フィンランドの法体系と司法制度を弁護士が解説

フィンランド共和国(以下、フィンランド)におけるビジネス展開を検討する日本企業の経営者や法務部員にとって、進出先国の法規制や司法制度を正確に把握することは、コンプライアンスを遵守し、深刻な法務リスクを未然に防ぐための最重要課題です。フィンランドの法制度は、北欧諸国に共通する大陸法系に属し、歴史的にスウェーデン法から極めて強い影響を受けて発展してきました。同国の法体系の最大の特徴は、国際的なビジネス環境に適合しやすい高い透明性と、世界トップクラスのデジタル化が司法の隅々にまで浸透している点にあります。
フィンランドは厳格な成文法主義を採用しており、主要な法分野は包括的に法典化されています。司法制度は三審制を採用し、民事および刑事事件を管轄する一般裁判所と、公権力の行使を審査する行政裁判所が完全に分離された二元的な構造を有しているほか、労働裁判所や市場裁判所等の高度な専門性を持つ特別裁判所が存在します。同国の法制度は、その高い透明性とデジタル化によって特徴づけられており、法令や判例、行政手続きに関する情報がオンラインで容易に入手でき、法的な情報へのアクセスが極めて容易になっています。これにより、ビジネスにおける法的確実性と予測可能性が高度に担保されています。
フィンランドの司法制度において日本企業の法務戦略に最も直結するのは、違憲審査の仕組みと、企業間取引および消費者向けビジネスを監督する特別裁判所の存在です。日本では最高裁判所が付随的違憲審査権を行使する事後審査制が中心ですが、フィンランドでは議会の憲法委員会による事前審査が中心となっており、一度成立した法律が事後的に無効とされるリスクが低く、ビジネス環境の法的安定性が強固に保たれています。また、競争法違反や知的財産権の侵害、そして不当表示や景品表示などのマーケティング紛争は、すべて専門の「市場裁判所」に集約されます。特に消費者向けビジネスにおいては、EUのオムニバス指令の導入に伴い、二重価格表示などの広告規制が著しく厳格化しています。日本の景品表示法における金額ベースの規制とは異なり、フィンランドの消費者保護法は「消費者に与える全体的な印象」を重視し、実証不可能な「最安値」などの表現に対しては市場裁判所や最高裁判所から極めて厳しい制裁が下されます。
本記事では、現地のビジネス法務要件について詳しく解説します。現地の法規制の立て付けや判例の傾向を深く理解し、日本の商慣習をそのまま持ち込まないことが、フィンランド市場での事業成功の鍵となります。
この記事の目次
フィンランドにおける法体系の基本構造
北欧型大陸法系の系譜と成文法主義の確立
フィンランドの法制度の根底には、12世紀から1809年まで続いたスウェーデン王国による支配の歴史があります。この約700年にわたる共通の歴史が、今日のフィンランドとスウェーデンの社会や法体系における強固な類似性を形成しています。1809年にロシア帝国の自治大公国となった後も、フィンランドは独自の立法権を維持し、当時のスウェーデン法を継続して適用することが認められていたため、ロシア法の影響は実質的に排除されました。その結果、フィンランドは独自の北欧型大陸法系を発展させるに至りました。
日本も同じく大陸法系に分類されますが、日本の法体系が明治期以降にドイツ法やフランス法を継受し、戦後にアメリカの英米法的な要素を取り入れたハイブリッドな構造であるのに対し、フィンランドの法体系は北欧特有の実用主義(プラグマティズム)と平等主義の価値観を強く反映しています。契約の自由を原則としつつも、労働者や消費者といった経済的弱者を保護するための強行法規が緻密に整備されている点が特徴です。裁判官は法律の解釈において一定の裁量を有していますが、その決定は法源の教義と蓄積された判例法によって厳格に導かれます。これにより、実務における高度な法的確実性が担保されており、外国企業にとっても事業上の法的リスクを事前に評価しやすい環境が整っています。
司法のデジタル化と法的情報へのアクセス基盤
フィンランドの法制度を語る上で欠かせないのが、国家主導で徹底されている司法のデジタル化です。法務省が所有し、法定登録センターが維持管理する公式な無料オンライン法律データベース「Finlex」は、その中核を担うシステムです。Finlexには、憲法や会社法をはじめとするすべての制定法、政令、さらには最高裁判所や最高行政裁判所、市場裁判所などの各種裁判所の判例が包括的に収録されています。
