模倣品対策(アンチ・カウンタフェイティング):インドにおける実地摘発と法的措置

インド市場の急速な経済成長とサプライチェーンの拡大に伴い、自社ブランドの価値にただ乗りして利益を得ようとする模倣品業者の存在が、深刻なビジネスリスクとなっています。市場に氾濫する模倣品に対し、権利者が取り得る手段は多岐にわたりますが、実効性を確保するためには、民事および刑事の両面からアプローチする実務が不可欠です。
本記事では、警察と連携した工場や倉庫へのレイド(実地摘発)の手順や、民事訴訟における証拠保全手段であるAnton Piller命令の取得方法を解説します。また、オンラインマーケットプレイスでの権利侵害に対する通知および削除手続きについても触れ、インド特有の法制度や実務上の要件を整理します。
この記事の目次
インドにおける模倣品対策の全体構造と日本法との本質的差異
インドにおける模倣品対策は大きく分けて、警察当局を通じた刑事的手続きと、裁判所を通じた民事的手続きの二つのアプローチが存在します。広大な国土と複雑かつ不透明な流通網を持つインドでは、模倣品の製造拠点や保管倉庫を特定した直後に証拠が隠滅されるリスクが高いため、事前の警告なしに強制的な介入を行うレイド(実地摘発)が戦略の中心となります。日本法に基づく模倣品対策と比較した場合、インドの法制度には実務上留意すべき構造的な差異があります。
日本の民事訴訟においては、実際に生じた損害の填補を目的とする実損害賠償が原則であり、懲罰的な賠償は認められていません。しかし、インドの裁判所は悪質な模倣品業者に対して、実損害の填補にとどまらない懲罰的損害賠償や加重損害賠償を認めることがあり、訴訟を通じた経済的制裁が抑止力として機能します。ただしその認定は無条件ではありません。デリー高裁の分割ベンチは2014年1月31日のHindustan Unilever対Reckitt Benckiser事件判決で、懲罰的損害賠償を緩やかに認めてきた従前の単独裁判官判決を覆し、①英国Rookes判決が示す3類型に当てはまること、②填補的な損害賠償では不十分だと認定すること、③Cassell判決の5原則に従うこと、という段階を踏むよう求めています。また、民事手続きの枠組みの中で、裁判所が任命したローカルコミッショナー(Local Commissioner)による強制的な捜索および押収が認められており、これが事実上の民事レイドとして機能する点も、日本とは異なる特徴です。
さらに、身元不明の権利侵害者をAshok Kumar被告(英米法のJohn Doe被告に相当)として提訴し、差止命令を求める実務が定着しており、実態の掴みにくい模倣品ネットワークに対しても訴訟を起こせます。一方で、警察による刑事的な実地摘発を行う場合には、捜査権限を持つ警察官の階級が限定されているほか、事前に所管官庁から意見書を取得しなければならないという、インド独自の手続き要件が課されています。
| 比較項目 | 日本の法制度・実務 | インドの法制度・実務 |
| 損害賠償の性質 | 実損害の填補が原則(懲罰的賠償は不可) | 悪質な侵害には懲罰的・加重損害賠償があり得る(Rookes判決の3類型該当と填補賠償の不足の認定が前提) |
| 民事的な強制捜索 | 証拠保全手続きは存在するが物理的な押収は限定的 | ローカルコミッショナーによる事前通知なしの強制的な捜索・押収が一般的 |
| 匿名の侵害者への対応 | 被告の特定が提訴の前提となる | 身元不明の侵害者をAshok Kumar(John Doe)被告として提訴し、差止命令を求めることが可能 |
| 警察による無令状捜索 | 裁判官の発付する令状が原則として必要 | 一定階級以上の警察官が商標登録官の意見書を得た上で無令状捜索が可能 |
刑事的アプローチ:警察と連携した工場・倉庫へのレイドと摘発実務

商標法に基づく捜索および押収の権限と厳格な階級要件
