パラリーガルとは?法律事務所で実際に働いている所員にインタビューしました
パラリーガルという職業を耳にしたことはありますか?
パラリーガルとは、法律事務所で、弁護士とともに働く“法律専門”の事務職を指すことが多いかと思います。実際にどのような人がパラリーガルになり、どのような仕事をしているのか?
法律事務所で扱う案件が多岐にわたるのと同様、実際、パラリーガルの仕事内容も、所属する事務所によって大きく変わります。それでは、モノリス法律事務所で活躍をする2人のパラリーガルのインタビューとともに、パラリーガルの仕事を紹介していきます。
この記事の目次
主な仕事内容は?
Mさん:
訴訟にする前の段階で弁護士が介入する「裁判外交渉」で、弁護士の指示に基づいて書面をブラッシュアップする作業や、弁護士が作成した書面のチェックを行う業務などを担当しています。弁護士が作成した書面の誤字脱字チェック、そして弁護士と連携をして、完成した書面を提出する手続きなどを主にしています。
Tさん:
裁判案件の書面起案に係る判例リサーチをしています。モノリスで多く扱う、誹謗中傷案件では、クライアントから提示された該当ページ・投稿が違法にあたるのか、弁護士が「違法性の判定」を行うための基礎調査を担当しています。
その後は、そのサイトや、ページ・投稿が、どのように成り立っているのか、例えば、どのホスティングサーバー上にホストされているのかなど、技術的な面のリサーチを行います。「法律」とは直接の関係はなく、どちらかというと、ITやインターネットの知識を問われる業務です。そうした調査結果を元に、どのような交渉方法が採ることが可能か、過去の類似案件ではどのような交渉過程や結果になったかなどを検討します。私の場合、元々ネットサーフィンが好きではありましたが、「ホスティングサーバー」のような専門的な言葉や、その調査方法は、モノリスに入ってから教えて貰いました。モノリスは、そうした専門知識を持っている社員が多く、ITやインターネット関連の知識を学べ、それを実際に業務に活かすことができるので、面白いです。
法学部時代について
おふたりとも法学部卒ですが、学生時代から法律の仕事に興味があったのでしょうか?
Mさん:
進学で法学部を選んだ理由は大きく2つあります。まずは、推理小説が好きなことが大きいです。事件を紐解いていくことが得意で、法律に通じるところがあると感じていたからです。法律の中では、小説の影響があってか特に刑法に興味がありました。次に、受験に苦手な数学がない学部であること。入学してからは、さらに法律の勉強が楽しくなり、2年生になった時点でダブルスクールを始め、ロースクール進学を目指していました。
Tさん:
法学部に進学しましたが、法律にこだわりがあったわけではなく、それを仕事にしようとは考えていませんでした。ワークライフバランス重視で、安定して仕事ができると考えて、大学の職員として事務職をしていました。
モノリスに入所したきっかけは?
Mさん:
大学在学中から刑法が好きだったので、刑事事件専門の事務所とモノリスに応募をしました。ただ、刑事事件事務所では面接官がとても怖くて入所に不安を感じてしまって…。同時に面接を受けたモノリスは、面接の時点で所内の人間関係の良さを感じたことが入所の決め手でした。また、法律事務所業界は、「弁護士が数人、事務局も数人」といった小規模事務所が多いのですが、経験を積んで実力をつけるには、事務所の規模感も大切だと考えました。
Tさん:
大学の同級生がモノリスで働いていて、紹介してもらったのがきっかけで転職をしました。もともとワークライフバランスを重視した就活をしていたわけですが、モノリスでは家庭の事情にも配慮してくれて、無理のない時間設定で仕事ができると聞き入所を決めました。やむを得ない家庭の事情で休みを取れるのはもちろんですが、休暇申請期限などの所内ルールを守り、担当業務に支障をきたさなければ、休暇を取得しやすい職場です。他の皆さんの有給取得率も高いですし、休暇申請をしづらい雰囲気が無いのがありがたいです。
パラリーガルの仕事について
パラリーガルの仕事で気を付けていること
気を付けていることや意識していることがあれば教えてください!
Mさん:
書面のドラフトなどに関わる業務を行う時は、クライアントの立場に立つことを意識しています。そこで私個人の感情は不要ですし、たとえ個人的に何かを思うことがあったとしても、感情は出さずに書面を組み立てることに徹しています。クライアントの立場に立ってこその仕事だと考えています。そして、書面で個性を出さないように気を付けています。あくまでドラフトですので、「無個性」で「クセがない」仕上がりになるようにしています。
Tさん:
書面自体は「無個性」が求められていますが、そこに到達するまでは主体的に動いています。「これを主張するのに必要な判例って何だっけ?」と思ったら、それを調べるとか…センスが問われる作業になりますね。とにかく、スピード感を持ち、徹底的に探し物や調べ物をするよう心がけています。
パラリーガルという仕事の醍醐味
仕事の醍醐味はどんなところでしょうか?
