病院なびの口コミによる風評被害とその対策
「なんだか具合が悪いから病院に行こうかな…」と感じる時はどんな人にもあるでしょう。しかし、普段病院に行かない人や引っ越したばかりの人は、近くにどんな病院があるかも分からない時、利用すると便利なのが「病院なび」です。
検索条件が細かく設定されているため、希望通りの病院を見つけることが可能です。しかし、口コミサイトのひとつである以上、避けられない問題が「口コミによる風評被害」。本記事では病院なびの口コミによる風評被害とその対策に関して説明していきます。
この記事の目次
病院なびとは?
病院なびは、簡単にいうと病院を探すサービスなのですが、特徴は検索で指定可能な条件の細かさ。エリアや診療科目はもちろんのこと、「曜日や時間」を指定することも可能なので、自分の都合がいい時間帯に受診できる病院を探すことができます。さらに、ネット予約・電話予約ができるか、託児所またはキッズスペースがあるのか、近隣に駐車場があるか等、細かく条件設定が可能な、痒いところにまで手が届く作りとなっています。例えば、月曜の朝に急に体調を崩してしまったケースなら「月曜日の午前10時に診療を受け付けている、さいたま市浦和区の内科で電話予約が可能な病院」を一発で検索してくれる、とても便利な病院検索サイトです。また、ネットを通じて医療相談が無料でできる「医療相談サービス」も実施しています。パソコンやスマートフォンから相談内容を入力すれば、専門医から直接回答がもらえます。
病院なびに投稿される悪質な口コミの内容とは?
病院なびで検索した病院情報画面では、その病院を利用した人の「口コミ」を見ることが可能です。ここに良い口コミが載せられていれば病院を利用しようと思いますが、悪い口コミがあると利用を躊躇してしまいます。ここでは、病院なびに投稿される口コミの中で、病院の客足を遠ざけるような悪質な口コミをご紹介します。まずは、一般的に病院への悪質な口コミとして考えられる内容を列挙します。
誤診
「処方された薬を服用しても全く症状が良くならず、誤診をされた可能性が高い」など、誤診を告発する内容の口コミです。誤診をする病院だという噂が広まったら、まず間違いなく患者数は減少するでしょう。
対応の質の低さ
「受付や医師の愛想が悪い」「説明が適当で聞いたことにしっかりと答えてくれない」など、対応の悪さを指摘する口コミです。対応が悪いと気分が悪くなります。人によっては「もうこの病院は利用しない」と思う方もいるでしょう。
清潔感の欠如
「病院なのに床がほこりだらけ」「治療器具を使いまわしている」など、清潔感の無さを指摘する口コミです。病院は様々な菌が繁殖する恐れがあるので、清潔感は必須です。病院が汚いと、それだけで利用する気が失せてしまうでしょう。
待ち時間の長さ
「予約したのに30分以上も待たされた」など、待ち時間の長いことを指摘する口コミです。体が弱っているのに、何十分も待たされるのは辛いものです。なかには、待ち時間が嫌で少し遠方の別の病院に通う方もいるでしょう。このように、直接治療には関係なくても待ち時間が長いことも、病院の悪評の1つです。
余計な検査
「レントゲンを行ったが原因が判明せず、湿布だけ渡された。余計な検査をして患者から金をせしめる、ぼったくり病院だ」と不可解な検査への不満を漏らす口コミがあります。検査の種類が増えればそれだけ治療費もかかるため、余計な検査をする病院は敬遠されてしまいます。
過去の医療ミス
「この病院の代表医師は過去に手術を失敗している。とても安心して命を預けられない」と過去の医療ミスを指摘する口コミも考えられます。過去の医療ミスと今の治療とは関係ないと分かっていても、正直医療ミスをした医師の能力には疑いの目が向けられてしまいます。過去の医療ミスを明らかにする口コミは、立派な悪評の1つです。
病院なびでは否定的な内容の掲載を禁止している
上述したような内容の口コミをされると、病院の評判は落ちしてしまい病院経営にも打撃を与えかねません。しかし、病院なびでは、このような内容の口コミは原則、投稿されることはありません。なぜなら、病院なびでは否定的な内容の掲載を禁止しているためです。病院なびのホームページには、口コミの投稿について、「否定的な内容は掲載されない」と明記されています。
- 否定的な内容が含まれる口コミ
- 中傷やクレームを目的としたもの
- 伝聞によるもの
- 法律法令、公序良俗に反するもの
上記に該当する口コミで、運営で不適切など判断したものは掲載されることがありません。また、一度掲載された口コミでも、後の再審査や掲載ポリシーの変更等の理由で、後に削除・変更することがあるそうです。おススメする口コミを収集しているとも記載しているため、運営サイドとしては否定的な書き込みを求めていないことは明白です。また、病院なびの利用規約では、投稿情報の内容や表現に、以下のいずれかの情報が掲載されていると判断した場合、利用者の許可を得ることもなく、当該投稿情報を掲載しないか、または一部省略や変更した上で掲載することがあると明記しています。
1) 病院なびの運営ポリシーに反する情報→上述したような否定的な内容の口コミ
(参考:「病院なび利用規約 第5条(投稿情報の取扱い)4項)
2) 法令の定めに違反し、または違反するおそれのある情報
3) 特定の医師、医療機関、医療機器、化粧品、医薬品、医薬部外品などの宣伝広告と認められる情報
