
国際法務・モンゴル国
モノリス法律事務所は、日本企業によるモンゴル共和国でのビジネス展開に際し、法務面からの実践的な支援を行っております。
モンゴル市場は、鉱業・インフラ開発・エネルギー・建設・ITサービスなど、多岐にわたる分野において注目を集めていますが、
その法制度や商習慣は日本と大きく異なるため、進出にあたっては的確な法的リスクの把握と現地法務への対応が不可欠です。
モンゴルは、議会制民主主義体制を採用する国であり、1992年に新憲法を制定して以降、市場経済体制への移行を進めてきました。立法府である国家大会議(State Great Khural)を通じて制定される法律により、外国投資や企業活動が広く規律されています。
会社法や外国投資法をはじめとする主要なビジネス関連法令は整備されているものの、法改正の頻度が高く、運用においては政治的・行政的な裁量が影響する場面も少なくありません。また、裁判制度や契約執行力に関しても先進国とは異なる事情があるため、進出前からの綿密な調査と戦略的対応が求められます。
モノリス法律事務所は、海外展開を志向する日本企業のビジネスを多面的に支援していますが、特にモンゴル法務に関して多数の実績を有しております。
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モンゴル法務に対応するチームと国際的なネットワーク

特にITなど先端分野に関わる国際法務には、専門性の高いチームによるサポートが必要不可欠です。モノリス法律事務所は、ITに強い弁護士や海外弁護士資格を有する外国語話者、現役エンジニアを含むITコンサルタント等による組織を組成し、また、モンゴルの各専門家を含む国際的なネットワークを活用して、知見の共有や蓄積を行う体制を整備しています。
モンゴル法務の対応実績
会社設立支援
モンゴルでの店舗やフランチャイズビジネス展開のため、現地法人(外国投資企業)設立を支援しています。外国投資企業の最低出資金は10万USドルと規定されており 、法人登録局での社名登録から外国投資貿易庁での証明書発行、税務署での納税登録まで、多岐にわたる手続きを、現地法律事務所と連携してスムーズに進行することが可能です。
契約締結支援
日本企業がモンゴル国内の大手企業と商品を販売する契約を締結する際、当事務所はモンゴルの投資法や民法に基づき、契約書の作成、レビュー、交渉を包括的にサポートしています。外国投資家は土地の所有権ではなく利用権のみが付与されるなど、モンゴル特有の法的制約を考慮し、貴社のビジネスモデルに合致した最適な契約条件を構築します。
M&Aと法務DD
日本企業がモンゴル国内企業をM&Aする際、法務デューデリジェンス等の一連の業務に対応可能です。モンゴルの会社法、投資法などの関連法令に基づき、対象企業の法的リスクを詳細に評価。特に、外国投資規制(特定分野での許可要件など)や土地利用権の制約を深く掘り下げ、潜在的な問題点を洗い出します。貴社が安心して投資判断を行えるよう、法的な分析とアドバイスを提供します。
労務問題対応
モンゴル国内企業で発生する労務問題に対し、法的観点から対応をサポートします。外国人の就労には複数の機関からの許可が必要となるなど、モンゴルの労働法規は複雑で、日本法と異なるレギュレーションの下にあります。当事務所は、労働契約、就労許可、紛争解決など、多岐にわたる労務課題に対応し、貴社の事業運営における法的安定性を確保します。
モンゴルにおけるビジネス法務
投資法と外国投資規制
モンゴルの投資環境は、2013年11月1日に施行された「投資法」によって大きく規定されています。この法律の目的は、モンゴル国へ投資する投資家の法的権利・利益を保護し、投資に対する一般的な法的保証を与え、投資を支援し、税務環境を安定させることにあります。
「投資法」の重要な特徴は、国内外の投資家を同等に扱う方針が図られた点です。これにより、従来の外国投資家向けの特別な優遇措置はなくなりました。一方で、過去に多数の外国企業が実態を伴わない会社設立を行った経緯から、外国投資企業の最低出資金が10万USドルに引き上げられています。
特定の分野においては、外国政府が発行済株式の33%以上を所有する法人による投資には許可が必要です。これには鉱業、銀行・金融業、マスコミ・通信業が含まれます。また、5000億トゥグルグ以上の大規模投資を行う法人に対しては、政府と投資契約を締結することで、税率・規模を一定期間安定させる保証を得られる「保持証書」が発行される制度も存在します。会社設立と法人形態
