ウズベキスタンの不動産法を弁護士が解説

中央アジアの要衝であり、近年「新しいウズベキスタン(New Uzbekistan)」戦略の下で急速な経済開放と法制度改革を推進しているウズベキスタン共和国(以下、ウズベキスタン)。日本企業にとっても、豊富な天然資源や労働力を背景とした製造拠点として、あるいは新興市場としての重要性が高まっています。しかし、その不動産法制は、旧ソビエト連邦法の影響を色濃く残す「土地国有」の原則と、近年の市場経済化に向けた急進的な改革法令が複雑に交錯する過渡期にあります。
日本法においては土地と建物が別個の不動産として扱われつつも共に私有が可能であるのに対し、ウズベキスタンでは土地は原則として国家に帰属し、外国投資家には長期間の賃借権(リース)のみが認められるという根本的な構造的差異が存在します。また、首都タシケントにおける厳格な居住用不動産の購入規制や、それを緩和する「IT Visa」等の特例措置など、ビジネス展開において看過できない法規制が多層的に存在します。
本稿では、2021年の土地民営化法や2025年に向けたリース期間延長などの最新の法改正動向、さらには過去の国際投資紛争事例を詳細に分析し、日本企業が本件国へ進出する際に直面する不動産法務の全容を、日本の法制度との比較を交えながら徹底解説します。
この記事の目次
ウズベキスタン不動産法制の歴史的背景と法源の階層構造
ウズベキスタンにおける不動産取引や権利関係を理解するためには、まずその法体系の根底にある歴史的背景と、法源の階層構造を把握する必要があります。本件国の法制度は、大陸法(シビル・ロー)の系統に属していますが、70年以上にわたるソビエト連邦の一部としての歴史が、財産権の概念に決定的な影響を与えています。
憲法における所有権の不可侵性と土地の地位
ウズベキスタンの法体系の頂点に位置するのはウズベキスタン共和国憲法(The Constitution of the Republic of Uzbekistan)です。独立後の憲法および近年の改正憲法において、私有財産権の不可侵性は明文で保障されています。第53条等は、市場経済の基礎としての私有財産を認め、国家による保護を謳っています。
しかしながら、土地を含む天然資源については、憲法レベルで特別な地位が与えられています。憲法は、土地、地下資源、水、動植物相などの天然資源を「国家の富(national wealth)」と定義し、これらが合理的利用の対象であり、国家の保護下にあることを規定しています。これは、土地が私的な取引の客体となり得る日本法とは異なり、土地は本質的に公共的な性格を有し、その究極的な処分権限は国家(人民を代表する国家)にあるという社会主義法制の名残とも言える概念です。
民法典と土地法典の関係
不動産に関する私法上の権利義務関係を規律する基本法は民法典(Civil Code)ですが、土地に関する具体的な権利関係については、特別法である土地法典(Land Code)が優先的に適用されます。
民法典は、所有権、地上権、地役権、抵当権といった物権の種類や内容、売買契約や賃貸借契約などの債権関係を包括的に定めています。日本民法と同様に、財産権の移転や契約自由の原則を定めていますが、土地に関する条項については土地法典への委任が多く見られます。一方、土地法典は、土地の法的分類(農業用地、居住用地、工業用地など)、土地利用権の付与手続き、権利の剥奪(収用)要件などを詳細に規定しています。特に、外国法人や外国市民が土地に対して持ち得る権利の範囲を限定しているのは、この土地法典の規定(特に第17条、第18条)によります。
大統領令および閣僚会議決定の重要性
ウズベキスタン法務の最大の特徴の一つは、法律(Law)そのものに加え、大統領令(Decree/Resolution of the President)および閣僚会議決定(Resolution of the Cabinet of Ministers)が極めて強力な法的効力を持ち、実務を直接的に規律している点です。
例えば、後述する外国人による不動産購入の最低価格制限や、IT Visaによる特例措置、さらには土地リース期間の延長といった投資家にとって死活的に重要なルールの多くは、国会で制定される法律ではなく、大統領令や内閣決定によって導入・変更されています。これらの行政命令は頻繁に発出・改正されるため、条文上の法律(コード)だけを参照していると、最新の実務運用を見誤るリスクがあります。本件国の法務調査においては、常に最新の大統領令および内閣決定をフォローアップすることが不可欠です。
