爆サイ.comの書き込みを削除するには

近年、5ちゃんねる(旧2ちゃんねる)等の匿名掲示板が増えています。その中でも、特に誹謗中傷が書き込まれやすいといわれるサイトとして爆サイ.com(以下、爆サイ)が挙げられます。
モノリス法律事務所では、爆サイに関して2016年から現在まで投稿単体の削除につき734件、スレッド全体の削除につき42件の削除実績があります(2025年1月時点)。削除に要する期間は平均して1〜2週間と短く(注1)、クライアントの風評被害の拡大を防いできました。
注1:削除に要する期間はあくまで弊所の受任案件における目安となります。相手方の対応等によって前後するものであり、記載の期間に比べて長期化する可能性があります。
今回は弊所に蓄積された知見をもとに、爆サイ.comにおける風評被害対策について解説します。
風評被害対策全般については以下をご覧ください。
この記事の目次
爆サイに関する解説
爆サイは、「日本最大級のローカルコミュニティ掲示板」と称して運営されている電子掲示板です。2019年11月8日時点の月間PVは約9億となっており、電子掲示板としては5ちゃんねるに次ぐ規模を誇ります。他の掲示板と異なる爆サイ独自の特徴は、掲示板が地域ごとに設置されている点にあります。具体的には、東北版・関東版・関西版といったように地方ごとに大きくわかれ、その中でさらに市区町村ごとにわかれた掲示板が存在しており、全国レベルではあまり話題にならないような、地域密着型の企業や店舗などに関する書き込みも多く行われます。

爆サイではどのような風評被害があるのか

爆サイは、掲示板が地域ごとに立てられるという特徴を有するが故に、特定の人や店についての誹謗中傷が、その地域と関連付けた形で投稿されることとなります。このため、その地域に居住する人が閲覧すれば誰に対する誹謗中傷であるかの特定が可能となってしまうケースもあります。
実際に爆サイの掲示板を見てみると、具体的な企業名や個人名が記載されたスレッドが相当数立ち上げられていることがわかります。誹謗中傷の内容としては多岐にわたるものの、「〇〇株式会社は粉飾をしている」「株式会社△△は▲▲という違法行為をしている」「××は不倫している」等の書き込みが目につきます。これらの誹謗中傷を受けた場合、周囲から誤解を受けて不必要な軋轢を生むおそれがあります。
また、採用活動や融資を受ける審査の際に、求職者や金融機関の担当者が誹謗中傷記事を目にするようなことも想定され、不当なマイナス評価を受ける可能性があります。このように店舗や会社に対する誹謗中傷であれば、事業そのものに対する風評被害は、はかり知れません。
爆サイでの風評被害対策における削除の手段
爆サイにおける書き込みを削除する方法は、大きく分けて裁判外での削除請求と裁判手続きによる削除請求に分かれます。
このうち、裁判外での削除請求は、書き込みがサイトの利用規約に違反することを理由とするものと、書き込みが違法であることを理由とするものに分類できます。
また、裁判手続きによる削除請求は、仮処分によるものと、本案訴訟によるものに分けられます。

このうち本記事では、裁判外での請求である、サイトの利用規約違反を理由とする削除請求について詳しく説明します。
書き込みの利用規約違反を理由として削除請求する方法
利用規約違反を理由として、爆サイに削除請求を行う場合には、各スレッド内にある削除依頼フォームから請求を行うことができます。