モンゴルにおいて外国企業がビジネス業務を行う事業拠点としては、投資法により「外国投資企業(現地法人)」あるいは「駐在員事務所」のいずれかの形態をとることが規定されています。駐在員事務所は外国法人の代理事務所であり、モンゴルで営業業務を実施する権利がないため、例えば製造工場を設立する場合には現地法人を設立する必要があります。外国投資企業は、モンゴルで設立・登記された企業で、その株式の少なくとも25%を外国人投資家が保有し、外国投資家の最低株式払込額は1人あたり10万USドルと規定されています。
会社設立手続きは多岐にわたり、法人登録局での社名登録、外国投資貿易庁(FIFTA)での外資系会社の証明書発行、法人登録局での法人登録証明書発行、会社印鑑の発行、所轄税務署での納税法人登録、FIFTAでの投資者カードの発行など、複数の機関とのやり取りが必要です。提出書類も、申請書、取引銀行からの証明書、個人の身分証明書の写し、会社名称の許可、投資者契約書、定款、事業計画など、広範にわたります。会社運営とガバナンス
モンゴルの会社法の特徴として、定款自治が大幅に認められている点が挙げられます。また、日本の「代表取締役」に相当する明確な規定はなく、執行役が会社を代表するとされています。
株主総会は毎年開催される必要があり、取締役会の決議に基づいて代表取締役が招集します。上場会社においては、独立取締役が過半数を占めることが義務付けられています。取締役会は取締役の中から取締役会会長を選任・解任する権限を持ち、その報酬を決定します。また、従業員規模や株式保有状況に応じて、従業員代表の取締役への登用が義務付けられる場合もあります。企業は、会社状況、業績予想、R&D、重要事項などを含む経営報告書や、コーポレートガバナンス報告書を作成する必要があります。これらの規定は、モンゴルが国際的な企業統治の原則を取り入れつつあることによるものですが、外国投資家にとっては、モンゴル会社法の詳細な理解と現地の実務に合わせたガバナンス体制の構築が求められます。民法と不動産関連法務
モンゴルの民法において特徴的なのは、不動産に関する規定でしょう。モンゴルの全ての土地は国家のものと憲法が規定した上で、国家は土地を私的所有のためにモンゴル国民に配分できることが認められていますが、外国投資家や外国投資企業に与えられるのは利用権のみであり、所有権は認められていません。さらに、モンゴル国民は自ら所有する土地の区画を外国市民に譲渡することは禁止されています。この土地所有権の制限は、モンゴルで事業を行う外国企業にとって重要な制約であり、不動産戦略を策定する上で不可欠な考慮事項となります。
紛争解決と仲裁
モンゴルでは、民事訴訟法、裁判所判決執行法、調停法、仲裁法が制定されています。民事訴訟においては三審制が採用されており、第一審は区民事初級裁判所、第二審は民事控訴審裁判所、第三審は最高裁判所が管轄します。
調停制度については、JICAの法整備支援も受けながら「調停法」が制定されており、2024年現在、調停による国際的な和解合意に関する国際連合条約(シンガポール条約)に適合するよう、調停法の改正作業が進められています。
国際仲裁に関しては、モンゴルは1994年10月24日に外国仲裁判断の承認と執行に関するニューヨーク条約を批准しており、これにより外国仲裁判断のモンゴル国内での執行が法的に保障されています。モンゴル商工会議所には国際仲裁センター(MNCCI)も設置されており、投資家は政府機関と締結した契約から生じる紛争を、双方の協議により国内外の仲裁人を任命して解決する権利を有しています。
モンゴルにおける外国投資規制の概要
項目 | 内容 | 備考 |
---|---|---|
管轄法 | 投資法(2013年11月1日施行) | 2002年外国投資法を破棄し、国内外投資家の公平化を図る |
最低出資金 | 外国投資企業につき10万USドル以上 | 過去の規制緩和による乱立を是正 |
規制業種 | 外国政府所有法人(株式33%以上保有)の場合に許可が必要な分野:鉱業、銀行・金融業、マスコミ・通信 | |
法人形態 | 現地法人(外国投資企業)または駐在員事務所のみ | 支店は営業業務不可(建設業の一部例外あり) |
土地所有権 | 外国投資家・外国投資企業は利用権のみ | 土地は国家所有で、国民による外国市民への譲渡は禁止 |
税務安定化 | 投資法(2013年11月1日施行) | 大規模投資(5000億MNT以上)は保持証書・投資契約により税率・規模を安定化可能 |
紛争解決 | 国内外の仲裁人による仲裁が可能 | モンゴルはニューヨーク条約批准済み |
モンゴル法務のトータルサポート