インドにおける商標権侵害に対する刑事的手続きは、1999年商標法(The Trade Marks Act, 1999/Act No. 47 of 1999)によって規定されています。同法第115条第3項により、第103条(商標の虚偽適用等)、第104条(虚偽の商標・虚偽の商品表示を付した商品の販売等)および第105条(再犯の加重処罰)に定める罪は、警察官が令状なしに逮捕できる認知可能犯罪(Cognizable offence)とされています。これにより機動的な捜査ができる一方で、警察による権限の濫用を防ぐための要件が設けられています。
同法第115条第4項は、令状なしの捜索および押収を行える警察官を、Deputy Superintendent of Police(DSP)またはこれと同等以上の階級の者に限定しています。この規定により、DSP以上の階級を持つ警察官のみが、犯罪に関与した商品、型(die)、版(block)、機械、印刷版(plate)その他の器具または物件を、所在を問わず令状なしに捜索・押収する権限を有します。押収した物件は、実行可能な限り速やかに第一級司法治安判事(Judicial Magistrate of the first class)または首都圏治安判事(Metropolitan Magistrate)に提出しなければなりません。
階級要件を満たさない下位の警察官(例えばSub Inspectorなど)によって実行されたレイドは、第115条第4項に反する手続きとして、事後の刑事裁判において捜索・押収の適法性と押収物の証拠能力を争われるおそれがあります。したがって、摘発を計画する際には現地の警察当局と折衝し、連携する責任者の階級を事前に確認することが、レイド成功の前提条件となります。
レイドを適法化する商標登録官の意見書取得手続き
日本の刑事実務と大きく異なり、実務上のハードルとなるのが、警察による強制捜査に先立つ商標登録官(Registrar of Trade Marks)からの意見書取得義務です。1999年商標法第115条第4項のただし書きには、警察官が捜索および押収を行う前に、対象となる商標侵害の事実に関して商標登録官の意見を求め、その意見に従わなければならないと規定されています。この規定は、知的財産権の有効性や類似性の判断について専門知識を持たない警察の独断で不当な捜査が行われることを防ぐ趣旨のものです。
実務上は、権利者側が自社ブランドの権利関係や侵害品の証拠をまとめた調査報告書を作成したうえで警察に被害申告を行い、あわせて商標登録官に対して速やかな意見書の発行を働きかけておく必要があります。警察が意見書の取得を怠ったままレイドを実行した場合、被疑者側から手続きの重大な瑕疵として指摘され、押収手続が管轄権の瑕疵により無効と判断されることがあります。実際、マドラス高裁マドゥライ・ベンチは2025年7月10日の判決で、商標法第115条第4項が求める登録官への意見照会の記録が押収手続に一切ないことから、当該押収手続は管轄権の瑕疵により無効であると判示しました。そのうえで、押収物が生鮮品であることによる申立人の不利益もあわせて考慮し、米1,350袋を申立人へ暫定的に返還するよう命じました。ただし同判決は捜査そのものやFIRを取り消したものではなく、商標権・著作権侵害の本案にも立ち入っていません。
新刑事手続法(BNSS)に基づく電子的記録の義務化と影響
インドでは2023年にBharatiya Nagarik Suraksha Sanhita, 2023(BNSS/2023年法律第46号)が制定され、2024年7月1日に施行されました。BNSSは従来の刑事訴訟法(Code of Criminal Procedure, 1973)を改正したものではなく、第531条第1項により同法を廃止して置き換える新法典です。この法典は、警察による捜索および押収の手続について、記録に関する規定を置いています。BNSS第105条は、同法第7章(物件の提出を強制する手続)または第185条に基づく場所の捜索および物件の押収について、押収品目録の作成と立会人による署名を含む全過程を、オーディオビデオ電子機器(可能な限り携帯電話)で記録することを義務付けています。さらに警察官は、その記録を遅滞なく地方長官(District Magistrate)、副地方長官(Sub-divisional Magistrate)または第一級司法治安判事に送付しなければなりません。
