弁護士法人 モノリス法律事務所03-6262-3248平日10:00-18:00(年末年始を除く)

法律記事MONOLITH LAW MAGAZINE

風評被害対策

人の写真を勝手に載せると罪になる?慰謝料の相場と削除請求の手順を解説

風評被害対策

人の写真を勝手に載せると罪になる?慰謝料の相場と削除請求の手順を解説

友人が撮った集合写真をInstagramに上げられた。退職した会社のサイトに自分の顔が残っている。元交際相手が写真を拡散している。入口はさまざまですが、聞かれることはだいたい同じです。これは犯罪なのか、いくら請求できるのか、どうすれば消えるのか。

写真を無断で載せる行為そのものを罰する条文は、日本の刑法にありません。それでも民事では肖像権の侵害として慰謝料を請求でき、写真の中身や添えた文言しだいでは名誉毀損罪や撮影罪が成立します。

成立しうる5つの罪と法定刑、侵害にあたるかを分ける4つの基準、請求できる慰謝料をまとめます。あわせて、総務省が指定した大規模プラットフォームが、削除の申出に7日以内に回答する義務も扱います。法定刑は2026年9月時点の現行条文です。

名前や住所を含めた個人情報の晒し全般がどの罪にあたるかは、別記事で扱っています。

人の写真を勝手に載せると罪になるのか

写真を勝手に載せられても、それだけで投稿者が逮捕されることはまずありません。肖像権の侵害を直接処罰する条文がないからです。ただ、犯罪にならないことと責任を問えないことは別です。

写真の無断掲載だけでは処罰されない

肖像権は条文で定められた権利ではなく、裁判の積み重ねによって人格的な利益として保護されるようになったものです。他人の写真を無断で載せたという事実だけを取り出して警察が動くことは、まずありません。

罪名がないことを、お咎めなしと読み替えないでください。刑事事件にならない行為でも、民事の不法行為としては成立します。

民事では肖像権の侵害として慰謝料を請求できる

故意または過失によって他人の権利や法律上保護される利益を侵害した者は、生じた損害を賠償する責任を負います。財産以外の損害、つまり精神的な苦痛についても同じです。

参考:e-Gov法令検索「民法」709条・710条

肖像権はこの法律上保護される利益にあたります。もっとも、写真を載せられれば常に違法になるわけではありません。後述する事情を総合して、社会生活上受忍すべき限度を超えると評価された場合に、投稿者へ慰謝料の支払いと写真の削除を求められます。金額の考え方は後の章でまとめます。

写真の内容や添えた文言しだいで犯罪が成立する

刑事責任が生じるかどうかは、写真そのものよりも、何を一緒に投稿したか、どんな写真か、誰が撮ったかで決まります。社会的評価を下げる事実を書き添えたのか。罵倒だけか。性的な姿態が写っているか。撮影者は本人以外か。この4つで、成立する罪が変わります。

人の写真を勝手に載せると罪になるのか

写真の無断掲載で成立しうる5つの罪と法定刑

写真の無断掲載から刑事事件に発展する場合、問われるのは次の5つです。法定刑はいずれも2025年6月1日に施行された拘禁刑への一本化を反映した現行の条文です。

▼ 写真の無断掲載で成立しうる罪と現行の法定刑

罪名根拠条文法定刑
名誉毀損罪刑法230条1項3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金
侮辱罪刑法231条1年以下の拘禁刑もしくは30万円以下の罰金、または拘留もしくは科料
性的姿態等撮影罪・性的影像記録提供等罪性的姿態等撮影処罰法2条1項・3条2項撮影は3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金。提供と公然陳列は5年以下の拘禁刑もしくは500万円以下の罰金、または併科
私事性的画像記録提供等罪リベンジポルノ防止法3条1項3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金
著作権侵害著作権法119条1項10年以下の拘禁刑もしくは1000万円以下の罰金、または併科

名誉毀損罪にあたるケース

顔写真とともに、その人の社会的評価を下げる具体的な事実を書き込んだ場合です。不倫している、金を借りて返さない。こうした内容が典型で、書いた事実が真実かどうかは成立に影響しません。ただし刑法230条の2により、公共の利害に関する事実で、専ら公益を図る目的があり、真実であることが証明された場合には処罰されません。

名誉毀損罪は親告罪です。被害者が告訴しなければ、検察官は起訴できません。

侮辱罪にあたるケース

不特定または多数の人が知り得る状態で、具体的な事実を挙げず、写真に罵倒の言葉だけを添えた場合です。令和4年の改正で法定刑が引き上げられ、公訴時効も1年から3年に延びました。名誉毀損罪と同じく親告罪です。

