予備試験合格者のバイトに法律事務所をオススメする3個の理由
予備試験に合格した方がバイト先を探す場合、法律事務所は、その候補の一つになると思います。法律事務所でのバイトは、
- 法律に関する勉強にもなる
- 試験と実務の違いを理解でき、弁護士になるまでにどういった能力を伸ばせば良いのかが分かる
- 法律事務所がどのような仕事をする事業体なのかを理解できるし、自分の就職先や将来の転職時などに何を考えるべきかが分かる
といった点で、予備試験合格者にとって有益なものだと思われるからです。
予備試験合格者にとっての、法理鬱事務所でのバイトのメリット、バイト先として法律事務所を選ぶべき理由、といった点に関して解説します。
この記事の目次
法律に関する勉強にもなる
「法律」に関する知識をフル動員するバイト
まず、言うまでもなく、法律事務所でのバイトは、「法律」を用いるものであり、予備試験合格者の方にとって、司法試験やその後の実務に向けた、法律の勉強になります。
ほんの一例ですが、例えば、会社法は、社会人経験がない人にとって、「とっつきにくい」法律の一つです。株主総会や取締役会といった機関設計、ある行為を行うためにどういった手続を取るべきかといった規制が、何を意味しているのか・実際問題としてどのように機能しているのか、座学だけでは理解しにくいからです。
法律事務所のバイトでは、例えば、M&A案件を手がける弁護士のサポートといったポジションになった場合は、実際の経験として、当該M&A案件に(どうしても「間接的に」ではありますが)関わることが可能です。こうした経験は、会社法に関する理解にも繋がるでしょう。
「会社法」「M&A」は、あくまで一つの例ですが、予備試験合格者の方にとって、法律事務所でのバイトを通じて様々なタイプの案件に弁護士の補助として関わることは、法律への理解に繋がるはずです。
予備試験合格者の方からの声
上記のM&Aは、あくまで一つの例ではありますが、例えば、当事務所にお越し頂いた予備試験合格者の方からは、以下のような声を頂いております。
- 契約書のレビューやM&AのDDに、弁護士の補助として携わることができました。弁護士の先生から丁寧なフィードバックを貰えたため、己の実力不足がよくわかりましたが、「弁護士の仕事は、司法試験と司法修習の延長に過ぎない」とも言って貰えたことで、今後の司法試験の受験勉強のモチベーションにもなりました。
- 契約書のレビューに関わるのは、初めての経験でした。弁護士業務を知る上で、大変貴重な経験を積むことができました。契約書の様々な条項に、当事者双方が自分にとって有利な条項を、どのような形で入れ込んでいくのか、従って、クライアントの利益を保護するために、弁護士による契約書のレビューや修正が非常に重要だということを実感しました。
- 契約書のチェックをどのような視点で行うべきか、という点は、法学部の授業ではなかなか教わることができなかったので、貴重な体験でした。法律は、当事者間の公平な関係の実現のためにどのような条項を置いているのか、自分の目の前にある契約書が、それを比較してどのような規律を行っているのか、という視点で契約書を確認することで、民法や商法の各規律を深く理解しようとするきっかけになりました。
試験と実務の違いを理解できる
企業法務の実務における「論点」の分析
弁護士の仕事は、もちろん一次的には法律への深い理解を前提・必要とするものではあります。しかし、「試験勉強段階での法律」を理解していれば弁護士業務ができるのか?、というと、やはり、そうではありません。試験と実務の間には、一定の「違い」があります。
これもあくまでほんの一例ですが、特に企業法務系の弁護士実務には、試験と比較した際、「論点」のバリエーションが非常に多い、という特徴があります。
ここでいう論点とは、予備試験合格者の方が既に勉強してきた「法的論点」、例えば、「民法での動機の錯誤とは~」といったものとは、異質です。ここでいう論点とは、言葉の通り、「論じるべき点」、「問われている点」そのもののことです。例えば、「甲と乙の法律関係」や「甲の罪責」が、「論点」です。
法律の試験では、この意味での「論点」は、非常に、限られています。上記のように、「甲と乙の法律関係」や「甲の罪責」、あとはせいぜい「甲が可能な憲法上の主張」「行政訴訟における原告適格の有無」などが、問われる「論点」でしょう。
これに対して、実務、特に企業法務では、この意味での「論点」が、多様なものとなります。例えば
当社は第三者企業に対してシステム開発を委託しているが、当該開発は非常に難航している。その中で、当該企業から、このような通知が届いた。当社はこれに対し、どのような対応を行うべきか?