Mさん:
誹謗中傷の削除案件タスクで、自分がチェック等に関わったページが無事に消えると達成感があります。実際にそのページを開いて、自分の目で見て確認できますし、成果がわかりやすいのはいいですね。
Tさん:
発信者情報開示請求の案件にも、書面のチェックや裁判所への提出など、様々な場面で関わることができます。自分が関わった案件で、アカウントが開示されたり、書き込みをした人物特定ができたときは嬉しいです。難易度が高いほどやりがいがあります。
パラリーガルの仕事の難しい点
逆に、つらいことや難しいと感じることがあれば教えてください
Mさん:
どの職場でも、役職の壁があったり、当たりが厳しい同僚がいるとか・・・人間関係が難しいことがあるとよく聞きます。モノリスではそういう難しさや煩わしさを感じたことがないですし、何年経っても弁護士がよく褒めてくれるのはシンプルに嬉しいです。
仕事なので、やるべきことをやるのは当然なのですが、「評価してもらえてる!」と実感すると、やはり嬉しいですし、頑張った甲斐があったとつくづく感じる瞬間です。
ちゃんと「ありがとう」を言う文化が根付いていることで、仕事で感じる厳しさは、相当軽減されるものだと思います。
Tさん:
誹謗中傷案件の仕事をしていると、ページを見ていて気が滅入る人がいるかもしれないですね。他人を陥れる悪意の言葉であふれていますから・・・。時々意味が分からないネットスラングがあって、調べて意味を知って驚くこともあります。
次々に入ってくる情報量に押しつぶされそうになるのはつらいかもしれません。
しかし、ひとのプライバシーにかかわることなので、誠実に向き合う努力はしています。
よくいただく質問について
モノリスで働いているパラリーガルのおふたりに、仕事を始めたきっかけや、仕事内容についてお話しを伺いしました。ここからは、「パラリーガルになるには?」と考えていらっしゃる方向け。パラリーガルを志望している方、興味がある方からよくいただく質問に答えていただきます。
未経験をカバーするスキルがあれば教えてください
1.法律と文章(ドラフト)作成の能力
Mさん:
業界未経験であることは、まったく問題がありません。法律を勉強したことがあるに越したことはありませんが、文章を書くことが好きであると良いと思います!今のところ新卒でパラリーガル職を始めたメンバーはいませんが、ロースクール時代にインターン生として在籍しており、修了後にそのままモノリスで仕事を続けている方はいます!
Tさん:
ネットの仕組みを理解していることは大きなプラスポイントになります。クライアントが削除したいページがありますよね?その場合、ただそこだけを見るのではなく、「どうしてこのページが作られたのか?」という大元にたどりつく方法を常に考えられる力は、モノリスでは大変重要になります。クライアントから最初に受け取る情報を、さらに深堀りしていき、炎上の大元をクリーンにする方法を導き出すことに繋がります。
2.臨機応変に書面(ドラフト)を作る能力
Mさん:
ドラフト作成など、書面に関わる仕事をする時には、書面の温度感を変化させる能力も重要です。これは次第に慣れていくとは思いますが、裁判外案件のときに、交渉相手がプロバイダであるのか?悪口を書いた張本人なのか?によって、どういったスタンスの交渉をするのか変えるようにしています。相手がプロバイダであれば、闇雲に主張をするのではなく、ビジネスとして理解してもらえる交渉が必要であると考えるからです。
Tさん:
受け取り手の立場を考慮しながら、同じ内容であってもニュアンスを少し変えるというか・・・。とは言え、モノリスでの過去の“実績集”を参考にしながら進められますし、こうした“特殊な感覚”が求められる作業については、適宜先輩パラリーガルに質問をしてもらえば、コツがつかめると思いますよ。
3.ネットリサーチ能力
Tさん:
その他、役立つのは「調べものが好き・得意」であることですね。ネットサーフィンが日課になっている人にとっては、なんてことない作業になるかもしれませんが、モノリスではとても重宝される能力なんです。判例を調べることはもちろんですが、その他、関連するページを見つけて調べる能力はパラリーガルに必要な能力です。パラリーガルだけではなく、モノリスでは皆がリサーチが得意で、時々、信じられない速さで情報をピックアップしてくる猛者がいます。
勉強しておくべきことについて
入所前にしておくべき勉強や、取得すると良い資格について質問をいただくことが多いです。何か準備が必要であれば教えてください。
Mさん:
入所にあたり、取得必須の資格はありません。例えば、日本リーガルアシスタント協会が実施している認定試験(パラリーガル資格)内容は、モノリスでいう「事務局」の仕事をする準備としては役立つと思います。この話は少しややこしいのですが、「パラリーガル」という言葉は、事務所によって、その定義や内容がまちまちです。
モノリスの場合、私たち「パラリーガル」が行っている業務は、ここまで話してきたとおりです。一方で、日本リーガルアシスタント協会のパラリーガル資格は、例えば、戸籍謄本を取り寄せるとか、法務局関連の手続きなどを指しています。そうした業務は、モノリスの場合は、「パラリーガル」ではなく「事務局」と呼ばれていて、事務局のメンバーが行っているんです。法律事務所に所属している弁護士以外の正社員は、役職名が、「秘書」だったり「事務局」だったり「パラリーガル」だったりして、少し分かりにくいんですけどね。
日本リーガルアシスタント協会
https://houritsujimu.com/service/system/
法律事務所の「事務局」「秘書」「パラリーガル」という各職種の業務について
https://monolith.law/recruit/faq/detailed-occupation-of-secretary
Tさん:
そうですね、モノリスの「パラリーガル」の場合、必須資格はありませんし、さきほどお話ししたとおり「法律の勉強をしたことがある」「文章を書くことが好き」であれば、十分適性はあると思います。
法律に限らず、多種多様なスキルがある方は、様々な場面で活躍できますし、そのスキルを尊重してもらえる職場です。気になったことは、法律に限らず勉強を続けてほしいですね。
最後に
以上、モノリスのパラリーガルのお話しはいかがでしたでしょうか?
パラリーガルを目指している皆さんが、興味がある仕事に就かれるための参考にしていただければ何よりです。
カテゴリー: インタビュー
タグ: インタビューインタビュー:事務局