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法律記事MONOLITH LAW MAGAZINE

国際法務・マルタ共和国

モノリス法律事務所は、日本企業によるマルタ共和国でのビジネス展開に際し、法務面から実践的な支援を行っております。
マルタは近年、フィンテック(ブロックチェーン・仮想通貨)やオンラインゲーム産業、金融サービス、観光など多岐にわたる分野で注目を集めています。
その一方で、同国の法制度や商習慣は日本と大きく異なるため、進出にあたっては的確な法的リスクの把握と現地法務への対応が不可欠です。

モノリス法律事務所は、日本企業・日本の個人によるマルタ共和国でのビジネス展開および不動産取得に際し、法務面から実践的な支援を行っております。
マルタに関するご相談は、大きく2つに分かれます。一つは、会社設立、契約、M&A、データ保護といったビジネス関連の法務です。マルタは近年、フィンテック(ブロックチェーン・暗号資産)やオンラインゲーム産業、金融サービス、観光など多岐にわたる分野で注目を集めており、EU加盟国として欧州市場への拠点となり得ることから、進出先として検討されることが増えています。
もう一つが、不動産購入に関する法務です。マルタの不動産は、投資対象として、また永住権・市民権取得の手段として、日本からも関心を集めています。しかし、マルタの不動産法制度には、外国人による取得に原則として政府の事前許可を要すること、完全所有権と永代借地権という2つの権利形態が並存すること、取引の中心を公証人が担うことなど、日本の不動産取引とは根本的に異なる仕組みが存在します。
本ページでは、この2つについて、それぞれご説明します。

マルタ法務に対応するチームと国際的なネットワーク

モノリス法律事務所弁護士

特にITなど先端分野に関わる国際法務には、専門性の高いチームによるサポートが必要不可欠です。モノリス法律事務所は、ITに強い弁護士や海外の弁護士資格を有するバイリンガル人材、現役エンジニアを含むITコンサルタント等による組織を構成し、また、マルタの各専門家を含む国際的なネットワークを活用して、知見の共有や蓄積を行う体制を整備しています。

当事務所のマルタ法務サポート

  • 会社設立支援

    マルタにおける最適な法人形態の選定、会社設立手続き、各種許認可の取得、現地法人登記など、設立フェーズにおけるあらゆる法務をサポートします。外国企業が現地で事業を行う場合、特定の法人形態の設立が求められることがあります。当事務所は、マルタの法制度に精通し、企業がスムーズに事業を開始できるよう支援します。

  • 契約締結支援

    国際商取引契約、合弁契約、ライセンス契約、秘密保持契約など、マルタ法および国際法に基づいた各種契約書の作成、レビュー、交渉を支援し、法的リスクを最小限に抑えます。また、事業運営における日常的な法務相談、法令改正の監視と対応、コンプライアンス体制の維持・強化など、進出後の継続的な法的サポートも提供いたします。

  • M&Aと法務DD

    マルタ企業とのM&Aや合弁事業の検討段階から、法務デューデリジェンス(DD)、契約交渉、クロージングまで、一連のプロセスを全面的にサポートします。当事務所は、海外資本による日本のITベンチャーへの投資や、日本企業による海外企業等の買収等に関して、全面的な法務サポートを提供した実績を有しています。

  • 不動産購入支援

    物件の権利形態の確認から、予約合意(Promise of Sale)の条項の検討、停止条件の設計、公証人および売主との交渉、最終契約(Final Deed)の内容確認までをサポートします。マルタの不動産取引では公証人が中心的な役割を担いますが、公証人は中立の立場であり、買主の代理人ではありません。買主の利益を代弁する立場からの検討は、別に必要となります。

マルタにおける不動産購入の法的枠組み

マルタの不動産購入を理解するうえで最初に押さえるべきは、外国人による取得が原則として規制されているという点です。日本では、外国人であっても不動産取引は基本的に自由であり、購入後の事後報告が求められるにとどまります。これに対しマルタでは、購入という行為そのものについて、原則として事前に政府の許可が必要となります。

  1. 不動産取得許可(AIP)