ウズベキスタンの土地に対する権利の法的性質:日本法との比較

日本企業がウズベキスタンに進出する際、最も戸惑うのが「土地」と「建物」の権利関係の分離です。日本の民法も土地と建物を別個の不動産として扱いますが、実務上は土地所有権(または強力な借地権)と建物所有権が一体として処分されることが一般的です。ウズベキスタンでは、この分離がより制度的かつ厳格に運用されています。
原則としての土地国有制
前述の通り、ウズベキスタンにおいて土地は原則として国有です。1990年代の独立以降、住宅や建物については私有化が進められましたが、土地そのものの私有化(Privatization)は長らくタブー視されてきました。したがって、土地の「所有権(Ownership Right)」を持つのは国家のみであり、私人が持ち得るのは「利用権(Right to Use)」や「賃借権(Right to Lease)」、あるいは「占有権(Right to Possess)」といった限定的な権利に限られてきました。
土地利用権と建物所有権の二層構造
この結果、ウズベキスタンの不動産権利構造は二層構造をとることになります。建物については所有権(Private Ownership)が認められ、日本法と同様に、使用・収益・処分の権限を持つ完全な所有権として、登記(カダストル登録)により対抗力を持ちます。一方、土地については賃借権(Lease)または永続的使用権(Permanent Use)に限られ、建物の所有者は、その建物が存在する敷地について、国家から土地を借り受ける形をとります。
日本法における「借地権付き建物」に類似していますが、地主が常に「国家」である点が異なります。建物所有権が移転すれば、原則としてその敷地の利用権も新所有者に移転します(民法典および土地法典の規定による)。しかし、土地の権利はあくまで「契約」または「行政処分」に基づく利用権であるため、土地の使用目的(地目)の変更や、更地にしてからの再開発などには、土地所有者である行政当局の強力な許認可権限が及ぶことになります。
2021年非農業用地民営化法による部分的な私有化
長らく続いた土地国有の原則に風穴を開けたのが、2021年11月に施行された「非農業用地の民営化に関する法律(Law on Privatization of Non-Agricultural Land Plots, No. ZRU-728)」です。
この法律により、商業用や工業用などの非農業用地であって、既に建物が建っている土地や、空閑地であっても事業用として競売(オークション)にかけられる土地については、初めて「私有地(Private Land)」として、国家から個人・法人への所有権移転(民営化)が認められました。ただし、民営化の主体はウズベキスタン国民およびウズベキスタン資本の法人に限定されています。
ここで極めて重要なのが、この民営化法の対象から外国市民、外国法人、および外国投資企業が明示的に除外されているという事実です。第13条等の規定により、外国資本が入っている企業(合弁会社等を含む)は、依然として土地の「所有権」を取得することができず、従来通り「長期賃借権(リース)」に頼らざるを得ない構造が維持されています。
外国投資家によるウズベキスタンの土地利用権の取得と制限
日本企業を含む外国投資家にとって、ウズベキスタンでの事業用地確保は「土地所有」ではなく「土地リース」の枠組みで行われます。ここでは、そのリースの条件、期間、そして近時の法改正による期間延長について解説します。
土地法典第17条・18条による制限
土地法典第17条および18条は、外国の法的実体(外国法人)、外国市民、無国籍者、および外国投資企業が取得できる土地の権利を「賃借権(Lease Right)」に限定しています。
外国投資家が土地リース権を取得する方法としては、主に二つのルートがあります。第一に、国家が管理する空き地(国有地)を新規に取得する場合は、オンラインの競売プラットフォーム「E-auksion」を通じてリース権を落札します。このプロセスは透明性を高めるために導入されたもので、落札者は土地のリース権とともに、特定の投資義務(一定期間内に工場を建設する、雇用を創出するなど)を負うことが一般的です。第二に、既存の建物(工場やオフィスビル)をウズベキスタン法人から購入する場合は、その建物に付随する土地リース権を承継します。ただし、権利の主体が外国投資家に変わるため、リース契約の内容について地方行政機関(ホキム)と再契約や変更手続きが必要になる場合があります。
