オンライン服薬指導とは?要指導医薬品の規制緩和と薬機法改正を解説

薬機法の段階的な改正により、オンライン服薬指導は薬局経営において不可欠なインフラとなりました。特に2026年の改正では、これまで対面販売が義務付けられていた「要指導医薬品」のネット販売がついに解禁され、大きな転換点を迎えています。
オンライン服薬指導の導入・運用には、薬剤師の判断責任、本人確認、情報セキュリティ、個人情報保護など、遵守すべき法的ルールが数多く存在します。制度を正しく理解しないまま進めると、薬機法違反やコンプライアンス違反につながります。
本記事では、オンライン服薬指導の基本から、令和4年(2022年)・令和8年(2026年)の薬機法改正のポイント、要指導医薬品の規制緩和、運用時の注意点までを整理し、実務に直結する視点で解説します。
この記事の目次
オンライン服薬指導とは?

オンライン服薬指導とは、パソコンやスマートフォンなどの情報通信機器を活用し、ビデオ通話(音声・映像)を通じて薬剤師が服薬指導を行う仕組みです。薬局への来店不要で自宅など任意の場所から、薬の効能・用法用量・副作用・服薬上の注意点について説明を受けられます。
オンライン服薬指導では、薬剤師の専門的判断と責任のもとで対面と同じ質の指導を維持することが前提となります。薬剤師は、オンライン服薬指導の際には、患者の体調や服薬状況を十分に確認し、必要に応じて対面指導へ切り替える判断も求められます。
近年は制度改正により、薬剤師の適切な判断を条件として、初回からオンライン服薬指導を選択することが可能になりました。これにより、通院が困難な患者への利便性向上だけでなく、薬局側の対人業務の効率化や、デジタル技術を活用した新たな健康サポート体制の構築を後押しする仕組みとして注目されています。
オンライン服薬指導のメリット

オンライン服薬指導の最大のメリットは、場所や時間の制約を受けずに、薬剤師から専門的な説明を受けられる点です。患者は自宅など落ち着いた環境で服薬指導を受けられるため、体調が悪い場合や感染症リスクを避けたい場合でも、無理なく服薬指導を受けられます。
事業者側にとっては、来局が困難な患者層への対応拡大や、服薬指導の時間調整を柔軟に対応できるメリットがあります。オンライン対応を前提とした業務設計により、調剤業務の効率化やサービスの差別化にもつながります。制度上は薬剤師の判断により対面指導へ切り替えられるため、安全性を担保しつつ利便性を高められる点も特徴です。
令和4年(2022年)薬機法の施行規則改正

令和4年(2022年)3月の薬機法施行規則改正では、オンライン服薬指導に関するコロナ禍の特例措置を恒久制度として位置付けた点が最大のポイントでした。従来は原則必須とされていた初回対面の服薬指導が見直され、初回からオンライン服薬指導を実施できる運用が正式に認められました。
患者が受診した診療形態を問わずすべての処方箋を対象にオンライン服薬指導が可能となり、対象薬剤についても大幅に制限が撤廃されています。一方で、通信方法については映像および音声を用いたビデオ通話が必須とされ、電話のみでの服薬指導は認められない点が明確化されました。
改正施行規則では、オンライン服薬指導をおこなう前提として、薬剤師が患者の状態を適切に把握し、安全性を確保できる体制整備を求めています。必要に応じて対面指導へ切り替える判断の責任は引き続き薬剤師にあり、利便性の向上と医薬品の適正使用を両立させる制度設計が意図されています。
令和8年(2026年)薬機法改正による規制緩和

