インタビュー

知識ゼロからDXに挑戦 インターン発「業務自動化プロジェクト」がスタート

インタビュー

知識ゼロからDXに挑戦 インターン発「業務自動化プロジェクト」がスタート

2024年7月、モノリス法律事務所ではインターン生による「業務自動化プロジェクト」のチームが組成されました。チームでは、所内の業務効率を向上させるために先進的なAI技術を用いて自動化を進めています。この取り組みによって、日常的な作業をよりスムーズに行えるようにし、業務全体の生産性を高めることを目指しています。

このチームは、9月からアメリカのロースクールに進学したイスマエル沙羅を筆頭にインターン生計6名で組成されています。今回は、このプロジェクトチームのメンバーと、チーム組成のきっかけとなった弁護士の竜田、サポートをしているITエンジニアの丹羽で座談会を行いました。

きっかけは「ナレッジデータベースを作りたい」

――このチームはどのようなきっかけで始まったのでしょうか?

竜田:私が社内でナレッジデータベースを何とかして作ろうと試行錯誤し始めたのが始まりです。これを所内で使用しているツールにも活用できるのではと思っていたところ、偶然、インターン生のイスマエルさんと話す機会がありました。

その時に、イスマエルさんがかなり前向きな姿勢で挑戦してくれると言ってくれて、およそ1週間ほどでお願いしたことができていました。そして気がついたら、イスマエルさんが所内のさまざまなタスクを自動化させていました。ただ、この時点ではまだチームは組成されていませんでした。

イスマエル:インターン生には出勤時に振られる日常的なタスクがあるのですが、自分がそのタスクを振られたときに「これを自動化できれば時間がセーブできるんじゃないか」と思ったのが、さまざまなタスクを自動化しようと思ったきっかけです。

知識も経験もゼロ。やる気と好奇心のあるインターン生が集まった

――この作業をやるのには向き不向きがある印象ですが、AIを使うことで、前提となるプログラミングなどの知識はそこまで求められていない気がしますが、この点はいかがでしょうか。

イスマエル:前提知識は全く必要ないです。私はプログラミングに関する知識はなく、コードに触れたこともなくて、本当にゼロから始めました。

この作業に向いているのは、好奇心が強くてあきらめない人だと思います。プログラム実行エラーが出たとき、どこでエラーが発生しているのかを突き止め、エラー部分を修正するといった細かい作業が必要で、ひたすらトライ&エラーの繰り返しですから。

――他のメンバーはどのように集まっていったのでしょうか。

イスマエル:気が付いたら、集まっていましたね(笑)。私がやっていることが、須貝さんや今泉さんなど、他のインターン生から「面白そう」と見えたみたいで、気が付いたら人が集まってチームになっていました。

人数が増えたことで、次第に各々が役割をもってプロジェクトを推進していくようにもなりました。所内のニーズを探るためにコミュニケーションをとってタスクの進捗管理をする人、AIを使用することに関してリサーチを行う人、というように。

須貝:僕はイスマエルさんからAIについてのリサーチをお願いされたことがきっかけです。もともとパソコンは苦手ですし、初めはプログラミングはほとんどやっていませんでした。ただ、イスマエルさんがAIを用いながらコードを書いているのを見ていて、やってみたくなって挑戦してみたら意外と簡単にできて、すごく面白い!と思って、コードを書くようになりました。

今泉:私はその須貝さんがコードを書いているのを見て面白そうだなぁと思ったことがきっかけです。初めは知識がない中で、AIに訊きながら意味もよく分からずコードを書いていくわけですが、やっているうちにコードの意味が次第に分かってくるのが面白いと思います。

――ITエンジニアの丹羽さんにお伺いします。プログラミング未経験のインターン生を見て、エンジニアの目線で感銘をうけたことなどはありましたか?

丹羽:専門知識を持たないインターン生が、高いリサーチ能力とAIを上手に活用して、想像以上のスピードでプロジェクトが遂行されていることには正直驚かされました。特に、依頼内容を具体的にコードに落とし込むという部分について、AIを最大限に活用できている印象です。

もちろん、専門知識がないことで発生する問題もいくつかはありますが、そこは私がフォローしています。インターン生の持つ推進力と私の専門知識をかけ合わせることで、このプロジェクト自体がうまく機能しているのではないか、と考えています。

プロンプトエンジニアリングで言語化とコミュニケーション能力も磨く

――このプロジェクトで苦労していることなどはありますか?

