発信者情報開示請求とは?改正に伴う新たな手続きの創設とその流れを弁護士が解説

ネット上で誹謗中傷を受けたとき、投稿した人物を特定し、損害賠償請求をしたい場合、実際にはどのようにすれば投稿者の特定ができるのでしょうか。
違法な投稿を行った人物の情報を、Webサイト上の掲示板やSNSの管理者、プロバイダなどに求める制度として、発信者情報開示請求という制度があります。本記事では、発信者情報開示請求のやり方や流れについて、解説していきます。
なお、従来の「プロバイダ責任制限法」は、令和7年4月1日改正により名称が「情報流通プラットフォーム対処法」に変更されました。
詳しくは、以下の記事をご参照ください。
この記事の目次
発信者情報開示請求とは

発信者情報開示請求とは、インターネット上で他者に対しての誹謗中傷や、違法な書き込み、投稿などを行った発信者の住所や氏名、電話番号などについて、掲示板・ブログなどの運営者やプロバイダに開示請求できる制度です(情報流通プラットフォーム対処法第5条~第7条)。
投稿者に対して損害賠償などを求めて裁判を起こす場合には、その人の氏名や住所などの個人情報が必要です。しかし、インターネット上の誹謗中傷は匿名で行われるケースがほとんどであり、書き込んだ人物の特定は非常に困難なため、被害回復の手段がこれまで大きな問題となっていました。
発信者情報開示請求の対象となる情報は以下の通りです。
- 発信者氏名
- 発信者住所
- 発信者メールアドレス発信者IPアドレス
- 発信者のIPアドレス/IPアドレスと組み合わされたポート番号
- 携帯端末のインターネット接続サービス利用者識別番号
- 利用者識別符号
- SIMカード識別番号
- 送信日時、時刻(タイムスタンプ)
情報流通プラットフォーム対処法(旧:プロバイダ責任制限法)とは

情報流通プラットフォーム対処法とは、インターネット上で発信された情報ややりとりされた内容などによって、名誉毀損や著作権侵害、プライバシーの侵害などが生じた際に、サイトや電子掲示板の管理者、プロバイダが負うべき損害賠償責任を制限する法律です。
もともとは「プロバイダ責任制限法」という名称でしたが、大規模なプラットフォーム事業者への対応強化などを目的として改正され、令和7年(2025年)4月1日より現在の名称に変更されました。
情報流通プラットフォーム対処法の基礎となっているのは、平成14年(2002年)施行の旧法と、手続きの迅速化を実現した令和4年(2022年)10月の改正内容です。2022年に導入された以下の迅速な開示手続きも、そのまま引き継がれています。
【令和4年(2022年)改正で導入された仕組み】
参照:インターネット上の違法・有害情報に対する対応(総務省HP)
改正の大きなポイントは、以下の2点です。
- ログイン型投稿に関する開示手続及び要件の整備による開示範囲の見直し
- 発信者情報開示のための新たな裁判手続きの創設
2001年のプロバイダ責任制限法の制定時には想定されていなかった新たなSNS等のサービスやスマートフォンなどの普及によって、誰でも気軽にネット上での投稿ができるようになり、当時のプロバイダ責任制限法での開示請求の限界が指摘されるようになりました。
近年横行する誹謗中傷として、X(旧Twitter)やYouTubeのコメント、Instagramなどのいわゆるログイン型のSNSにおける投稿があります。ログイン型では、ログイン時のIPアドレスのみが保存され、投稿時のIPアドレスが保存されない場合が多く、スマートフォンやパソコンなど複数の端末で同時にログインが可能です。旧法下においては権利侵害に該当する投稿を行った際に使用されたアクセスプロバイダ(後述)がどこかを特定できず、開示請求が認められないケースが多くみられました。
改正法では、ログイン型の投稿も情報開示請求の対象とすることを認め、権利侵害に該当する投稿を行った際に使われたアクセスプロバイダだけでなく、ログイン時に使われたアクセスプロバイダに対しても開示請求の相手方として位置づけられることが規定されました(情報流通プラットフォーム対処法第5条第1項、第2項。特定発信者情報の開示を求める請求権を創設)。
