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法律記事MONOLITH LAW MAGAZINE

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チュニジアの法体系と司法制度を弁護士が解説

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チュニジアの法体系と司法制度を弁護士が解説

チュニジア共和国(以下、チュニジア)は、北アフリカに位置し地中海を挟んで欧州と隣接する地理的優位性から、欧州市場へのゲートウェイとして、またアフリカ大陸への進出拠点として、近年多くの日本企業から注目を集めています。チュニジアでのビジネス展開を検討する際、現地の法体系と司法制度を正確に理解することは、コンプライアンスの遵守および法的リスクの軽減において不可欠なプロセスです。

チュニジアの法体系は、1881年から1956年までのフランス保護領時代の歴史的背景から、基本的には経済法や民法、刑法などの広範な分野においてフランス法制を色濃く反映した大陸法(シビル・ロー)を基盤としています。しかしながらその一方で、家族法や身分法などの一部の領域においてはイスラム法(シャリーア)の影響を汲んだ規定が独自の進化を遂げており、大陸法とイスラム法が融合した混合法体系をとっている点が最大の特徴です。特に独立直後の1956年に制定された個人地位法により、アラブ諸国の中で最も早く一夫多妻制を禁止し、女性の権利擁護を推進するなど非常に進歩的な法整備が行われてきました。

司法制度に目を向けると、破毀院(最高裁判所)を頂点とし、控訴裁判所、第一審裁判所で構成される通常裁判所の階層構造に加え、行政事件を扱う独立した行政裁判所や国家財政を監査する会計検査院が存在し、フランス型の二元的な司法制度を採用している点から日本法とは異なる構造を有しているということが言えるでしょう。さらに近年は、2022年の新憲法制定に伴う大統領権限の強化や司法制度の再編など、実務上留意すべき動向も多く見られます。

本記事では、これら法体系の基礎的特徴に加え、ビジネスに直結する1906年制定の債務契約法における15年の長期消滅時効、2000年制定の商事会社法に基づく有限責任会社(SARL)や株式会社(SA)の厳格な設立要件、さらには外資誘致を促進する2016年投資法の概要を詳細に解説します。また、日本企業が直面しやすい知的財産権の保護に関して、著名商標の不正競争行為を認めた2026年8月11日の破毀院判決を紐解き、チュニジアにおけるビジネス展開の法的見通しとリスク管理の要点を提供します。

チュニジアの法体系の基礎と特徴

大陸法とイスラム法の融合による混合法体系

チュニジアの法体系を紐解く上で最も重要な視点は、同国が西洋の法概念と北アフリカの伝統的価値観を融合させた混合法体系を採用しているという事実です。1881年から1956年にかけてフランスの保護領であった歴史的背景から、チュニジアの基本的な法制、とりわけ民法、商法、刑法、そして訴訟法などの領域は、フランスの大陸法(シビル・ロー)モデルに強く依存しています。このため、成文法主義を採り、法律の根源は憲法、議会が制定する法律、および大統領令などの政令から構成されています。成文法に基づく厳格な法解釈を重んじる点においては、ドイツ法やフランス法の影響を受けて近代化を果たした日本の法体系と非常に親和性が高く、日本の実務家にとってもその基本的な法的思考プロセスは理解しやすい構造であるといえます。

しかしながら、チュニジアが圧倒的なイスラム教徒を抱える国家であり、憲法においてもイスラム教が重要な位置を占めていることから、一部の法領域にはイスラム法(シャリーア)の法理が反映されています。特に家族法や相続法といった身分法分野においてその影響が顕著ですが、チュニジアは伝統的なイスラム法をそのまま適用するのではなく、近代的な法典に編纂し直すというアプローチをとりました。このように、フランス法に由来する合理的な経済規律と、独自の解釈によって近代化されたイスラム法理が共存している点から、チュニジアの法体系はアラブ圏の中でも極めて特異で先進的なモデルを構築しているということが言えるでしょう。

個人地位法による独自の身分法制と一夫多妻制の禁止

チュニジアの法制の独自性を象徴する最も著名な法律が、1956年に制定された「個人地位法(Code du Statut Personnel)」です。この法律はフランスからの独立宣言からわずか5か月後に当時のブルギバ大統領によって導入され、アラブ世界において最も早く、そして現在に至るまで最も広範な家族法改革を実現したものとして国際的に高く評価されています。

