法律事務所での長期インターンとは?弁護士・事務の仕事について解説
法律事務所は、「インターン」や「サマークラーク」「ウィンタークラーク」といった形で、学生を募集しているケースがあり、弊所もこうした形での募集を行っています。ただ、法律事務所に興味を持って頂いている学生の中には、弁護士志望の方もいれば、いわゆる弁護士秘書や事務の仕事に興味を持っている方もいらっしゃるはずです。
法律事務所にはどういった職種があり、インターン等の制度は、どういった方を対象に、どういった期間で実施されているのか、また、長期インターンは可能なのか、といった点について、業界構造や、当事務所における募集の概要等を解説します。
この記事の目次
法律事務所の長期インターンは可能か
まず、法律業界では、「インターン」に加えて、「サマークラーク」「ウィンタークラーク」といった制度が、比較的一般的に実施されています。もちろん事務所によって多少の違いはあるのですが、一般的には
- インターン:特に学年等を問わず、まだ、通年通して実施されている
- サマークラーク・ウィンタークラーク:弁護士志望の学生を対象にしており、特に予備試験合格者やロースクール在学者を対象にしている場合が多く、夏休みや春休みなどの時期に合わせて実施されている
といった違いがあります。そして、サマークラーク・ウィンタークラークは、1週間程度の短期間に設定されていることが一般的です。したがって、「長期」という場合は、サマークラーク・ウィンタークラークではなく、インターンについて検討することになります。
法律事務所の「職種」と「インターン」
法律事務所は、一般的に
- 弁護士
- 秘書・事務局・パラリーガル(事務)
- (総合職)
と、大きく2(又は3)種類の職種で構成されています。そして、弁護士とそれ以外(事務や総合職)とで、インターンに関する考え方が区別されていることが、一般的です。
なお、そもそも「秘書」「事務局」「パラリーガル」は、それぞれどのように違うのか、という話は、以下の記事で詳述しているため、本記事では詳細を割愛します。本記事では、これらを全てまとめて「事務」と呼ぶことにします。
弁護士志望者と事務系の長期インターン
弁護士志望者の長期インターン
弁護士の就活は、従来は、司法試験が終わった後に開始されることが一般的でした。弁護士志望者は、司法試験の後に
- 司法試験から合格発表までの間が数ヶ月
- 合格発表から司法修習までの間が数ヶ月
- 司法修習が1年程度
という期間を経て、弁護士になります。この間に事務所訪問を行い、場合によっては短中期のインターンを経て、事務所に所属する、という流れです。ただ、大手事務所を中心に、司法試験前の、予備試験に合格した後やロースクールに進学した時点などで、夏休みや冬休みに、サマークラーク・ウィンタークラークといった名で、1週間程度の「短期インターン」に参加することも、一般的に行われるようになりました。サマークラーク・ウィンタークラークは、弁護士としての採用・就職活動の一環という性質が強く
- 弁護士が過去に手がけた案件に関する課題
- 実際に行われている弁護士業務の補佐
- 弁護士による実務に関する講義
といったプログラムで行われることが一般的です。
こうした経緯であるため、弁護士志望者のための長期インターンは、募集している法律事務所が、まだあまり多くはない、というのが実情ではあります。ただ、後述するように、モノリス法律事務所は、弁護士志望者も長期インターンの受入を行っております。
法律事務所の事務の長期インターン
法律事務所の事務は、学部卒などでの新卒採用が一般的に行われています。このため、他業界と同様に、学部生を対象としたインターンの受入を行う法律事務所も存在し、その中には長期インターンの受入を行っている法律事務所もあります。
- 電話対応や来客対応
- 資料のファイリング
- 弁護士のスケジュール管理
などの事務作業が主な仕事内容だと言えるでしょう。
法律事務所における秘書業務は、一般企業における役員秘書などの業務とある程度共通性がありますし、法律事務所における事務業務も、一般企業における事務業務と、ある程度共通性があります。言い換えると、秘書業務や事務業務に関心のある学生の方から見ると、法律事務所と一般企業、就職先としてどちらを考えるべきかという判断は、なかなか明確でないように思えます。法律事務所の事務のインターンは、「そもそも法律事務所では実際にはどういった業務を行っているのか」「どういった点が魅力なのか」といった点を自分の目で確かめる、というためにも、意味があるものだと思われます。
法律事務所の長期インターンのメリット等