4) 化粧品、医薬品、医薬部外品などの名前、製造方法、ききめ、効果、性能に関する虚偽または誇大な表示や第三者が保証したと誤解されるおそれがある情報
5) 事実に反することが明らかな情報
6) 犯罪行為またはこれを勧誘・助長するおそれのある情報
7) 弊社、他の会員、第三者の財産権、著作権、商標権、およびその他知的所有権を侵害する情報
8) 他の会員や第三者のプライバシーを害する情報(電話番号や住所、電子メールアドレスなどの他の会員や第三者の個人情報を掲載することを含みます。)
9) 他の会員や第三者の名誉・信用を侵害する情報
10) 過激な表現・非難など他の利用者に不愉快な印象を与える情報
11) 民族・人種・性別・年齢などによる差別につながる情報
12) 自殺、自傷行為、薬物乱用などを美化・誘発・助長する恐れのある情報
13) その他公序良俗に反する情報
14) 弊社または弊社が遂行する業務への非難など弊社の業務を妨げる情報
15) 男女の出会い、宗教的勧誘など病院なびのサービスと関連がない情報
利用違反で削除請求する方法
前章で見てきたように、否定的な表現や事実に反する内容等の口コミを投稿した場合、運営によって削除されます。そのため悪質な口コミが投稿される危険は限りなく低いのですが、確認漏れや事実に反しているのか運営で判断できないような内容の場合、チェックをくぐり抜けることも考えられます。こうした場合、自らの手で利用違反として運営に削除請求する必要があります。ここでは、病院なびに投稿された口コミを利用違反で削除請求する方法をご紹介します。
問い合わせフォームを利用する
情報の削除・修正を依頼する場合、サイト上に設けられたお問合せフォームから依頼します。(電話による問い合わせには対応していません)
問い合わせフォームに記載する内容は、以下の通りです。
- 医療機関名(正式名称)
- 医療機関の電話番号
- 修正、追加内容
- 修正を依頼する者の情報(氏名やメールアドレス等)
- 病院なび上のページURL
- 病院なびID
違法だとして削除請求する場合の例
投稿された口コミが違法だとして削除請求する場合、「名誉毀損 」を主張するのが一般的です。名誉毀損とは、公然と事実を提示し人や企業の社会的価値を下げる言動を取ることを指します。ネットで、事実を指摘して誹謗中傷を行えば名誉毀損に該当する可能性が高いでしょう。
名誉毀損に該当する恐れがある口コミの例
主観的な内容ではなく、事実を指摘している口コミの場合、名誉毀損に該当する恐れがあります。上記の例でいうと「誤診」「余計な検査」「過去の医療ミス」などは事実の例示に当たる可能性があります。逆に、対応の不備や待ち時間の長さなどは個人の主観によって変わる内容ですから、名誉毀損に該当する可能性は低いです。
例外的に名誉毀損に該当しないケース
名誉毀損に該当するケースでも、以下の条件をすべて満たしていると名誉毀損は成立しないとされています。
- 公的な利害を目的としている(公共性及び公益性)
- 真実である(真実性)
例えば、その病院で医療ミスが起きたことを伝える内容の口コミであれば、多くの人にとって役立つ内容のため、公共性や公益性が認められそれが真実であれば、名誉毀損を免れる可能性が高いです。つまり、実際のところ名誉毀損に該当するかの判断で重要となるのは、指摘の事実が虚偽なのか真実なのかという点です。すなわち、虚偽であれば名誉毀損が成立し、真実であれば名誉毀損は成立しません。実際の事件では、この真実性が審理のポイントとなります。「名誉毀損」に関しては、下記記事にて詳細に解説しています。
仮処分による削除
名誉毀損で訴える方法を取ると、裁判で審理が争われます。裁判になると費用や時間が多くかかってしまいます。より迅速に削除してもらいたければ、仮処分による削除を利用するのがおススメです。仮処分とは、裁判所にお願いし、裁判所から口コミサイトに削除するよう命令を出すことです。裁判所から命令が出たとあったら、サイト側もすぐ削除の対応をするでしょう。ただ、裁判所が仮処分を出してもらうためには、権利侵害されている事実を法的根拠に基づき、検証する必要があります。こうした法的な主張は素人では厳しいので、弁護士の利用を検討すべきです。弁護士によって得意分野があるので、誹謗中傷の仮処分の経験が豊富な弁護士を選びましょう。
仮処分による利用者特定
仮処分では、削除だけでなく発信者情報開示請求を行い、利用者を特定することも可能です。継続的に悪質な口コミが投稿される場合、削除しても根本的な解決になりません。その点、投稿者を特定しその責任を追及すれば、投稿を止めさせることが可能です。口コミサイトに投稿者の情報開示請求をまず行うのですが、サイト側にも個人情報を保護する義務があるため、すぐに応じることは希です。議論がもつれることが考えられますから、腕の立つ弁護士に依頼する必要があります。
まとめ
病院なびは、曜日や時間など細かく条件を指定し、利用できる病院検索サイトです。否定的な内容の口コミは掲載しないと謳っているので、病院の評判を落とすような悪質な口コミがされる可能性は少ないです。しかし、チェックをくぐり抜ける可能性もあるため、誹謗中傷の口コミを発見したら自分で削除請求を行わなければいけません。自分だけではうまくいかない場合は、弁護士を利用し仮処分による手続きを検討しましょう。
カテゴリー: 風評被害対策