個人地位法の最大の特徴は、イスラム圏でありながら一夫多妻制を明確かつ全面的に禁止した点にあります。同法第18条は「一夫多妻は禁止される」と明記し、既存の婚姻関係が解消される前に新たな婚姻を結んだ者に対しては、1年の拘禁刑および罰金という厳しい刑事罰を科すことを定めています。日本の民法第732条においても重婚は禁止されており、刑法第258条により重婚罪として処罰の対象となりますが、日本における重婚の禁止が西洋の近代的な一夫一婦制の概念を継受した結果であるのに対し、チュニジアにおける一夫多妻制の禁止は、イスラム法の法源であるコーランの教えを現代的に再解釈(イジュティハード)し、「すべての妻を平等に扱うことは人間の性質上不可能であるため、実質的に一夫多妻は禁じられている」との論理を導き出した画期的なアプローチによるものです。

また、同法は夫の単独の意思による一方的な離縁(タラーク)を廃止し、男女双方から裁判所を通じた離婚手続きのみを法的に有効な離婚と定めました。さらに、結婚における当事者双方の合意の義務付けや、法定婚姻年齢の設定(現在は男女ともに18歳)など、女性の権利擁護と男女平等を法的に担保する規定が網羅されています。ビジネスの実務において直接的に家族法が適用される場面は限定的かもしれませんが、駐在員の労務管理や現地従業員の福利厚生、さらには相続が発生した場合の事業承継などを考慮する上で、チュニジアがアラブ諸国の中で最も世俗的かつ男女平等を進めている法域であることを理解しておくことは、企業のダイバーシティ経営方針を現地で適用する際に極めて有利に働く要素となります。

チュニジアの個人地位法に関する公式な条文は、チュニジアの法務関連公式ポータルサイト等で確認することができます。

参考:チュニジアの法務関連ポータルサイト Jurisite Tunisie

チュニジアへのビジネス展開に関わる主要な法律と日本法との比較

チュニジアへのビジネス展開に関わる主要な法律と日本法との比較

債務契約法における消滅時効の規律と長期間の権利保全

チュニジアにおいて商取引や契約関係を規律する一般法となるのが、1906年に制定された「債務契約法(Code des Obligations et des Contrats)」です。この法律は独立前のフランス保護領時代に制定されたものですが、現在でもチュニジアにおける民事および商事の債権債務関係を統律する基本法典として機能しています。この法律はフランス民法典(ナポレオン法典)の強い影響を受けており、契約の自由信義誠実の原則過失責任の原則など、日本法とも共通する近代的な私法原則を採用しています。

しかしながら、日本の民法と大きく異なる点として実務上細心の注意を払うべきなのが、債権の消滅時効に関する規定です。チュニジアの債務契約法第402条は、法律に別段の定めがない限り、義務から生じるすべての訴権(債権)の一般消滅時効期間を「15年」と定めています。日本では2020年に施行された改正民法により、債権の一般的な消滅時効は「権利を行使することができることを知った時から5年」または「権利を行使することができる時から10年」に統一されました。これと比較すると、チュニジアの15年という一般消滅時効期間は非常に長期間に設定されています。

この法的な差異から、チュニジアでビジネスを行う日本企業は、現地企業に対する売掛金の未回収リスクや、逆に現地企業から損害賠償を請求される潜在的リスクが、日本国内の感覚よりもはるかに長期間にわたって存続するということが言えるでしょう。したがって、契約書の保管期間や経理データの保存期間を日本の社内規程(通常7年から10年程度)よりも長く設定し、少なくとも15年以上は法的証拠を保全する社内体制の構築が不可欠となります。

商事会社法に基づく進出時の法人形態と要件

チュニジアにおいて現地法人を設立する際、依拠すべき法律は2000年に制定された「商事会社法(Code des Sociétés Commerciales)」です。この法律は、日本企業が現地法人を設立する際に一般的に利用される形態として、主に「有限責任会社(Société à Responsabilité Limitée:SARL)」と「株式会社(Société Anonyme:SA)」の2種類を規定しています。

