YouTuberが気を付けるべきニコニコ動画の利用規約を解説
ニコニコ動画はドワンゴ株式会社が提供する動画配信サービスです。2021年12月末時点でプレミアム会員数143万人、有効会員数8,903万人、ニコニコチャンネル数は10180を保有する国内最大級の動画投稿サイトです。そのため、YouTuberがニコニコ動画へ動画を投稿するケースもあるでしょう。
この記事では、YouTuberがニコニコ動画を利用する際に気を付けるべき利用規約について解説します。
この記事の目次
ニコニコ動画とは
ニコニコ動画は、2006年にサービス開始した国内最大級の動画配信サイトです。運営会社はドワンゴ株式会社(2014年に株式会社KADOKAWAと経営統合契約を締結)で、テレビ局のように番組を配信する「ニコニコ生放送」というサービスもあります。
ニコニコ動画は、ユーザーが投稿したコメントが右から左に流れる形で表示されます。このテロップ状のコメント機能に大きな特徴がありますが、コメント機能以外にもユーザーや動画の投稿者同士で交流するための機能が多くあります。ユーザー数も多いため、YouTuberがニコニコ動画にも動画を投稿するメリットはあるといえます。
YouTuberがニコニコ動画に投稿する際の注意点
では、YouTuberがニコニコ動画に動画を投稿する際にはどういった点に注意すべきなのでしょうか。
無断配信の禁止
ニコニコ動画の利用規約である「ニコニコ規約」第5項には、禁止事項の一つとして以下の行為があげられています。利用規約の違反を確認した場合、アカウントや書き込みの削除等、運営会社が適切と判断する対応を行うとのことです。
ニコニコ活動ガイドライン第3項及び第4項に掲げる行為又はこれらの行為に準じる行為(コメントの書き込みや動画等の投稿以外の手段を通じて行われる行為を含みます)
ニコニコ活動ガイドライン第3項には、
<他者の権利を侵害する行為>
例)
他者の名誉、社会的信用、評判、プライバシーを侵害する内容
他者の基本的人権、著作権等の知的財産権、その他の権利を侵害する内容
があげられており、このような内容のコンテンツについては、ニコニコの自主的判断により削除する場合がある旨の記載があります。
このため、自分が著作権を保有していない動画を著作権者に無断で投稿した場合、動画やアカウントの削除措置を受ける可能性があります。また、こうした投稿はニコニコ動画の利用規約に違反するだけでなく、著作権の侵害にあたりますので、懲役刑や罰金刑を科される可能性もあります。
2011年、ニコニコ動画に「ソルト」等の映画を無断で投稿したとして著作権法違反(公衆送信権の侵害)容疑で男が逮捕される事件がありました。映画等の無断投稿は絶対にやめましょう。
著作権侵害の「ファスト映画」 がYouTubeに掲載された場合の法的措置については、以下の記事で詳しく解説していますのでご参照ください。
「歌ってみた」「演奏してみた」動画の投稿について
ニコニコ動画では、「歌ってみた」「演奏してみた」等自分で歌ったり、演奏したりした動画も人気があります。自分が著作権を保有していない楽曲の「歌ってみた」「演奏してみた」動画を投稿することは、ニコニコ動画利用規約違反とならないのでしょうか。
ニコニコ動画は、JASRACと株式会社NexToneから許諾を受けているため、JASRACとNexToneが管理している管理楽曲については、投稿が可能です。
参考:二コニコ「音楽著作物及び音楽原盤の利用に関するガイドライン」」
CD等の音源をそのまま利用して動画を投稿する場合は、音楽原盤の許諾者が許諾する音楽原盤であるかを事前に確認する必要があります。事前に「許諾原盤検索システム」で確認しましょう。許諾原盤であれば、楽曲を利用した動画を投稿することは可能ですが、ダウンロードできるような設定の禁止等いくつか禁止事項がありますので、注意が必要です。
また、許諾原盤であっても、実質的に音楽の視聴が目的の動画とみなされた場合等には削除されることもあります。なお、許諾原盤でない音源については、権利者に無断で音源の全部または一部を利用した動画をニコニコ動画に投稿することは禁止されています。
「歌ってみた」動画投稿に関する著作権等については、以下の記事で詳しく解説しています。
まとめ
ニコニコ動画は、YouTuberにとっても魅力的なサービスと言えますが、利用規約や著作権との関係で気を付けるべき点もあります。また、投稿する動画や活動の内容によっては、上記の他にも注意点が発生する可能性があります。YouTuberの方でニコニコ動画への投稿もお考えの方は、事前にYouTube関連法務に強い弁護士へ相談されることをおすすめします。
当事務所による対策のご案内
モノリス法律事務所は、IT、特にインターネットと法律の両面に高い専門性を有する法律事務所です。昨今、YouTuberやVTuberの間でも、チャンネル運用にあたって、肖像権や著作権、広告規制などリーガルチェックの必要性が急増しております。また契約をめぐる問題についても事前にしっかりと下準備をしておくことが不可欠です。下記記事にて詳細を記載しておりますのでご参照ください。
カテゴリー: YouTuber・VTuber法務
タグ: You Tuber:法務