また、新たな裁判手続きの創設として、従来の裁判外、民事保全・訴訟による権利行使に加え、新たに発信者情報開示命令事件という非訟事件類型の手続きが創設されました。これにより、2段階による発信者情報開示手続きが結合され、一体的に行えることとなり、従来の手続きと比べて迅速な情報開示がなされる可能性があります。
また、発信者情報開示命令事件については、下記の記事もご参照ください。
発信者情報開示請求とプロバイダ

一般には、プロバイダというと、NTTのようなインターネット接続業者のことを指します。しかし、情報流通プラットフォーム対処法上のプロバイダとは、インターネット接続業者に限らず電子掲示板(BBS)の管理者などを広く指し示すと規定されています。プロバイダには、コンテンツプロバイダとアクセスプロバイダ(ISP)があるのです。
コンテンツプロバイダ
コンテンツプロバイダとは、掲示板やブログの運営会社を指します。例えば、アメブロを運営するサイバーエージェントやYahoo!知恵袋を運営するLINEヤフー株式会社などがこれに当たります。 2ちゃんねる・5ちゃんねるのように、そもそも運営会社はどの会社なのかが一見わかりにくいサイトなどもあります。
アクセスプロバイダー(ISP)
アクセスプロバイダ(インターネット・サービス・プロバイダ=ISP)とは、インターネット接続業者のことを言います。例えば、NTT東日本やNTTドコモ、ソフトバンクなどです。 一般用語として言えば、固定回線の場合のプロバイダ、携帯電話回線の場合の携帯キャリアが該当します。
発信者情報開示請求が認められる要件
発信者情報の開示を請求するには、いくつかの要件を満たす必要があります。特に重要なのは、権利侵害が明らかであることと、請求に正当な理由があることです。
加えて、IPアドレスなどのログ情報から契約者を特定する際には、補充性の要件も求められます。
権利侵害の明白性
発信者情報開示請求で特に重視されるのは、投稿によって請求者の権利が明白に侵害されている点です(情報流通プラットフォーム対処法第5条第1項第1号・第5条第2項第1号)。
権利侵害の可能性があるだけでは不十分であり、侵害を否定できる余地がないと判断できる程度に明白であることが求められます。
具体的にどのような場合に明白と評価されるかは、名誉権やプライバシー権など権利の種類によって異なるため、過去の判例や裁判例を踏まえて慎重に判断されます。
正当な理由がある
発信者情報の開示請求には、請求者に情報を取得する合理的な必要がある場合に限り、正当な理由が認められます(情報流通プラットフォーム対処法第5条第1項第2号)。多くの場合は発信者に対する損害賠償請求であり、通常は正当な理由として扱われます。
正当な理由の要件は、発信者の表現の自由やプライバシー、通信の秘密などを守り、不必要な開示や不当な目的での利用を防ぐために設けられています。
例えば、開示された情報を使って発信者をネット上で晒したり名誉や生活を害したりする目的で利用する場合は、正当な理由があるとは認められません。
補充性
特定発信者情報(ログイン情報など)の開示を求めるには、権利侵害の明白性や正当な理由に加え、第3の要件である補充性(情報流通プラットフォーム対処法第5条第1項第3号)を満たす必要があります。
これは、特定発信者情報以外の発信者情報(IPアドレス・タイムスタンプなど)だけでは発信者を特定できない場合に限って、より踏み込んだ情報提供を認めるという考えに基づきます。
補充性の判断基準(3つのいずれかに該当)
補充性とは、通常の手がかりでは発信者を特定できない状態を指し、以下の3類型のいずれかに該当することで満たされます。
(イ)コンテンツプロバイダが通常情報を保有していない場合
Webサイト運営者などが、発信者を特定するための特定発信者情報以外の発信者情報を保有していない状態。
(ロ)保有している情報が限定的で特定に不十分な場合
特定発信者情報以外の発信者情報を保有していても、その内容が限定的で特定に使えない状態。
例:住所または氏名のどちらか片方のみ、電話番号やSMTPメールアドレス、IPアドレスに対応するタイムスタンプのみである場合など。
(ハ):開示済み情報を用いても特定できなかった場合
既に開示された情報を用いて経由プロバイダなどへ照会したものの、なお発信者を特定できなかったケース。