大学生やロースクール生が法律事務所の長期インターンに参加することには、様々なメリットがあると思います。長期インターンの経験は、法律に関する知識を深める・専門的なスキルを習得する・就活の際に「ガクチカ」などで活用できる、といった点で、価値が高いと言えるでしょう。
法律に関する知識を深める
大学生やロースクール生が法律事務所に長期インターンとして参加するメリットの一つは、法律知識を実践で深める機会が得られることです。インターン、特に長期のインターンの中では、例えば、クライアントからの相談に対して実際に法的アドバイスを準備したり、契約書のドラフトを作成したり、訴訟資料を準備したり、法的なリサーチを実施したり、といった場面が、何度もあるはずです。そうした場面で弁護士の補佐等を行うことで、法律の理論が、どのように実際の法的問題解決に役立っているのかを学ぶことができるはずです。
また、「法律事務所」という事業体が、クライアントの依頼に対してどのように機能するものなのか、法律家がどのようにクライアントを支援し、法的問題を解決していくかというプロセスを、間近で見ることができるはずです。これは、法律事務所で実際に働いてみないと、なかなか体験できないことだと言えるでしょう。
専門的なスキルを習得する
弁護士や法律専門家として重要なのは、論理的思考です。インターン中には、実際の案件の中で、情報収集、法的論点などの特定、適切な法律や判例に関する調査、法的検討、といったプロセスを経験できるかもしれません。こうしたプロセスを取れるということは、論理的思考、いわゆる問題解決能力のために、重要です。
法律文書の作成能力も、インターンシップで経験できる重要なスキルの一つです。訴状、契約書、法的意見書など、様々な法律文書を作成する際には、正確さ、明瞭さ、説得力が求められます。インターン期間中に、これらのドラフト作成などの業務を体験し、専門的なライティングスキルを高めることができるかもしれません。
こうしたスキルは、法律家としてのキャリアだけでなく、他業界や他業種に進む場合でも、一定の「財産」となるはずです。
就活の際に「ガクチカ」などで活用できる
弁護士志望の場合、「ある法律事務所で、インターン・サマークラーク・ウィンタークラークに参加した」ということ自体が、その事務所の選考過程に組み込まれているケースもあります。
また、一般就職の場合も、インターン等の経験を、いわゆる「ガクチカ」などで活用することは可能だと思われます。法学部から一般就職を行う場合、「法律事務所」という事業体の中を体験できるのは、学部生の間だけかもしれません。論理的思考や文書の作成能力、事務処理能力などを身につけた経験は、他業界への就活でも、活きるはずです。
法律事務所の長期インターンの応募方法
法律事務所のウェブサイトからの応募
法律事務所の長期インターンに参加する、最も直接的な方法は、法律事務所のウェブサイトに記載されている募集要項からの応募です。インターン・サマークラーク・ウィンタークラークを問わず、積極的な募集を行っている法律事務所は、ウェブサイト内に求人ページを持っていることが、一般的だと思われます。
ポータルサイトからの応募
インターン求人サイトなどに求人情報を掲載している法律事務所もあります。主要なインターン募集サイトで「法律事務所」などを検索すれば、そうした事務所の情報を見つけることができるはずです。
大学・ロースクールのプログラム等からの参加
大学やロースクールによっては、いわゆるエクスターンなどのプログラムが用意されており、特定の法律事務所へのインターンに、そうしたプログラムを通じて参加できるケースもあります。また、キャリアセンターなどに法律事務所のインターン情報が掲載されているケースもあります。
ただ、法律事務所は、業界構造として、規模化・組織化されている事務所があまり多くなく、インターンの積極的な受入を行っている事務所が、他業界と比べると少ない、というのが実情ではあります。そして、そうした事務所は、上述の通り、ウェブサイト内に求人ページを持っていることが多いため、求人ページからの応募を行うことが、最も一般的・直接的であるようには、思えます。
モノリス法律事務所の長期インターン
当事務所は、
- 学部生やロースクール生
- 法学部やそれ以外の学部(文系理系を問わず)
- 弁護士志望やそれ以外
- 法律事務所への事務・総合職就職を考えている・考えていない
といった区別なく、「法律事務所」という事業体でインターンをしてみたいと考えて頂いている方を、広く、長期のインターンとして、募集しております。法律事務所での長期インターンを検討されている方は、上記のような意味での「条件」などはありませんので、お気軽に応募頂ければ幸いです。