    マルタの不動産取得法(Immovable Property (Acquisition by Non-Residents) Act, Chapter 246)は、非EU・EEA圏の国民がマルタ国内の不動産を取得する際に、原則として政府からAIP許可を得ることを義務付けています。一部のEU市民についても、マルタでの居住歴が5年未満でセカンドハウスを取得する場合などには、許可が必要となります。限られた国土と住宅資源を持つマルタにおいて、海外からの投機的な購入を抑制し、国内の住宅市場の安定を確保しようという意図によるものです。
    AIP許可にはいくつかの重要な制限があります。取得できる物件は原則としてマルタ国内で1件に限られ、主に自己居住用として利用することが前提とされ、賃貸目的での利用は認められていません。不動産投資を検討する場合には、この制限が決定的な意味を持ちます。また、取得する物件には最低価額が設定されており、物件の種別によって異なる金額が定められています(金額は改定されるため、最新の情報の確認が必要です)。申請には、売主との間で締結した予約合意の写しなどが必要となり、審査には一定の期間を要します。

  2. 特別指定区域(SDA)

    AIP許可制度の厳格な制限に対する例外として、マルタ政府が指定する特別指定区域(Special Designated Areas)があります。この区域内の物件については、国籍やマルタでの居住歴にかかわらずAIP許可なく購入でき、保有できる物件数の制限もなく、賃貸に出すことも認められます。
    SDAは、マリーナやスパ、商業施設などを併設した複合的な開発区域として整備されています。賃貸事業や複数物件の保有を前提とした投資を検討する場合には、SDA物件であるかどうかが、スキームの実行可能性を左右します。

  3. 2つの制度の関係

    AIP許可制度とSDA制度を組み合わせたマルタの不動産法制度は、自己居住を目的とする個人には厳格な規制を課す一方で、大規模な開発や賃貸事業を目的とする投資家にはSDAという特別な枠組みを提供するものです。限られた国土における住宅市場の安定と、海外からの投資の受け入れを両立させようとする政策の表れといえます。購入を検討する段階で、その物件がSDA内にあるか否か、AIP許可が必要か否かを確認することが、最初の分岐点となります。

不動産購入の実務的フローと費用

マルタの不動産購入は、二段階の契約を数か月かけて進める手続です。日本の不動産取引とは、関与する専門家の役割も、費用の構造も異なります。取引の中心を担うのは公証人(Notary)であり、物件の所有権の確認、担保権の有無、必要な建築許可の取得状況などについて、公設登記所において過去50年以上の権利移転履歴を遡って調査(searches)するのが、マルタの商慣習です。

ただし、公証人は中立の立場であり、買主の代理人ではありません。この点については、後述します。

段階手続の内容この段階で生じる費用・論点
物件の選定物件がSDA内にあるか否か、AIP許可が必要か否かを確認する。分譲物件の場合は管理規約を精査する。管理規約は、建物個別の規定、駐車場エリアの規定、開発区域全体の規定といった多層構造になっていることが一般的。将来の増改築の制限や管理費の改定ルールを確認する必要がある。
予約合意
(Promise of Sale / Konvenju)
公証人の立ち会いのもとで締結する。単なる仮契約ではなく、署名した時点で強い法的拘束力が生じる。有効期間は3か月から6か月に設定されるのが一般的。物件価格の一定割合を手付金として預託し、印紙税の一部を暫定的に納付する。正当な法的理由なく最終契約を拒否した場合、手付金は売主に没収される。どのような場合に撤回できるかを定める停止条件の設計が、最大の論点となる。
権原調査
(中間期間)
公証人が公設登記所において権原調査を行う。買主側では、日本で発行された公文書についてアポスティーユ認証を取得する。書類には有効期限が定められている点に注意を要する。また、マネーロンダリング対策の観点から、資金の源泉(Source of Funds)や富の構築経緯(Source of Wealth)に関する証明書類が求められる。日本の銀行は海外送金に慎重な姿勢をとることが多いため、送金元銀行との事前の調整が必要。
最終契約
(Final Deed of Sale)
すべての条件が満たされた段階で署名する。署名により所有権が移転し、公証人が所定の期間内に契約内容を登記所へ登録することで、第三者に対する対抗力が生じる。残代金、残りの印紙税、公証人費用を決済する。契約書に「現状有姿(Tale Quale)」の文言がある場合、引渡し後の不具合について売主が免責される可能性があるため、署名前に建築士を同行させて物件の状態を確認することが推奨される。