この規定は、模倣品対策のレイドにも影響します。これまでレイドの現場では、被疑者側から「警察が証拠を捏造した」「不当な暴力があった」といった申し立てが行われ、裁判が長期化するケースが散見されました。しかし、BNSSの導入により、押収された模倣品の量や現場の状況が電子的に記録されるため、証拠の真正性が担保され、被疑者による反論の余地を狭めることができます。権利者としては、レイドに同行する際、警察がこの録画義務を遵守しているかを確認し、適正な証拠保全が行われるよう支援することが有効です。
インドの民事的アプローチ:Anton Piller命令と損害賠償請求
Local Commissionerを通じた証拠保全命令の取得
インドにおける模倣品対策では、警察を通じた刑事レイドと並行して、あるいはこれに代わる手段として、民事訴訟に基づく強制的な証拠保全手続きが有効に機能します。インドの裁判所は原告の申立てに基づき、民事訴訟法1908(Code of Civil Procedure, 1908)Order XXXIX rule 1・rule 2により、被告に事前の通知を行わずに一時的差止命令(Ex-parte ad interim injunction)を発することができます(無通知での発令は、同 rule 3が「遅延により差止命令の目的が失われる場合」を事前通知の例外としていることによります)。あわせて、同 Order XXXIX rule 7(訴訟物の留置・保全・検証および相手方が占有する土地建物への立入りの授権)と Order XXVI rule 9(現地調査のためのコミッショナー任命)に基づき、証拠隠滅を防止するAnton Piller命令に相当する決定が行われます。
この命令に基づき、裁判所は中立な弁護士などをローカルコミッショナーとして任命し、被告の工場や倉庫、店舗への立ち入り捜査権限を付与します。デリー高裁における2025年3月25日のBridgestone Corporation対M/s. Merlin Rubber事件(CS(COMM) 254/2023)の判決によれば、原告の登録商標「BRIDGESTONE」に類似する「BRIMESTONE」の標章を付した製品を販売した被告に対し、裁判所は2023年4月28日の第1回期日において、事前の通知なしの差止命令(ex parte ad interim injunction)を発するとともに、侵害品の捜索および押収を目的としたローカルコミッショナーを任命しました。このコミッショナーは2023年5月2日に被告の施設で執行を行い、侵害標章を付したチューブ包装5,850点、包装材・ステッカー77,600点、ゴムパッチ800点、標章刻印用の型1点を確認したうえで、同年5月15日付の報告書を裁判所に提出しました。被告がこの報告書を争わなかったため、報告書は民事訴訟法1908 Order XXVI rule 10(2) により証拠として採用され、そこに記録された数量が損害額の算定根拠となりました。
民事レイドは、刑事レイドのような階級制限や事前の意見書取得義務がないため、迅速な初動対応が可能です。
意図的な権利侵害に対する懲罰的損害賠償の認定基準
インドの民事訴訟におけるもう一つの手段が、懲罰的損害賠償(Punitive damages)および加重損害賠償(Aggravated damages)の請求です。インドの裁判所は、悪質な模倣品の製造販売について、填補賠償だけでは不十分と認めたうえで、制裁と抑止のための加重的な賠償を命じることがあります。
デリー高裁は2019年4月22日のKoninklijke Philips N.V. & Anr.対Amazestore & Ors.事件(CS(COMM) 737/2016・CS(COMM) 1170/2016併合/中立引用 2019:DHC:2185)で、損害賠償額を判断する際の目安(rule of thumb)を示しました。この判決でManmohan裁判官は、侵害者をその悪意の程度に応じて分類し、それぞれに対する賠償の原則を提示しました。
| 侵害者のカテゴリー | 裁判所の判断原則と賠償内容 |
| 初めての善意の侵害者 | 権利侵害の事実を知らずに、初めて侵害に及んだ場合。差止命令のみ。 |
