ベトナムの外国人投資規制を弁護士が解説

ベトナム社会主義共和国(以下、ベトナム)における外国人投資規制は急速な経済成長と国際市場への統合を背景に透明性の向上と外資誘致の促進を目指して継続的な進化を遂げています。現在のベトナムの外国人投資規制は2021年に施行された投資法に基づくネガティブリスト形式で運用されています。この枠組みの下では外資に対する市場アクセス条件は投資禁止分野、条件付き分野、制限なしという明確なカテゴリーに分類されておりリストに記載のない分野については原則として国内投資家と同様に100%の外国資本による市場参入が自由とされています。具体的には国防や安全保障に関わる分野や報道メディアおよび麻薬や野生動物の取引などは厳格に禁止されている一方で、金融機関や不動産事業や通信および物流などの重要インフラ分野には合弁要件や外資出資比率の上限が設けられています。
しかしながら、製造業をはじめとする多くの産業では100%外資による事業展開が可能であり、さらにハイテク産業やインフラ整備および特定地域への投資に対しては手厚い税制優遇措置が用意されています。近年ではWTOコミットメントや各種自由貿易協定に基づき段階的な市場開放が進展しています。例えば2025年に施行された政令により経営不振の信用機関を救済する目的で金融分野の外資出資上限が一部緩和されるなど実務的な規制緩和が進んでいます。また卸売や小売分野における100%外資の参入も可能ですが小売店舗の追加展開に際しては個別のライセンス取得やエコノミック・ニーズ・テストが課される場合がある点に注意が必要です。不動産分野においても外資系企業に対する制限は特有であり建物の購入は自社使用の目的に限定され原則として自由な転貸が認められないなど日本法とは異なる厳格な管理体制が敷かれています。
本記事では、ベトナムにおける外国人投資規制の全体像から特定分野における詳細な規制内容および最新の法制動向までを包括的に解説いたします。
この記事の目次
ベトナムの投資法制の変遷とネガティブリスト方式の採用
ベトナムにおける外国人投資規制の中核を成すのは2020年に国会で可決され2021年1月1日より施行された投資法およびその施行令である政令第31号です。ベトナムの投資法制は経済の発展段階に合わせて幾度かの重要な改正を経てきました。従来のベトナム法制においては外資に開放されている分野を明確に列挙するポジティブリスト方式に近い運用や、法律に明記されていない分野への投資に対して各省庁の不透明な裁量による事前審査が広く存在していました。この旧来の制度は外国人投資家にとって予測可能性が低くライセンス取得までに多大な時間と費用を要する原因となっていました。
しかし2021年施行の投資法は明確にネガティブリスト方式を採用し、法律や政令で明示的に禁止または制限されていない限り外国人投資家は国内投資家と同等の条件で市場に参入できるという大原則を確立しました。この法的アプローチの転換は外国企業が新規のビジネスモデルや先端技術を用いたサービスをベトナム市場に導入する際の予見可能性を飛躍的に高めるものとして機能しています。このネガティブリストは外国人投資家に市場アクセスが許可されていない事業分野と条件付きで市場アクセスが許可される事業分野の2つに大別されています。このリストに該当しない事業分野への投資についてはベトナムが締結している国際条約等に特段の留保がない限り外資100%での会社設立や事業展開が認められます。
ベトナム投資法制と日本の外国為替及び外国貿易法との構造的差異

日本においてベトナムへの進出を検討する経営者や法務部員にとって両国の外資規制の根本的な違いを理解することは極めて重要です。日本の外国人投資規制は主として外国為替及び外国貿易法によって規律されています。日本の外国為替及び外国貿易法は国の安全保障や公の秩序の維持および公衆の安全の保護または国内経済の円滑な運営に著しい悪影響を及ぼすおそれのある特定の業種についてのみ事前届出を義務付け審査を行っています。具体的には武器製造や原子力や航空および通信などの限定された分野が対象となります。それ以外の大多数の一般事業分野については投資実行後の事後報告で足りるという制度を採用しています。つまり日本では会社設立や株式取得そのものに対する網羅的な事前許認可は不要であり事後報告を原則とする極めて開放的な市場環境が整えられています。