費用については、主なものは印紙税と公証人費用ですが、それ以外の費用が後から判明することがあります。物件によっては、土地の利用権に対する年間費用である地代(Ground Rent)が設定されている場合があります。また、分譲物件では管理費(Service Charges)が発生し、取得後に前払いで支払う必要が生じることがあります。銀行融資を利用する場合の手数料、建築士による報告書の費用、AIP許可の申請料も必要です。これらは物件ごとに有無も金額も異なるため、予約合意の締結前に、公証人を通じて確認しておくことが不可欠です。

完全所有権と永代借地権

マルタの不動産購入において、日本の「所有権」の概念をそのまま当てはめることは危険です。マルタには、完全な所有権である「Freehold」のほかに、「Emphyteusis(永代借地権)」という独特の権利形態が並存しているためです。

  1. 永代借地権(Emphyteusis)とは

    マルタ民法は、永代借地権を「契約当事者の一方が、永久にまたは一定期間、年間の地代の支払いを条件として、他方に不動産を付与する契約」と定義しています。単なる賃貸借ではなく、物件の改良や処分を含む広範な権限を伴う、物権に近い性質を持つ権利です。恒久的なものと一時的なものの2種類があります。

  2. 地代の買い取り(Redemption)

    恒久的な永代借地権を保持している場合、権利者は土地所有者の同意を得ることなく、一方的に完全所有権へ転換させる法的権利を有しています。一般に「地代の20倍」の金額を一括で支払うことにより、将来の地代支払義務が免除されます。ただし、地代が定期的に改定される条項が付いている場合には、買い取りができる期間が制限されるなどの制約があるため、契約内容の確認が必要です。

  3. 「Freehold」と書かれていても安心できない理由

    ここが、マルタの不動産購入において最も見落とされやすい論点です。現在「Freehold」として取引されている物件であっても、その根源を辿ると、過去に永代借地権として設定されていたケースが少なくありません。買い取りの手続を経て表面上はFreeholdとなっていても、原契約に付随していた譲渡条件(Conditions of Grant)が物的負担(Real Burdens)として残存し、将来の増改築や用途の変更を制限している場合があります。
    つまり、マルタでのFreeholdは「いかなる制約もない権利」を意味するのではなく、「地代の支払義務が消滅した権利」として理解し、付随する条件の有無を個別に精査する必要があります。

  4. 権利喪失(Forfeiture)のリスク

    永代借地権において最も重大なリスクが、契約上の義務違反による権利の没収です。マルタ民法は、地代の支払いを一定期間以上怠った場合に、土地所有者が裁判を通じて永代借地権を解除し、物件を自身の所有に戻すことを請求できると定めています。高額で物件を取得していたとしても、地代の滞納を理由に権利を失う可能性があるということです。地代の買い取りが済んでいない物件を取得する場合には、過去の滞納の有無を厳格に調査する必要があります。

  5. 承認料(Laudemium)と通知義務

    永代借地権が付随する物件を第三者に譲渡する際には、土地所有者に対して承認料(Laudemium)を支払う必要があります。マルタ民法上、原則として地代の1年分に相当する金額とされ、これを超える請求は禁止されています。また、譲渡後一定期間内に譲渡証書の写しを土地所有者に通知する義務があり、これを怠ると過料が課される条項が契約に含まれていることが多いため、事務手続の遅延が金銭的な損失に直結します。

不動産購入において弁護士が果たす役割

マルタの不動産購入において、公証人は権原調査を含む中心的な役割を担います。このため、「公証人がついているのだから、別に弁護士を頼む必要はないのではないか」と考えられることがあります。
しかし、ここには重要な区別があります。公証人は、公務員として取引の公正性を保証する中立の立場であり、買主の代理人ではありません。公証人の職務は、権利関係が法的に有効であることを確認し、契約を適式に成立させることにあります。買主にとって契約条件が有利か不利か、どのような条件を付けておくべきかは、公証人の職務の外にあるのです。具体的には、次の4つの場面で、買主の立場に立った検討が必要になります。

  • 停止条件の設計

    予約合意の停止条件の設計

    予約合意は署名した時点で強い拘束力を持ち、正当な理由なく最終契約を拒否すれば手付金は没収されます。したがって、「どのような場合に撤回できるか」を契約でどこまで確保しておけるかが、買主のリスクを左右します。権原に瑕疵がないこと、訴訟が存在しないこと、建築許可が適法であること、AIP許可が取得できること、地代が償還されること。これらを停止条件として明記しておくかどうかで、結果はまったく変わります。銀行融資を利用する場合には、融資が得られなかったときに撤回できる条項を加えておくことも重要です。