参照:情報流通プラットフォーム対処法ガイドライン等検討協議会「情報流通プラットフォーム対処法 発信者情報開示関係ガイドライン」P.13~14
従来の発信者情報開示請求の手続き手順
以下、情報流通プラットフォーム対処法(旧プロバイダ責任制限法)における令和4年(2022年)10月改正前の発信者情報開示請求の手続きについて説明します。改正前は、これからの説明のとおり、情報開示に至るまでに複数の裁判手続きを経る必要がありました。
コンテンツプロバイダに発信者情報開示請求をする(裁判外)

発信者情報開示請求は、まずコンテンツプロバイダに対するIPアドレスなどの開示請求を行います。掲示板やブログの場合、サイトの運営者らは誹謗中傷を書き込んだ人物の氏名を把握していないことが多いのですが、書き込みが行われたときのIPアドレス(ログ)は通常、最近のものであれば保存しています。
IPアドレスがわかれば、そこから書き込んだ人物を割り出し、投稿者特定を行うことが可能です(特定できない場合もあります)。コンテンツプロバイダは、掲示板やブログに書き込みを行った人物のIPアドレスを一定期間保存しています。
発信者情報開示請求をするには、サイトの運営者(運営会社)に対して 発信者情報開示請求書という文書を提出します。この発信者情報開示請求書は情報流通プラットフォーム対処法 関連情報サイトで公開されているひな形(テンプレート)に従って記入し、身分証明書を添えて、サイト運営会社に書留で郵送します。発信者情報開示請求書には、誹謗中傷が書きこまれたサイトのURL(アドレス)、請求者の氏名・住所、開示を求める理由などを記載する必要があります。
発信者情報開示請求を行うと、サイト管理者やプロバイダは、請求者の主張が法律上の要件を満たしているかどうかを判断し、発信者情報の開示・非開示を決めます。管理者が任意に(裁判手続によらず)IPアドレスの開示請求に応じる場合もありますが、裁判所による公的判断が下されない限り開示請求には応じられないとする管理者に対しては、改めて裁判所に対して発信者情報開示の仮処分を申し立てる必要があります。
プロバイダ側からすれば書き込みをした人物は顧客であり、個人情報保護の観点からも、プロバイダが任意に情報開示請求に応じてくれるケースは少ないのが現状です。
裁判所に発信者情報開示の仮処分申立をする
コンテンツプロバイダが任意の情報開示請求に応じなかった場合、裁判所を通して、訴訟ではなく手続きが迅速な仮処分という民事保全手続を用います。発信者情報開示の場合では速やかにIPアドレスを開示させないと、投稿者の住所氏名特定が不可能になってしまうためです。 発信者のIPアドレスが記録されたログは、短期間で廃棄されてしまう可能性があり、時間のかかる通常の訴訟手続きでは手遅れになりかねません。
IPアドレスとは、インターネット上における、住所のような情報です。インターネットに接続しているあらゆるマシン、自宅のPCやスマートフォンなどは、固有のIPアドレスという住所情報を持っています。インターネットの仕組み上、投稿者はIPアドレスがなければ、通信を行うことができません。あるサイトに接続したり、投稿が行われた場合、サーバーにはその投稿者のIPアドレスとアクセスした時間であるタイムスタンプなどが記録されています。
通常のサーバー管理者は、IPアドレスとタイムスタンプを記録しているので、「この違法な投稿を行った者のIPアドレスとタイムスタンプを開示してほしい」と仮処分や裁判で求める必要があります。
なお、上記の仮処分をどの裁判所で起こすことができるか、という問題があります。この点に関しては別記事で詳細に解説しています。
また、同時に記事の削除を求めることも可能です。
アクセスプロバイダ(ISP)を特定する

投稿者のIPアドレスが判明した後に、ネット接続業者であるアクセスプロバイダを特定します。 IPアドレスとは、具体的には「126.212.170.222 」のような情報で、ネットワークに接続されたコンピューターや機器を識別するために割り振られる、インターネット上の「住所」のような番号のことです。
IPアドレスにはこの範囲からこの範囲は誰が管理しているという、割り当てという概念があります。例えば、前述のIPアドレスは、ソフトバンクが管理しているIPアドレスです。そのため、投稿を行ったのはソフトバンクユーザーであることまではわかります。
