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法律記事MONOLITH LAW MAGAZINE

国際法務・ロシア連邦

モノリス法律事務所には、ロシア弁護士資格を有する海外弁護士も所属しております。
国際情勢の変動は、ロシアでビジネスを展開する日本企業に、かつてない複雑な法的課題をもたらしています。
法的リスクの管理と、専門家による支援の重要性がかつてないほど高まっています。

モノリス法律事務所は、ロシア弁護士資格を有する外国語話者をチームに迎え、ロシア法務に積極的な対応を行っています。国際情勢が日々変化する中でも事業を継続・再編する日系企業のため、当事務所は、より深い知見と、現場の動向に即した実践的なリーガルサービスを提供できる体制を確立しました。日本の企業によるロシアでのビジネス展開を、法的側面でサポート致します。
近年、国際情勢の変動は、ロシアでビジネスを展開する日本企業に、かつてない複雑な法的課題をもたらしています。対ロ制裁とその対抗措置は、サプライチェーンの混乱や取引関係の再構築を迫り、事業継続、縮小、あるいは撤退といった困難な意思決定を要求しています。このような状況下では、法的リスクの管理と専門家による支援が不可欠です。モノリス法律事務所は、ロシア法務を熟知した専門家が所属する法律事務所として、日本企業が直面する課題をサポート致します。

ロシア法務に対応するチームと国際的なネットワーク

モノリス法律事務所弁護士

特にITなど先端分野に関わる国際法務には、専門性の高いチームによるサポートが必要不可欠です。モノリス法律事務所は、ITに強い弁護士やロシアの弁護士資格を有する外国語話者、現役エンジニアを含むITコンサルタント等による組織を組成し、また、ロシアの各専門家を含む国際的なネットワークを活用して、知見の共有や蓄積を行う体制を整備しています。

当事務所のロシア法務サポート

  • 会社設立・投資

    ロシアにおける事業形態の選定(有限責任会社 ООО、支店、代表事務所など)から設立手続き、現地法人の設立・登記に至るまで、あらゆる段階を支援します。また、ロシア企業とのM&Aや合弁事業に関する法務デューデリジェンス(DD)の実行、契約交渉、クロージングまで全面的にサポートします。なお、特定の分野では外国からの投資に制限が設けられている場合があり、場合によっては一見戦略的ではない分野であっても投資が制限される可能性があるため、慎重な検討が必要です。

  • M&A・撤退

    近年の国際情勢の変動に伴い、ロシア事業の継続、縮小、または撤退に関する法務支援の重要性は増しています。ロシア政府による資産接収の可能性や、ロシアの対抗措置に違反する取引を無効化する権限が検察当局に与えられているなど、カントリーリスクを考慮した予防法務と危機対応が不可欠です。事業の継続、縮小、または撤退のいずれの選択肢においても、デューデリジェンスを通じたリスク評価、M&Aによる資産の現地パートナーへの譲渡など、法的・実務的に安全な方法で事業を再構築できるよう支援します。

  • 契約書作成

    国際商取引においては、予期せぬリスクを回避するため、秘密保持条項や不可抗力条項などを契約に盛り込むことが極めて重要です。ロシア法には「違約金」と「損害金」の制度が存在しますが、裁判所の裁量により、違約金の請求額が債務不履行の結果に照らして著しく高いと判断された場合、減額される可能性があります。反独占法では、不当に不利益な取引条件を相手に押し付けることなどが禁止されており、これらのリスクを評価することも不可欠です。

  • 労務問題対応

    ロシア労働法は労働者を厚く保護しており、日本企業がロシアで事業を行う上で、現地の労働法を正確に理解し、雇用契約や就業規則を整備することは不可欠です。外国人従業員を雇用する場合、就労ビザや労働許可の取得手続きが必要となり、複雑な行政手続きを伴うことがあります。特に、労働者の解雇事由は労働法で厳格に制限されており、不当な解雇は無効となるリスクがあります。労働契約の作成・審査、雇用主とのトラブルや不当解雇に関する法的助言など、幅広い労務問題に対応します。

