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インドの委託製造(Contract Manufacturing):FDI 100%自動認可の活用と契約

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インドの委託製造(Contract Manufacturing):FDI 100%自動認可の活用と契約

インド市場に参入するにあたり、自社工場を持たずに現地の生産能力を活用する委託製造(Contract Manufacturing)は、初期投資を抑えながら大きな内需を取り込むアセットライトな戦略として有効です。近年のインド政府による外資直接投資(FDI)規制の緩和により、特定の要件を満たす委託製造は、外資出資比率100%が認められる製造業定義に合致し、自動認可の対象となる法的枠組みが整備されました。

本記事では、この100%自動認可を活用するための実務的な要件と契約設計を解説します。さらに、現地サプライチェーンを利用する際に直面する厳格な製造物責任への対応や、中小企業保護法令に基づく支払遅延リスク、そして技術移転に伴う知的財産の帰属や恒久的施設(PE)認定による税務リスクなど、インドで委託製造の契約を締結する際に必要となる最新の法令情報を整理します。

インドの外資直接投資政策における100%自動認可と製造業定義

インド政府は、自国の製造業振興と外資誘致を目的とした「メイク・イン・インディア」政策を推進しており、その一環として外資直接投資(FDI)の要件を継続的に緩和しています。2019年9月18日付のPress Note No. 4 (2019 Series)および2020年の統合FDIポリシー(Consolidated FDI Policy Circular of 2020)、ならびにインド外国為替管理法(FEMA)に基づく2019年非負債証券規則(Foreign Exchange Management (Non-debt Instruments) Rules, 2019)によって、委託製造に関する法的取り扱いが明確化されました。Press Note 4は、FDIポリシーの定めに従うことを前提として、製造業への外国投資は自動認可ルートによるものとしたうえで、製造活動は投資先企業による自社製造でも、法的に有効な契約に基づく「本人対本人(Principal to Principal)」または「本人対代理人(Principal to Agent)」いずれの形態によるインド国内での委託製造でもよい旨を定めています。なお非負債証券規則に委託製造の文言が入ったのは2019年10月17日の原公布時ではなく、S.O. 4355(E)(2019年12月5日)が附則I Sl. No. 5.1中の一文を差し替え、委託製造に関する記述を加えたことによるものです。これらの法令によれば、製造業における100%外資の自動認可ルート(政府の事前承認を必要としないルート)は、自社で製造設備を保有し生産活動を行う企業だけでなく、インド国内の第三者に製造を委託する企業に対しても等しく適用されます。

製造業定義を満たしてこの自動認可を受けるためには、法的に有効な契約(legally tenable contract)に基づいて委託製造が行われていることが条件となります。この製造業定義を満たすことの最大の法的利点は、インド国内で製造された製品を、原則として政府の事前承認を得ることなく、卸売や小売、さらにはEコマースを通じて販売できる点にあります。通常、インドにおいて単一ブランド小売業(SBRT)に51%を超える外資を導入する場合には、購入する商品の価額の30%以上をインド国内から調達しなければならないというローカルソーシング要件が課されます(当初5年間は調達総額の平均で、その後は年度ごとに判定されます)。

しかし、製造業として100%自動認可を受ければ、インド国内で製造した自社製品については政府の事前承認なしに卸売・小売・Eコマースの各チャネルを利用できるため、アセットライトな進出戦略を採用する企業にとって大きな利点となります(ただしインドで製造・生産された食品の小売については、統合FDIポリシー5.2.5.2により政府承認ルートが適用されます)。外資直接投資政策に関する詳細な要件や統合FDIポリシーの条文は、インド商工省産業国内取引促進局(DPIIT)の公式ウェブサイトで確認することができます。

参考:DPIIT(インド商工省産業国内取引促進局)|統合FDIポリシー(Consolidated FDI Policy、2020年10月15日施行)

単なる完成品の仕入れ(Trading)とみなされた場合には、小売やEコマースで外資規制の対象となります。そのため委託製造契約書には、委託元が製品の設計や技術仕様を独自に提供し、品質管理に深く関与している実態を明文化し、真の委託製造プロセスであることを立証できる状態にしておく必要があります。