そこで次に、ソフトバンク社に対して開示請求を行います。「この時間にこのIPアドレスで接続していた人間の住所氏名を開示してほしい」という請求です。ソフトバンクのような携帯キャリア、ニフティのような固定回線のアクセスプロバイダは、契約時にユーザーの住所氏名を取得しており、また、ある日時にあるIPアドレスを、どのユーザーに割り当てていたかのログを記録しています。そのためソフトバンク社に対して開示請求を行い、裁判所が請求を認めた場合には、当該投稿を行った者の住所氏名が開示されます。ただし、この場合に問題になるのは、時間的な限界です。
アクセスの記録は、極めて膨大です。携帯キャリアであれば数千万人、経由プロバイダでも数百万人分のログを記録しています。したがって、アクセスプロバイダは、ログを一定期間経過後に削除します。記録の保管期間は、携帯キャリアであれば3カ月程度、固定回線のアクセスプロバイダで1年程度です。そのため、投稿から開示請求までの間に時間をかけてしまうと、その間にログが消えてしまいます。
特に携帯キャリアの場合、この時間制限は極めて重要であり、3カ月程度しか残されていないのが一般的です。 例えば、「1カ月前の投稿に関して仮処分の申立の依頼を受け、書面や証拠を2週間で整え、サイトを相手に仮処分申立を行い、相手方も反論してきたから2週間かかり、その後1週間でIPアドレスの開示を受けた」とすると、もうこの時点で残り時間はわずか2週間程度です。どこかで余分に時間を使ってしまってログの保管期間を経過していた場合は、投稿者が特定できなくなってしまいます。そのため、一般的には、次に説明するように消去禁止の仮処分申立も行います。
アクセスプロバイダに発信者情報消去禁止の仮処分申立をする
サイト管理者などのコンテンツプロバイダから発信者情報であるIPアドレスやタイムスタンプなどの開示を受けた後に、アクセスプロバイダに対して発信者の氏名などの開示を求めることになりますが、そのアクセスプロバイダに対する手続きは、原則として通常の民事訴訟による必要があります(※従来の制度上)。
通常の民事訴訟の手続きが終了するまでには数カ月程度を要することが多いため、その間にアクセスプロバイダが保存しているアクセスログを消去しないように、「発信者情報消去禁止の仮処分」の手続きが必要です。
なお、アクセスプロバイダによっては、発信者情報消去禁止の仮処分の手続を用いず、裁判外の任意交渉でアクセスログの保全を請求できる場合もあります。
発信者情報開示請求
プロバイダは原則として発信者の同意がない限り、発信者情報の開示に応じないため、発信者情報開示請求は裁判所の手続きを通して行います。主な争点は、対象投稿などの記載が、原告(開示請求者)の権利を侵害するものであることが明白か否かです。
アクセスログの保全ができた後、アクセスプロバイダを相手方とする発信者情報開示請求訴訟を行い、発信者に関する住所・氏名・メールアドレスなどの情報の開示を求めます。
裁判所の判決等を得て、発信者を特定する
訴えが認められれば、裁判所からアクセスプロバイダに対し、記事投稿の際に利用された契約者の氏名、住所、メールアドレスなどの開示を命じる内容の判決等が出されます。
発信者情報が開示されて発信者が特定された後は、例えば
- 今後誹謗中傷を行わないと誓約させる
- 損害賠償を請求する
- 刑事告訴をする
のような選択肢があります。
このように、ネット上で誹謗中傷を受けた場合は、できるだけ早く対応することが大切です。誹謗中傷対策に詳しい弁護士に相談することで、投稿者の特定手続きもスムーズに進められます。 なお、この際の弁護士費用の目安に関しては下記記事にて詳細に解説しています。
新たに導入された非訟手続きによる発信者情報開示請求の手順
以上が従来の制度の説明ですが、ここからは、プロバイダ責任制限法令和4年改正によってできた、非訟手続きによる発信者情報開示請求の方法について解説していきます。

非訟手続きとは通常の訴訟手続に比べて簡易的で、裁判所の裁量が広い手続きです。特徴としては、
- 訴訟手続と異なり原則として審尋という形式がとられ、訴訟手続きにおける口頭弁論とは異なり公開の法廷以外での主張も可能である。