当事務所のロシア弁護士資格保有者

当事務所のロシア弁護士資格保有者

Foreign AssociateのEvgeniia Savelevaは、モスクワの法律事務所で4年以上にわたり、eコマース、IT企業などの大手クライアントの訴訟・仲裁案件で主任弁護士を務めるなど、複雑な紛争解決の経験を豊富に有しています。制裁措置、クロスボーダーインソレンシー、クロスボーダー相続といった、多岐にわたる複雑な法的問題にも精通しています。また、香港国際仲裁センター(HKIAC)でのインターンシップや、国連国際商取引法委員会(UNCITRAL)のワーキンググループ IIIで投資家対国家紛争解決制度(ISDS)改革に関する研究論文を準備するなど、国際的な法的枠組みの形成に関与した経験も有しています。

ネイティブレベルのロシア語と流暢な英語に加え、ビジネス日本語も学習中であり、国際的な案件において、多角的な視点から法的サポートを提供します。

ロシアにおけるビジネス法務

ロシアの法体系は、日本と同様に大陸法系に属しており、その基本構造には一定の親和性があります。しかし、その細部には日本法との重要な相違点が存在し、これらを深く理解することがロシアでの事業成功に不可欠です。また、ロシア企業との間で紛争が発生した場合、解決手段としては、ロシア国内での裁判または仲裁が考えられますが、クロスボーダーの紛争においては、手続の非公開性や、仲裁人の選定、使用言語の選択が可能であることから、国外での仲裁が好まれる傾向にあります。

  1. 会社設立

    ロシアには独立した商法典はなく、民法の法人に関する章に会社の類型ごとの細則が定められています。主要な法人形態としては、有限責任会社(OOO)や株式会社(OAO/ZAO)が挙げられます。株式会社には、株主が自由に株式を譲渡できる「公開型」と、他の株主の同意が必要な「閉鎖型」の二つの形態があります。会社の設立には国家登記が必要であり、登記された時点で法人とみなされます。設立時には、発起人による設立総会を開き、定款資本額や株式の支払い方法などを定めた書面契約を締結することが求められます。

  2. VKS制度

    ロシアで日本人を含めた外国人を雇用する場合、労働許可の取得が原則として必要となります。しかし、「高度熟練専門家(VKS)」として認められた外国人には、労働許可の取得手続きの際に、ロシア語、ロシアの歴史、法律の基礎知識に関する証明書の提出が免除されるという大きな利点があります。高度熟練専門家と認められるための要件の一つは、年間200万ルーブル(約2万ドル)以上の給与を得ることです。この制度は、2015年1月1日から外国法人の駐在員事務所でも利用できるようになり、日系企業の駐在員が手続きを簡素化するためにこのステータスへの切り替えを加速させる動きが見られました。

  3. 企業統治

    ロシアのコーポレート・ガバナンスに関する規範は、民法典や証券市場法などに定められており、OECDの原則を踏まえたガイドラインも存在します。ロシアの株式会社は、業務執行機関と監督機関を分離する「二層構造」を採用しています。この制度はドイツの制度に似ており、取締役と監査役の兼任には比較的厳格な制限があります。例えば、最高経営責任者(単独執行機関)が取締役会会長を兼任することは固く禁じられています。また、会社を代表して日々の業務を執行する「単独執行機関(代表取締役)」は、定款でその権限や任免を取締役会の権限と定めることも可能です。なお、株主間契約の概念も2009年に初めて法律に明文化され、法的根拠を持つようになりました。