日本の会社法においては、2006年の法制化に伴い最低資本金制度が撤廃され、株式会社であっても合同会社であっても資本金1円から設立が可能となりました。しかし、チュニジアの商事会社法では、債権者保護の観点から現在でも厳格な最低資本金制度が維持されています。この点が日本法との明確な違いです。

SARLは、日本の合同会社に類似した形態であり、設立手続きが比較的簡素で、経営の柔軟性が高いのが特徴です。商事会社法第92条により、SARLの最低資本金は1,000チュニジア・ディナール(TND)と定められており、出資者の数(社員数)は2名以上50名以下に制限されています。なお、出資者が1名のみの場合は「一人有限責任会社(SUARL)」という形態をとることが認められています。SARLは資本の持ち分を証券化して自由に譲渡することができず、閉鎖的な同族企業や、日本企業の完全子会社として進出する際の中小規模の事業体として最も頻繁に利用されています。

一方、SAは、日本の株式会社に相当し、大規模な事業や外部からの資金調達を前提とした形態です。SAの設立には最低5,000 TNDの資本金が必要であり、また最低7名の株主(発起人)を確保しなければなりません。さらに、SAの運営には取締役会または監査役会を伴う経営委員会の設置が義務付けられており、SARLと比較してコーポレートガバナンスに関する要件が厳格化されています。

比較項目有限責任会社(SARL)株式会社(SA)日本法(株式会社)との比較
最低資本金1,000 TND5,000 TND日本は1円から設立可能でありチュニジアは要件が厳格
最低出資者数2名(SUARLの場合は1名)7名日本は発起人1名から設立可能
最大出資者数50名まで制限なし日本はいずれも上限なし
経営機関業務執行社員取締役会等SAは日本の取締役会設置会社に相当
監査役の選任要件一定規模以上で義務化原則として必須日本では非公開会社の場合任意(規模による)

チュニジアでの事業規模や現地の合弁パートナーの有無に応じて、SARLとSAのいずれの形態を選択するかが、進出初期の法務および税務コストに直結するため、各法人の要件を慎重に比較検討することが求められます。

投資法による外資規制の緩和と投資家保護

外国企業のチュニジアへの進出を後押しする極めて重要な法律が、2016年に制定された「投資法(Loi n° 2016-71)」です。この法律は、それまでの投資奨励法を抜本的に改正し、国内外の投資家に対してより透明性の高いビジネス環境を提供することを目的としています。

投資法における最大のメリットは、外国人投資家に対する内国民待遇の原則と、厳格な外資規制の緩和です。チュニジアの投資法によれば、外国人投資家は、事前の認可を要することなく自由に投資を行うことが原則として認められています(ただし、国防や一部のインフラなど特定分野を除く)。また、日本企業にとって事業展開上の生命線となる「利益の送金」に関しても、投資法は外国通貨による資本および収益の国外への移転の自由を明文化しています。これにより、チュニジアで得た事業収益を日本の親会社へ合法かつスムーズに還流させることが担保されています。

さらに、不動産の所有に関しても重要な緩和が行われました。かつては外国法人による不動産取得には複雑な手続きが必要でしたが、2016年投資法第5条により、投資家は直接投資事業を実施する目的において、非農地(工業用地や商業用地など)を取得し、賃借し、開発する自由が保障されるようになりました。また、国家と投資家との間に紛争が生じた場合、投資家保護の観点から、当事者の合意に基づき調停や国際仲裁といった裁判外紛争解決手続きを利用することが法的に認められています。

チュニジアの2016年投資法の公式な条文は、国連貿易開発会議の投資政策ハブ等の公式データベースで確認することができます。

参考:国連貿易開発会議 投資政策ハブ

チュニジアの司法制度と裁判所の構造

チュニジアの司法制度と裁判所の構造

通常裁判所の三審制と日本の司法制度との共通点

チュニジアの司法制度は、基本的には日本と同様に三審制を採用しており、事実認定と法律審を分ける近代的な裁判管轄を有しています。通常裁判所の構造は、各地域に配置されている第一審裁判所、その判決に対する不服申し立てを審理する中級審である控訴裁判所、そして司法の最終審であり法律問題のみを審査する破毀院(最高裁判所)の3層で構成されています。