撮影罪や性的影像記録提供等罪にあたるケース

性的な姿態が写った写真を、正当な理由なくひそかに撮影する行為が撮影罪です。撮影した本人がその記録を提供したり公然と陳列したりすれば性的影像記録提供等罪にあたり、不特定または多数への提供はより重く処罰されます。撮影に関与していない第三者が拡散した場合は、この罪ではなく次のリベンジポルノ防止法違反や名誉毀損罪の成否を検討します。

盗撮された写真を拡散された事案は、民事の肖像権・プライバシー権侵害にあたるうえに、刑事事件としても扱えます。警察に相談する意味がある類型で、並行して損害賠償請求も検討できます。撮影行為そのものの成否は別記事で詳しく扱っています。

リベンジポルノ防止法違反にあたるケース

性的な姿態が写った私的な画像を、本人の承諾なくばらまく行為です。交際相手による報復が典型ですが、交際関係があったことも別れた後であることも要件ではありません。第三者が本人を特定できる方法で、不特定または多数に提供し、または公然と陳列した時点で成立します。この罪も親告罪です。

著作権侵害にあたるケース

見落とされやすいのがここです。自分で撮った写真を無断で転載された場合、被害者は写っている本人であると同時に、その写真の著作者でもあります。肖像権とは別に、複製権と公衆送信権の侵害を主張できます。

請求できる相手も中身も変わります。肖像権の侵害は精神的な苦痛に対する慰謝料ですが、著作権の侵害では使用料相当額を損害として請求できます。もっとも、個人が撮影した写真の使用料相当額は、1枚あたり数千円程度とそれほど高額にならないことが多く、慰謝料に上乗せできる範囲は事案によります。なお著作権侵害罪も親告罪です。

人の写真を勝手に載せた場合に関わる3つの権利

民事で主張できる権利は3つですが、一般の方の写真で実際に使えるのは、はじめの2つです。どれを根拠にするかで、請求の中身と算定の考え方が変わります。

肖像権

自分の容貌や姿を、勝手に撮影されたり公表されたりしない権利です。憲法13条の幸福追求権に含まれる人格的な利益として、裁判で認められてきました。一般の人にも等しく認められます。

プライバシー権

私生活上の事柄をみだりに公開されない権利です。写真は、写っている場所や一緒に写っている相手から、居住地や交友関係まで伝えてしまいます。顔そのものより周辺情報のほうが問題になる場面は少なくありません。

パブリシティ権

顧客を引きつける力を持つ肖像を経済的に利用する権利で、名前や姿に商業的な価値がある人に認められます。一般の方の写真が無断で使われた場合、争えるのは肖像権とプライバシー権です。

写真の無断使用が肖像権侵害になる4つの基準

肖像権には条文がないぶん、どこからが侵害かは裁判例の蓄積から読み取ることになります。実務では次の4つを組み合わせて判断します。1つ当てはまれば違法というものではなく、全体を見て、我慢すべき限度を超えているかを決めます。

撮影した写真から個人の特定ができるかどうか

顔にピントが合っている、大きく写っている、名前やアカウントが併記されている。こうした事情から誰であるか分かる状態であれば、侵害が認められやすくなります。モザイクをかけても、体格や服装や背景から特定できれば同じです。逆に、大勢の中に紛れていて判別できない写り込みは、侵害にあたりません。

公開された先の拡散性が高いかどうか

誰でも閲覧できるSNSや掲示板に投稿されれば、拡散性は高いと評価されます。鍵付きアカウントや少人数のグループでも、そこから転載される経路があるなら、裁判所は同じように見ます。スマートフォンの画面を友人数人に見せただけであれば、公開とまでは評価されにくくなります。

撮影した場所が公共の場かどうか

自宅、ホテルの客室、病室、更衣室のように、他人の視線が届かない場所で撮られた写真は、侵害と認められやすくなります。道路や公園やイベント会場は、人目に触れることがもともと想定されている場所なので、侵害を否定する方向に働く事情です。ただし場所だけで結論は決まりません。

無断での撮影・公開であるかどうか

撮影を許したことと、公開を許したことは別に判断されます。写真を撮られるのは構わないと答えた人が、それをSNSに上げてよいと言ったことにはなりません。撮影時に公開の意図がなかったとしても、あとから載せるなら改めて承諾が要ります。もっとも、大会や式典のように撮影されることが当然に予定された場面で、本人がカメラに向かってポーズをとったような場合には、黙示の承諾があったと評価されることがあります。