令和8年(2026年)5月1日に施行される薬機法改正では、要指導医薬品に関する販売規制が大きく見直され、オンライン服薬指導を前提としたインターネット販売が解禁されました。これまで要指導医薬品は、薬剤師による対面での情報提供が必須とされ、実店舗での販売に限定されていました。改正後は薬剤師の判断のもと、オンライン服薬指導により必要な確認・情報提供を行うことで、オンラインでの販売が可能となりました。
薬機法の規制緩和によりオンライン指導で対面義務を補えるようになったため、医療用医薬品からOTC医薬品(市販薬)へ移行した直後のスイッチOTCなどについても、患者が地理的制約を受けずに購入しやすくなります。一方で、適正使用の観点から対面での確認が不可欠と判断される品目については、引き続き対面販売が求められます。今回の規制緩和によりすべての要指導医薬品が一律にオンライン化されるわけではありません。
今回の改正は単なる利便性向上にとどまらず、薬剤師がオンライン上でも適切に関与し、濫用防止や安全確保を担うゲートキーパーとしての役割を強化する意図を含んでいます。特に指定濫用防止医薬品については、購入目的の確認や情報提供を徹底することが制度上求められており、オンライン販売においても高度な運用・コンプライアンス体制が前提です。
薬機法の令和8年改正は、要指導医薬品市場のオンライン開放というビジネス機会を広げる一方で、薬剤師の判断責任と実務対応の重要性が顕在化するきっかけとなっています。
オンライン服薬指導の運用上の注意点

オンライン服薬指導は利便性が高い一方、対面指導と同等の安全性と信頼性を確保する運用が求められます。特に患者の本人確認と情報セキュリティ対策は、薬機法や関連ガイドライン上、運用の成否を左右する重要ポイントです。これらを疎かにすると、薬機法違反や個人情報漏えいなどの法的リスクに直結します。
患者の本人確認
オンライン服薬指導においても、薬剤師は対面時と同様に患者本人であることを確認する義務を負います。実務上は、運転免許証などの公的機関が発行した身分証を用い、ビデオ通話上で顔写真と本人を照合する方法が基本です。
患者が服薬指導を受ける場所についても配慮が必要です。第三者の会話が聞こえる環境や、画面に他人が映り込むおそれのある場所は避けるよう、事前に患者へ周知しておかなければなりません。本人確認は「書類を確認して終わり」ではなく、プライバシーが確保された状況で適切に指導できているかを含めて運用管理することが重要です。
情報セキュリティ対策
オンライン服薬指導では、服薬情報や健康状態などの要配慮個人情報を取り扱うため、高度な情報セキュリティ対策が不可欠です。使用するシステムは「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」に沿い、通信の暗号化、アクセス制限、操作ログの管理などが備わっている必要があります。
システム面だけでなく、薬剤師への教育・研修も重要です。情報通信機器の安全な使用方法や、個人情報の取り扱いルールを理解していないまま運用すると、人的ミスによる情報漏えいリスクが高まります。オンライン服薬指導を継続的に行うには、技術面と人的面の両方からセキュリティ体制を構築しなければなりません。
まとめ:オンライン服薬指導の法規制については弁護士に相談を

オンライン服薬指導は、薬機法改正により制度上の位置付けが明確になり、令和8年改正では要指導医薬品のインターネット販売解禁など、実務の幅が大きく広がりました。一方で、薬剤師の判断責任、本人確認、情報セキュリティ、個人情報保護など、遵守すべき法的要件はむしろ高度化しています。
制度を正しく理解しないまま運用を進めると、薬機法違反や個人情報保護法違反になるおそれがあり、行政指導や業務停止、信用失墜といったリスクを招きかねません。特にオンライン服薬指導や要指導医薬品のEC販売は「どこまでが許され、どこからが違法か」の線引きが実務上わかりにくい分野です。
そのため、オンライン服薬指導の導入や運用については、早い段階で薬機法や医療・ヘルスケア分野に詳しい弁護士へ相談することが重要です。専門家の助言を得ながら体制を整えオンライン服薬指導を適切に実施しましょう。
当事務所による対策のご案内
モノリス法律事務所は、IT、特にインターネットと法律の両面に豊富な経験を有する法律事務所です。当事務所では、メディア運営事業者・レビューサイト運営事業者・広告代理店・サプリメントといったD2Cや化粧品メーカー・クリニック・ASP事業者などに対し、記事やLPのリーガルチェック、ガイドライン作成やサンプリングチェックなどのサービスを提供しています。下記記事にて詳細を記載しております。
カテゴリー: IT・ベンチャーの企業法務

































