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風評被害対策

Googleマップ(マイビジネス)の口コミを削除する方法

風評被害対策

Googleマップ(マイビジネス)の口コミを削除する方法と風評被害対策

Googleマップの口コミ機能は、Googleマップという地図アプリのGPS機能を利用して、レストラン等の自分自身が行ったことのある場所や様々な施設に関する情報を口コミとして、ユーザーが投稿することが出来るサービスです。

このように便利なサービスである口コミ機能ですが、他方でGoogleアカウントを持っているだけで、匿名で簡単に口コミを書き込むことが出来ることから、名誉毀損を含む誹謗中傷による風評被害が生じるケースも存在します。

本記事では、Googleマップ上の口コミを削除する方法や風評被害対策について解説していきます。

Googleマップ(マイビジネス)の口コミの特徴と性質

スマホでGooglemapを見る人
Googleマップの口コミの特徴と性質について解説します。

Googleマップとは、インターネット上で地図を見ることができるGoogle社が提供するサービスです。

地図情報にあわせて紐づけられた自分の行きたい場所に関する口コミや評価等の情報が提供されています。

閲覧する側からすると事前に店舗や施設に関する口コミを把握できるため非常に便利な機能といえます。

Googleマップの口コミは、Googleアカウントを持っていれば誰でも5点満点で評価することができ(星が高いほど高評価)、あわせてコメントを投稿することが出来ます。

また、企業側としては、マイビジネスという機能により、Googleマップ上の口コミと自社情報等を紐づけ、集客手段として用いることができるようになっています。

一方、Googleマップの口コミは、Googleのアカウントを持っていれば誰でも簡単に投稿することが出来るため、悪意のある評価によって企業や店舗などに風評被害が発生するケースが多発しています。

Googleの検索エンジンで企業や店舗を検索するとGoogleマップの口コミが上位に表示されます。

したがって、多くの人がGoogleマップの口コミ機能を閲覧しているため、悪意のある評価を書き込まれることにより企業や店舗の売り上げが落ちたり、社会的評価が下がったりするなどの風評被害が発生するのです。

このような悪意ある口コミの内容が虚偽であり、かつ社会的評価を下げるような事実が書き込まれた場合は名誉毀損となる可能性があります。

また、私生活に関する情報など他人に知られたくない情報を投稿された場合はブライバシー権の侵害が問題となります。

Googleマップ(マイビジネス)の口コミ機能による被害

口コミを書く人

1.Googleマイビジネス店舗情報の改ざん

Googleマップの口コミ機能により生じる風評被害の一つ目は、特定の企業や場所についての基本情報が誹謗中傷となるような名称やカテゴリーに改ざんされてしまうケースです。

具体的には、警視庁や全国の城跡等の名称表示がいわゆるオウム真理教事件の拠点を想起させる「サティアン」と改ざんされたものなどがあります。

このケースでは情報の回復が速やかに行われ、また、その悪質性が高かったこともあり、刑事事件として最終的には投稿者が書類送検される事態にまで至っています。

近年では、ネット上でいわゆる「炎上」した店舗や企業がその対象とされることも多いため、炎上に遭ったような場合には、Googleマップ上の自社の店舗等の基本情報の表示についても注視する必要があります。

なお、「マイビジネス」の開設を行っている場合には、基本情報の変更についてオーナーの承認が必要となるため、基本情報の改ざんが行われる可能性は低いと言えます。

勝手に書き換えられた店舗情報を修正する方法

勝手に店舗情報が登録された場合は、「オーナー権限で削除する方法」「Googleに削除申請をする方法」の2つがあります。

「オーナー権限で削除する場合」は、

  1. Googleマイビジネスにログイン
  2. 画面左にあるメニューから 「情報」 をクリック
  3. 「Google上でこのビジネスを休業または閉業する」 の「リスティングを削除」をクリック
  4. 次の画面で 「削除」 をクリック

とすすめていくと勝手に登録された情報を削除することができます。

なお、情報が変更された際にはGoogleから「Googleによる変更」という通知が届きます。

通知に記載された内容に誤りがある場合、破棄の手続きによって修正前のプロフィールに戻すことが可能です。

「Google に削除を申請する場合」は、Google マップにアクセスし、削除したいビジネス情報を見つけて、「情報の修正を提案」をクリックします。その後「休業とする、または削除する」をクリックして、理由を選択し「送信」 をクリックすることで削除できます。