| 初めての悪意の侵害者 | 権利侵害であることを認識しつつ、初めて侵害に及んだ場合。差止命令に加え、訴訟費用の一部(Partial Costs)の負担。 |
| 反復的かつ悪意の侵害者(原告への影響が小さい場合) | 侵害を繰り返す悪意の侵害者で、原告への影響が小さい場合。差止命令+訴訟費用に加え、損害賠償の一部(Partial damages)。 |
| 反復的かつ悪意の侵害者(原告への影響が大きい場合) | 侵害を繰り返す悪意の侵害者で、原告への影響が大きい場合。差止命令+訴訟費用に加え、填補賠償(Compensatory damages)。 |
| 意図的・計画的な侵害かつ裁判所命令への故意の違反 | 反復性の有無を問わない。意図的かつ計画的な侵害であり、かつ裁判所の命令に故意に違反した場合。差止命令+訴訟費用に加え、加重損害賠償(Aggravated damages=填補賠償に追加額を上乗せしたもの)。 |
同事件では、被告の一社が裁判所の差止命令に違反したうえ、取引経路を輸入者経由に切り替えて侵害を継続したこと、被告らが召喚状の送達を受けながら出頭せず、うち一社は召喚状の受領そのものを拒否したことが重く見られました。証拠上認定された侵害品の輸入数量は11万点、輸入総額は1,749万5,630ルピー、1点あたりの輸入価格は159ルピーでした。その結果、填補賠償とは別に、輸入者に500万ルピー、製造者2社に連帯で500万ルピー(合計1,000万ルピー)の加重損害賠償の支払いが命じられました。認容額の総計は、輸入者に対し1,199万6,000ルピー、製造者2社に対し連帯で1,957万5,000ルピーです。意図的かつ悪質な模倣品業者に対しては、このように高額の損害賠償を伴う訴訟を提起することが、将来の侵害行為に対する抑止として働きます。
匿名の侵害者に対するAshok Kumar命令(John Doe命令)の行使
模倣品業者は自らの実態を隠蔽するために、ダミー会社を使用したり、店舗名を頻繁に変更したり、インターネット上のドメインを匿名で登録したりすることが多く、提訴時点で被告の正確な身元を特定できないケースが少なくありません。このような状況に対応するため、インドでは、身元が判明していない侵害者をAshok Kumar被告(英米法におけるJohn Doe被告に相当)として提訴し、差止命令を求める実務が確立しています。インドの裁判所は、事案に特別な事情がある場合にはJohn Doe命令を発することが正当化されると認めています。
デリー高裁が2002年6月14日に下したTaj Television Ltd. & Anr.対Rajan Mandal and Ors.事件(Dalveer Bhandari判事)において、裁判所は、事案に特別な事情がある場合にはインドの裁判所もJohn Doe命令を発することが正当化されると判示しました。もっとも同事件で実際に命じられたのは、裁判所コミッショナーを指名し、被告らの営業所を捜索して放送用機材を目録化のうえ保管させるとともに、他のケーブル事業者の施設にも立ち入って写真・ビデオで証拠を収集させるという措置でした。同事件は放送番組の無断再送信をめぐる著作権の事案でしたが、身元不明の侵害者をJohn Doe(Ashok Kumar)被告として提訴する手法は、その後の著作権侵害訴訟でも用いられています。たとえばデリー高裁は2019年4月10日のUTV Software Communications Ltd.対1337X.to事件で、身元不明のサイト運営者やアップローダーをJohn Doe被告として列挙した訴訟について、被告サイトおよびその代理人等に対する恒久的差止と、後日判明したミラーサイトを追加して遮断できる仕組みを認めました。この命令を取得することで、権利者は被告の氏名や法人名を特定できていない段階でも、侵害行為を行っている者や違法ウェブサイトの運営者に対して差止めの効力を及ぼし、プロバイダーを通じたサイトの遮断や現場での物品の差押えを求めることができます。
インドのオンラインマーケットプレイスにおける権利侵害

