FAQ

「法律事務所」に「エンジニア」が必要な理由とは:河瀬季(代表弁護士)

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「法律事務所」に「エンジニア」が必要な理由とは:河瀬季(代表弁護士)

突然ですが、モノリス法律事務所は、コーディング経験のあるエンジニア人材の求人を行っています。これは、「所内システム構築のため」といった方向ではなくて、「クライアントワークのための実働部隊としての求人」です。当事務所は、「法律問題に関連する複雑な課題を解決するコンサルタント」であるが故に、クライアントへの価値提供として、そうした人材の知見や能力を必要としています。

「法律事務所」が解決すべき「課題」とは

まず前提として、「法律事務所」とは、裁判等の「狭義の弁護士業務」というプロダクトのみを提供する事業体ではありません。法律事務所は、狭義の弁護士業務「を含む」ソリューションを提供する提供する事業体です。

例えば、一つの例として、システム開発関連の紛争、ユーザーであるクライアント企業がベンダーにシステム開発を発注したが、不十分なシステムしか納品されなかった、といった紛争について考えてみましょう。こうした紛争は、単純に言えば、

  • 何を作るという合意があったが
  • 実際には何が作られた

という、その「ズレ」の有無や性質、「ズレ」が生じるに至った経緯などを双方が主張し合い、裁判の場合、最終的には裁判所が「ベンダーに落ち度があったか否か」を判断する、というものです。

システム開発紛争と法律事務所の役割

そして、この場合、「法律事務所」は、クライアントであるユーザー企業の依頼を受けて

  1. 当初の合意内容
  2. その後の開発過程における双方のコミュニケーション等
  3. 最終的な成果物

といった各要素に関して、最終的には裁判所に「ベンダーに落ち度があった(なかった)」という結論を出させるべく、報告書等の書面を作成する必要があります。

しかし、

  • 具体的な事実として、何があった・何が作られたのか、といった点について詳細な知識や情報を持っているのは、ユーザー(クライアント企業)のエンジニア
  • それが法的にどのように評価されるのか、どのような具体的事実が存在すれば有利な判断を受けるのか、といった点について詳細な知識や情報を持っているのは、弁護士

です。従って、例えば、「エンジニアの観点では重大な不具合が、弁護士の観点では法的にあまり意味を持っておらず、法的に優位な事実を抽出したくても、それがどこにあるのか、弁護士には分からない」といった「ディスコミュニケーション」「隔絶」のようなものが、発生し得ます。

この二者が直接のコミュニケーションを取る限り、これは、なかなか完全な解決を行うことが難しい問題です。

そこで、

  1. 事務所内の弁護士とコミュニケーションを取り、どのような具体的事実が法的に有意なのかを把握し
  2. クライアント企業側のエンジニアとコミュニケーションを取り、そうした情報を取得して
  3. 技術的正確性と論理的正確性を満たす報告書などを作成する

といった業務を行う人材、コーディング経験のあるエンジニア人材が必要となります。

このように作成された報告書は、「システム開発関連の裁判に勝つために必要な証拠」という位置付けの、その意味での「納品物」となります

法律事務所の「コンサルタント」としての役割

また、裁判の前段階でも、クライアントは、複雑・重要な意思決定を迫られている場面があり、そうした場面でも、こうした分析は非常に重要となります。例えば、上記のような状況で、「裁判を起こす」という判断は、なかなか簡単に行えるものではありません。

  1. 上述のような経緯で納品されたシステムには問題があり、トラブルになっているが
  2. この「問題」の解決を別のベンダーに引き継がせることができるか何ともいえない状況であり
  3. 様々な論点を踏まえた上で、ベンダー企業との対峙方針を決定する必要がある

といった場面も、実際には多く存在します。

そうした場面では、結論を出すべき論点、つまり「ベンダーとの対峙方針」についての検討のため、様々な技術的・法的論点について検討を行う必要があります。

  • 弁護士のみで検討可能な純粋な法的論点
  • 弁護士と所内エンジニアの連携で検討すべき混合論点
  • 所内エンジニアのみで検討可能な純粋なIT関連論点

といった、大小様々な論点について検討した上で、それらを統合する形で、最終的に「ベンダーとの対峙方針」についての結論を、まとめる必要があります。

こうした業務は、全体として見ると、いわゆる「コンサルタント」に、非常に近いものといえます。大きな論点(この例では「ベンダーとの対峙方針」)についての結論を導くために、分解された細かな各論点についての検討を行い、それらを統合する。

課題解決とエンジニアの必要性

我々は「法律事務所」であり、法的な問題が含まれない課題の解決を依頼されることはありません。しかし、法律事務所が解決すべき課題は、上記の例でも明らかなように、「純粋な法律問題だけで構成される課題」ではありません。そして、特に当事務所の場合、「IT関連の論点を多分に含む課題」が多い、と言えるのです。

この記事では「システム開発」を例としましたが、それ以外にも

  • 事業会社がマルウェアに感染したことに起因する、セキュリティ関連企業との紛争
  • 機密データの盗難に起因する企業間の紛争
  • サイバー攻撃への防御と刑事事件化
  • ブロックチェーン関連のトラブルと追跡

など、「法的論点」「混合論点」「IT関連論点」が複雑に絡まり合う、大型の「課題」には、様々なバリエーションが存在します。

我々は法律事務所であり、「法律のスペシャリスト」である弁護士が所属する組織です。そして、我々が解決すべき課題が、「法律とITが混ざり合った課題」であるが故に、我々は、「法律のスペシャリスト」以外に、「ITのスペシャリスト」も必要としている。そうした方の力もなければ、我々は、複雑化し続けるIT関連の「課題」を解決に導く組織となることができないのです。

以上のような背景で、当事務所は、コーディング経験のあるエンジニア人材の求人を行っています。

当事務所の求人情報

モノリス法律事務所は、クライアントからのIT関連情報のヒアリング(営業の要素はありません)・外部提携企業等からのIT関連情報のヒアリング・所内弁護士やITコンサル部門メンバーとのコミュニケーション・報告書の作成といった業務を行うエンジニア経験者の求人を行っております。

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弁護士 河瀬 季

モノリス法律事務所 代表弁護士。元ITエンジニア。IT企業経営の経験を経て、東証プライム上場企業からシードステージのベンチャーまで、100社以上の顧問弁護士、監査役等を務め、IT・ベンチャー・インターネット・YouTube法務などを中心に手がける。

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