インドの消費者保護法に基づく厳格な製造物責任と品質管理

インドの消費者保護法に基づく厳格な製造物責任と品質管理

インドで委託製造を利用する際、実務上の大きな関門となるのが、2019年に制定され2020年に施行された消費者保護法(Consumer Protection Act, 2019)に基づく製造物責任(Product Liability)への対応です。この法律は、製造物責任を第VI章(第82条〜第87条)という独立の章に明文化し、製品の欠陥によって消費者に生じた損害について、製造者・役務提供者・販売者の責任を広く定めています。廃止された1986年消費者保護法の本文には製造物責任(product liability)の語も、これを規律する章も置かれておらず、成文法上の製造物責任制度は2019年法によって導入されました。同法第84条によれば、製造業者は、製造上の欠陥や設計上の欠陥にとどまらず、製造仕様からの逸脱や明示的保証への不適合、さらに損害を防ぐための適切な使用説明書や警告の欠如があった場合、厳格な賠償責任を負います。

特に明示的保証への不適合に関しては、製造業者が過失や詐欺的意図がなかったことを証明した場合であっても、責任を免れることはできないと規定されています。

参考:India Code(インド政府法令データベース)|The Consumer Protection Act, 2019 (Act No. 35 of 2019)

日本の製造物責任法(PL法)と比較すると、インドの消費者保護法には、責任主体や損害の範囲に留意すべき違いがあります。

比較項目日本の製造物責任法(PL法)インドの消費者保護法(2019年)
責任主体の範囲主に製造業者や輸入業者が対象。単なる販売業者は原則として対象外。製造業者(第84条)に加え、製品関連サービス提供者(第85条)や製品販売業者(第86条)も責任主体となる。ただし製造業者でない販売業者の責任は、設計・製造等への実質的関与や自ら行った改変など第86条の限定列挙事由に該当する場合に限られる。
製造業者の定義自ら製造した者や、実質的な製造業者と認められる氏名表示をした者。自ら製造・組み立てを行う者に加え、他人が製造した製品に自社のブランド名やロゴを付す者(委託元)も明示的に含まれる。
損害の定義生命、身体、または製品以外の財産に対する侵害。身体的損害、財産的損害に加え、身体的損害・疾病または財産損害に伴う精神的苦痛(Emotional distress)も明示的に損害に含まれる。一方で、製品自体の損害、保証条件違反に起因する財産損害、および商業的・経済的損失は損害から除外される。
免責事由の違い開発危険の抗弁(引き渡し時の科学技術水準では欠陥を認識できなかったこと)が認められる。消費者による製品の不正改造や誤用は、製品販売業者に対する請求を排除する事由にとどまる(第87条第1項)。製造業者の免責は、警告・説明の不備を理由とする請求について第87条第2項が列挙する場合や、危険が明白・周知である場合(同条第3項)に限られ、明示的保証違反に対する過失の不在は免責事由とならない。

上表の通り、インドの法律下では、自社工場を持たずに他社に製造を委託しただけであっても、製品に自社ブランドのロゴを付して販売する限り、委託元は「製造業者(Product Manufacturer)」として扱われます。したがって、受託した現地の製造工場の過失による欠陥であっても、ブランドオーナーである委託元が直接的に損害賠償請求の対象となります。

これを防ぐためには、委託製造契約において品質基準と責任分界点を緻密に設計する必要があります。設計や仕様の瑕疵は委託元が責任を負う一方で、製造プロセスにおける仕様からの逸脱や部品の不具合に起因する責任は、受託者が完全に負担する旨を規定し、消費者からの損害賠償や製品回収(リコール)に要した費用を受託者に求償できる補償条項(Indemnity Clause)も併せて規定します。

インド中央消費者保護局(CCPA)は、危険な製品の強制的な回収や虚偽広告の差し止め、さらには消費者への返金を命じる権限を有しています。委託元に定期的な品質監査権限を付与する条項を設けておくことは、法的トラブルを避けるうえで有効です。