  • 調査の限界を契約で補う

    調査の限界を契約で補う

    物件の権利の移転経緯を購入者側で独自に全て確認することは、現実的ではない場合があります。このような場合には、「売主が物件の全体について有効かつ処分可能な権原(good, valid and marketable title)を有し、完全な所有者として譲渡する権限を有すること」を停止条件として明記するという方法があります。調査しきれない部分を、売主の表明と停止条件によってカバーするという発想です。

  • 売買対象と条件の確認

    売買対象と条件の確認

    駐車スペースが売買の対象に含まれているか、家具付きで引き渡されるのか、内装工事や設備の提供を最終契約後に行う場合にその義務をどの契約で担保するのか。また、物件の譲渡条件によっては、物件内で事業・商取引・専門職業務を行うことが禁止されている場合があり、この場合、当該物件を会社の事務所として登記することはできません。法人による取得や、将来の事業利用を想定している場合には、決定的な制約となります。

  • 資金とスケジュールの整合

    資金とスケジュールの整合

    最終契約の署名日に送金手続を開始する必要がある場合、銀行の融資実行までに要する期間(審査、約定手続、海外送金の受付)と、契約上の署名期限が整合していなければなりません。また、海外送金は着金日を確約できないため、「送金手続を開始したことを確認できる書類」をどのように用意するかといった実務上の調整も生じます。署名期限の延長を売主側に交渉する場合、資金の手当てが確定していなければ相手方も判断できないため、交渉の順序そのものにも配慮が必要です。

当事務所は、現地の公証人および売主との交渉、契約条項の検討と修正、日本側の銀行および認証手続との調整を含めて、買主の立場から一貫してサポートいたします。

不動産購入時に確認すべき事項

実際の取引において問題となりやすい事項を、確認の順序に沿って整理します。いずれも、予約合意の締結前または停止条件の設計時に確認しておくべき事項です。

確認事項確認の内容見落とした場合のリスク
権利形態と、その根源完全所有権か永代借地権か。完全所有権である場合、地代の買い取りが完了しているか、その事実を確認できる書類が存在するか。そして、買い取り後も残存する条項があるか。地代の不払い等を理由に物件が譲渡人に復帰し得る旨の条項や、譲渡人のために法定の先取特権を留保する旨の条項が残存する可能性がある。買い取り後に適用されなくなることについて明確な確認が得られない場合は、取引を進めるべきか自体を慎重に検討すべき。
権原の連鎖当初の取得者が複数名である場合など、現在の売主が物件の全部について権利を有しているか。権利の一部のみを有する者から取得した場合、完全な所有権を得られない。独自に全過程を確認することが現実的でない場合は、売主の表明を停止条件とする方法がある。
用途の制限譲渡条件により、物件内での事業・商取引・専門職業務が禁止されていないか。禁止されている場合、会社の事務所としての登記はできない。法人による取得や将来の事業利用を想定している場合には、決定的な制約となる。
売買対象の範囲駐車スペースが含まれているか。家具付きか家具なしか。交渉時の了解と契約書の記載が食い違っていないか。過去の契約に駐車場の記載があったとしても、今回の対象に含まれるとは限らない。内装工事や設備の提供を最終契約後に行う場合、その義務をどの契約で担保するかが問題となる。
管理規約と管理費分譲物件の場合、管理規約の内容と管理費の水準。SDA物件の管理規約は多層構造になっていることが一般的。将来の増改築の制限や、管理費の改定ルールが詳細に定められているため、将来にわたる負担の見通しを誤る可能性がある。
建物の状態と建築許可建築許可が適法に取得されているか、建物が適切な状態にあるか。必要な是正措置が後から判明した場合、費用負担が生じる。売主の費用負担により最終契約前に実施させる旨を契約に定めておくことが考えられる。
費用の全体像印紙税、公証人費用、管理費、地代、建築士費用、AIP許可の申請料。想定外の費用が後から判明する。公証人費用は事前に概算を確認しておくことが合理的。
最終契約と予約合意の整合予約合意の段階と最終契約の段階とで、取引の構造が変更されていないか。構造が変更されている場合、新しい構造の全体像、金額と資金の流れ、税務上の取扱いを優先的に確認したうえで、既払金の充当関係、先行する契約の処理、地代の償還時期などを個別に確認する必要がある。
不動産購入とビザ・永住権・市民権