一方ベトナムの投資法はネガティブリスト方式を採用してはいるもののすべての外国人投資家に対して事前の投資登録証明書および企業登録証明書の取得を義務付けています。投資登録証明書は所轄の国家機関が投資プロジェクトの目的や規模および実施期間などを審査して承認するものであり、企業登録証明書は法人の設立自体を認可するものです。ネガティブリストに掲載されていない制限なしの分野であっても事業計画の妥当性や投資規模および設置場所などについて所管当局による事前の審査と認可を経なければ適法に事業を開始することができません。日本法が特定分野への投資のみを事前の実体審査の対象としているのに対し、ベトナム法は外国資本による投資行為そのものを包括的に事前審査の対象としている点から手続きの重みと要する期間に大きな違いがあると言えるでしょう。
ベトナムにおける投資禁止分野と条件付き事業分野の詳細
外国人投資家がベトナムで事業を展開する上で最大の関門となるのがネガティブリストに記載された禁止分野および条件付き分野の正確な把握です。ベトナム政府は国家の安全保障や公序良俗の維持および国内産業の保護を目的として特定の経済活動に対する外資の参入を厳格に管理しています。
絶対的禁止分野および外国人投資家に対する禁止分野
ベトナムの法律に基づく投資禁止分野は大きく2つの層に分かれています。第一の層は国内外のすべての投資家に対して一律に禁止される絶対的禁止分野です。投資法第6条により麻薬性物質の取引、有害な化学物質や鉱物の取引、絶滅危惧種の野生動植物の標本の取引、売春事業、人身売買や人体組織の取引、人間のクローン技術に係る事業、爆竹の取引、そして債権回収サービス業の8分野が厳格に禁止されています。これらの活動に投資を行った場合、企業登録証明書が交付されないだけでなく刑事訴追の対象となる極めて重大な法的リスクが存在します。
第二の層が政令第31号の付属書に規定される外国人投資家に市場アクセスが許可されていない25分野です。これらの分野は国家の安全保障やイデオロギーの統制および国内の重要産業保護などの政策的配慮に基づくものです。外国資本が1%でも入っている企業はこれらの分野において直接的な事業活動を行うことができません。以下は外国人投資家に禁止されている主要な事業分野の分類です。
| カテゴリー | 具体的な禁止事業の例 |
| メディアおよび通信 | 報道機関の運営、ニュース収集、世論調査活動、テレビやラジオ放送網の構築など |
| 行政および司法サービス | 公証サービス、執行官業務、財産競売サービス、私立探偵および警備業など |
| 労働および人材派遣 | 契約に基づきベトナム人労働者を海外に派遣するサービス |
| 天然資源および環境 | 水産物の漁獲、特定の鉱物探査、海外からの廃棄物の持ち込みなど |
| 運輸および交通 | 航空交通管制サービス、国内専用の海運や航空輸送の特定領域など |
条件付き事業分野と外資出資比率の制限
政令第31号の付属書には外国人投資家に市場アクセスが条件付きで許可される59の事業カテゴリーが列挙されています。これらの分野への参入にあたっては世界貿易機関への加盟時の公約や各自由貿易協定に基づく制限に従い外資出資比率の上限や現地のベトナム企業との合弁要件または事業活動の範囲に対する制限が課されます。加えてすべての投資家に適用される一般的な条件付き事業分野も存在しこれらを合算すると220を超える分野が何らかの規制の対象となります。
例えば物流分野における国内の道路貨物輸送サービスでは外資の出資比率は原則として51%以下に制限されており100%外資の物流企業が自由に国内トラック輸送網を構築することは制限されています。通信インフラストラクチャーを伴うネットワークサービスでは外資上限が49%とされるなどインフラ関連産業への外資規制は依然として厳格です。また観光サービス業においては外国人投資家はインバウンド向けの旅行サービスを提供することのみが許可されており国内居住者向けのアウトバウンド旅行サービスを提供することは認められていません。
銀行および金融分野における外資規制の段階的緩和
金融分野については国家の金融システムの安定性を確保するため長らく厳格な自己資本規制と外資保有制限が課されてきました。通常一つの商業銀行に対する外資の総保有枠は30%に制限されています。しかしながら金融市場の健全化と不良債権処理を推進する過程において外資の資本とノウハウを活用する必要性が高まってきたことから近年段階的な規制緩和が見られます。