インドのサプライチェーン活用とMSMED法に基づく支払遅延リスク

インド国内のサプライチェーンを活用して委託製造を行ううえで、日本の商習慣と大きく異なるのが、2006年中小零細企業開発法(Micro, Small and Medium Enterprises Development Act, 2006:MSMED法)に基づく代金支払規制です。インドにおける下請け保護法制とも言えるこの法律は、零細企業・小規模企業(MSE)を供給者(supplier)として保護するもので、買主(buyer)の側は規模を問わず適用対象となり、MSEに対する支払いの遅延には重いペナルティ(インド準備銀行(RBI)が公示する銀行レートの3倍による月複利の利息、およびその利息の損金不算入)が課されます。ここでいう供給者(supplier)は、第2条(n)により第8条(1)の当局へmemorandum(現行のUdyam登録)を提出した零細企業・小規模企業等を指すため、保護が及ぶかは取引先の登録状況にも左右されます。なお、MSMEの区分基準とUdyam登録(インド政府が発行する中小企業登録)は、2020年6月26日付告示S.O. 2119(E)により2020年7月1日から運用されている制度で、2006年の同法制定時からあったものではありません。

MSMED法第15条は、買主(委託元)に対して、書面で合意した期日までに(合意がない場合は受入日またはみなし受入日から15日以内に)代金を支払うことを義務付けており、書面で合意できる支払期間も受入日またはみなし受入日から最長45日を超えることはできません

契約上の支払条件の有無商品受入後の買主からの異議申立て支払期限(合意がない場合はAppointed Day)
書面での支払期限の合意あり(最大45日)納品から15日以内に書面での異議なし契約で合意した期日(ただし受入日から起算して最長45日以内)
書面での支払期限の合意あり(最大45日)納品から15日以内に書面での異議あり供給者によって異議の対象となる瑕疵が解消された日から起算して合意した期日(最長45日)
書面での支払期限の合意なし納品から15日以内に書面での異議なし実際の受入日(みなし受入日)から15日以内
書面での支払期限の合意なし納品から15日以内に書面での異議あり供給者によって異議の対象となる瑕疵が解消された日から起算して15日以内

法定期間を超過して支払いが遅延した場合、MSMED法第16条に基づき、買主はRBIが公示する銀行レートの3倍に相当する遅延損害金を、複利(月次計算)で支払う強行規定の適用を受けます。この遅延損害金は当事者間の合意によって免除することはできず(MSMED法第16条・第24条)、さらに支払った遅延損害金は、同法第23条により所得税法上の損金算入が認められないため、企業の財務に与える影響は大きくなります。さらに、会社法2013年第405条に基づく Specified Companies (Furnishing of information about payment to micro and small enterprise suppliers) Order, 2019(S.O. 368(E)、2019年1月22日)により、零細企業・小規模企業の供給者に対する支払いが45日を超えて未払いとなっている会社は、その旨を半年ごと(4月〜9月分は10月31日まで、10月〜3月分は4月30日まで)にMSME Form-1でインド企業省(MCA)へ報告するコンプライアンス義務を負います。この義務はMSMED法ではなく会社法に基づくもので、名宛人も会社法上の会社に限られます。

参考:India Code(インド政府法令データベース)|The Micro, Small and Medium Enterprises Development Act, 2006 (Act No. 27 of 2006)

品質不良を理由とした支払いの留保が認められる余地は、インドの紛争処理実務上限られています。たとえばアラハバード高等裁判所の「M/s Hameed Leather Finishers 対 M/s Associated Chemical Industries Kanpur Pvt. Ltd.」事件(WRIT-C No. 52747 of 2013、2013年10月11日判決、V.K. Shukla判事・Suneet Kumar判事)では、小規模工業として登録された供給者から化学品の供給を受けた買主側が、供給された製品が低品質で基準に満たないことを理由に支払いを拒み、中小零細企業円滑化評議会(MSEFC)の裁定を争いました。評議会は、MSMED法第2条(b)の規定に照らして買主の品質不良の主張を検討したうえで、これを採用しませんでした。高等裁判所はこの評議会の認定に触れつつも、裁定がすでに確定していること、および第19条が定める裁定額の75%の供託を買主が行わず裁定取消しの申立てが却下されていることを理由に、執行手続の取消請求そのものを退けており、品質不良の当否を自ら審理し直したわけではありません。同条(b)の説明規定は、買主が納品から15日以内に書面で異議を申し立てなかった場合を「みなし受入」とし、そこから支払期限を起算する仕組みを定めており、期限内に書面で異議を述べたかどうかが後の抗弁の成否を大きく左右します。