特筆すべきは、情報が単に公開されているだけでなく、法改正の履歴や関連する判例が相互にリンクされ、実務家が法令の変遷を容易に追跡できる点です。Semantic Finlexと呼ばれるプロジェクトを通じて、法令データはLinked Open Data(LOD)として構造化されており、高度な検索とデータ分析が可能になっています。また、主要な法律や判例の要旨は英語でも提供されており、フィンランド語やスウェーデン語を母語としない海外の投資家や企業の法務担当者にとっても、法的情報の取得が極めて容易です。
このオープンな情報公開体制は、外国企業が現地でのコンプライアンス調査を行う際の初期コストを大幅に削減し、透明性の高い市場参入を可能にしています。フィンランドの法制度を調査する上で不可欠なこのデータベースは、以下のURLで確認することができます。
参考:フィンランド法務省が提供する公式データベースFinlex
フィンランド法と日本法との相違点とビジネス上の実務的意味

憲法委員会による事前違憲審査制の優位性
日本とフィンランドの法制度を比較する上で、企業の事業活動に対する法規制の安定性に直結する最も大きな違いは、違憲審査のメカニズムです。日本国憲法第81条に基づく日本の違憲審査制は、具体的な法的紛争が生じた後に裁判所が法律の違憲性を判断する「事後審査制(付随的違憲審査制)」を採用しています。これに対し、フィンランドでは、独立した憲法裁判所は存在せず、法律の違憲性審査は主に議会(Eduskunta)の内部に設置された「憲法委員会(Perustuslakivaliokunta)」による「事前審査」として行われます。
憲法委員会は政治家である国会議員で構成されていますが、その実務は外部の憲法学者や法律専門家の意見に基づいて準司法的に行われ、党派的な政治的判断よりも法的な整合性が優先されるという厳格な慣行が確立しています。法案が憲法や人権条約に違反すると判断された場合、その法案は修正されるか、廃案となります。この議会内部での強力な事前審査のメカニズムから、一度議会を通過して成立した法律が、事後的に裁判所によって違憲無効とされるリスクは極めて低いということが言えるでしょう。
もちろん、2000年に施行された新憲法第106条により、裁判所は適用しようとする法律が憲法と「明白に矛盾する」場合には憲法を優先して適用する義務を負っていますが、実務上この規定が適用される事案は限定的です。企業法務の観点からは、成立した法令に対する高い信頼性が担保されており、多額の投資を行った事業計画の前提となる法規制が、後になって裁判所の判決により突然覆るという予測不可能なリスクが排除されている点で、非常に優れたビジネス環境であると評価できます。
行政裁判所の独立性と公権力に対する統制
もう一つの重大な相違点は、行政事件の取り扱いです。日本では、行政庁の処分に対する取消訴訟などの行政事件も、民事事件や刑事事件と同じ一般の裁判所(地方裁判所等)が管轄しています。しかし、フィンランドでは司法制度が完全に二元化されており、通常の民事・刑事事件を扱う「一般裁判所」とは独立した「行政裁判所」の体系が存在します。
行政裁判所は、公共調達(入札)に関する決定、税務、環境許認可、社会保障など、公権力の行使に対する市民や企業の不服申立てを専門に審査します。行政裁判所の裁判官は一般裁判所と同様の資格を持ち、行政府からの完全な独立性が憲法によって保障されています。企業が政府や自治体との間でB2G(Business to Government)の取引を行う場合や、厳格な環境規制が適用される産業へ参入する場合、行政機関との見解の相違が生じた際には、この独立した行政裁判所の専門的な判断を仰ぐことになります。公権力に対する強力かつ専門的な司法統制が機能しているため、外国企業であっても不透明な行政指導や不当な行政処分に対して、公平かつ実効的な救済を求めることが可能です。
フィンランドの司法制度と裁判所の階層構造
フィンランドの司法制度は、法務省の行政的枠組みの下にありながらも、司法権の行使においては完全な独立性が保たれています。裁判所の構造は、大きく「一般裁判所」「行政裁判所」そして特定の専門分野を扱う「特別裁判所」の3つの柱から構成されています。
