FAQ

法律事務所におけるITエンジニアの役割とは

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法律事務所におけるITエンジニアの役割とは

モノリス法律事務所は、弁護士のみならず、現役のITエンジニアを「セールスエンジニア」の職種で求人している法律事務所です。そして、この「セールスエンジニア」という役職は、「事務所内の案件処理システムなどを内製するため」(だけ)ではなく、「当事務所が受任している法律業務の遂行」のために、存在しています

この点は、あまり他の法律事務所には見られない、当事務所の特徴だと思われます。何故「法律事務所」に、ITエンジニアが必要なのか、そうした組織によって、どのようなリーガルサービスを提供できるのか、当事務所に所属するITエンジニアの役割の一例を、解説致します。

当事務所の理念と組織による大規模案件への対応

当事務所が手がける法律業務には、システム紛争に関する大規模な紛争、タイトなスケジュールの元で進行されるM&A(やそのための法務デューデリジェンス)、ブロックチェーンやAIなどの最先端技術を用いた、法的論点が多岐にわたる新規事業等のサポート、サイバー関連犯罪の刑事事件化など、弁護士としての稼働が大型化する案件も少なくありません。

「法的な分析や検討」と「IT的な分析や検討」の絡まり合い

そして、大型化する法的紛争の中には、「法的な分析や検討」と「IT的な分析や検討」が、複雑に絡まり合う事案もあります。

一例として、上記の例のうち、システム開発に関する紛争、例えば、クライアント企業がユーザー、相手方企業がベンダーで、クライアントの発注したシステム開発が頓挫したことに端を発する紛争について、考えてみましょう。

システム開発紛争における「債務不履行」

こうした紛争では、法律用語としては、「債務不履行」「契約不適合責任」などが、その論点となり得ます。しかし、「合意された要件等」が「満たされていない」という時、「どのような要件が合意されたのか」「実際の成果物はどのようなものだったのか」、そして「それらの間にどのようなズレがあったのか」は、必ずしも明確ではありません。チャットアプリ上の何気ない発言、その意味、成果物の具体的な挙動、ソースコード、そうした種々の細かな、大量に存在する事実を、精査しなければなりません。

「PM義務」と時系列の上での検討

また、システム開発に関する紛争では、ベンダー側の「プロジェクトマネジメント(PM)義務」というものが、問題となるケースもあります。この記事では詳細を割愛しますが、これは端的に言えば、契約に基づいて決められたスケジュールに沿ってプロジェクトを進め、状況によってはユーザーに対し、開発が円滑に進むように働きかけを行うことを、ベンダーに対して求めるものであり、したがって、「時系列上のある時点で必要な(必要だった)行動」に関わるものです。

参考記事:システム開発におけるプロジェクトマネジメント義務とは

相手方が、時系列の上で提出等を行ってきた報告書等には、事後的に専門家の観点から振り返ってみたとき、明らかに不適切・不適当な数字や記載等が紛れ込んでいるケースもあります。そうした記載は、当該時点で既に相手方の業務に問題があったことの証拠となり得るものですが、しかし、その数字や記載等が「明らかに不適切・不適当」であると気付くためには、(法律論を離れた)システム開発に関する知識と経験が必要不可欠です。

さらに、クライアント側が、例えば過去のある時点で「中間納品物に致命的な欠陥がある」と判断していたとしても、それが本当に、裁判所などの第三者視点でも「致命的な欠陥」と言えるものであるかについても、検討が必要なケースがあります。それを「欠陥」だと判断したクライアントが、その時点で本来行うべき検証等を行っておらず、その「(結果的には)クレーム」によって納期が遅れてしまっただけかもしれません。こうした分析を行わず、クライアント社内の認識のみに基づいた訴訟提起や主張立証を行うと、相手方から思いもよらない反論等を受け、想定していた決着を実現する事ができないかもしれません。

システム開発に関する大規模な紛争では、このように、「時系列」との関係で、ある時点における客観的な状況、それに対する双方の対応等を分析し、状況を正しく理解した上で、紛争の処理方針等を決定する必要があります。

弁護士とITエンジニアによるワンストップでの解決

このような「IT的な分析や検討」は、「法的な分析や検討」と密接に関わってはいますが、それを行うための専門性は、弁護士の専門性とは、異なります。そして異なるが故に、モノリス法律事務所は、「ITに専門性を有する法律事務所」には、(弁護士のみならず)セールスエンジニアも必要であると考えています。弁護士とセールスエンジニアの双方が所属する組織でなければ、複雑な問題状況の下で、「法的な分析や検討」と「IT的な分析や検討」というように、その問題を解きほぐし、全ての問題をワンストップで解決することが、できないからです。

こうした性質は、システム開発に関する紛争のみならず、他の様々な分野についても同様です。

一例を挙げれば、アプリ等の利用規約等を作成する上では、そのアプリの実際の・具体的な挙動を把握しなければ、想定外の挙動(やそれがもたらす事態)に対応できない危険性があります。また、学習データを用いるAI関連サービスの設計の場面では、具体的な挙動等に関して誤解があると、適法性等の重大な法的判断に誤りが生じる危険性があります。サイバー犯罪の被害に遭ってしまった企業が刑事事件化を求める際には、「犯罪」に該当する行為が具体的に何であり、それはどのログをどのように読解することで証拠化されているのか、技術的観点で報告を行わなければ、実効性をもって捜査を求めることができません。

当事務所は、こうした様々な場面で、弁護士とセールスエンジニアの協働により、ワンストップソリューションを実現しています。

当事務所の求人情報

当事務所は、複雑なIT関連の法的課題を、弁護士との協働によって解決するためのITエンジニアを、「セールスエンジニア」の職種にて募集しております。

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弁護士 河瀬 季

モノリス法律事務所 代表弁護士。元ITエンジニア。IT企業経営の経験を経て、東証プライム上場企業からシードステージのベンチャーまで、100社以上の顧問弁護士、監査役等を務め、IT・ベンチャー・インターネット・YouTube法務などを中心に手がける。

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