不動産購入とビザ・永住権・市民権

日本を含む海外の個人がマルタの不動産を取得する理由の一つに、不動産への投資を通じて永住権や市民権を取得できるプログラムの存在があります。永住権を取得するための「マルタ永住プログラム(MPRP)」と、市民権を取得するための制度があり、いずれも不動産の取得または賃借と関連しています。

これらのプログラムは、要件や運用が変更されることがあり、また、EUレベルでの議論の対象ともなってきました。検討にあたっては、最新の制度内容を確認することが不可欠です。

また、プログラムの要件を満たすことと、不動産取引それ自体が適切に行われることとは、別の問題です。プログラムの要件充足に意識が向くあまり、物件の権利関係や契約条件の検討が疎かになることは避けなければなりません。当事務所は、この双方について確認を行います。

マルタにおけるビジネス法務

マルタ共和国の法制度は、大陸法とコモンローの要素を併せ持つハイブリッドな特徴を有しています 。EU法の影響も強く受けており、特にビジネス関連法規は国際的な基準に準拠しています 。日本企業がマルタでビジネスを展開する上で理解すべき主要な法分野は以下の通りです。

  1. 会社法・投資法

    マルタにおける企業設立は、有限責任会社(Private Limited Liability Company)や公開有限会社(Public Limited Company)など、様々な法人形態が選択可能です。外国人が設立する場合、有限会社が推奨され、最低資本金は1164.69ユーロです。法人設立には、会社名の予約、会社規約の作成と登記、マルタ金融サービス局(MFSA)および税務局への登録が必須です。特定のビジネスライセンスが必要な場合もあります。外国投資家に対する規制は比較的緩和されていますが、特定の業種や投資形態においては許可や要件が存在する場合があります。

  2. 知的財産法

    マルタは、特許、商標、著作権などの知的財産権の保護をEUおよび国際条約に基づいて強化しています。登録制度や侵害時の法的救済手段も整備されており、日本企業が自社の技術やブランドを保護する上で重要な側面です。マルタの所得税法は、著作権から生じるロイヤルティ、前払金、および同様の支払いを税金から免除しており、特定の著作権所得に関する免税措置も存在します。

  3. 労働法

    マルタの労働法は、EUの労働基準に準拠しており、雇用契約、労働時間、賃金、解雇、団体交渉権などに関する詳細な規定があります。日本企業がマルタで従業員を雇用する際には、これらの労働法規を遵守することが求められます。外国人従業員を雇用する場合、長期滞在ビザ(Dビザ)と雇用免許証(Employment Licence)の取得が必要です。マルタは労働力不足を補うため、熟練した外国人労働者を誘致する迅速なスキームを導入しており、特定の資格と年収要件を満たす非EU市民に対して迅速なビザ手続きを提供しています。

  4. データ保護法

    マルタはEU加盟国であるため、EU一般データ保護規則(GDPR)が直接適用されます 。個人情報の収集、利用、保管、移転に関する厳格なルールがあり、違反した場合には高額な罰金が科される可能性があります。日本企業は、マルタでビジネスを行う際にGDPRへの完全な準拠が必須となります。モノリス法律事務所は、日本の個人情報保護法だけでなく、GDPRやカリフォルニア州消費者プライバシー法(CCPA)など海外法令にも対応しており、EU圏を含む国際的なビジネスにおけるデータ保護法関連業務に対応しています。

  5. 契約法

    マルタの契約法は、民法典に基づいており、契約の成立、有効性、履行、債務不履行、損害賠償などに関する原則が定められています 。国際取引においては、準拠法や紛争解決条項の選択が特に重要となります。近年、マルタでは全ての不動産賃貸契約をブロックチェーンに登録することを義務付ける法改正が行われるなど、先端技術を活用した契約管理の動きも見られます 。
    また、マルタでは、特定の産業(例:金融、オンラインゲーム、観光)に特化した詳細な規制が存在し、電子商取引法や消費者保護法など、デジタル経済の発展に伴う新たな法規も整備されているため、これらの遵守も重要です。