一般裁判所における三審制と参審員制度
一般裁判所は、通常の民事紛争および刑事事件を管轄し、地方裁判所、控訴裁判所、最高裁判所の三審制をとっています。
| 裁判所の階層 | 名称(フィンランド語) | 役割と特徴 |
| 第一審 | 地方裁判所 (Käräjäoikeus) | 全国に20の裁判所が存在。すべての民事事件および刑事事件の第一審を管轄する。一部の刑事事件等では、市議会によって選出された非専門家の参審員(Lay judge)が審理に参加するが、英米法のような陪審制は存在しない。 |
| 第二審 | 控訴裁判所 (Hovioikeus) | 全国に5つの裁判所(ヘルシンキ、トゥルク、ヴァーサ、クオピオ、ロヴァニエミ)が存在。地方裁判所の判決に対する控訴事件を審理する。 |
| 最終審 | 最高裁判所 (Korkein oikeus) | 首都ヘルシンキに所在。主に法律問題に関する先例を確立し、全国の裁判所の法解釈を統一することを目的とする。上告には許可が必要である。 |
最高裁判所(Korkein oikeus)の最も重要な機能は、成文法の規定が抽象的である場合や解釈に疑義がある問題について、判例を作成することです。年間約100件の重要な判例が形成され、これらは厳密な法的拘束力を持たないものの、下級審の裁判官は事実上これに従うため、実務上極めて強い規範力を持ちます。企業の契約責任や不法行為責任の限界は、これらの最高裁判所判例によって具体的に画定されるため、現地の法務リスクを評価する上で判例の継続的なモニタリングが不可欠です。
行政裁判所と特別裁判所の専門的管轄
行政事件については、全国に6つ設置されている地方行政裁判所(ヘルシンキ、ハメーンリンナ、東フィンランド、北フィンランド、トゥルク、ヴァーサ)とオーランド諸島行政裁判所が第一審として機能し、最終審として最高行政裁判所(Korkein hallinto-oikeus)が設置されています。特定の専門的な事案については、特定の行政裁判所に専属管轄が認められており、例えば付加価値税や関税に関する紛争はヘルシンキ行政裁判所が独占的に管轄します。
一般的な民事や行政の枠組みには収まらない、高度な専門性を要求される特定の分野については、各種の特別裁判所が設けられています。労働協約の解釈や労働争議の違法性を審査する労働裁判所(Työtuomioistuin)、社会保障給付や年金に関する紛争を扱う保険裁判所(Vakuutusoikeus)、閣僚や最高裁判事の刑事責任を問う弾劾裁判所(Valtakunnanoikeus)などがこれに該当します。労働裁判所や保険裁判所の判決は原則として最終的なものであり、通常は上訴することができません。
フィンランド企業法務における最重要機関としての市場裁判所

フィンランドにおいて事業活動を行う日本企業が、とりわけ細心の注意を払うべき司法機関が「市場裁判所(Markkinaoikeus)」です。市場裁判所は、通常の民事裁判所とは独立した特別裁判所であり、競争法、公共調達、知的財産権(特許、商標等)、そして消費者保護や不公正な取引慣行に関する経済的・商業的な法的紛争に対して専属的な管轄権を有しています。
競争法と公共調達における強力な権限
市場裁判所は、フィンランド競争・消費者庁(FCCA)からの提案に基づき、市場支配的地位の濫用やカルテルといった競争法違反に対する制裁金(課徴金)の賦課、あるいは反競争的な企業合併の差し止めを決定する強力な権限を持ちます。
この権限行使の厳格さを示す重要な事例として、2019年8月20日に最高行政裁判所が下した判決(KHO:2019:98)に至る一連の事件が挙げられます。この事件では、Matkahuolto社およびフィンランドの複数のバス会社が、公共交通の調達入札において共同で入札を行い、競争を制限する市場分割協定を結んだとして、市場裁判所によって各社に10万ユーロの制裁金が科されました。被告企業らは最高行政裁判所に上訴しましたが、制裁金の賦課は適法と判断されました。
