インタビュー

VTuberへの誹謗中傷に対する当事務所の対応事例

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VTuberへの誹謗中傷に対する当事務所の対応事例

モノリス法律事務所では、VTuber法務を積極的に取り扱っていることもあり、VTuberの所属事務所やVTuber個人の方々から、多数のお問い合わせをいただいております。その中でも最近は、インターネット掲示板やSNS上で行われている誹謗中傷について、投稿者の特定を行ったり、投稿の削除を求めたいというご相談事例が増えてきております。

今回は、VTuberに対する誹謗中傷対応の現状や、当事務所で実際に取り扱っている事例をご紹介したいと思います。

 VTuberへの誹謗中傷への対応の現状

VTuberの方々が誹謗中傷の投稿に対して法的措置を行うことは、これまではあまり積極的に行われていませんでした。

以前は、誹謗中傷を行う人々を特定するためには裁判手続が必要であり、そのために高額な費用と長い時間をかけなければならないことから、被害者の方々の負担がきわめて大きいとされていました。加えて、そもそもVTuberに対する権利侵害が裁判所で認められるのかそのものが議論となっており、請求が認められるかわからない状況では二の足を踏まざるを得なかった、という事情もあります。

しかし、2022年10月、SNS等で誹謗中傷をした人を特定するための新しい制度である「発信者情報開示命令」が始まりました。

この制度が始まって以降も、技術的な問題などで投稿者の特定ができない事案は存在しますが、以前までと比べれば投稿者を特定するための方法は増え、投稿がされて数か月~半年程度で発信者を特定できるような事案が現れてきています。

また、ここ2年ほどでVTuberの開示請求を認める裁判例が複数出たこともあり、VTuberの方々が行う開示請求は、以前より裁判所に説明がしやすくなった、ということも追い風になっています。

新制度はまだ始まったばかりであり、運用もあまり固まっていないところがありますが、モノリス法律事務所では、VTuberの方々への誹謗中傷についてもこの新制度を利用して、誹謗中傷へ対抗していくことに取り組んでいます。

当事務所で取り扱っている事例について

モノリス法律事務所では、VTuberの方々からご依頼をいただき、インターネット掲示板などでの誹謗中傷に対して発信者情報開示請求を行っている事例がいくつか存在いたします。

先日、当事務所で申し立てた発信者情報開示命令でも、VTuberに対する誹謗中傷が常態化してしまっているいわゆる「アンチ掲示板」での誹謗中傷に関して、投稿内容がVTuber個人への名誉感情侵害(侮辱)にあたるとして、投稿者の開示が認められた事例があります。

当該掲示板では一部のVTuberの話題が継続的に出されており、誹謗中傷の温床となっていましたが、様々な理由によって開示請求を行うことが難しいという事情があり、過去に開示請求が行われたような事案も当事務所で調べる限りでは見当たりませんでした。

しかしながら、いくつかの方法を駆使することで、結果的には複数の投稿について投稿者にたどり着き、開示請求が認められました。

以前からVTuberの案件について積極的に取り組んでいる当事務所だからこそ、VTuberという存在が法的にはどのように考えられるべきなのかを適切に主張できたことも、速やかな特定に至った一因となっていると思われます。

おわりに

VTuberという分野はここ数年で急激に広がったため、弁護士が関与するべきであるのに関与できていないという状況は、開示請求にとどまらず多くの場面で生じているものと思われます。

VTuberを取り巻く法的な状況は日々変わっていきます。VTuberに関するご相談は、ぜひモノリス法律事務所にお任せください。

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弁護士 河瀬 季

モノリス法律事務所 代表弁護士。元ITエンジニア。IT企業経営の経験を経て、東証プライム上場企業からシードステージのベンチャーまで、100社以上の顧問弁護士、監査役等を務め、IT・ベンチャー・インターネット・YouTube法務などを中心に手がける。

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