- 手続きは原則として公開されない。
- 事実認定は裁判所の職権であり、さらに決定という簡略な方式による。
- 不服申し立ても原則一度の抗告が許されるのみ。
が挙げられます。
では、非訟手続きが導入されたことによって、発信者情報開示の流れにどのような変化があったのでしょうか。まずは手続きの流れについて簡潔に解説していきます。
非訟手続きでの発信者情報開示請求の一連の流れ
非訟手続きの導入による新たな発信者情報開示請求の一連の手続きの流れは以下の通りとなっています。

一見するだけでは、従来と何が大きく異なっているのかはわかりにくいと思います。そこで、どのような点に特徴があるのか、SNSなどログイン型での投稿になぜ有効的なのかについて詳しく見ていきましょう。
① 裁判所にコンテンツプロバイダに対する発信者情報開示命令の申立を行う
新たに創設された手続においては、まずコンテンツプロバイダに対して情報流通プラットフォーム対処法第8条に基づく申立を行う必要があります。これは、改正前の従来の手続きと大きく変わるところはありません。
② ①に伴い、提供命令の申立を行い、コンテンツプロバイダが有するアクセスプロバイダの名称の提供を求める。
今回の改正によって、同一裁判手続き内において、コンテンツプロバイダを経由してアクセスプロバイダの情報提供をもとめることができるようになりました(情報流通プラットフォーム対処法第15条第1項第1号)。この求めは、①の申立と両立しながら同時に行うことができ、請求者は迅速な情報の提供を期待できるようになっています。
③ ②で得たアクセスプロバイダの情報を基に、アクセスプロバイダに対する発信者情報開示命令の申立を行い、これをコンテンツプロバイダへ通知する。
従来の手続きでは、コンテンツプロバイダに対して開示請求をしたのちに、別の申立としてアクセスプロバイダに新たな発信者情報開示請求をする必要がありましたが、本改正によって創設された新たな手続きにおいてはこの申立も同一手続き内で一括して行うことができ、請求者の負担が軽減される形となりました。
また、これらの手続きに合わせて、1.・3.の開示命令の申立に伴い、消去禁止命令の申立てを行い(同法第16条第1項)、コンテンツプロバイダ・アクセスプロバイダに対して発信者情報を消去することを禁止する命令を出してもらうことが可能となった結果、侵害投稿通信に係るログの保全が図られ、より安定かつ実効的な開示請求が可能となりました。
④ コンテンツプロバイダがアクセスプロバイダに対して、自身が有する発信者情報を提供する。
従来の手続きにおいては、このような情報の提供義務は、申立を行う請求者側にありました。しかし、同一手続き内で行うことが可能となったため、請求者が上記の通知をコンテンツプロバイダにすることでコンテンツプロバイダから直接アクセスプロバイダに情報提供をすることが可能となりました(情報流通プラットフォーム対処法第15条第1項第2号)。
⑤ 開示命令の申立が認められると、コンテンツプロバイダ・アクセスプロバイダから情報(IPアドレス、発信者の氏名・住所など)が開示される。
以上の流れによって手続きを行い、裁判で開示命令の申立が認められると、情報が開示されます。この情報を基にどのような対応をするかは、記事前半の「裁判所の判決を得て、発信者を特定する」で述べたとおりです。
もっとも、新制度によって新たに対象となったログイン型の投稿については、手続きの簡易化による請求の濫用防止や通信の秘密の保護・プライバシー侵害の防止を図る目的で、通常の開示要件に加えてさらに要件が付加されています(いわゆる補充性要件)。
まとめ:発信者情報開示請求は弁護士に相談を
誹謗中傷記事の削除と同様、発信者情報開示請求は、複雑で専門的な手続きが 必要であり、専門性の高い領域です。投稿者特定の必要がある場合には、ネット問題に詳しい弁護士に依頼することで、スムーズ かつスピーディーに解決できます。
また、書き込みを行った犯人の特定には、タイムリミットがあります。犯人に関するログが、一定の期間の経過で消えてしまうためです。なるべく早い段階で弁護士に相談することをおすすめします。
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