
国際法務・マルタ共和国
モノリス法律事務所は、日本企業によるマルタ共和国でのビジネス展開に際し、法務面から実践的な支援を行っております。
マルタは近年、フィンテック(ブロックチェーン・仮想通貨)やオンラインゲーム産業、金融サービス、観光など多岐にわたる分野で注目を集めています。
その一方で、同国の法制度や商習慣は日本と大きく異なるため、進出にあたっては的確な法的リスクの把握と現地法務への対応が不可欠です。
モノリス法律事務所は、海外展開を志向する日本企業のビジネスを多面的に支援しており、マルタ法務に関してもサポート体制を整えております。マルタは地中海の中央に位置する島国であり、その戦略的な立地と安定した経済環境から、国際ビジネスの拠点として魅力的な選択肢となっており、海外企業の進出を積極的に受け入れている国家です。ただ、マルタのビジネス関連法はEU指令等に対応して随時改正が行われており、最新の法規制への適合は必要となります。モノリス法律事務所は現地の法律や規制に精通し、現地の法律事務所と連携することで、ワンストップでコンプライアンスの確保とリスクの最小化を支援いたします。
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マルタ法務に対応するチームと国際的なネットワーク

特にITなど先端分野に関わる国際法務には、専門性の高いチームによるサポートが必要不可欠です。モノリス法律事務所は、ITに強い弁護士や海外の弁護士資格を有するバイリンガル人材、現役エンジニアを含むITコンサルタント等による組織を構成し、また、マルタの各専門家を含む国際的なネットワークを活用して、知見の共有や蓄積を行う体制を整備しています。
当事務所のマルタ法務サポート
会社設立支援
マルタにおける最適な法人形態の選定、会社設立手続き、各種許認可の取得、現地法人登記など、設立フェーズにおけるあらゆる法務をサポートします。外国企業が現地で事業を行う場合、特定の法人形態の設立が求められることがあります。当事務所は、マルタの法制度に精通し、企業がスムーズに事業を開始できるよう支援します。
契約締結支援
国際商取引契約、合弁契約、ライセンス契約、秘密保持契約など、マルタ法および国際法に基づいた各種契約書の作成、レビュー、交渉を支援し、法的リスクを最小限に抑えます。また、事業運営における日常的な法務相談、法令改正の監視と対応、コンプライアンス体制の維持・強化など、進出後の継続的な法的サポートも提供いたします。
M&Aと法務DD
マルタ企業とのM&Aや合弁事業の検討段階から、法務デューデリジェンス(DD)、契約交渉、クロージングまで、一連のプロセスを全面的にサポートします。当事務所は、海外資本による日本のITベンチャーへの投資や、日本企業による海外企業等の買収等に関して、全面的な法務サポートを提供した実績を有しています。
GDPR対応支援
EU一般データ保護規則(GDPR)への準拠体制構築、プライバシーポリシーの作成・改定、データ移転に関するアドバイスなど、マルタでのデータ取り扱いに関する法的要件への対応をサポートします 。当事務所は、日本の個人情報保護法だけでなく、GDPRに関しても豊富な実績を有しており、複雑なGDPR要件への対応を確実に支援します。
マルタにおけるビジネス法務
マルタ共和国の法制度は、大陸法とコモンローの要素を併せ持つハイブリッドな特徴を有しています 。EU法の影響も強く受けており、特にビジネス関連法規は国際的な基準に準拠しています 。日本企業がマルタでビジネスを展開する上で理解すべき主要な法分野は以下の通りです。
会社法・投資法
マルタにおける企業設立は、有限責任会社(Private Limited Liability Company)や公開有限会社(Public Limited Company)など、様々な法人形態が選択可能です。外国人が設立する場合、有限会社が推奨され、最低資本金は1164.69ユーロです。法人設立には、会社名の予約、会社規約の作成と登記、マルタ金融サービス局(MFSA)および税務局への登録が必須です。特定のビジネスライセンスが必要な場合もあります。外国投資家に対する規制は比較的緩和されていますが、特定の業種や投資形態においては許可や要件が存在する場合があります。