2.悪質な口コミ投稿

二つ目としては、口コミユーザーによって、事実と異なる誹謗中傷等の口コミが投稿されるケースです。

例えば、ある病院に対する虚偽の内容を含む二つの口コミについて、Google社に対し削除すべきとの仮処分決定が出た事例があります。

このようなケースは匿名により容易に投稿できるGoogleマップの口コミ機能の性質上、日常的に生じていると考えられます。

Googleマップの悪質口コミの削除方法

口コミを削除する方法を探す人
誹謗中傷に繋がる悪質な口コミを削除したい場合にはどのような対策があるでしょうか。

誹謗中傷の口コミによってプライバシー権や名誉権を侵害されたら、その口コミを削除しなければなりません。

方法1.Google利用規約の違反に基づく削除申請

Googleマップの口コミの削除申請ですが、マイビジネスの開設を行っている事業者は、「ビジネスを管理」を選択することで報告が行えます。

また「マイビジネス」を開設していない場合でも、口コミの表示されている画面から「違反コンテンツを報告」を選択することで報告を行うことが出来ます。

  1. マイビジネスにログイン
  2. 「ビジネスを管理」を選択
  3. メニューの「クチコミ」を選択
  4. 報告対象の口コミを「不適切なクチコミとして報告」
不適切なコンテンツを報告し、修正する」画面より

また、Googleマップでは、「禁止および制限されているコンテンツ」として、

  1. スパムと虚偽のコンテンツ
  2. 関連性のないコンテンツ
  3. 制限されているコンテンツ
  4. 違法なコンテンツ
  5. テロリストのコンテンツ
  6. 露骨な性的表現を含むコンテンツ
  7. 不適切なコンテンツ
  8. 危険なコンテンツおよび中傷的なコンテンツ
  9. なりすまし
  10. 利害に関する問題

の10項目を示しており、Googleがいずれかに該当する判断したコンテンツについては削除が行われるとされています。

Googleの口コミが削除されるまでの期間については、Googleビジネスプロフィールヘルプに「審査には数日かかる場合があります」と記載があり、この審査の期間については明確にされていません

また、審査の結果を改めて知らせてもらえないため、審査が通ったかどうかもわかりません。

一応の目安として、1ヶ月経っても対象の口コミが削除されない場合は、Google側が「削除する必要はない」と判断してしまったと推測はされますが、はっきりとはわかりません。

マップユーザーの投稿コンテンツに関するポリシー画面より

方法2.Google検索またはGoogleマップから削除申請

オーナー権限によって削除する方法以外にも、Google検索またはGoogleマップから削除申請を出す方法があります。

  1. GoogleもしくはGoogleマップを開く
  2. 検索窓に店名等を入力して、ビジネスプロフィールを見つける
  3. 削除申請をしたい口コミを見つけたら「︙」→「レビューを報告」の順にクリックする
  4. 該当する口コミの問題点を選択して「報告」する

このような手順で、オーナー権限によって削除する方法以外にも、削除申請を行うことができます。

申請によって削除できる口コミ

口コミした人を探すイメージ画像

例えば、明確に客観的事実と異なることが記載されている場合には、上記Googleの「禁止および制限されているコンテンツ」1.の「スパムと虚偽のコンテンツ」に該当すると考えられます。

ただし、Google社は何が真実であるかを調査することはできないので、1.に基づいて削除されるのは上で例に挙げた警察署等の場所に「サティアン」と表記された事例のように虚偽であることが明白なものに限られるでしょう。

また、口コミの内容が真実であるかは別としても従業員の容姿などを不当に貶めるような内容については8.の「個人または個人で構成されるグループを中傷」に該当するということができます。

さらに、従業員などの個人の氏名や住んでいる場所などといった他人に通常知られたくない情報が書き込まれた場合には、プライバシー権の侵害として4.の「違法なコンテンツ」に該当すると考えられます。

プライバシー権の侵害に関しては、下記記事にて詳細に解説しています。

もっとも、一般的には、例えば「料理がまずくて食べられたものではなかった」や、「店員の態度が非常に悪かった」といった投稿者の主観的評価に基づくものである場合には、禁止コンテンツに当たらないとされることも多いと言えます。

そのため、Googleマップの口コミの削除申請にあたっては、削除を求める口コミが利用規約の定める禁止コンテンツのいずれにあたるのかを具体的な事実とともに示すことが重要であるといえます。

名誉毀損として削除請求する場合の例

名誉毀損のイメージ画像
Googleマップの悪質な口コミを削除するための方法を説明していきます。

Googleマップの口コミが違法であるとして削除請求する例としては、口コミが名誉毀損にあたる場合が典型的です。

名誉毀損は、人の社会的評価を低下させる事実が書き込まれた場合に成立します。

もっとも、その口コミが真実である場合や真実であると信じるべき正当な理由がある場合には成立しません。

名誉毀損の成立要件に関しては、下記記事にて詳細に解説しています。

例えば、Googleマップ上に掲載される居酒屋について、「頼んでいないメニューについて法外な請求がされるぼったくりバー」といった口コミがされるようなケースがあります。