この事件では、買主の令状請求は棄却され、評議会の裁定の執行が維持されました。裁判所は、買主の行動が供給済みの物品の代金を支払わずに手続を遅延させるものであり、迅速な支払確保という2006年法の趣旨を損なうと述べています。委託製造契約では、受入後ただちに品質検査を実施し、瑕疵がある場合には15日以内に書面で詳細な異議を通知する検収体制を、法務と現場の双方で確立しておく必要があります。

インドの技術移転に伴う知的財産権の帰属と特許法の適用

インドの技術移転に伴う知的財産権の帰属と特許法の適用

委託製造を行うにあたっては、製品の図面、製造プロセス、品質管理基準といった重要な技術ノウハウを、インドの受託者に開示しなければなりません。ここで生じる法務リスクは、技術情報の外部への流出や、受託者による無断転用です。インドには営業秘密を専門に規律する成文法が存在せず(インド法律委員会報告第289号『Trade Secrets and Economic Espionage』2024年3月)、技術情報の保護は、当事者間で締結される秘密保持契約(NDA)および委託製造契約内の知的財産保護条項が中心となります。もっとも保護経路は契約に限られず、コモンロー上の守秘義務違反(breach of confidence)や衡平法の法理、刑事法の規定による保護も併存します。また契約による保護には、1872年契約法第27条が取引制限契約を原則として無効とする制約が及ぶ点にも留意が必要です。製造過程で受託者側が製品やプロセスの改良技術を発明した場合、その権利帰属をどう扱うかも契約で定めておきます。フィードバック条項やフォワードアサインメント条項を設け、すべての改良技術の知的財産権が委託元に独占的かつ自動的に帰属する旨を明記しておくことが、技術流出を防ぐ備えとなります。

また、インド特許法(The Patents Act, 1970)第68条の規定により、特許権の譲渡や実施権の許諾に関する取り決めは、書面によることに加え、当事者間の権利義務を規律するすべての条件を具備した文書として適式に締結されなければ効力を生じません。さらに第69条により、譲渡や実施権の登録を怠った場合、その文書は原則として権原の証拠として採用されません。技術移転やライセンス供与を伴う委託製造スキームを構築する際は、関連する知的財産のライセンス手続をインドの法令に従って履践する必要があります。商標やブランドの使用許諾についても、委託製造の目的範囲内に限定し、契約終了時には直ちに使用権が消滅することを明記しなければ、第三者に対する権利行使において不測の不利益を被るリスクがあります。

参考:India Code(インド政府法令データベース)|The Patents Act, 1970 (Act No. 39 of 1970)

インドの委託製造契約における移転価格税制と恒久的施設認定

多国籍企業がインドで委託製造を行う際に看過してはならないのが、移転価格税制(Transfer Pricing)および恒久的施設(Permanent Establishment:PE)認定に関する税務上の重大な法的リスクです。委託元と受託者が関連企業間であれば、移転価格税制の適用対象となります。このうち、実態として受託者が製品の品質リスクや在庫リスクを負担しない純粋な「委託製造業者(Contract Manufacturer)」にあたる場合には、受託者が得るべき適正な利益(独立企業間価格=アームズ・レングス価格)は、完全な製造業者(Fully-fledged Manufacturer)よりも低く設定されるべきであるというのが一般的な法解釈です。この点について、所得税法2025年第165条は、独立企業間価格を比較可能非関連価格法・再販売価格法・原価基準法・利益分割法・取引単位営業利益法等のうち「最も適切な方法」により算定すべきものとし、同条(2)(a)は、その方法を取引の性質や関連企業の類型に加えて当該企業が果たす機能(functions performed)等を考慮して選定すべきものと定めています。したがって関連会社間での製造委託においては、受託者が果たす機能の範囲が移転価格算定の重要な要素となります。

さらに、日印租税条約をはじめとする二重課税回避条約(DTAA)において、外国企業がインド国内にPEを有すると認定された場合、同条約第7条(1)により、その企業の事業利得のうち当該PEに直接または間接に帰属する部分について、インドで課税されることになります。委託製造契約が実態として独立性のない代理人(従属代理人)による活動とみなされた場合や、委託元が受託者の工場の一部を自らの処分に委ねられた場所として継続的に用いて事業を行っていると認定された場合、日印租税条約第5条(1)の固定的施設PEまたは同条(7)(うち(a)号にはMLI第12条(1)が適用される)の従属代理人PEに該当するとして、インド税務当局から課税処分を受けるリスクが高まります。インド国内法でも、所得税法2025年第9条(9)(a)が、非居住者のために契約を締結する権限を常習的に行使する者や契約締結に至る主要な役割を常習的に果たす者を通じた事業を「business connection」に含めています。ただしこの契約締結型は、その契約が(I)非居住者の名義によるもの、(II)非居住者が所有し又は使用の権利を有する財産の所有権の移転もしくは使用許諾に係るもの、(III)非居住者による役務の提供に係るもの、のいずれかであることを条件としており、条約側の第5条(7)(a)に適用されるMLI第12条(1)も同じ3類型の限定を置いています。