リース期間の変遷:25年から49年へ
外国投資家にとって最大の懸念事項の一つが、土地リースの期間でした。かつての土地法典および関連規定では、外国投資家に対する土地リースの期間は最長25年と定められていました。製造業の工場など、数十年単位の操業を前提とする大規模投資にとって、25年という期間は減価償却や事業の継続性の観点から短すぎるとの批判がありました。また、更新の保証が不明確であることもリスク要因でした。
ミルジヨエフ大統領は、投資環境を国際水準に引き上げ、WTO加盟を加速させるため、この規制の撤廃に動きました。2024年から2025年にかけての一連の法改正および大統領令(特に2025年3月4日付大統領令 UP-41号等)により、外国投資家に対する土地リース期間の上限が49年まで大幅に延長されました。
この改正により、特別経済特区(SEZ)および工業団地内で投資を行う外国企業に対し最大49年の土地リースが認められるようになりました。また、リース期間満了後も、契約条件(投資義務の履行や土地の適正利用など)を遵守している限り、優先的に契約を更新できる権利が強化されています。49年という期間は、日本の借地借家法における「事業用定期借地権」(10年以上50年未満)の上限に近い期間であり、日本企業にとっても長期的な事業計画を立てやすい環境が整ったと言えるでしょう。
農業用地に関する特別規制
製造業やサービス業と異なり、農業用地に関してはさらに厳しい規制が存在します。ウズベキスタンは農業大国であり、食料安全保障の観点から、外国人が農業用地を直接コントロールすることに慎重です。
従来、外国人は農業用地の取得・リースからほぼ排除されていましたが、2025年の大統領令(UP-41等)および2024年の改正により、一定の条件(農業クラスターへの参加や大規模投資など)の下で、合弁企業等を通じた農業用地の長期リース(最大25年〜49年)が可能となる道が開かれつつあります。ただし、これには高度な灌漑技術の導入や土壌肥沃度の向上といった厳格な義務が課されることが一般的であり、単なる農地取得は不可能です。
タシケントにおけるウズベキスタン居住用不動産取引の特例と規制

日本から派遣される駐在員や経営者が、ウズベキスタンでの生活基盤として個人の住宅を購入しようとする場合、法人としての土地利用とは全く異なる、独特かつ厳格な規制の壁に直面します。特に首都タシケント市およびタシケント州においては、地方からの人口流入を抑制するための「プロピスカ(居住登録)」制度と連動した不動産取得制限が、外国人に対しても適用されています。
閣僚会議決定に基づく厳格な購入要件
2020年の閣僚会議決定(No. 498等)およびその後の改正に基づき、外国人がタシケント市・州で居住用不動産を「個人名義」で購入するためには、複数の要件をすべて満たす必要があります。これは、単に資金があれば買えるというものではなく、地域社会への定着を条件とするものです。
| 要件項目 | 内容と法的根拠 |
| 居住許可(Residence Permit) | ウズベキスタン国内の居住許可(IDカード)を保有していること。短期ビザや観光ビザは不可。 |
| 永続的な登録(Propiska) | タシケント市またはタシケント州に、一時的ではない「永続的」な居住登録を有していること。 |
| 3年以上の居住実績 | タシケントにおいて3年以上継続して永続的に居住(または就労登録をして居住)している実績があること。 |
| 新築物件限定 | 原則としてデベロッパーから直接購入する「新築物件」に限られる。中古市場での購入は制限される。 |
| 最低購入価格(3,300 BCV) | 契約時の物件価格が3,300 BCV(Base Calculating Value:基礎算定額)以上であること。 |
日本から新たに赴任した駐在員は、この「3年ルール」により、着任直後に自分名義でマンションを購入することが事実上不可能です。この規制は、安価な不動産購入によるビザ取得目的の移民を防ぐ意図があると解されます。
投資による居住許可取得ルート(ゴールデンビザ的措置)
上記の一般ルート(3年居住要件あり)とは別に、国策として不動産投資を促進するための特例ルートが存在します。大統領令UP-5611(2019年)およびUP-101(2022年)に基づき、一定金額以上の新築不動産を購入する場合、居住実績がなくても居住許可(Residence Permit)が付与され、不動産の所有も認められます。