知的財産法
マルタは、特許、商標、著作権などの知的財産権の保護をEUおよび国際条約に基づいて強化しています。登録制度や侵害時の法的救済手段も整備されており、日本企業が自社の技術やブランドを保護する上で重要な側面です。マルタの所得税法は、著作権から生じるロイヤルティ、前払金、および同様の支払いを税金から免除しており、特定の著作権所得に関する免税措置も存在します。
労働法
マルタの労働法は、EUの労働基準に準拠しており、雇用契約、労働時間、賃金、解雇、団体交渉権などに関する詳細な規定があります。日本企業がマルタで従業員を雇用する際には、これらの労働法規を遵守することが求められます。外国人従業員を雇用する場合、長期滞在ビザ(Dビザ)と雇用免許証(Employment Licence)の取得が必要です。マルタは労働力不足を補うため、熟練した外国人労働者を誘致する迅速なスキームを導入しており、特定の資格と年収要件を満たす非EU市民に対して迅速なビザ手続きを提供しています。
データ保護法
マルタはEU加盟国であるため、EU一般データ保護規則(GDPR)が直接適用されます 。個人情報の収集、利用、保管、移転に関する厳格なルールがあり、違反した場合には高額な罰金が科される可能性があります。日本企業は、マルタでビジネスを行う際にGDPRへの完全な準拠が必須となります。モノリス法律事務所は、日本の個人情報保護法だけでなく、GDPRやカリフォルニア州消費者プライバシー法(CCPA)など海外法令にも対応しており、EU圏を含む国際的なビジネスにおけるデータ保護法関連業務に対応しています。
契約法
マルタの契約法は、民法典に基づいており、契約の成立、有効性、履行、債務不履行、損害賠償などに関する原則が定められています 。国際取引においては、準拠法や紛争解決条項の選択が特に重要となります。近年、マルタでは全ての不動産賃貸契約をブロックチェーンに登録することを義務付ける法改正が行われるなど、先端技術を活用した契約管理の動きも見られます 。
また、マルタでは、特定の産業(例:金融、オンラインゲーム、観光)に特化した詳細な規制が存在し、電子商取引法や消費者保護法など、デジタル経済の発展に伴う新たな法規も整備されているため、これらの遵守も重要です。
マルタ共和国のビジネス関連主要法規
法分野 | 概要 | 当事務所の支援領域 |
---|---|---|
会社法・投資法 | EU法に準拠した法人設立(有限責任会社など)。特定の業種や投資形態で許可要件あり。外国投資家の権利保護と規制のバランスが図られている。 | 最適な法人形態の選定、会社設立手続、各種許認可の取得、現地法人登記、M&A・合弁事業支援 |
知的財産法 | 特許、商標、著作権などの保護はEUおよび国際条約に基づき強化。登録制度や侵害時の多様な法的救済手段が整備されている。 | 知的財産権のマルタでの登録出願、権利侵害時の対応、ライセンス戦略の策定 |
労働法 | EUの労働基準に準拠。雇用契約、労働時間、賃金、解雇、団体交渉権などに関する詳細な規定。外国人雇用に関する政策の理解が重要である。 | 雇用契約書の作成・レビュー、就業規則の整備、労働紛争対応 |
データ保護法 | EU加盟国であるためGDPRが直接適用。個人情報の収集、利用、保管、移転に関する厳格なルール。違反には高額な罰金 。データ移転の自由度や政府アクセス権限の透明性も考慮。 | GDPR準拠体制構築、プライバシーポリシーの作成・改定、データ移転に関するアドバイス |
契約法 | 民法典に基づく契約の成立、有効性、履行、債務不履行、損害賠償に関する原則。国際取引における準拠法や紛争解決条項の選択が特に重要。不動産賃貸契約のブロックチェーン登録義務化の動きも。 | 各種契約書(国際商取引、ライセンス、秘密保持など)の作成・レビュー、交渉支援 |