居酒屋において法外な請求をするいわゆるぼったくり行為については、態様によっては詐欺罪や恐喝罪になることがあります。

したがって、ぼったくりの事実が全くないにもかかわらずこのような口コミを書き込まれればその居酒屋の社会的評価が低下するといえ、名誉毀損が成立する可能性があります。

誹謗中傷が違法となる場合、プロバイダ責任法に基づきGoogle社に対して送信防止措置依頼を行うこともできます。

送信防止措置により削除と同じ効果があります。

もっとも、依頼を受けるかはGoogle社が判断するため必ず削除されるとは限らない点に留意しましょう。

裁判所手続により口コミの削除の仮処分を求める方法

法廷のイメージ画像

Google社による削除が認められない場合にも、裁判所に対し削除を求める仮処分の申立てを行うことにより、削除がされる可能性があります。

近年では、上でも紹介した、病院に対する悪質な口コミの事例について仮処分による削除を裁判所が命じるなど、認められる事例も増えているといえます。

仮処分の手続は通常の民事裁判と異なる仮の手続であるため、結論が出るまで1~2か月と比較的短期間で解決できる可能性があります。

もっとも、投稿から時間が経過するほど風評被害は拡大しやすいので、誹謗中傷の口コミをみつけたらできるだけ早く弁護士などの専門家に相談の上、対応することが重要であるといえます。

投稿の削除を求める仮処分申立てに関しては、下記記事にて詳細に説明しています。

仮処分による投稿者特定

IPアドレスのイメージ画像

Googleマップの誹謗中傷の口コミに対しては削除を求めるだけでなく、仮処分を利用して投稿者情報(IPアドレス)の開示を求めることもできます。

投稿者を特定することで投稿者に対し削除および損害賠償請求等を請求することができるようになります。

発信者情報開示請求に関しては、下記記事にて詳細に解説しています。

また、このIPアドレス開示の仮処分は、上記の削除仮処分と同時に行うこともできます。

悪質なGoogleマイビジネスの口コミ削除業者に注意

報酬のイメージ画像

Googleマイビジネスの口コミの改ざんを請け負う削除業者が、多数のクリニックの口コミ対策を請け負っていたというような事案もあります。

この事案では、在籍するスタッフが高評価のレビューを書き込み、通常は消せないレビューを非表示にし、評価を上げるというやり方で、評価を操作していました。

「評価3.5以下になると大変なことになる」と、風評被害による業績の下落をあおる形で営業をかけていたそうです。

悪徳業者の中には、報酬を受け取りながら何の対応もしないところもあります。この場合は当然のこととして、悪質な書き込みが削除されることはありません。

また、削除代行業者を通じてGoogleマイビジネスに削除依頼をすることは違法行為に当たるため、店舗のGoogleアカウントが停止されてしまうおそれもあります。

このような業者が行っていることは、違法行為に該当する可能性が高いため、依頼するのはハイリスクです。

もし、このような悪徳業者から連絡があった場合、注意が必要です。

まとめ:Googleの口コミ削除が難しいなら弁護士へ相談

法典のイメージ画像

近年では、消費者が店舗などの選択を行う判断材料として、ネット上の口コミが重要な地位を占めています。

事業者にとっては、悪質な口コミによって「汚染」されてしまうと売上の減少をはじめ、事業活動に直接の影響を受けることがあります。

そのため、悪質な口コミについては出来るだけ迅速な対応が必要であり、そのためには定期的な口コミ情報のチェック体制の構築が肝要であると言えます。

悪質な口コミへの対処方法は、「オーナー権限で削除する方法」「Googleに削除申請をする方法」がありますが、簡単に削除申請が通るとは言い難いです。

Google社による削除が認められない場合は、プロバイダ責任法に基づきGoogle社に対して送信防止措置依頼を行うという手段もあります。

そして、万が一悪質な口コミが書き込まれ風評被害に遭った際にはIT分野に関する経験が豊富な弁護士に早めに相談することが重要です。

弁護士 河瀬 季

モノリス法律事務所 代表弁護士。元ITエンジニア。IT企業経営の経験を経て、東証プライム上場企業からシードステージのベンチャーまで、100社以上の顧問弁護士、監査役等を務め、IT・ベンチャー・インターネット・YouTube法務などを中心に手がける。

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