という法律相談をクライアントから受けた場合、「論点」は、その自然言語的な解釈のとおり、「どのような対応を行うべきか」であり、「クライアント企業と当該企業の法律関係」ではありません。ただ、その論点に対する検討を行うためには、法律理論を用いる必要があります。契約の解釈、法律関係の把握、既に発生している事実の法的評価といった法律理論は、その検討の過程で当然に必要とされるものです。
こうした意味で、実務、特に企業法務の実務における思考方法は、いわゆるコンサル業界におけるそれに、近い部分があります。この点に関しては、下記記事で詳細を解説しています。
特に企業法務系の法律事務所への就職を検討されている予備試験合格者の方は、司法試験後や弁護士登録後に、こうした思考のトレーニングを行う事になります。法律事務所でのバイトは、そうした思考の練習になりますし、少なくとも、「自分が今後鍛えるべきものが何であるかを理解できる」という意味で、有用であるはずです。
予備試験合格者の方の声
上記のような思考方法は、司法試験などを念頭に置いた勉強の中ではなかなか身につかないものであり、その意味で「難しい」ものですが、当事務所にお越し頂いた予備試験合格者の方からは、以下のような声を頂いております。
- 弁護士の実務や「予防法務」について、司法試験の勉強と比べた場合の頭の使い方を、少し理解できました。自分が基本書や過去問で勉強してきた法律論が、経営者からの質問への回答に、どのように活用されるものなのかが分かり、自分が今勉強していることと将来の仕事の関係性について、頭の整理ができました。
- 使用者側として労働者との交渉を行う事案に、補助として参加させて貰いました。交渉の過程で、一見、訴訟になった場合の訴訟物や請求原因とは無関係に思える色々な事項に関するやり取りが行われていたのですが、そうした際に、弁護士同士が何を考えながら書面のやり取りを行っているのか、思考過程を教えて頂けたことが非常に印象的でした。
就職先や将来の転職先を考える上で有用
予備試験合格者の方の中には、最初の就職先について、既に事実上狭い範囲の中に決めている方も、まだ広い範囲の中で悩んでいる方もいらっしゃるはずです。
近年、特に一部の企業法務系ファームの就職活動は、相当に早い段階で行われているのが実情です。このため、そうした事務所を「第一志望」と考えている方にとって、「広い範囲で様々な法律事務所の説明会等に参加し、法律業界の中にはどのような事務所があるのか、見て学ぶ」といった時間は、あまりないことが現実だと思います。そうした方の場合、「予備試験合格者」である時期に、他の法律事務所でバイトをすることは、将来の転職や、場合によっては独立などを考えた際、「そこで見て学んだものが、将来何らかの形で役に立つ可能性がある」という意味で、有用だと思われます。
また、就職先を広い範囲の中で悩んでいる予備試験合格者の方の場合、法律事務所でのバイトは、言うまでもなく、自分の就職先について考える上で、有用だと思われます。
モノリス法律事務所のバイト
モノリス法律事務所は、インターンという形で、予備試験合格者を含む広い範囲の学生の方を対象に、バイトを募集しています。「インターン」という名称ではありますが、短期から数年以上の長期まで、有給で募集を行っております。
モノリス法律事務所のインターンでは、特に予備試験合格者など法曹志望度の高い方には、なるべく弁護士の実際の業務の補助など、法律に関わる業務を担当して頂いています。制度全体との関係では、当事務所のインターン生の業務は、前記のような法律に関わる業務だけでなく、裁判所対応などの事務局補助業務、KPI設計やパワポ資料作成といった総合職業務、広報系の業務など多岐にわたるのですが、法曹志望度が高く、法律に関わる業務を希望される方には、なるべくそうした業務に携わって頂いている、という形です。
また、当事務所は企業法務を手がける事務所として、上記のような「論点分析」を日々行っており、こうした部分にも関わって頂いている予備試験合格者の方もいらっしゃいます。そして、司法試験合格後に当事務所に弁護士として入所される方も、他の企業法務系ファームや一般民事系事務所に入所される方も、裁判官や検察官への任官任検をされる方も、いらっしゃいます。そうした多様な人材にバイトとしてお越し頂けることは、当事務所としても、歓迎しております。
予備試験合格者で、法律事務所でのバイトを検討されている方は、お気軽にご応募頂ければ幸いです。