  4. 契約法

    ロシアにおける契約に関する法律は、日本と同様に民法典がその根幹をなしています。ロシア民法典は、電磁的手段を用いた取引でも、その内容を物理的媒体で確認可能であれば書面によるものとみなすとしており、電子署名も署名者が特定できる方法であれば有効とされます。国際商取引においては、秘密保持条項や不可抗力条項などを契約に盛り込むことが重要です。また、取引先の信用調査や、不当に不利益な取引条件を押し付けることなどを禁じる反独占法違反リスクの評価も不可欠です。債権の消滅時効は、一般的に3年と定められており、時効が成立すると裁判での債権回収が困難になるため、時効管理も重要となります。

  5. 労働法

    ロシアでは、労働法が労働者を厚く保護しており、外国人労働者にも適用されます。雇用契約は原則として無期雇用ですが、労働法典に列挙された特定の状況下では最長5年の有期雇用契約が認められます。試用期間は通常3ヶ月以内ですが、一部の管理職では6ヶ月まで延長が可能です。賃金は月に2回、ロシア・ルーブルで支払う必要があり、同一の職務に従事する従業員に異なる賃金を設定することは認められていません。法定労働時間は週40時間であり、超過勤務には割増賃金が支払われるのが原則です。また、年間28日間の年次有給休暇が付与されることも労働法に定められています。労働者の解雇事由は厳格に制限されており、不当な解雇は無効となるリスクがあり、解雇時には2ヶ月前の書面通知と、最大3ヶ月分の平均給与に相当する手当の支払い義務が生じる場合があります。

  6. 個人情報

    ロシアでは、2015年に採択された「連邦個人情報法」(連邦法152-FZ号)により、ロシア人ユーザーの個人データを処理するすべてのインターネット企業に対し、データをロシア国内のサーバーに保存することが義務付けられています(データ・ローカライゼーション規制)。この規制は、国家がオンラインコンテンツおよびコミュニケーションをより自在に統制することを目的としており、違反した場合には高額な罰金が科されるリスクがあります。実際に、大手SNS企業が数千万ルーブルの罰金を科された事例も発生しています。当事務所は、この複雑な規制の遵守体制構築や、通信監督局への通知義務に関する助言など、日本企業がコンプライアンスを確保できるよう支援します。

サンクション・対抗措置と事業撤退

サンクション・対抗措置と事業撤退

2022年以降、日本を含む多くの国がロシアに対して経済制裁を課している一方、ロシア側もこれに対抗する措置を講じています。これらの措置は、事業の継続・撤退を検討する外国企業にとって極めて複雑な法務リスクを生み出しています。特に重要なのは、ロシア政府が「非友好国」に指定した国の企業が市場から撤退する場合、その資産を接収する可能性を示していることです。また、ロシアの検察当局には、ロシアの対抗措置に違反する取引について、その取引自体を無効化する権限が与えられています。さらに、外国企業のロシアにおける子会社は、親会社の行動に起因する訴訟において、契約の当事者でなくとも連帯責任を問われる可能性があります。

事業の継続、縮小、撤退といった各シナリオにおいて、M&Aを通じた現地パートナーへの資産譲渡を含め、クライアントの皆様が法的・実務的に安全な形で事業を再構築できるよう、支援を提供いたします。

ロシア連邦の法制度の詳細

ロシアの法体系は、日本と同様に大陸法系に属しており、その基本構造には一定の親和性があります。しかし、ソヴィエト時代以降の歴史的背景や連邦制といった独自の特徴も併せ持っています。

また、近年では、ロシア国内のサーバーにデータを保存することを義務付けるデータ・ローカライゼーション規制など、独自のIT関連法制も発展させており、日本企業がビジネスを展開する上で理解すべき重要な法領域となっています。

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海外事業をサポートするソリューション

当事務所は、リーガルリサーチや契約書作成、契約締結交渉などの一般的な弁護士業務に加えて、
国内企業の海外進出をサポートするための様々なソリューションを提供しております。