電子商取引法 | デジタル経済の発展に伴い整備された法規。オンライン取引、消費者保護、通信サービスに関する規制。 | オンラインビジネスに関する法務相談、利用規約作成、広告規制対応 |
消費者保護法 | 商品・サービスの価格表示、支払い関係、消費者欺瞞に対する規制。EU消費者保護指令の影響を受ける。 | 消費者取引に関する法務相談、クレーム対応、広告規制対応 |
観光法 | マルタ観光局(MTA)が観光サービスの促進、規制、運営を管轄。宿泊施設、飲食施設、旅行代理店など特定のセクターに適用される規則が存在。 | 観光関連事業の許認可取得、コンプライアンス体制構築、契約書作成 |
金融サービス規制 | マルタ金融サービス局(MFSA)が金融サービスを規制。マネーロンダリング防止(AML)対策、顧客認識(KYC)ポリシーなど厳格な要件。 | 金融サービス関連事業の許認可取得、AML/CFT対策支援、コンプライアンス体制構築 |
仲裁法 | 国際的な紛争解決メカニズムとして仲裁制度が整備。ニューヨーク条約に批准しており、外国仲裁判断の執行が容易。 | 仲裁条項の策定、仲裁手続の代理、国際紛争解決支援 |
マルタの主要な紛争解決メカニズム
少なくとも一般的傾向として、マルタの裁判所は非効率である可能性があるという指摘がなされています。仲裁や調停、特にニューヨーク条約により国際的な執行可能性が担保されている仲裁は、マルタ企業とのクロスボーダー取引や、マルタ国内での取引の際、紛争発生時の解決手段として、現実的な選択肢となります。契約書に「仲裁条項」を明示的に含めることも、検討する価値があると言えるでしょう。
項目 | 訴訟(Litigation) | 仲裁(Arbitration) | 調停(Mediation) |
---|---|---|---|
法的根拠 | 組織・民事訴訟法 (Code of Organisation and Civil Procedure, Chapter 12) | 仲裁法 (Arbitration Act, Chapter 387) | 調停法 (Mediation Act, Chapter 474) |
管轄機関 | 民事裁判所、専門審判所など | マルタ仲裁センター (Malta Arbitration Centre, MAC) | マルタ仲裁センター (Malta Arbitration Centre, MAC) |
必要期間 | 長期化する可能性(非効率性が指摘されている) | 訴訟より迅速 | 訴訟より迅速 |
機密性 | なし(公開審理) | 高い | 高い(調停中の内容はその後の訴訟で証拠不採用) |
執行可能性 | マルタ国内で直接執行可能 | ニューヨーク条約により国際的に執行容易 | 法的拘束力を持たせる手続が必要 |
専門性 | 裁判官による法的判断 | 専門分野の仲裁人を選択可能 | 調停人は専門知識を持つが判断はしない |
マルタ法務のトータルサポート
海外事業の展開は、特に現地の言語をまだ話せない、又は読めないビジネスマンや起業家にとって、必ずしも簡単ではありません。国際的なネットワークを保有する日本の法律事務所によるサポートは、進出前の検討・進出時に必要な会社設立等やビザ・労働法間系の問題の処理、進出時の契約等まで、全ての場面において、非常に有益です。書面や契約書等を現地言語で、現地法に準拠して作成する必要があるため、日本の法律事務所がハブとなって、現地の事務所等と連携しながら行うサポートが、非常に重要となります。

マルタにおける会社設立やその運用は、マルタ法のレギュレーションに服し、
マルタでのビジネス展開はマルタの民法・会社法や行政法規等に、
その雇用関係はマルタの労働法に服します。
これらには、日本におけるレギュレーションと異なる規律が多数存在します。
マルタ共和国の法制度の詳細