実店舗や倉庫での物理的な摘発と並行して、Eコマース市場における模倣品対策も欠かせません。オンラインマーケットプレイス上で自社ブランドの模倣品が流通しているのを発見した場合、権利者はプラットフォーム運営者が後述の2021年IT規則に基づき公表している苦情処理責任者(Grievance Officer)に対し、削除要請(Notice and Takedown)を行うことになります。
この手続きの法的根拠となるのが、2021年情報技術(仲介者ガイドラインおよびデジタルメディア倫理規範)規則(Information Technology (Intermediary Guidelines and Digital Media Ethics Code) Rules, 2021/G.S.R. 139(E), 2021年2月25日)です。同規則はその後も改正されており、2026年2月10日のG.S.R. 120(E)による改正を反映した版が現行です。仲介者(Intermediary)は2000年情報技術法第2条第1項(w)に定義され、同号は電気通信事業者や検索エンジンと並んでオンラインマーケットプレイス(online-market places)を明示的に含めています。同規則はこの仲介者に対しデューデリジェンス義務を課しており、第3条第1項(b)(iv)は「特許、商標、著作権その他の財産的権利を侵害する」情報を掲載しないよう利用者に周知することを求めています。なお、インド国内に500万人(fifty lakh)以上の登録ユーザーを持つソーシャルメディア仲介者は、「重要なソーシャルメディア仲介者(Significant Social Media Intermediary)」に分類され、コンプライアンス責任者(Chief Compliance Officer)や法執行機関との24時間365日の連絡窓口となる担当者の任命など、追加的な義務を負います(同規則第2条第1項(v)・第4条第1項。閾値はS.O. 942(E)/2021年2月25日により指定)。もっとも、この類型は主として利用者間の相互作用を可能にする仲介者を対象とするもので(同条同項(w))、オンラインマーケットプレイスが当然にこれに当たるわけではありません。
前述のBridgestone Corporation事件においても、原告は提訴前の2022年8月8日、被告が侵害標章を付した製品を掲載していたオンライン取引ディレクトリのTradeIndia(www.tradeindia.com)に対し、当該製品の削除を求める法的通知(Legal Notice)を送付しています。この通知を受けたTradeIndiaは、当該侵害品のリスティングを削除しました。もっとも、被告はその後も侵害品の取扱いを続けており、2023年1月の実地調査でその事実が判明したため、原告は同年4月に提訴しています。削除要請は流通経路の一つを塞ぐ手段にとどまり、侵害行為そのものの停止を保証するものではありません。もっとも、規則が保障する迅速性には限界があります。2021年IT規則第3条第2項(a)(i)は苦情を24時間以内に受領確認し7日以内に処理するよう求めていますが、36時間以内の優先処理を定める同項ただし書は、知的財産権侵害(同規則第3条第1項(b)(iv))を明文で対象から除外しています。また、3時間以内の削除義務を課す第3条第1項(d)にいう「現実の認識(actual knowledge)」は、管轄裁判所の命令、または権限を有する政府職員(原則としてJoint Secretary級以上)による理由付きの書面通知によってのみ生じるとされ、権利者からの私的な通知では生じません。したがって削除通知は有効な初動手段ですが、プラットフォームが応じない場合には裁判所の命令を取得する必要があります。
水際対策:税関を通じた模倣品の流入阻止
国内での製造や販売を摘発するだけでなく、近隣諸国からインドへ流入する模倣品を国境の水際で阻止することも、レイドを補完する手段として重要です。インドの税関における模倣品の輸入差止手続は、2007年知的財産権(輸入貨物)執行規則(Intellectual Property Rights (Imported Goods) Enforcement Rules, 2007/Notification No. 47/2007-Cus. (N.T.), 2007年5月8日)によって規定されています。