| 地域 | 建設中の物件 | 完成済みの物件 |
| タシケント市・タシケント州 | 150,000米ドル以上 | 180,000米ドル以上 |
| その他の地域(サマルカンド、ブハラ等) | 70,000米ドル以上 | 85,000米ドル以上 |
なお、以前はタシケントにおける最低投資額は400,000米ドルでしたが、投資促進のため大幅に引き下げられました。この制度を利用すれば、日本からの駐在員や投資家は、「3年間の居住実績」を待たずに、高額物件を購入することで居住許可と不動産の両方を即座に手に入れることが可能です。日本はこの制度の対象となる108カ国のリストに含まれています。
ウズベキスタンの戦略的例外措置:「IT Visa」と投資家向け居住許可
ウズベキスタン政府は、中央アジアのITハブを目指す「IT Park」構想を推進しており、その一環としてIT人材およびIT投資家に対して、不動産取得規制を劇的に緩和する特権を与えています。
IT Visaの概要と法的根拠
2022年の大統領令UP-101および関連する内閣決定により導入された「IT Visa」は、有効期間3年の数次ビザです。対象者は、過去12ヶ月の年収が30,000米ドル相当以上であることを証明できるIT専門家(エンジニア等)、ウズベキスタンのIT Parkに登録された企業の設立者(IT Park入居企業の創業者・出資者)、およびウズベキスタンのIT分野へ一定額(例:1万ドル以上)の投資を行うIT投資家です。
不動産取得における特権
IT Visa保有者(およびその家族)には、前述したタシケントにおける厳格な不動産購入規制が全面的に免除されます。具体的には、IDカード(居住許可)を別途取得する必要がなくIT Visaのみで購入可能であること、ウズベキスタンに来て1日目であっても即座に不動産を購入できること(3年居住要件の撤廃)、3,300 BCV(約8.9万ドル)や投資ルートの15万ドルといった下限額の制限を受けず「任意の価格(any value)」の物件を購入可能であること、そして多くの法的資料において新築に限らず中古物件の購入も可能と解釈される運用がなされていること(ただし、個別の登記所での確認は推奨されます)といった特権が付与されます。
もし貴社がIT関連事業でウズベキスタンに進出する場合、駐在員にこの「IT Visa」を取得させることは、単なる滞在資格以上の意味を持ちます。通常であれば購入不可能な価格帯や条件の住宅を、現地のウズベキスタン人と同等の条件で確保できることになり、駐在員の生活環境の質(QOL)を大きく向上させる法的ツールとなり得ます。
ウズベキスタン不動産取引の実務プロセス:公証と国家登録
ウズベキスタンにおける不動産取引は、契約自由の原則に基づきつつも、国家による権利管理が徹底された厳格な方式主義を採用しています。
公証(Notarization)の必須性
不動産の売買契約は、当事者間の合意だけでは法的に完結しません。必ず公証人(Notary)による認証を受けなければなりません。公証人は、当事者の本人確認、代理権の確認に加え、オンラインシステム「Notarius」を使用して、対象物件に抵当権、差押え、未払いの税金や公共料金債務などの「負担(Encumbrances)」がないかを即座に確認します。また、売主が個人の場合、配偶者の同意書(公証されたもの)が必須となるケースが大半です。これは家族法上の共有財産規定に基づくものです。
国家登録(State Registration)の効力
公証人による契約認証後、その権利移転は国家地籍庁(Cadastre Agency)のデータベースに登録されなければなりません。日本法における登記が「対抗要件(第三者に権利を主張するための要件)」であるのに対し、ウズベキスタンでは登録が権利移転の効力発生要件です。つまり、契約書にサインし、代金を支払っても、カダストル庁での登録が完了するまでは、法的な所有者は売主のままです。
すべての不動産には「カダストル・パスポート(Cadastral Passport)」と呼ばれる文書が発行されています。これには物件の面積、構造、所有者履歴、図面などが記載されており、取引の際にはこの内容と現況が一致しているかの確認(実地調査)が重要となります。違法増築などがある場合、登録が拒否されるリスクがあります。
取引コストと税制
取引に際しては、取引額に応じた国家手数料(State Fee)がかかります。また、法人間の取引や商業用不動産の売買には、通常12%の付加価値税(VAT)が課税されます。