マルタ共和国の法制度は、英国法と大陸法の両方の影響を受けた混合的な制度であることが特徴です。英国の統治下で英国の法制度が導入され、その後、マルタの独立後も議会によって発展してきました。
近年は、先進的なオンラインゲーミング関連の法規律や、「ブロックチェーンアイランド」としての暗号資産関連法制など、IT関連の法制度にも特徴を有しています。
海外事業をサポートするソリューション
当事務所は、リーガルリサーチや契約書作成、契約締結交渉などの一般的な弁護士業務に加えて、
国内企業の海外進出をサポートするための様々なソリューションを提供しております。

法務デューデリジェンス(DD)への対応
企業買収などの場面において、対象会社の設立・会社組織・株式、株主・関係会社・M&A、不動産・動産その他の資産、知的財産権、ファイナンス、契約、訴訟・紛争、コンプライアンスといった各分野について、特に重大な法的問題の有無を確認する法務調査である、いわゆる法務デューデリジェンス(DD)は、法律事務所側に組織力の求められる業務です。当事務所は、弁護士22名の所属する組織であり、マルタ国内企業を対象とした法務DDや、DDレポートの作成を迅速に行う体制を整備しています。
※DDレポート作成を行う場合、概ね弁護士の稼働時間が30時間(弁護士費用100万円強)以上となります。
法務デューデリジェンス(DD)の実施例
法務デューデリジェンスにおいては、企業や事業運営の前提条件となる事項や、企業活動に重要な影響を及ぼす事項を、そのスコープとすることが基本となります。
具体的には、まず、会社機関やガバナンスの観点から当該企業や事業が存続し得るか、当該事業を推進するために必要な法令・許認可は何であり、その許認可は維持が可能か、といった点です。また、事業活動において重要な資産や負債の状況はどのようなものか、重要な各種契約(労務や関連当事者間取引等を含む)に欠缺はないか、有利な条件での継続が可能か、現段階では顕在化していないリスクが発生した場合の影響はどの程度か、といった点も問題となります。
これらを基本としながら、例えば下記のように、企業や事業の性質に応じたポイントを加えてスコープを決定し、法務デューデリジェンスを実施することとなります。
ゲーミング
Malta Gaming Act 2018に基づき、ライセンス要件、プレイヤー保護規則、AML/CFT対策の遵守状況を精査 。最低株式資本や年間ライセンス料、監査義務を確認し、EU市場へのアクセス可能性も評価。
Web3企業
Virtual Financial Assets Act (VFAA)やInnovative Technology Arrangements and Services Act (ITAS Act)に基づき、VFAサービス提供の適法性を精査。技術契約の認証、システム監査人の登録、MDIA Actによる規制枠組みへの準拠状況を確認。
ソフト開発
知的財産法(Copyright Act, Patents and Designs Act)に基づき、ソフトウェアの著作権保護、特許・意匠の登録状況を精査 。GDPRに基づく個人データ処理の適法性、データ移転規制への対応状況も確認し、OSSライセンス利用の適正性も評価。
観光宿泊
Malta Travel and Tourism Services Act (Chapter 409)に基づき、宿泊施設、ケータリング、旅行代理店に関する規制遵守状況を精査。ライセンス要件、消費者保護規則、タイムシェア関連規制への対応を確認し、観光客データ保護も評価。
製造業
Health and Safety at Work Actに基づき、職場における健康と安全の規制遵守状況を精査 。GDPRに基づく患者データのプライバシー保護体制、電子医療記録のセキュリティ対策を重点的に評価し、医療法規への準拠も確認。
モノリス法律事務所は、クロスボーダー化・グローバル化の進むIT領域において、日本をリードする法律事務所を目指し、国内企業や事業体によるマルタ事業のサポートを、その重要な使命の一つと位置付けています。