マルタ共和国のビジネス関連主要法規

法分野概要当事務所の支援領域
会社法・投資法EU法に準拠した法人設立(有限責任会社など)。特定の業種や投資形態で許可要件あり。外国投資家の権利保護と規制のバランスが図られている。最適な法人形態の選定、会社設立手続、各種許認可の取得、現地法人登記、M&A・合弁事業支援
知的財産法特許、商標、著作権などの保護はEUおよび国際条約に基づき強化。登録制度や侵害時の多様な法的救済手段が整備されている。知的財産権のマルタでの登録出願、権利侵害時の対応、ライセンス戦略の策定
労働法EUの労働基準に準拠。雇用契約、労働時間、賃金、解雇、団体交渉権などに関する詳細な規定。外国人雇用に関する政策の理解が重要である。雇用契約書の作成・レビュー、就業規則の整備、労働紛争対応
データ保護法EU加盟国であるためGDPRが直接適用。個人情報の収集、利用、保管、移転に関する厳格なルール。違反には高額な罰金 。データ移転の自由度や政府アクセス権限の透明性も考慮。GDPR準拠体制構築、プライバシーポリシーの作成・改定、データ移転に関するアドバイス
契約法民法典に基づく契約の成立、有効性、履行、債務不履行、損害賠償に関する原則。国際取引における準拠法や紛争解決条項の選択が特に重要。不動産賃貸契約のブロックチェーン登録義務化の動きも。各種契約書(国際商取引、ライセンス、秘密保持など)の作成・レビュー、交渉支援
電子商取引法デジタル経済の発展に伴い整備された法規。オンライン取引、消費者保護、通信サービスに関する規制。オンラインビジネスに関する法務相談、利用規約作成、広告規制対応
消費者保護法商品・サービスの価格表示、支払い関係、消費者欺瞞に対する規制。EU消費者保護指令の影響を受ける。消費者取引に関する法務相談、クレーム対応、広告規制対応
観光法マルタ観光局(MTA)が観光サービスの促進、規制、運営を管轄。宿泊施設、飲食施設、旅行代理店など特定のセクターに適用される規則が存在。観光関連事業の許認可取得、コンプライアンス体制構築、契約書作成
金融サービス規制マルタ金融サービス局(MFSA)が金融サービスを規制。マネーロンダリング防止(AML)対策、顧客認識(KYC)ポリシーなど厳格な要件。金融サービス関連事業の許認可取得、AML/CFT対策支援、コンプライアンス体制構築
仲裁法国際的な紛争解決メカニズムとして仲裁制度が整備。ニューヨーク条約に批准しており、外国仲裁判断の執行が容易。仲裁条項の策定、仲裁手続の代理、国際紛争解決支援

マルタの主要な紛争解決メカニズム

少なくとも一般的傾向として、マルタの裁判所は非効率である可能性があるという指摘がなされています。仲裁や調停、特にニューヨーク条約により国際的な執行可能性が担保されている仲裁は、マルタ企業とのクロスボーダー取引や、マルタ国内での取引の際、紛争発生時の解決手段として、現実的な選択肢となります。契約書に「仲裁条項」を明示的に含めることも、検討する価値があると言えるでしょう。

項目訴訟(Litigation)仲裁(Arbitration)調停(Mediation)
法的根拠組織・民事訴訟法 (Code of Organisation and Civil Procedure, Chapter 12)仲裁法 (Arbitration Act, Chapter 387)調停法 (Mediation Act, Chapter 474)
管轄機関民事裁判所、専門審判所などマルタ仲裁センター (Malta Arbitration Centre, MAC)マルタ仲裁センター (Malta Arbitration Centre, MAC)
必要期間長期化する可能性(非効率性が指摘されている)訴訟より迅速訴訟より迅速
機密性なし(公開審理)高い高い(調停中の内容はその後の訴訟で証拠不採用)
執行可能性マルタ国内で直接執行可能ニューヨーク条約により国際的に執行容易法的拘束力を持たせる手続が必要
専門性裁判官による法的判断専門分野の仲裁人を選択可能調停人は専門知識を持つが判断はしない

マルタ法務のトータルサポート

海外事業の展開は、特に現地の言語をまだ話せない、又は読めないビジネスマンや起業家にとって、必ずしも簡単ではありません。国際的なネットワークを保有する日本の法律事務所によるサポートは、進出前の検討・進出時に必要な会社設立等やビザ・労働法間系の問題の処理、進出時の契約等まで、全ての場面において、非常に有益です。書面や契約書等を現地言語で、現地法に準拠して作成する必要があるため、日本の法律事務所がハブとなって、現地の事務所等と連携しながら行うサポートが、非常に重要となります。