もっとも、爆サイでは削除請求を受けたすべての投稿を削除するのではなく、利用規約に違反するもののみを削除しています。爆サイの利用規約では、運営者は利用規約に定める禁止事項に反する投稿について削除の措置を講ずることとされています(利用規約3条2項)。このため、削除を請求する場合には、どの投稿が利用規約のどの条項に違反するのかを特定して行う必要があります。爆サイの利用規約3条1項には、サイト利用上の禁止事項として以下の行為が挙げられています。
第3条【禁止事項】
(1)当サイトにおいて以下の行為を禁止します。
1.bakusai.comドメイン以外のURLの記載
2.各掲示板に指定されたテーマや情報から逸脱した内容の投稿
3.同一内容の多数投稿や無意味な文字の羅列等の行為(マルチスパム投稿)
4.出会いを求める投稿及び援助交際目的の投稿
5.他人の名誉、社会的信用、プライバシー、肖像権、パブリシティ権、著作権その他の知的財産権、その他の権利を侵害する行為(法令で定めたもの及び判例上認められたもの全てを含む)
6.本名、住所、メールアドレス、電話番号の記載(一般に公開されている情報・公人に関してはこの限りではありません)
7.指定された掲示板以外での物品売買行為
8.指定された掲示板以外での求人関連投稿
9.有害なコンピュータプログラムなどにリンクするもの
10.当サイトまたは当サイトに接続しているサーバーもしくはネットワークを妨害したり、混乱させたりすること11.通常に本サービスを利用する行為を超えて、サーバーに負荷をかける行為もしくはそれを助長するような行為、その他本サービスの運営・提供もしくは他の利用者による本サービスの利用を妨害し、またはそれらに支障をきたす行為
bakusai.com 利用規約3条1項
12.犯罪予告、自殺への誘引その他他人を威迫・脅迫する旨が看取される内容を含むもの
13.当サイトを利用しての宗教の宣伝を含む宗教的行為、および宗教団体の設立・活動、宗教団体への加入等宗教上の結社に関する行為
14.詐欺、強迫、マルチ商法、ネズミ講もしくはその他の違法取引行為またはかかる取引への勧誘
15.「麻薬及び向精神薬取締法」「銃砲刀剣類所持等取締法」によって所持、取引または取扱が規制される引き及び物質等の所持及び使用への勧誘
16.その他、日本国の法令が禁止する事項
17.上記以外の、管理者が不適切であると判断する行為
書き込みの利用規約違反のうち、違法を理由として削除請求するパターン
書き込み内容の違法性を理由として削除請求する場合には、利用規約の禁止事項5.に定められている通り、どの部分がどの法律に違反しているか、又はいかなる権利を侵害しているかを明示する必要があります。以下にケースごとに例を挙げて説明します。
噂が書き込まれた場合
「粉飾をしているをしている」といった根拠のない誹謗中傷の書き込みについては、後で説明する名誉毀損の成立要件を満たす場合に利用規約の禁止事項5.に定める名誉権の侵害に該当するとして削除を請求することになります。
私生活上の情報が書き込まれた場合
仮に書き込まれた情報が真実であっても、人の私生活に関する事項であれば、利用規約における禁止事項5.に定めるプライバシー権の侵害にあたるとして削除請求することができます。
例えば、不倫関係の書き込みにおいて「▽▽の店長Aが、ナンバー▼▼の車でB子と待ち合わせていた」といった情報は、真実であるか否かにかかわらず本来他人に知られたくない私生活上の情報である車のナンバーが含まれているため、プライバシー権により保護されているとの主張が可能です。プライバシー権の侵害に関しては、下記記事にて詳細に解説しています。
本名が書き込まれている場合
爆サイでは、人の氏名が書き込まれた投稿がしばしばあります。これが本名であれば、利用規約における禁止事項6.に該当するものとして削除請求をすることになります。こうした事例は、個人対個人の場合に限らず、店員に対するカスタマーハラスメントとして書き込みが行われる場合もあるため、企業においても注意が必要です。
もっとも、爆サイ側が利用規約違反を認定することは少なく、違法を理由とする削除請求や裁判上の請求が主な削除手段となります。
送信防止措置請求及び裁判上の請求に関しては、以下の記事で詳細を説明しておりますのでご確認ください。
まとめ:爆サイの書き込み削除は弁護士に相談を
このように爆サイは地域ごとのローカル情報を気軽に書き込めるサイトであるが故に、誹謗中傷や風評被害の温床となりやすい面があります。
書き込みの削除を行うにはさまざまな手法があり、その中で適切な手法を見極め実効的な解決を図るためには、自力のみで対応するのは困難です。このようなネット上の誹謗中傷や風評被害への対策は、ITに関する専門的な知識が必要となるため、この分野について経験豊富な弁護士に相談することをお勧めします。

当事務所による対策のご案内
モノリス法律事務所は、IT、特にインターネットと法律の両面で豊富な経験を有する法律事務所です。近年、ネット上に拡散された風評被害や誹謗中傷に関する情報は「デジタルタトゥー」として深刻な被害をもたらしています。当事務所では「デジタルタトゥー」対策を行うソリューション提供を行っております。下記記事にて詳細を記載しております。
モノリス法律事務所の取扱分野:デジタルタトゥー
カテゴリー: 風評被害対策
タグ: 爆サイ風評被害対策:サイト別