海外事業の展開は、特に現地の言語をまだ話せない、又は読めないビジネスマンや起業家にとって、必ずしも簡単ではありません。国際的なネットワークを保有する日本の法律事務所によるサポートは、進出前の検討・進出時に必要な会社設立等やビザ・労働法間系の問題の処理、進出時の契約等まで、全ての場面において、非常に有益です。書面や契約書等を現地言語で、現地法に準拠して作成する必要があるため、日本の法律事務所がハブとなって、現地の事務所等と連携しながら行うサポートが、非常に重要となります。

モンゴルにおける会社設立やその運用は、モンゴル法のレギュレーションに服し、
モンゴルでのビジネス展開はモンゴルの民法・会社法や行政法規等に、
その雇用関係はモンゴルの労働法に服します。
これらには、日本におけるレギュレーションと異なる規律が多数存在します。
モンゴル国の法制度の詳細
モンゴル国の法制度は、1992年の民主化以降、議会制民主主義に基づいた法体系へと移行しました。憲法を頂点とする法体系が整備され、民法、商法、刑法など、様々な分野で法律が制定・施行されています。
法整備の過程で、英米法(コモンロー)と大陸法(シビルロー)の考え方が混在した法体系を採用しており、法執行機関の能力や腐敗の問題などが課題として指摘されているという側面もあります。
海外事業をサポートするソリューション
当事務所は、リーガルリサーチや契約書作成、契約締結交渉などの一般的な弁護士業務に加えて、
国内企業の海外進出をサポートするための様々なソリューションを提供しております。

法務デューデリジェンス(DD)への対応
企業買収などの場面において、対象会社の設立・会社組織・株式、株主・関係会社・M&A、不動産・動産その他の資産、知的財産権、ファイナンス、契約、訴訟・紛争、コンプライアンスといった各分野について、特に重大な法的問題の有無を確認する法務調査である、いわゆる法務デューデリジェンス(DD)は、法律事務所側に組織力の求められる業務です。当事務所は、弁護士22名の所属する組織であり、モンゴル国内企業を対象とした法務DDや、DDレポートの作成を迅速に行う体制を整備しています。
※DDレポート作成を行う場合、概ね弁護士の稼働時間が30時間(弁護士費用100万円強)以上となります。
法務デューデリジェンス(DD)の実施例
法務デューデリジェンスにおいては、企業や事業運営の前提条件となる事項や、企業活動に重要な影響を及ぼす事項を、そのスコープとすることが基本となります。
具体的には、まず、会社機関やガバナンスの観点から当該企業や事業が存続し得るか、当該事業を推進するために必要な法令・許認可は何であり、その許認可は維持が可能か、といった点です。また、事業活動において重要な資産や負債の状況はどのようなものか、重要な各種契約(労務や関連当事者間取引等を含む)に欠缺はないか、有利な条件での継続が可能か、現段階では顕在化していないリスクが発生した場合の影響はどの程度か、といった点も問題となります。
これらを基本としながら、例えば下記のように、企業や事業の性質に応じたポイントを加えてスコープを決定し、法務デューデリジェンスを実施することとなります。
金融IT企業
資金決済法や金融商品取引法など、金融関連法規の遵守状況を詳細に調査。決済システムや送金サービスにおけるライセンスの有無、AML/CFT(マネーロンダリング・テロ資金供与対策)体制の有効性を確認し、法的リスクを評価
AI開発企業
AIモデルの学習データに関する著作権や利用許諾の適法性を精査。AI生成物の権利帰属、倫理ガイドラインへの準拠状況を確認。また、AI技術の輸出管理規制への対応や、将来的な法改正リスクについても評価を実施。
Eコマース
オンライン販売に関する法規制の遵守状況を精査。サイト上の表示、返品ポリシー、個人情報保護方針が法令に準拠しているか、またプラットフォーム規約との整合性も確認。
飲食業
食品安全法(及び関連する公衆衛生法規)、消費者保護法など関連法規の遵守状況を調査。フランチャイズ契約の法的有効性、店舗運営におけるモンゴル労働法遵守を確認。オンラインデリバリープラットフォーム利用時の契約条件やデータ連携の法的側面も評価。
小売業
消費者権利保護法の遵守状況を精査。サプライヤーとの契約、返品ポリシーの適法性を確認。ECサイト運営における個人情報保護法に基づく個人情報保護体制や、オンライン広告規制への対応状況も評価。
モノリス法律事務所は、クロスボーダー化・グローバル化の進むIT領域において、日本をリードする法律事務所を目指し、国内企業や事業体によるモンゴル事業のサポートを、その重要な使命の一つと位置付けています。