法務デューデリジェンス(DD)への対応

法務デューデリジェンス(DD)への対応

企業買収などの場面において、対象会社の設立・会社組織・株式、株主・関係会社・M&A、不動産・動産その他の資産、知的財産権、ファイナンス、契約、訴訟・紛争、コンプライアンスといった各分野について、特に重大な法的問題の有無を確認する法務調査である、いわゆる法務デューデリジェンス(DD)は、法律事務所側に組織力の求められる業務です。当事務所は、弁護士23名の所属する組織であり、ロシア国内企業を対象とした法務DDや、DDレポートの作成を迅速に行う体制を整備しています。

※DDレポート作成を行う場合、概ね弁護士の稼働時間が30時間(弁護士費用100万円強)以上となります。

法務デューデリジェンス(DD)の実施例

法務デューデリジェンスにおいては、企業や事業運営の前提条件となる事項や、企業活動に重要な影響を及ぼす事項を、そのスコープとすることが基本となります。

具体的には、まず、会社機関やガバナンスの観点から当該企業や事業が存続し得るか、当該事業を推進するために必要な法令・許認可は何であり、その許認可は維持が可能か、といった点です。また、事業活動において重要な資産や負債の状況はどのようなものか、重要な各種契約(労務や関連当事者間取引等を含む)に欠缺はないか、有利な条件での継続が可能か、現段階では顕在化していないリスクが発生した場合の影響はどの程度か、といった点も問題となります。

これらを基本としながら、例えば下記のように、企業や事業の性質に応じたポイントを加えてスコープを決定し、法務デューデリジェンスを実施することとなります。

  1. IT関連

    ロシア人ユーザーの個人データが、法令に従いロシア国内のサーバーで適切に保存・処理されているか、プライバシーポリシーや通信監督局への通知義務を遵守しているかを確認。知的財産権の調査: 知的財産権の登録状況、特にロシア国内での著作権・商標権が有効に保護されているか、不使用による取消リスクなどを評価。持分所有者の法的適格性の確認: 対象企業のオーナーの特定や、過去の持分譲渡に法的な問題がないかを調査。

  2. 自動車・機械

    自動車部品やハイテク製品は日本の対ロ制裁による輸出規制の対象となる場合があるため、サプライチェーン全体における法務リスクを評価。ロシア国内のサプライヤーは、技術力や品質管理に課題がある場合があるため、契約書における品質保証条項や紛争解決条項を厳格に審査。現地従業員の雇用・解雇に関するロシア労働法の厳格な規制を考慮し、労働契約や就業規則に不備がないかを確認。

  3. 食品・飲料

    本から食品を輸出する場合、放射性物質検査証明書の要件や、特定の魚介類の輸入停止措置など、最新の規制に対応しているかを評価。製品に含有される食品添加物、残留農薬、重金属などの基準、また食品包装の衛生基準が遵守されているかを調査。ロシアの規定に準拠した製品のラベル表示(成分、製造日、賞味期限など)が適切に行われているかを確認。

  4. 建設・インフラ

    建設業はロシアで行政の許可が必要な特定業種に該当するため、事業に必要なライセンスが全て取得されているかを詳細に確認。建設用地の取得・賃借に関する不動産法規、権利登記の状況に法的な問題がないかを調査。紛争解決条項、不可抗力条項、そして対ロ制裁下での複雑な国際決済リスクを、契約書を通じて評価。

  5. 総合商社・貿易

    ロシア企業との取引が日本の対ロ制裁やロシアの対抗措置に違反しないか、また反独占法違反のリスクがないかを多角的に評価。不正取引や制裁回避のリスクを評価するため、取引先の徹底した信用調査。SWIFTからの排除に伴う決済の遅延や、中継銀行からの照会など、国際決済におけるリスクを洗い出し、安全な取引方法について助言。

モノリス法律事務所は、クロスボーダー化・グローバル化の進むIT領域において、日本をリードする法律事務所を目指し、国内企業や事業体によるロシア事業のサポートを、その重要な使命の一つと位置付けています。

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