この判例から、企業が個別のリソース不足を補う目的やリスクを分散する目的でコンソーシアムを組んで入札に参加する行為であっても、それが潜在的な競争相手同士の協力であり、市場の競争を実質的に制限する意図があると見なされた場合、重大な競争法違反として巨額の制裁金が科されるリスクがあるということが言えるでしょう。市場裁判所の決定は企業に甚大な財務的影響を及ぼすため、市場シェアの高い企業や公共調達に参加する企業は、入札戦略の策定段階で厳格な独占禁止法コンプライアンス審査を実施する必要があります。
知的財産権と企業間マーケティング紛争の集約
特許権侵害や商標権侵害といった知的財産権に関する民事訴訟も、すべて市場裁判所に集約されています。市場裁判所には法律の専門家である裁判官に加えて、事案の性質に応じて技術的知見を有する専門委員(エキスパートメンバー)が審理に参加するため、高度に専門的な判断が迅速に下される体制が整っています。
また、競業他社間における不公正なビジネス慣行に関する訴訟も市場裁判所で争われます。B2B(企業間取引)におけるマーケティングや競争手段は「不公正なビジネス慣行に関する法律(1061/1978)」によって厳しく規制されています。同法第1条は「ビジネスにおいて、善良なビジネス慣行に違反したり、他の起業家に対して不公正な慣行を使用したりしてはならない」と定め、第2条では「自社または他社のビジネスに関する虚偽または誤解を招く表現」の使用を禁止しています。
競合他社は、他社の不当な比較広告や営業秘密の不正使用によって損害を受けた場合、市場裁判所に対して直接、違反行為の差し止めや損害賠償を命じるよう訴えを起こすことができます。市場裁判所の管轄や手続きに関する公式な情報は、以下のウェブサイトで確認することができます。
フィンランド消費者保護法とマーケティング規制の厳格化
日本企業がフィンランドでB2C(企業対消費者)のビジネスを展開する際、現地の消費者保護法規に対する無理解は、単なる行政指導にとどまらず、ブランドへの致命的なダメージと法的制裁を招く重大なリスクとなります。フィンランドは、消費者の権利保護に関して欧州の中でも極めて厳格な基準を設けています。
日本の景品表示法との比較と不当表示の境界線
消費者向けビジネスにおける広告やマーケティングの基本ルールは、「消費者保護法(Kuluttajansuojalaki, 38/1978)」の第2章に詳細に規定されています。同法第1条は、消費者の観点から「不適切」または「善良な慣行に反する」マーケティング手法を包括的に禁止しており、第2条および第6条において「虚偽または誤解を招く情報の提供」を厳しく取り締まっています。
日本における広告・販促規制の中核は「不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)」であり、懸賞などで提供できる景品類の最高額(取引価額の20倍まで等)や総額が細かく法定されています。これに対してフィンランドでは、景品の提供やプロモーションゲーム(懸賞)そのものを禁止してはいませんが、日本のように明確な金額ベースの制限を設けるのではなく、「マーケティングが消費者に与える全体的な印象」や「消費者の経済的な意思決定を不当に歪めるか否か」という定性的な評価基準が極めて重視されます。
消費者オムブズマン(Kuluttaja-asiamies)のガイドラインによれば、抽選などの特典を宣伝する際、その追加的利益がメインの商品よりも視覚的・文脈的に過度に強調され、消費者が製品自体の価値や価格を客観的に比較することを困難にさせるような見せ方は、直ちに「不適切なマーケティング」と判断されます。また、商品の購入を参加条件とする懸賞は許可されていますが、懸賞への参加費用を密かに商品価格に上乗せして回収するような行為は違法とされます。さらに、サブリミナル広告や、商業的意図を隠したステルスマーケティング(インフルエンサーによる広告表記の隠蔽など)は、いかなる形態であっても完全に禁止されています。
オムニバス指令による価格表示ルールの厳格化
近年、日本企業が最も警戒すべき法改正が、EUのオムニバス指令(指令 2019/2161)の国内法化に伴う消費者保護法の改正です。2023年1月に施行されたこの新規則により、割引表示に関する規制が大幅に強化されました。商品を「割引価格」や「セール価格」として宣伝・マーケティングする場合、企業は単に割引率を示すだけでなく、その価格引き下げの直前30日間にマーケティングされた「最低価格」を明示することが法的に義務付けられました(急速に劣化する食品などを除く)。
