま、カザフスタンなのか?——進化した新首都アスタナ

Astana International Financial Centre | AIFC
今回訪問したカザフスタンは、世界第9位の巨大な国土を誇り、かつて旧ソ連圏から独立した中央アジアの最大経済国です。1997年に南部のアルマトイから現在の「アスタナ」へ首都移転が行われて以来、大規模な国家開発が進められてきました。
アスタナは、金融特区「AIFC」をはじめ先進的なビル群が立ち並ぶ近未来都市です。欧州・中東・アジアを繋ぐ地政学的メリットに加え、Web3やIT新産業への積極投資により、グローバルな注目が高まっています。モノリス法律事務所では、クライアントの将来的な海外展開の選択肢を探るため、今回の現地訪問を実施しました。
中央アジア全域をカバーするフルサービスファーム「Unicase」
Unicase Law Firmは、旧首都アルマトイに本部を置き、新首都アスタナやウズベキスタンのタシケントにも拠点を構える、中央アジア全域をカバーする法律事務所です。エネルギーや地下資源開発、大型インフラプロジェクトのほか、各種金融・税務実務で高い実績を持っています。クライアントには中国建設銀行やICBC、シーメンス、GSKといったグローバル企業や金融機関が並び、最近ではフィンテックやIT、AI分野の法務に積極的に取り組んでいます。
今回の訪問では、アスタナ支店長を務めるSanzhar Amangeldy氏をはじめとする弁護士チームと面談を行いました。伝統的な法務アドバイスにとどまらず、自らプロジェクトやビジネスの機会を創出していく積極的なスタンスが印象的で、カザフスタンの最新法制度や実務上のポイントについて活発な議論を行うことができました。
カザフスタン独自の「二重法域制度」とAIFC(アスタナ国際金融センター)の活用
今回のディスカッションで特に興味深かったのが、カザフスタン独自の「二重法域制度」です。国内には一般の「カザフスタン本土法域」とは別に、英国法(コモン・ロー)をベースとした「AIFC(アスタナ国際金融センター)法域」が存在しています。AIFC内では英語での法的手続きが認められており、同じ建物内に英国法系の専門裁判所(AIFC Court)や仲裁センターが整っているため、国際的な取引でも安心して対応できる環境があります。
実際の法務手続の面でも、AIFCでの私会社(private company)設立は、書類が揃っていれば3〜5営業日ほどで完了します。現地訪問こそ必要なものの、納税者番号の取得から銀行口座の開設まで数日でスムーズに終えられる実務感は、現地展開を検討する日本企業や投資家にとっても強力な選択肢になると実感しました。
暗号資産・Web3ハブの台頭とAstana Hubにおける税制優遇

アスタナの「Digital Bridge」関連展示
シンガポールなど各国で暗号資産規制が厳格化する中、カザフスタンが新たなWeb3ハブとして脚光を浴びている点も印象的でした。Binanceをはじめとする世界大手取引所がAIFC内でのライセンス取得や決済サービス事業者(PSP)ライセンスの展開を進めており、Web3関連の企業が集積し始めています。
また、IT・テクノロジー企業向けの経済特区「Astana Hub」では、一定の条件のもとで法人税や付加価値税(VAT)が免除される実質ゼロ税率の優遇措置が用意されています。旧ソ連圏(CIS)の優秀なエンジニア人材や手頃なオフィス環境を生かし、国際IPOを見据えた開発拠点を立ち上げるスキームなど、法律と税務を組み合わせた具体的な実務アドバイスを受けることができました。一方で、本土での知的財産権(IP)保護の実務はまだ発展途上な面もあるため、グローバルな知財登録を併用するといった実務上のリスクケアの重要性も再確認できました。
消費市場としての潜在性と「日本企業の意思決定スピード」

Unicaseの弁護士からは、資源開発だけでなく、若年層が増加している中央アジアの「消費市場」としての可能性についても話が及びました。日用品や紙おむつ、コスメなど高品質な日本製品への信頼は非常に高い一方、外食チェーンの展開ではイスラム圏特有のハラール対応(豚骨スープの代替レシピ等)や現地認証が必須になるなど、法務・規制面での丁寧なローカライズが求められます。
面談の終盤、現地の弁護士から出た「中国企業は機会を見つけるとすぐに参入を決めるが、日本企業は慎重に検討を重ねるため、数年の間に好機を逃してしまうことがある」という言葉は非常にリアルでした。クライアントの海外展開に伴走する弁護士として、単にリスクを指摘するだけでなく、現地法律事務所と連携しながらスピード感を持ってプロジェクトを推進していく役割の大きさを痛感しました。
海外進出支援体制の強化に向けた今後の展望

今回のUnicaseへの訪問を通して、中央アジアにおける最新の法規制や拠点設立手続、特区活用、さらには現地でのIPO支援に関する実務知識を直接アップデートすることができました。モノリス法律事務所が強みとするIT・Web・AI分野やクロスボーダーM&Aのノウハウに、こうした現地有力ファームとのダイレクトなネットワークを掛け合わせることで、クライアントへのサポート体制をより強固なものにしていきます。
モノリス法律事務所では今後も、世界各国のトップファームとの連携を深め、変化の早い国際ビジネスの現場に即した質の高いリーガルサービスを提供してまいります。
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