海外事業のトータルサポート

マルタにおける会社設立やその運用は、マルタ法のレギュレーションに服し、
マルタでのビジネス展開はマルタの民法・会社法や行政法規等に、
その雇用関係はマルタの労働法に服します。
これらには、日本におけるレギュレーションと異なる規律が多数存在します。

マルタ共和国の法制度の詳細

マルタ共和国の法制度は、英国法と大陸法の両方の影響を受けた混合的な制度であることが特徴です。英国の統治下で英国の法制度が導入され、その後、マルタの独立後も議会によって発展してきました。

近年は、先進的なオンラインゲーミング関連の法規律や、「ブロックチェーンアイランド」としての暗号資産関連法制など、IT関連の法制度にも特徴を有しています。

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日本企業がマルタ共和国の現地法人を買収するM&Aの法務・税務

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海外事業をサポートするソリューション

当事務所は、リーガルリサーチや契約書作成、契約締結交渉などの一般的な弁護士業務に加えて、
国内企業の海外進出をサポートするための様々なソリューションを提供しております。

法務デューデリジェンス(DD)への対応

法務デューデリジェンス(DD)への対応

企業買収などの場面において、対象会社の設立・会社組織・株式、株主・関係会社・M&A、不動産・動産その他の資産、知的財産権、ファイナンス、契約、訴訟・紛争、コンプライアンスといった各分野について、特に重大な法的問題の有無を確認する法務調査である、いわゆる法務デューデリジェンス(DD)は、法律事務所側に組織力の求められる業務です。当事務所は、弁護士30名の所属する組織であり、マルタ国内企業を対象とした法務DDや、DDレポートの作成を迅速に行う体制を整備しています。

※DDレポート作成を行う場合、概ね弁護士の稼働時間が30時間(弁護士費用100万円強)以上となります。

法務デューデリジェンス(DD)の実施例

法務デューデリジェンスにおいては、企業や事業運営の前提条件となる事項や、企業活動に重要な影響を及ぼす事項を、そのスコープとすることが基本となります。

具体的には、まず、会社機関やガバナンスの観点から当該企業や事業が存続し得るか、当該事業を推進するために必要な法令・許認可は何であり、その許認可は維持が可能か、といった点です。また、事業活動において重要な資産や負債の状況はどのようなものか、重要な各種契約(労務や関連当事者間取引等を含む)に欠缺はないか、有利な条件での継続が可能か、現段階では顕在化していないリスクが発生した場合の影響はどの程度か、といった点も問題となります。

これらを基本としながら、例えば下記のように、企業や事業の性質に応じたポイントを加えてスコープを決定し、法務デューデリジェンスを実施することとなります。

  1. ゲーミング

    Malta Gaming Act 2018に基づき、ライセンス要件、プレイヤー保護規則、AML/CFT対策の遵守状況を精査 。最低株式資本や年間ライセンス料、監査義務を確認し、EU市場へのアクセス可能性も評価。

  2. Web3企業

    Virtual Financial Assets Act (VFAA)やInnovative Technology Arrangements and Services Act (ITAS Act)に基づき、VFAサービス提供の適法性を精査。技術契約の認証、システム監査人の登録、MDIA Actによる規制枠組みへの準拠状況を確認。

  3. ソフト開発

    知的財産法(Copyright Act, Patents and Designs Act)に基づき、ソフトウェアの著作権保護、特許・意匠の登録状況を精査 。GDPRに基づく個人データ処理の適法性、データ移転規制への対応状況も確認し、OSSライセンス利用の適正性も評価。

  4. 観光宿泊

    Malta Travel and Tourism Services Act (Chapter 409)に基づき、宿泊施設、ケータリング、旅行代理店に関する規制遵守状況を精査。ライセンス要件、消費者保護規則、タイムシェア関連規制への対応を確認し、観光客データ保護も評価。

  5. 製造業

    Health and Safety at Work Actに基づき、職場における健康と安全の規制遵守状況を精査 。GDPRに基づく患者データのプライバシー保護体制、電子医療記録のセキュリティ対策を重点的に評価し、医療法規への準拠も確認。

モノリス法律事務所は、クロスボーダー化・グローバル化の進むIT領域において、日本をリードする法律事務所を目指し、国内企業や事業体によるマルタ事業のサポートを、その重要な使命の一つと位置付けています。

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