香港の「Bird & Bird」オフィスを訪問。ITと先端技術を軸としたグローバル連携の最前線

先日、モノリス法律事務所の代表・河瀬弁護士が、国際的な法律事務所「Bird & Bird」の香港オフィスを訪問しました。現地のパートナー弁護士らと、IT企業や飲食・小売業の海外展開、ならびにクロスボーダー案件における両事務所の連携について、様々な観点から議論を行いました。
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180年の歴史を持つグローバルファームと「IT」という共通言語
Bird & Birdはロンドンに本拠地を置き、今年で設立180周年を迎える歴史ある法律事務所です。ヨーロッパを中心に世界に33の拠点を持ち、特に知的財産(IP)やデータプライバシー、テクノロジー分野において世界トップクラスの強みを持っています。
同事務所のAI分野の専門家の中には、コンピュータエンジニアとしてのキャリアを経て弁護士になったメンバーも所属しており、この点は元ITエンジニアでありAIや暗号資産に関する著書も持つ当事務所代表の河瀬弁護士と共通しています。
ディスカッションでは、こうした「ITやエンジニアリングのバックグラウンドを持つ弁護士」の強みについて意見が交わされました。単に法律の知識があるだけでなく、クライアントが直面する技術的な課題やニーズを正確に汲み取り、「クライアントと同じ言語で話す」ことができる点は、IT法務において大きな強みとなります。ソースコードやシステム構造に対する深い理解があるからこそ、知的財産の保護や複雑なIT契約において、明確で実効性のあるアドバイスができる。この重要性について、両者とも深く共感しました。
アジア展開を目指す日本企業を支えるリーガルサポートの実務
現在、IT企業だけでなく、飲食(F&B)や小売といった多様な業種の日本企業が、香港やアジア諸国への展開に高い関心を持っています。香港では日本食や日本のプロダクトに対する現地の人々の需要が高く、新たなビジネスチャンスの場として依然として高い魅力を持っています。
しかし、実際に海外で店舗を展開する際には、現地での法人設立、店舗の賃貸借契約、従業員の雇用、税関対応など、乗り越えるべきハードルが多数存在します。Bird & Birdの弁護士からは、内装や消防法関連の許認可取得は現地の専門業者と連携しつつ、法律事務所としては「フランチャイズ契約」などのコアな法的リスク管理に注力するという実務のリアルが語られました。
特に、フランチャイズ展開や合弁事業(JV)においては、ブランドの商標や独自のレシピ、ビジネスモデルといった「企業の知的財産」が流出・盗用されないよう、強固な契約を締結することが極めて重要です。このような場面で、IP分野に強い弁護士のサポートが不可欠であることが再確認されました。
互いの強みを補完し合う「双方向」のパートナーシップ
今回の訪問の重要なテーマの一つは、モノリス法律事務所とBird & Birdとの間での連携体制の構築です。
モノリス法律事務所は、日本の中規模の法律事務所の中において、約30名の弁護士を擁し「IT・テクノロジー分野」に特化しているという独自の強みを持つ立場を確立しています。一方で、Bird & Birdも東京に拠点を持っているものの、彼らは日本法のプラクティスは行っておらず、欧州のクライアントが日本に進出する際の現地パートナーを必要としています。
反対に、モノリス法律事務所のクライアントである日本のIT企業が、香港、東南アジア、あるいはヨーロッパへとビジネスを拡大する際には、各国の法規制に精通した現地の国際的ファームの力が欠かせません。双方が「テクノロジー・IP」という共通の専門性を持ちながら、管轄する法域が異なるからこそ、互いの強みを活かしてクライアントを紹介し合う、真に有益な「双方向(Two-way)」のパートナーシップが成立するのです。
厳格な欧州基準のコンプライアンス(KYC)体制とオフィスの熱量
訪問の後半では、香港オフィス内の見学も行われました。開放的でヨーロッパらしいオープンオフィスの環境の中、企業法務、不動産、紛争解決など多様なチームが部門の垣根を越えて働いていました。
特に印象的だったのは、新規顧客の受け入れ審査(KYC:Know Your Customer)やビジネスコンフリクト(利益相反)の確認を専門で行うチームの存在です。マネーロンダリング防止などを目的としたヨーロッパの厳格な法規制に対応するため、ネガティブニュースの有無や資金源の調査などを徹底して行う専門チームが組織されており、グローバルスタンダードなコンプライアンス体制の厳格さを肌で感じる機会となりました。
ディスカッションを終えて:河瀬弁護士のコメント
「ITや先端技術を専門とする弁護士同士が、エンジニアリングという共通言語を通じて、国境や法体系の違いを越えて深く理解し合えることを強く実感した有意義な訪問でした。また、法務と技術の双方を理解していることが、グローバル市場においてもクライアントにとって最大の提供価値になるという確信を得ました。
日本企業がアジアや世界へ展開する際、また海外企業が日本へ参入する際、現地規制や実務に精通したグローバルファームとの連携は極めて重要です。モノリス法律事務所は今後も、こうした海外の強力なパートナーとのネットワークを深め、クライアントの皆様に世界最高水準のリーガルサービスを提供できる体制をより一層強化してまいります。」


