インドの司法当局は、PEの認定に関して契約書の文言のみならず、事業の実態に踏み込んだ厳格な判断を行っています。デリー高等裁判所の「GE Energy Parts Inc. 対 Commissioner of Income Tax (International Taxation)」事件(ITA 621/2017ほか、2018年12月21日判決、S. Ravindra Bhat判事・A.K. Chawla判事)では、外国企業側のインド国内での活動が、単なる準備的または補助的な性質(preparatory or auxiliary character)のものではなく中核的な販売活動に関与していたとして、PEの存在が認定され、納税者側の上訴はすべて棄却されました。一方、インド最高裁判所の「Director of Income Tax-II, New Delhi 対 M/s Samsung Heavy Industries Co. Ltd.」事件(Civil Appeal No. 12183 of 2016、2020年7月22日判決)では、印韓租税条約のもとで、ムンバイのプロジェクトオフィスが本体の事業を行う固定的施設にあたらず、同条約第5条(4)(e)にいう連絡事務所としての補助的な活動にとどまると認定され、PEの存在が否定されました(税務当局側の上訴が棄却されています)。

これらの判例が示す通り、税務リスクを遮断するためには、契約形態を明確な本人対本人(Principal to Principal)とし、受託者が委託元のために法的拘束力のある契約を締結する権限や価格を決定する権限を持たない独立した契約者であることを、契約条項として明記する必要があります。また、品質管理の目的で委託元から技術者や検査員を受託者の工場に派遣する場合も、派遣者が現地の製造設備に対して排他的な支配権を有していないことを、契約と日々の業務運用の両面で明確にしておかなければなりません。

まとめ

本記事で見てきたとおり、インドの委託製造は、外資直接投資規制の100%自動認可ルートを活用することで、アセットライトかつ迅速な市場参入を可能にする合理的な戦略です。しかし、その恩恵を安全に享受するためには、製造業定義を満たす契約スキームの構築が欠かせません。同時に、消費者保護法に基づく製造物責任への対応、MSMED法が定める「受入日から最長45日以内」という強行的な代金支払義務へのコンプライアンス体制の整備、技術移転時の知的財産保護、恒久的施設認定による想定外の課税リスクの回避など、多岐にわたる現地の法的課題に一つずつ手当てしていく必要があります。法令への違反や契約設計の甘さは、遅延利息や損金不算入といった金銭的負担、危険な製品の回収命令、ブランド価値の毀損を招きかねません。契約書の条項一つ一つに、現地法に即した法務戦略を反映させることが重要です。

モノリス法律事務所では、IT関連ビジネスや先進的な技術を擁する企業のグローバルな事業展開に向けた法務サポートに高い専門性を有しております。インド現地の有力な法律事務所と緊密に提携し、複雑なFDI規制のクリアランスから、現地の最新法令や判例動向を踏まえた安全な委託製造契約の作成および交渉、ならびに知的財産保護や税務リスクへの総合的なコンプライアンス対応まで、現地におけるあらゆる法的手続きをワンストップで強力に支援することが可能です。言語や法体系の壁を越え、事業リスクを未然に防ぎながら、インド市場での持続的かつ強固なビジネス成長を実現するための実践的な法務戦略を提供いたします。

モノリス法律事務所は、インド法務に関する調査および情報提供を目的として、現地法律事務所Quest IP Attorneysと非独占的な提携関係(Associate Firm / Correspondent Firm)にあります。

弁護士 河瀬 季

モノリス法律事務所 代表弁護士。元ITエンジニア。IT企業経営の経験を経て、東証プライム上場企業からシードステージのベンチャーまで、100社以上の顧問弁護士、監査役等を務め、IT・ベンチャー・インターネット・YouTube法務などを中心に手がける。

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