この強力な規制の目的は、割引キャンペーンの直前に人為的に通常価格をつり上げ、割引額を不当に大きく見せかける「二重価格表示(見せかけの割引)」を徹底的に排除することにあります。日本企業が現地でEコマースプラットフォームや実店舗を展開する際、日本の商慣習のまま「メーカー希望小売価格から50%オフ」や「通常価格から大幅割引」といったキャンペーンを打つと、直前30日間の最低価格の明示義務違反として直ちに制裁の対象となります。現地のコンプライアンス要件を満たすためには、価格表示やEコマースのシステム自体をローカライズし、過去の価格履歴を自動的に参照・表示する仕組みを構築することが不可欠です。
最高裁判所判例から読み解く価格訴求のリスク
マーケティングにおける価格優位性の表示に関して、企業に求められる立証責任の重さを示す重要な先例として、フィンランド最高裁判所判決(KKO:2017:83、2017年12月7日判決)が挙げられます。この事件では、大手スポーツ用品小売業者のXXL Sports & Outdoor Oyが、「自社が市場で最も低い価格を提供している」という印象を与える「価格保証(消費者が他店でより安い製品を見つけた場合、差額を補償する)」を大々的に宣伝しました。これに対し消費者オムブズマンは、客観的な裏付けのない虚偽の最安値主張であり、消費者を誤導するとして市場裁判所に販売手法の差し止めを提訴しました。
第一審である市場裁判所は当初、広告の文言は直接的に「自社が最安値である」と明示的に主張したものではないとして、オムブズマンの請求を棄却しました。しかし、最高裁判所はこの判決を破棄し、審理を市場裁判所に差し戻しました。最高裁判所は、広告の特定の文言の字面だけを捉えるのではなく、「平均的な消費者が通常の読み方をした際に受ける全体的な印象」が決定的に重要であると判示しました。価格保証という表現は、消費者に「この店舗が例外なく常に最安値である」という確信を植え付ける効果があり、このような強力な価格訴求を行う以上、企業側はその主張が真実であることを事前に立証できる客観的かつ広範な価格データを用意する法的義務を負うと判断したのです。
また別の事件では、スポーツブランドSGN Sportia Oyが、市場で実際に取引されたことのないメーカー希望小売価格を比較対象として「20%オフ」と宣伝したことに対し、市場裁判所は消費者を欺く不当表示であるとして、4万ユーロの条件付き罰金を伴う差し止め命令を下しています。これらの判例から、フィンランド市場において価格優位性を宣伝する際には、単なる宣伝文句としての誇張(パフ)は決して許容されず、常に競合他社の実際の価格や過去の自社価格に関する客観的かつ検証可能なデータに基づく厳格な立証が求められるということが言えるでしょう。
日本のマーケティング手法をそのまま翻訳して持ち込むことは、即座に消費者保護法違反として市場裁判所での訴訟リスクに直結します。この最高裁判所の判例に関する公式な要旨は、フィンランド最高裁判所の公式ウェブサイトで確認することができます。
まとめ
フィンランドの法体系は、スウェーデン法に連なる歴史的な基盤の上に、世界最高水準のデジタル化と透明性を実現した極めて合理的なシステムです。憲法委員会による事前違憲審査制が法規制の安定性を強固に担保し、行政裁判所と市場裁判所という高度に専門化された司法機関が、公権力の行使や市場競争の公正性を厳格に監督しています。一方で、消費者保護の観点からは、EUのオムニバス指令の影響を強く受けた厳格なマーケティング規制が敷かれています。特に、割引価格の表示や「最安値」を謳う広告表現に対しては、企業側に重い実証責任が課されており、日本の景品表示法の感覚でプロモーションを展開することは重大な法務リスクに直結します。
モノリス法律事務所では、高度なコンプライアンスが求められるフィンランドへの事業進出や、複雑な現地の消費者保護法・競争法に関する法務要件への対応について、法的側面からサポートいたします。現地の法規制の厳格な要求水準を的確に捉え、高い法的確実性と予測可能性を味方につけることこそが、北欧市場でのビジネスを安全かつ確実に成功へと導くための絶対条件となります。
カテゴリー: IT・ベンチャーの企業法務

