2025年5月に発効した政令第69号により経営不振に陥った特定の信用機関を救済および買収する目的で投資を行う商業銀行に対しては外資の総保有枠を30%から49%まで引き上げることが例外的に認められました。この政策的措置は金融セクターに不可欠な資本を注入し部門全体を安定化させることを目的としています。国家経済の安定化に寄与する投資であれば従来の条件付き分野であっても例外的な規制緩和が適用される柔軟な運用が始まっているということが言えるでしょう。
ベトナム国家銀行の公式文書等に関する詳細な政策の意図はベトナム政府のポータルサイトで確認することができます。
ベトナムの最新法改正による手続きの柔軟化と優遇措置

ベトナムの投資環境は2025年12月に国会で可決され2026年3月1日より施行される新投資法によって歴史的な転換点を迎えます。この新法は行政手続きの簡素化とハイテク産業やグリーン経済への外資誘致を推進する目的で制定されました。
企業登録証明書の先行取得メカニズム
日本企業がベトナムで現地法人を設立する際、従来は事業の基本計画に対する承認である投資登録証明書を数ヶ月かけて取得した後に初めて法人の設立許可である企業登録証明書の申請を行うという順序が絶対的なルールでした。このため会社が法的に存在しない期間が長く事務所の賃貸借契約や銀行口座の開設および従業員の採用活動などを現地法人名義で行うことができず実務上の大きな障壁となっていました。
しかし2025年の新投資法ではこの順序が逆転可能なオプションが導入されました。市場アクセス条件を満たす外国人投資家は投資登録証明書を取得する前に企業登録証明書を取得し法的実体である現地法人を先行して設立することが可能となりました。これにより投資家は早期に法人名義での契約締結や人材採用を開始でき設立にかかる事前準備コストの経理処理も適法かつ迅速に行うことができます。ただし投資プロジェクト自体の実行には依然として投資登録証明書の取得が必須であり政令案によれば企業登録証明書の発効から最長12ヶ月以内に投資登録証明書を取得しなければならないという期限が設定されています。
条件付き事業分野の削減とファストトラック制度
2025年の新投資法の下ではすべての投資家に適用される一般的な条件付き事業分野がこれまでの227分野から198分野へと大幅に削減されます。この改正は2026年7月1日から適用され税務申告代理サービスや通関手続き代行サービスおよび労働者派遣業務や冷蔵倉庫ロジスティクスなど約38の分野において事前の許認可が廃止されます。これらは事前承認から事後監査およびコンプライアンス宣言のモデルへと移行するため市場参入のスピードが飛躍的に向上します。
さらに工業団地や輸出加工区およびハイテクパークや自由貿易地域などの特定地域に立地する投資プロジェクトに対しては特別投資手続きと呼ばれるファストトラック制度が新設されました。この制度の対象となるプロジェクトは建設許可や消防安全承認および環境影響評価などの時間のかかる事前手続きが免除され企業のコンプライアンス誓約のみで事業活動を開始できる特例が与えられます。またハイテク産業やインフラ整備に対する投資には法人所得税の減免や固定資産輸入関税の免除および土地使用料の減免といった包括的な税制優遇措置が提供されます。
ベトナムの不動産および建設分野における厳格な外資規制
日本企業によるベトナムへの投資の中でも工場建設やオフィス開設および従業員向けの社宅手配や不動産開発事業への参画など不動産に関わる法規制は避けて通れません。土地の所有権に関しても日本とベトナムでは決定的な違いが存在します。日本では外国人や外国法人であっても日本人と同様に土地の所有権を絶対的かつ無期限に取得することが可能です。これに対しベトナムでは憲法の規定により土地は全人民の所有に属し国家がこれを統一的に管理しています。したがって外国人投資家や外資系企業は土地の所有権を取得することは一切できず国家から一定期間の土地使用権を割り当てられるかリースを受けることしかできません。
ベトナムでは2023年11月に可決され2025年1月1日より施行された改正不動産事業法および改正住宅法により外資系企業に対する不動産規制の枠組みが大きく再編されました。
不動産事業法に基づく外資系企業の定義と権利範囲
旧不動産事業法の下では外国資本がわずか1%でも入っている企業はすべて一律に外資系企業として扱われ不動産事業の範囲が極端に制限されていました。しかし2025年より施行された改正不動産事業法では投資法の基準を援用し外資系経済組織を以下の2つのカテゴリーに明確に分類しました。