この4つは目安です。自分のケースが侵害にあたるかは、写真の中身と公開された場所の組み合わせで結論が変わります。

写真を載せても肖像権侵害にならないケース

写真を載せても肖像権侵害にならないケース

侵害にあたらないと評価される場面もあります。代表的なのは次の3つです。

背景に小さく写り込んだだけの場合

観光地で撮った風景写真の背景に通行人が小さく入っているような場合、その人が誰か分からなければ肖像権の侵害にはなりません。判断の軸は面積ではなく、特定できるかどうかです。

撮影と公開の双方に同意がある場合

同意があれば侵害にはなりません。ただし同意には範囲があります。社内報に載せる前提で撮った写真を、退職後も会社の採用サイトで使い続ける行為は、当初の同意の範囲を超えていると評価される余地があります。

報道や公益目的で受忍限度の内側にとどまる場合

事件の報道や、公共の場で行われた集会の記録がこれにあたります。もっとも、公的な立場の人であっても、自宅の室内のように純粋に私的な領域で撮られた写真まで公開が許されるわけではありません。

写真の無断掲載で請求できる慰謝料の相場

肖像権やプライバシー権だけを理由とする慰謝料は、数万円から数十万円に収まることが多くなっています。ただしこれは下限に近い数字です。性的な要素を含む写真や、誹謗中傷を伴う投稿では、次に挙げる要素によって金額が上がります。

金額を左右するのは次の4点です。写真の性質、つまり私的な空間で撮られたものか性的な要素を含むか。どこまで広がり、どれだけの期間さらされていたか。削除を求めたときに相手が応じたかどうか。そして写真に添えられた文言です。誹謗中傷が伴えば、名誉毀損としての慰謝料が上乗せされます。

請求できるのは慰謝料だけではありません。写真の削除は差止請求として求められ、投稿者の特定に要した調査費用や弁護士費用の一部も損害として認められることがあります。自撮り写真であれば、著作権侵害としての請求も重ねられます。

実際にいくら認められたのか、2件の裁判例で確かめます。肖像権侵害の慰謝料をさらに詳しく知りたい方は、次の記事もあわせてご覧ください。

写真が勝手に公開された事例・判例

写真が勝手に公開された事例・判例

実際に請求が認められた事案を2件紹介します。どちらもX、当時のTwitter上の投稿が問題になったものです。

Xで損害賠償が認められた裁判例

私的に撮影された緊縛状態の写真が、本人の許可なく複製され、X上に投稿された事案です。原告は著作権と肖像権とプライバシー権の侵害を主張しました。裁判所は著作権侵害とプライバシー権侵害を認め、加害者に合計47万1,500円の損害賠償を命じています。東京地裁平成30年9月27日判決、平成29年(ワ)第41277号です。

私的な空間で撮られた性的な要素を含む写真という、慰謝料が高くなりやすい類型です。認容額には著作権侵害分と弁護士費用相当額も含まれており、集合写真やイベント写真の無断投稿がただちに同水準になるわけではありません。

参考:裁判所「裁判例結果詳細 平成29(ワ)41277 東京地方裁判所 平成30年9月27日判決」

Xで発信者情報の開示が認められた裁判例

原告夫婦の子どもの写真が、事実と異なる説明を添えてXに投稿された事案です。原告夫婦はまずX社からIPアドレスの開示を受け、そのうえでプロバイダに対して投稿者の情報開示を求めました。新潟地裁平成28年9月30日判決は、肖像権が侵害されていることは明らかだとして開示を命じています。開示が認められるには権利侵害が明らかであることが必要で、裁判所はこの点を認めたものです。

同じ判断の枠組みは、InstagramやYouTubeの投稿にも使われます。媒体ごとの実務は次の記事で扱っています。

写真を勝手に載せられた場合の対処法

動く順番を間違えると、取れるはずの選択肢が消えます。削除を急いで証拠が残らなければ、あとから投稿者を特定することも、慰謝料を請求することもできなくなります。

どこまで自分でできるかも先に示します。証拠の保全と、運営会社への削除申出は、ご自身でできます。発信者情報開示命令の申立てと削除の仮処分は裁判所の手続です。弁護士に依頼するのが現実的で、示談交渉と訴訟も同じです。自分で削除を申し出たあとに弁護士へ依頼しても、手続のうえで不利にはなりません。

まず証拠を保全する

投稿のURL、投稿日時、アカウント名が1つの画面に同時に写る形で保存してください。一部を切り取ったスクリーンショットでは、どこに投稿されたものか特定できず、裁判で使いにくくなります。ページ全体をPDFで残す方法が確実です。

