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【令和6年6月厚労省通達】エステサロン等におけるHIFU施術に医師法を適用

【令和6年6月厚労省通達】エステサロン等におけるHIFU施術に医師法を適用

シワやたるみ改善に効果があると人気のHIFU施術。しかし、近年施術後のトラブルも増加しており、令和6年(2024年)6月7日、厚生労働省から通達が発令されました。エステサロン等でHIFU施術によるリフトアップなどを謳う広告も多く、早急な対応を迫られているサロンも多いのではないでしょうか。

本記事では、HIFU施術の新規制の内容と罰則をわかりやすく解説します。法令遵守を徹底し、安全な施術を提供するためにも、この通達の内容を確認し、適切に対応しておきましょう。

HIFU施術とは

HIFU(High Intensity Forcused Ultrasound)とは、「高密度焦点式超音波」の略称で、超音波を一点に集めて照射することで、皮膚や脂肪組織をピンポイントで加熱する美容施術です。シワやたるみ、ほうれい線などの改善に効果があるとされ、近年人気が高まっています。

HIFUは、シワやたるみ改善に効果があると人気の美容施術ですが、近年施術後のトラブルも増加しており、適切な知識や技術がない者が施術を行うと、火傷や神経損傷などの重大なリスクを伴うことがわかっています。実際に、HIFU施術が原因となって、急性白内障や神経麻痺等の被害を受けたという事例も多数報告されています。

参考:消費者庁|エステサロン等でのHIFU(ハイフ)による事故

 医師免許なしのHIFU施術は違法行為に

厚生労働省医政医発 0607 第1号(令和6年6月7日)に基づき、医師免許を持たない者が行うHIFU施術は、医師法違反となる可能性があります。

HIFU施術は、医療法第17条に規定する「医師でなければ保健衛生上危害を生ずるおそれのある行為」に該当するためです。具体的には、火傷や神経損傷などの重大な副作用を引き起こす可能性があります。

医師免許を持たない者がHIFU施術を行った場合、医師法第17条違反として3年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられる可能性があります。

第三十一条 次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 第十七条の規定に違反した者
二 虚偽又は不正の事実に基づいて医師免許を受けた者
2 前項第一号の罪を犯した者が、医師又はこれに類似した名称を用いたものであるときは、三年以下の懲役若しくは二百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

e-Gov|医師法

HIFU施術は医療提供施設でのみ可能

HIFU施術は、医療法第1条の2第2項に規定する「医療提供施設」においてのみ行うことが義務付けられました。HIFU施術は、重大な副作用のリスクを伴う医療行為であり、適切な医療設備や体制が整っていない施設での施術は、患者の安全を確保できない可能性があるためです。

2 医療は、国民自らの健康の保持増進のための努力を基礎として、医療を受ける者の意向を十分に尊重し、病院、診療所、介護老人保健施設、介護医療院、調剤を実施する薬局その他の医療を提供する施設(以下「医療提供施設」という。)、医療を受ける者の居宅等(居宅その他厚生労働省令で定める場所をいう。以下同じ。)において、医療提供施設の機能に応じ効率的に、かつ、福祉サービスその他の関連するサービスとの有機的な連携を図りつつ提供されなければならない。

e-Gov|医療法

医療提供施設とは、以下を指します。

  • 病院
  • 診療所
  • 介護老人保健施設
  • 介護医療院
  • 調剤を実施する薬局

エステサロンは医療提供施設に該当しないため、エステサロンにおいてHIFU施術を行うことはできません。

違反時の措置

厚生労働省は、違法なHIFU施術を行った事業者に対して、実態を調査した上で、行為の速やかな停止を勧告するなどの措置を講じることができます。

違反行為が繰り返された場合などの悪質なケースでは、刑事罰の対象となる可能性もあります。厚生労働省の通達では、各都道府県衛生主管部長に向けて、告発を念頭に置いて警察と適切に連携するよう呼びかけています。

まとめ:HIFU施術規制強化の対応は弁護士に相談を

HIFU施術に関する規制強化にともない、エステサロン等の経営者は、自社の施術内容が医師法や医療法に抵触していないか確認する必要があります。法令遵守を怠り、重大な事故が発生すれば、事業継続が困難になるだけでなく、刑事罰の対象となる可能性もあるため、速やかな対応が求められます。

医師法や医療法に抵触することがないよう、エステサロン等の事業者は、サービス内容や広告が適法であるかを弁護士に相談することをおすすめします。

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弁護士 河瀬 季

モノリス法律事務所 代表弁護士。元ITエンジニア。IT企業経営の経験を経て、東証プライム上場企業からシードステージのベンチャーまで、100社以上の顧問弁護士、監査役等を務め、IT・ベンチャー・インターネット・YouTube法務などを中心に手がける。

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