| 企業のカテゴリー | 出資比率の条件 | 不動産事業の権利範囲と特徴 |
| 投資手続きの対象となる外資系企業 | 外国資本が定款資本の50%を超えて出資している企業 | 自己が投資開発した不動産プロジェクトにおける建物やインフラストラクチャーの販売や賃貸などに限定される。ただし技術的インフラが完備された土地使用権の販売や転貸は新たに許可された。 |
| 投資手続きの対象とならない外資系企業 | 外国資本の出資比率が定款資本の50%以下の企業 | 国内のベトナム企業と全く同等の広範な不動産事業権限を享受する。既存の建物を購入して転売したりインフラ完備の土地使用権をリースして転貸したりする事業が可能。 |
この法改正により日本企業が現地のベトナム企業と合弁で不動産開発を行う際、日本側の出資比率を50%以下に抑えることで国内企業と同等の機動的な不動産事業スキームを構築できるということが言えるでしょう。
外国人および非不動産業の外資系企業による不動産取得と転貸制限
不動産事業を本業としない一般の日本企業がベトナムで自社のオフィスビルや従業員用の住宅を購入する場合にも特有の制限があります。改正住宅法および改正不動産事業法に基づきベトナムで適法に設立された外資系企業や適法に入国した外国人は商業用住宅を購入することができます。ただし国家安全保障上の制限地域に指定されていないプロジェクトに限られ一つのマンション棟につき全戸数の30%まで、戸建て住宅については一つの行政区画あたり250戸までという総量規制が課されています。
さらに重要な点として一般の外資系企業が購入した住宅や建物は自社の従業員の居住用や自社の事業活動の目的にのみ使用することが許可されます。購入した建物を第三者に賃貸して賃料収入を得ることやオフィスビルとして他社に貸し出す行為は原則として禁止されています。これは投機的な不動産取引を抑制し国内の不動産市場を保護するための強力なセーフガードとして機能しています。日本法においては外国法人が自社ビルを購入した後に空きフロアを他社に賃貸することは何ら制限されませんがベトナム法においては明確な法律違反となるため過大な不動産投資には慎重な判断が求められます。
また開発中の未完成不動産であるオフプラン不動産の販売に関する規制も強化されました。改正不動産事業法では不動産デベロッパーがオフプラン不動産を販売する際に顧客から受領できるデポジットの上限が販売価格の5%に厳格に制限されました。
ベトナムの流通および小売分野における外資規制

商社や小売業を展開する日本企業にとってベトナムの流通市場は魅力的な投資対象です。ベトナムは世界貿易機関に加盟して以降、卸売業および小売業に関する外資100%での市場参入を原則として認めています。ただしこれには実務上の重要な例外と手続きの壁が存在します。
外資系企業が商品を輸入し卸売や小売を行う場合、一部の例外を除き事業展開が可能ですが、実際に事業を行うためには企業登録証明書や投資登録証明書の他に、産業貿易省や地方当局から事業ライセンスという個別の営業許可を取得する必要があります。さらに小売店舗を展開する場合1店舗目の設立は事業ライセンスの範囲内で比較的スムーズに行えますが2店舗目以降の小売店舗を設立する際にはエコノミック・ニーズ・テストと呼ばれる厳格な審査を受ける必要がありました。エコノミック・ニーズ・テストではその地域における既存店舗の数や市場の安定性および人口密度などが審査され地元小売業者の保護を理由に認可が下りないケースが多発していました。
しかしこのエコノミック・ニーズ・テストの制度に関しても日本企業に有利な規制緩和が進んでいます。日本も参加している環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定やEUベトナム自由貿易協定などの規定により特定の条約締結国の投資家に対してはエコノミック・ニーズ・テストを完全に撤廃することが約束されています。これにより2026年以降対象となる日本企業などはエコノミック・ニーズ・テストの制約を受けることなく多店舗展開による小売チェーンの構築を迅速に進めることが可能となる予定です。
ベトナムにおける投資紛争の解決メカニズムと最新の裁判例
外国人投資家にとって現地での法的な紛争が生じた際の解決メカニズムが透明かつ公正に機能するかどうかは投資リスクを評価する上での生命線です。ベトナムの司法制度は発展途上にあると指摘されることもありますが近年は最高人民裁判所による判例の公表が制度化され下級審がこれを参照して判断を下す仕組みが定着しつつあります。また外国企業が関与する紛争においてはベトナム国際仲裁センターを利用した商事仲裁が広く活用されています。