第一審裁判所は民事事件および刑事事件の第一審を管轄し、商事紛争や労働紛争などもここで扱われます。破毀院は日本の最高裁判所に相当し、控訴審の判決において法令の適用に誤りがないかを審査します。もし法令違反が認められた場合は、原判決を破棄し、原則として事件を控訴裁判所に差し戻して再度審理させます。この点においては、日本の民事訴訟法および刑事訴訟法が規定する上告の仕組みとほぼ同じであり、日本の法務担当者にとっても制度の枠組み自体は馴染みやすい構造となっています。

行政裁判所と会計検査院の独立性に見るフランス法制の継承

日本の司法制度とチュニジアの司法制度を比較する上で、決定的な違いとなるのが行政裁判の取り扱いです。日本においては、日本国憲法第76条により特別裁判所の設置が禁止されているため、行政機関に対する訴訟(行政事件訴訟)も、最高裁判所を頂点とする通常の裁判所が管轄します。

これに対してチュニジアでは、フランスの二元的な司法制度(コンセイユ・デタを頂点とする行政裁判所体系と、破毀院を頂点とする司法裁判所体系の並立)を色濃く継承しています。チュニジアには、通常裁判所から完全に独立した行政裁判所が存在し、国家や公共機関と個人または法人との間に生じた法的紛争は、この行政裁判所が専属的に管轄します。さらに、国家の財政や公金の運用に関する監査および違法性の判断については、会計検査院が独立した司法機関として機能しています。

したがって、チュニジアに進出した日本企業が、税務当局からの不当な課税処分に対して取り消しを求めたり、政府機関との公共調達契約に関して紛争が生じた場合には、通常の第一審裁判所ではなく、行政裁判所に対して訴訟を提起しなければならない点に注意が必要です。

2022年憲法下における司法制度の変化と大統領権限の強化

チュニジアの司法制度を理解する上で、近年発生した憲法体制の劇的な変化を無視することはできません。2011年のアラブの春を経て、チュニジアは2014年に民主的で権力分立を重視した新憲法を制定し、司法の独立性を担保するための最高司法評議会を設置しました。しかし、2019年に就任したカイス・サイード大統領は、政治的および経済的な混乱を収拾することを理由に、2021年以降、例外的な大統領令を連発して議会を停止し、強権的な統治体制への移行を図りました。

この流れの中で、2022年2月には大統領令により既存の最高司法評議会が解散させられ、大統領が委員の一部を任命できる暫定司法評議会に置き換えられました。さらに同年6月には、大統領に裁判官を罷免する権限を付与する大統領令が発布されました。そして、2022年7月の国民投票を経て採択された2022年憲法により、チュニジアは従来の半大統領制から、大統領に極めて強大な権限を集中させる強力な大統領制へと移行しました。

2022年憲法の第119条では、司法は通常裁判所、行政、財務(会計検査)の3つの評議会に分割して再編されました。また、法律の違憲審査を担う憲法裁判所の構成についても、全9名の裁判官の任命権が大統領に事実上集中する設計となり、2014年憲法と比較して司法の独立性が著しく後退したと国際的な人権団体や法曹団体から懸念が示されています。このように、司法システム全体に対する行政府の影響力が増大している現状は、外資系企業が現地で国家機関を相手取った法的紛争に巻き込まれた際のリスク要因となり得るため、チュニジアの政治情勢と司法制度の運用実態については継続的なモニタリングが不可欠です。

チュニジアにおける知的財産保護と最新判例

著名商標の保護に関する破毀院判決

日本企業が海外、特に新興国や開発途上国に進出する際に最も懸念される法的リスクの一つが、自社のブランド、商標、デザイン(トレードドレス)の模倣や海賊版の横行です。チュニジアにおいては、2001年に制定された産業財産権保護法などにより知的財産保護の法整備が進められていますが、実務上の運用について注目すべき最新の判例が存在します。

2026年8月11日、チュニジアの破毀院は、著名な外国商標の保護および不正競争防止に関する画期的な判決(事件番号:Cassation No. 61293/2024)を下しました。この事件は、世界的に著名なフランスの高級ファッションブランドである「Maison Lumière SA」(原告・上告人)と、チュニジアの皮革製品製造業者である「Société El-Manara de Maroquinerie SARL」(被告・被上告人)との間で争われたものです。