吉岡:所内で自動化の依頼があったときに、まずは自分で何が求められているのかを理解し、それを文章化してからAIに理解させます。そこからさらに、他のメンバーにやってほしい作業を伝えることをしないといけないのが大変です。初めの段階で自分が作りたいものの理解をしていないと、AIから間違った情報がくることもあるので、その情報の精査をするのも結構大変だなとは思います。

須貝:AIにプロンプトで指示を出すときに自分のやりたいことがうまくAIに伝わっていないときがあるので、まずは自分のイメージを頑張って言語化し、それをAIにもわかるように簡潔かつ詳細に指示を出さないといけません。この作業は難しいけれども楽しくもありますね。

モレ:AIに指示を出すときに、どこまで情報を細かくしなければならないのかを考えるのは大変ですが、その分しっかりと伝わったときのうれしさは大きいですよね。

今泉:Cluadeのように、AIとのやりとりに上限があるツールを使う場合だと、限られた回数でシンプルに分かりやすくプロンプトを書かなくてはならないというプレッシャーはあるかもしれないです。

竜田:この「プロンプトエンジニアリング」と呼ばれる、AIに自分の実現させたいコードを出力させるための「命令文」を適切に書くことが、今やってることの肝の技術ではあります。この能力は、プログラムに限らず、法律文書を書く際や人に指示を出す場合においても「どういう表現が1番伝わるのか」の感覚を身に付けるのに役立つと思っています。

AIと一緒に楽しく業務を効率化

――それでは、苦労とは逆に、やりがいを感じるのはどんなときですか?

イスマエル:プロジェクトが遂行できたときです。このときの達成感がすごく好きで、プログラミングやAIについて何も知らなかった自分でもできるんだっていうのがすごくうれしいです。

竜田:こういう自動化をすることでAIと一緒に笑顔になっていくみたいな感じですね(笑)。

イスマエル:そうですね。最近AIを怖がる人が多いのですが、その必要はないと思っています。AIと共に作業の効率化をしたり、活用したりしていくことで未来は広がっていきます。AIの精度を良くする仕事もありますし、AIを作っていく側の人間になれたら最強なんじゃないかって思います。

初めはAIが提案してくるものの内容を理解できないこともあり、その通りに実行していたことが多かったのですが、今はそれを分析してから違うやり方を自分がAIに対して提案したりしています。逆にそれがスムーズに行かないときもありますが、人間の方が自動化する業務の内容について知識はありますし、自分の考えを曲げないでAIに立ち向かっています(笑)。

竜田:結局、楽しくできるかというのが一番中心にあるのだと思います。これまでは手作業で大変だった仕事が自動化されたことがうれしいという一面と、AIを使った自動化をすることで未来感を出すという二つの面を楽しいと思いながらやっているのを見て、私も代わりにやりたいなと思ったりします。

所内のツール群を円滑につないでさらなる効率化を

――今後について、どのようなプロジェクトを計画しているのでしょうか?

吉岡:これまで、複数の異なるツールをまたぐタスクについてコードを用いて連携・自動化することで、インターン生が毎日やっていたルーティンタスクの自動化を行ってきました。これからは、GraphRAGなどを用いて、所内で作成する書類の型の自動作成や、所内ツール内のデータを自然言語を使ってさらに検索しやすくするということを二つの大きな軸として、より壮大で革新的なプロジェクトを進めていこうと考えています。このプロジェクト進行中にも、AIに関する技術はますます発展が見込まれるので、置いていかれないように全員でスピード感をもって取り組んでいきたいです。

寺町:私は新たに事務所に導入するツールのリサーチや比較検討を行っています。やりたいことを実現できるツールがいくつもある中で、細かな技術の特性の違いを調べて、僕たちが作りたいものにどの技術を使うべきかを検討しています。

例えば、弁護士の稼働状況をより正確に把握し、効率的な運営を行いたいというニーズがあって、このために必要な情報を得るための計測ツールの導入を検討しています。さらには、事務員のタスクを管理するツールの導入も検討しています。これらは運営をより効率化させますし、事務所のためにもなるので、プロジェクトとして成功させたいです。

イスマエル:インターン生はどうしてもメンバーの入れ替わりがありますが、これからも多くのプロジェクトを成功させていくためにも、自動化チームは新しいメンバーにも引き継がれ、ずっと続いていけばいいなと思います。

当事務所の求人情報

モノリス法律事務所は、学部生からロースクール生、司法試験受験後の方まで、広くインターンを募集しております。長期インターンシップも可能であり、有給です。ご興味ある方はお気軽にお問い合わせください。

弁護士 河瀬 季

モノリス法律事務所 代表弁護士。元ITエンジニア。IT企業経営の経験を経て、東証プライム上場企業からシードステージのベンチャーまで、100社以上の顧問弁護士、監査役等を務め、IT・ベンチャー・インターネット・YouTube法務などを中心に手がける。

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