この規則に基づき、権利者は輸入港の税関長(Commissioner of Customs)またはその授権を受けた税関職員に対し、規則附属の様式による通知書を、手数料2,000ルピーの納付を証する書類を添えて提出することができます(第3則)。税関長は原則として30営業日以内に登録の可否を通知し(第4則第1項)、登録した場合は、その通知が対象とするすべての税関官署に速やかに内容を伝達します(第4則第3項)。税関長によってこの通知が正式に登録されると、最低1年間の有効期間中、税関当局は模倣品の疑いがある貨物を発見した際に独自に検査を行い、輸入手続きを一時的に差し止める権限を行使します。
この制度を利用する際の実務上の注意点として、権利者は登録の条件として2種類の債務証書を差し入れる義務を負います(第5則)。一つは、輸入者・荷受人・貨物の所有者および所管当局を一切の責任から保護し、廃棄または処分に至るまでの廃棄費用・保管超過料・留置料を負担することを約する債務証書(bond)で、その金額・保証人・担保は税関長が適当と認めるところによります(同則(a))。もう一つは、貨物の解放停止に伴う一切の責任と費用について税関当局を免責する補償債務証書(Indemnity Bond)です(同則(b))。また、税関が職権で貨物の解放を停止した場合には、真贋判定のための情報提供、技術的知見および設備の提供を権利者に求めることができます(第7則第5項)。さらに、解放停止から10営業日以内に権利者が手続に参加しなければ貨物は解放されてしまいます(権利者の通知に基づく停止は第7則第3項、税関の職権による停止は同則第6項)。この期限は税関長またはその授権を受けた職員の判断で延長できますが、延長幅は第3項の場合が10日、第6項の場合が10営業日と異なります。生鮮品はさらに短く、停止期間は3営業日、延長は4日までです(同則第7項・第8項)。したがって、迅速に鑑定担当者を派遣できる体制を構築しておく必要があります。水際対策は、国内の工場に対するレイドやオンラインでの削除手続きと組み合わせることで効果を発揮します。
まとめ
インドにおける模倣品対策は、民事的な法的措置と、警察権力を背景とした刑事的な実地摘発を組み合わせることで実効性を確保できます。刑事手続きにおいては、法律で規定された階級を満たす警察官との折衝や、事前の商標登録官からの意見書取得といった、日本にはない手続き要件を満たす必要があります。一方の民事手続きにおいては、ローカルコミッショナーを活用した迅速な証拠保全のためのレイドの実行や、身元不明の匿名の侵害者に対するAshok Kumar命令の取得、さらには悪質な侵害者に対する懲罰的・加重損害賠償の請求など、インド特有の司法上の手段を活用することが鍵となります。これらに加えて、IT規則に基づくオンラインマーケットプレイスでの削除要請や税関での水際対策を並行して進めることで、サプライチェーンの各段階でブランド価値を守ることができます。
モノリス法律事務所は、ITおよびインターネット関連法務において高度な専門性を有しており、Eコマース市場におけるオンラインの権利侵害対策やデジタルプラットフォームへの対応に深い知見を持っています。さらに、当事務所はインド現地の有力な法律事務所と強固な提携関係を構築しており、現地の複雑な法令や手続きに精通しています。本稿で解説したような、現地警察との折衝を伴う実地摘発の手配から、現地の裁判所におけるAnton Piller命令の取得、高額な損害賠償請求訴訟の遂行まで、最新の実務慣行に基づいた包括的なサポートを提供することが可能です。インドという複雑かつ巨大な市場において、自社の大切なブランドと事業基盤を守り抜くため、必要な法令要件を満たした的確な対応をお考えの際は、モノリス法律事務所の専門的なリーガルサービスをご活用ください。
モノリス法律事務所は、インド法務に関する調査および情報提供を目的として、現地法律事務所Quest IP Attorneysと非独占的な提携関係(Associate Firm / Correspondent Firm)にあります。
カテゴリー: クロスボーダー
