原告のフランス企業は、自社のブランド名(文字商標)についてはチュニジアの国立標準・産業財産権研究所に登録していましたが、製品の特徴的なモノグラムパターンやキルティングデザインそのものについては、チュニジアでの商標登録を完了していませんでした。この状況を利用して、被告のチュニジア企業は、原告のデザインや店舗の視覚的なレイアウトまでを精巧に模倣した製品を自国で製造・販売していました。原告は商標権侵害および不正競争行為を理由に販売の差し止めと損害賠償を求めましたが、控訴裁判所は「チュニジア内で登録されていないデザインや商標は、いかに著名であっても保護されない」として原告の請求を棄却しました。

しかしながら、最終審である破毀院は控訴裁判所の判決を破棄しました。破毀院は、チュニジアが批准している「工業所有権の保護に関するパリ条約」の第6条の2(周知商標の保護)およびTRIPS協定における義務を引用し、チュニジアにおいて未登録であっても、国際的に周知・著名な外国商標は法的な保護を享受するという判断を示しました。さらに、製品のデザインやパッケージ、店舗レイアウトを含む商業的な全体外観を組織的に模倣する行為は、チュニジアの商法第36条および第37条に基づく不正競争行為に該当すると認定し、原告の損害賠償請求を認める判断を下しました。

この2026年の破毀院判決から、チュニジアの最高司法機関は、国内での形式的な登録要件が一部欠如していても、国際条約に基づく周知商標の保護と民商法上の不正競争防止法理を積極的に適用し、悪質な模倣品業者に対して厳格な態度で臨むということが言えるでしょう。本判決は、チュニジア市場への参入や自社製品の輸出を検討している日本の製造業やブランド企業にとって、自社の知的財産権が司法によって強力に守られるという極めてポジティブなシグナルとなります。

本判例の公式な事件概要および法的解釈については、アラブ諸国の法務データベース等で広く参照されています。

参考:アラブ諸国の法務判例データベース Arab Law Guide

まとめ

チュニジアの法体系と司法制度は、日本法と共通する近代的な大陸法の概念を持ちながらも、固有の歴史と文化に根ざした独自の構造を有しています。フランス法由来の合理的かつ体系的な法基盤のうえに、個人地位法に見られるような一夫多妻制の禁止といった独自に近代化されたイスラム法理が融合した非常にユニークで先進的な混合法体系は、チュニジアを特徴づける重要な要素です。日本企業がチュニジアへの進出を検討する上では、実務上直結する法規律の違いに細心の注意を払う必要があります。

例えば、商取引の基本となる債務契約において日本の5年とは異なる15年という長期間の一般消滅時効が存在することや、法人設立の際に商事会社法が定める厳格な最低資本金要件(有限責任会社で1,000チュニジア・ディナール等)を満たす必要がある点など、日本法との決定的な差異を正確に把握しておくことが求められます。一方で、2016年の投資法による外資規制の大幅な撤廃や不動産取得要件の緩和、そして2026年の破毀院判決で示された著名な未登録商標に対する強力な司法保護など、外国人投資家にとってのビジネス環境や法的予見可能性は着実に向上しています。ただし、2022年の新憲法に基づく司法制度の再編や大統領権限の強化など、国家権力と司法の独立性をめぐる流動的な政治情勢については、カントリーリスクとして継続的な法務モニタリングが不可欠です。

モノリス法律事務所では、こうしたチュニジアの法体系の違いから生じる予期せぬ法的トラブルを未然に防ぎ、現地の最新の法制度やコンプライアンス要件に対応するためのサポートいたします。日本企業の円滑な海外進出と安全な事業運営に向けて、現地の法務リスクの洗い出しから契約書のリーガルチェックに至るまで的確な法的知見をもとにサポートいたします。

弁護士 河瀬 季

モノリス法律事務所 代表弁護士。元ITエンジニア。IT企業経営の経験を経て、東証プライム上場企業からシードステージのベンチャーまで、100社以上の顧問弁護士、監査役等を務め、IT・ベンチャー・インターネット・YouTube法務などを中心に手がける。

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