商事仲裁の対象性に関する重要判例
投資家にとって留意すべきなのはベトナムの裁判所が仲裁判断をどのように扱うかという点です。2025年2月26日にホーチミン市人民裁判所が下した決定はベトナムにおける商事紛争の定義と仲裁可能性について極めて重要な判断を示しました。この事案の当事者名については裁判所の決定書において伏せられていますが、当事者間に仲裁合意が存在し既に仲裁判断が下されていました。しかしホーチミン市人民裁判所は対象となった紛争の性質がベトナム商事仲裁法が定める商事活動から生じる紛争ではなく民事的な性質のものであると認定しました。
その結果、仲裁廷の管轄権を逸脱しているとして同法第68条2項に基づきこの仲裁判断を取り消しました。ベトナムでは仲裁判断の取消しに関する裁判所の決定は終審として確定し上訴が認められません。この決定から契約書に仲裁条項を設けていたとしても紛争の実質的な対象がベトナム法上の商事に該当しないと裁判所に事後的に判断された場合、仲裁判断そのものが無効化されるというリスクがあることが読み取れます。契約の性質が純粋な商取引なのかまたは民事的な権利義務に関するものなのかについて日本法務基準の感覚に頼らずベトナム法の定義に照らした厳密な事前の精査が必要不可欠です。
国際金融センターにおける専門裁判所の創設
他方でクロスボーダーの投資紛争解決機能を飛躍的に高める立法も行われました。2025年12月11日に国会で可決され2026年1月1日より施行される国際金融センターにおける専門裁判所に関する法律です。この法律によりホーチミン市やダナン市などの国際金融センター内に投資やビジネス紛争および外国仲裁判断の承認や執行を専門に取り扱う裁判所が新設されました。専門裁判所の画期的な点は一定の要件を満たす外国人裁判官がベトナム人裁判官とともに合議体を構成することが認められ、さらに手続きや判決書の作成において英語の使用が公認されたことです。
また、サマリージャッジメントと呼ばれる略式判決や欠席判決など国際的なコモンローの実務に沿った迅速な審理手続きが導入されています。専門裁判所の手続き規則では裁判官と当事者が争点を整理し手続きの進行を協議するケースマネジメント会議も導入されており証拠開示やスケジュールの予測可能性が大幅に向上しました。これはベトナムの司法史上かつてない国際化の動きであり外資系企業が直面する訴訟リスクの軽減と国際標準に準拠した公平な紛争解決手続きの担保に大きく貢献することが期待されています。
まとめ
本稿で解説したとおりベトナムの外国人投資規制はネガティブリスト形式を軸としながらも法体系の随所に外資特有の厳格な市場アクセス条件や日本法とは根本的に異なる不動産および土地管理のルールが存在しています。輸入や小売事業においては100%外資が可能であるものの個別のライセンス取得やエコノミック・ニーズ・テストの要件に留意する必要があります。一方で2026年施行の新投資法による会社設立手続きの抜本的な迅速化や条件付き分野の削減、さらには2025年施行の改正不動産関連法による外資権利の明確化などビジネス環境はかつてないスピードで外資に有利な方向へと劇的な進化を遂げています。また国際金融センターにおける専門裁判所の設立は紛争解決の実務において国際標準を取り入れた画期的なマイルストーンとなります。
急速に変化するベトナム法務のダイナミズムに対応するためには条文の表面的な理解にとどまらず最新の政令動向や裁判所の運用実務に裏打ちされた高度なリーガルリスク管理が求められます。特に新投資法に基づく企業登録証明書の先行取得の実務運用や改正不動産法に基づく建物の自社使用目的の厳格な解釈については慎重な検討が必要です。モノリス法律事務所ではこうした複雑かつ最新の法制内容を踏まえ日本企業の皆様がベトナム市場において安全かつ円滑に事業を展開できるよう現地の制度変更に適応するための法務戦略の策定からライセンス取得の支援および紛争予防のための契約書レビューに至るまで多角的にサポートいたします。ベトナム進出に関わる法的な不安や疑問がございましたらぜひ我々の法律事務所にご相談ください。
カテゴリー: IT・ベンチャーの企業法務
タグ: ベトナム社会主義共和国海外事業

