通信記録の保存期間には限りがあります。プロバイダによって幅がありますが、3か月から1年程度が一般的で、携帯回線は3か月ほどで消えてしまうこともあります。投稿を見つけたらすみやかに証拠を保全することで、通信記録の消失により投稿者の特定が不可能になることを防ぐことができます。

写真を勝手に載せられた場合の対処法

運営会社へ削除を申し出る

主要なSNSには、権利侵害を理由とする削除の申出フォームが用意されています。書くべきことは決まっています。問題の投稿のURL、侵害されている権利、申出をしているのが本人だと示す資料。写真の中の誰が自分なのかまで明示してください。

申出の入口は2つあります。投稿のメニューから通報する経路と、各社が別に設けている権利侵害専用のフォームです。肖像権やプライバシーの侵害を理由にするなら、専用フォームのほうが確実です。本人確認資料として身分証の提出を求められることがありますが、氏名と顔写真以外の記載はマスクしてかまいません。

申出を受けた運営会社がいつまでに答えるべきかは、法律で決まっています。

投稿者を特定して損害賠償を請求する

匿名アカウントからの投稿でも、裁判所に発信者情報開示命令を申し立てることで投稿者にたどり着ける場合があります。ただし通信記録の保存期間が過ぎている、権利侵害が明らかとまではいえない、海外事業者が相手であるといった事情があると、特定に至らないこともあります。2022年10月には、従来の仮処分と訴訟を別々に行う方法に加えて、一体の手続で進められる発信者情報開示命令の制度が新設されました。

特定できたら、その相手に慰謝料と削除を請求します。ここでも急ぐ理由は通信記録です。通信記録が消えたあとでは開示を受けられません。

費用と期間の目安も示しておきます。当事務所が発信者情報開示命令の新手続で投稿者特定を受任する場合、着手金は33万円からです。プロバイダの開示までの一次成果報酬金が22万円から、投稿者の住所と氏名が判明した時点の二次成果報酬金が33万円から。いずれも税込みです。期間は、プロバイダの開示までおよそ2週間程度、住所氏名の開示までおよそ2か月半程度をみています。

慰謝料で費用の全額を回収できるとは限りません。肖像権侵害の慰謝料が数万円から数十万円であるのに対し、投稿者特定の手続にはそれを上回る費用がかかります。それでも投稿者を特定する価値があるかは、拡散の規模と、今後の投稿を止める必要があるかで判断が分かれます。

警察に相談できるケースを見きわめる

肖像権の侵害だけを理由に相談しても、警察が動くことは期待しにくいのが実情です。可能性が上がるのは、先に挙げた5つの罪のいずれかが絡む場合です。脅迫的な文言が添えられている、虚偽の事実を書かれている、盗撮された写真が公開されている。こうした事情があれば、被害届や告訴状の提出を検討してください。なお名誉毀損罪・侮辱罪・私事性的画像記録提供等罪・著作権侵害はいずれも親告罪で、告訴は犯人を知った日から6か月以内に行う必要があります。投稿者が判明した時点で期間が進むため、民事の手続と並行して早めに検討してください。

被害届と告訴状は別のものです。被害届は被害を届け出る書面で、受理されれば捜査の端緒になります。告訴状は処罰を求める意思表示で、親告罪では告訴がなければ起訴できません。そのぶん受理のハードルは高くなります。相談先は最寄りの警察署か、各都道府県警のサイバー犯罪相談窓口です。保全した投稿のPDF、URLの一覧、身分証、経緯をまとめたメモを持参すると話が早く進みます。

刑事にのせるほどではない段階なら、総務省の支援を受けている違法・有害情報相談センターや、法務局の人権相談窓口という選択肢もあります。

写真については、個人を特定することが可能な場合には、肖像権の侵害にあたるおそれがあると案内されています。

参考:警視庁「自分の名前や顔写真を無断で使用された」

SNS運営会社には削除申出に7日以内に回答する義務がある

運営に言っても無視される。そう思って諦めている方は少なくありませんが、状況は2025年に変わりました。

同年4月1日、プロバイダ責任制限法が改正され、法律名も情報流通プラットフォーム対処法に変わりました。この改正で、総務省が指定した大規模なプラットフォーム事業者には2つの義務が課されています。削除の申出を受けたら遅滞なく調査すること。そして、申出を受けた日から7日以内に、削除したかどうかとその理由を申出者へ通知することです。

実際に守るべき期限は7日です。法律が定める上限は14日ですが、その枠内で総務省令がさらに短い7日と決めているためです。調査のために投稿者の意見を聴く場合など、例外にあたるときは、その旨を7日以内に知らせたうえで判断後に通知することになります。