キャピタルゲイン税については、居住者の場合、居住用不動産を3年以上保有して売却した場合、譲渡益は非課税となる場合があります。一方、非居住者(外国に住むオーナー等)が不動産を売却して利益を得た場合、その利益に対して20%の源泉徴収税が課されるのが一般的です。日本とウズベキスタンの間の租税条約による軽減税率の適用可否については、個別の確認が必要です。
ウズベキスタンの投資紛争事例研究:カントリーリスクの法的分析

ウズベキスタンの不動産投資において、法制度は整備されつつありますが、過去には国家による強制収用(Expropriation)や契約破棄を巡り、国際仲裁に発展した事例が存在します。これらの事例は、カントリーリスクを理解する上で重要な教訓を含んでいます。
Turkuaz事件(Gunes Tekstil v. Uzbekistan)
トルコの投資家がタシケントで運営していたショッピングモール「Turkuaz」が、2011年頃、脱税や建築基準法違反などを理由に国家当局によって強制捜査を受け、閉鎖・資産没収されました。投資家側は、これが投資協定(BIT)に違反する不法な「収用」であるとして、国際投資紛争解決センター(ICSID)に提訴しました。2019年の仲裁判断において、ICSID仲裁廷はウズベキスタン政府の一部責任を認め、約4,000万ドルの賠償支払いを命じました(投資家側の請求額よりは大幅に減額されました)。この事案は、「脱税」や「法令違反」といった形式的な理由が、資産没収の口実に使われるリスクを示しており、現地でのコンプライアンス(法令遵守)の徹底が、資産防衛の第一歩であることを示唆しています。
Spentex事件(Spentex Netherlands v. Uzbekistan)
インド系繊維大手の子会社であるオランダ法人が、ウズベキスタン政府から約束されていた補助金(VAT還付等)の不履行により破産に追い込まれたとして提訴した事案です。仲裁廷は投資家側の請求を棄却しました。その主な理由は、投資開始段階において、投資家側による現地高官への不正な支払い(贈収賄)の疑いがあったこととされています(「クリーン・ハンズ(Clean Hands)」の原則)。この事案は、不動産取得や許認可の過程で、エージェント等を通じて不透明な金銭授受が行われた場合、国際法上の保護(投資協定に基づく仲裁申立権など)を失う可能性があることを示しており、クリーンな参入プロセスの確保が不可欠であることを教えています。
収用リスクと法的保護
ウズベキスタンの投資法および土地法典は、公共の利益のために土地を収用(Demolition/Seizure)する場合、事前に所有者に通知し、「市場価格(Market Value)」での完全な補償を行うことを義務付けています。また、代替地の提供もオプションとして提示されます。
しかし、現実の運用では、市場価格の評価額が実勢価格より低く見積もられたり、補償支払いが遅延したりするトラブルが散見されます。日本企業としては、日本・ウズベキスタン投資協定(BIT)が存在することを認識し、万が一、国内法に基づく救済が機能しない場合には、国際仲裁に訴える権利があることを理解しておくべきでしょう。
まとめ
ウズベキスタンの不動産法制は、「土地国有」という社会主義的原則を維持しつつ、外国投資を呼び込むために「49年リース」や「IT Visa」といった柔軟な例外規定を接ぎ木のように追加してきた結果、極めて複雑な様相を呈しています。
権利の二重性として、建物は買えるが土地は借りるしかないという二層構造を理解し、リース契約の安定性を確保することが重要です。また、属人的な規制として、買主が「個人か法人か」「IT Visa保持者か否か」「タシケント居住者か否か」によって、適用されるルールが全く異なることに注意が必要です。さらに、2021年の民営化法、2025年のリース期間延長など、法制度は現在進行形で急速に変化しており、数年前の情報は役に立たない可能性があります。
ウズベキスタンへの進出は大きなビジネスチャンスですが、不動産取得における法的落とし穴は浅くありません。特に、法令(Law)と実務運用(Practice)の乖離や、頻繁な大統領令によるルール変更への対応は、現地の事情に精通していなければ困難です。モノリス法律事務所では、貴社のウズベキスタンビジネスが、強固な法的基盤の上で成功を収められるようサポートいたします。
カテゴリー: IT・ベンチャーの企業法務
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