参考:e-Gov法令検索「情報流通プラットフォーム対処法」25条1項・同施行規則16条

指定されているのは、2026年8月31日時点で13者です。写真の無断掲載で問題になりやすいサービスは、ほぼ含まれています。

▼ 大規模特定電気通信役務提供者として指定されている主な事業者

事業者対象サービス指定日
Google LLCYouTube令和7年4月30日
Meta Platforms, Inc.Facebook、Instagram、Threads令和7年4月30日
X Corp.X令和7年4月30日
TikTok Pte. Ltd.TikTok、TikTok Lite令和7年4月30日
LINEヤフー株式会社Yahoo!知恵袋、LINEオープンチャット、LINE VOOM ほか令和7年4月30日

7日を過ぎても通知が来ない、削除しないという回答が返ってきた。そうした場合は、裁判所に削除の仮処分を申し立てる段階に移ります。申出の書き方で結論が変わるため、一度で通す構成にしておくほうが早く終わります。仮処分は、申立てから発令まで数週間から1〜3か月程度をみておく手続です。裁判所に担保金を預ける必要がありますが、事件が終われば返してもらえます。実務上は弁護士に依頼して進めることになります。

SNS運営会社には削除申出に7日以内に回答する義務がある

人の写真を勝手に載せてしまった場合にすべきこと

悪気なく載せてしまった側からの相談もあります。写真を撮られる側への配慮を欠いた投稿は、フォトハラスメントと呼ばれることもあります。

まずは投稿を削除し、本人に連絡して謝罪してください。悪意がなかったことは責任を免れる理由になりません。民法709条は過失による侵害も対象にしています。

顔にモザイクやスタンプをかければ足りると考えがちですが、体格や服装や背景から特定できる状態が残っていれば侵害は解消されません。加工よりも削除が確実です。すでに転載されて広がっている場合、自分の投稿を消しても拡散は止まりません。

人の写真の無断掲載についてよくある質問

LINEのグループに友達の写真を載せるのも肖像権侵害になりますか

なり得ます。閉じたグループであっても、参加者の人数が多ければ拡散性は低いと言えず、そこから転送される可能性もあるためです。数人のやり取りで完結する場合は侵害と評価されにくくなりますが、載せられた本人が嫌がっているなら削除するのが無難です。

インスタのストーリーに勝手に載せられた場合も同じですか

同じです。24時間で消える形式でも、公開されている間に権利の侵害は生じており、スクリーンショットで残されれば被害は続きます。消える前に、URLと投稿日時が分かる形で保存してください。

写真ではなく動画の場合も肖像権侵害になりますか

なります。判断の枠組みは写真と変わりません。むしろ動画は、声や話した内容や移動の経路まで記録されるため、プライバシーの侵害としても評価されやすくなります。

子どもの写真を無断で載せられた場合は誰が請求できますか

肖像権は子ども本人の権利です。ただ、未成年者が自分で訴訟を起こすことはできないため、実際には親権者が法定代理人として請求します。前述の新潟地裁の事案も、子どもの写真について両親が開示を求めたものです。

まとめ:写真の無断掲載は慰謝料を請求でき、内容しだいで刑事罰の対象にもなる

写真を無断で載せる行為そのものを罰する条文はありませんが、民事では肖像権の侵害として慰謝料を請求できます。写真に添えた文言や写真の中身によっては、名誉毀損罪から著作権侵害まで、複数の罪が成立します。

動く順番は、証拠の保全、削除の申出、投稿者の特定です。総務省が指定した大規模プラットフォームであれば、原則として申出から7日以内に結果が通知されます。急ぐ理由は2つあります。通信記録に保存期間があること。そして損害賠償を求める権利が、損害と加害者を知った時から3年で時効にかかることです。投稿者がすでに分かっている場合も、早く動くほど選べる手段が多くなります。

当事務所による対策のご案内

モノリス法律事務所は、ITとインターネットに関する法律問題を中心に扱う法律事務所です。写真を無断で掲載された事案では、証拠の保全から運営会社への削除申出、発信者情報開示命令による投稿者の特定、損害賠償請求と示談交渉までを一連で担当します。すでに拡散して消えなくなった情報については、デジタルタトゥー対策として継続的な削除にも対応しています。

弁護士 河瀬 季

モノリス法律事務所 代表弁護士。元ITエンジニア。IT企業経営の経験を経て、東証プライム上場企業からシードステージのベンチャーまで、100社以上の顧問弁護士、監査役等を務め、IT・ベンチャー・インターネット・YouTube法務などを中心に手がける。

シェアする:

TOPへ戻る