FC2ブログでの誹謗中傷による風評被害対策とは
ブログ作成のプラットフォームとして、FC2を利用している方は少なくないでしょう。FC2は老舗の安心感があり、機能も充実しているため使いやすいと評判です。しかし、FC2に限った話ではないですが、ネット上で不特定多数に対して記事を公開しているため、どうしても誹謗中傷による風評被害が生じる危険性があります。この記事では、FC2の風評被害の内容と対策について解説しています。
この記事の目次
FC2ブログとは?
FC2ブログは、知名度・利用者数ともに日本有数を誇る無料ブログサービス。ブログ全体の月間訪問者数は2億を超えています。SEOにも強く、アフィリエイトで稼ぎたい方の利用に適しています。また、カスタマイズ性も高く、デザインなど細部に至るまで自分好みに仕上げたい方にもおすすめです。さらに、意外と知られていませんが、FC2ブログの運営元はアメリカの企業(本社はラスベガス)なので、英語でのサービスにも対応しています。初心者でも使いやすいと評判のFC2ブログですが、その利用者の多さゆえにブログ上での風評被害も生じやすいです。次章ではFC2ブログの風評被害には、どのような内容があるか見ていきましょう。
FC2ブログの風評被害にはどのようなものがある?
ブログですから、基本的にどのような内容でも投稿可能です。逆を言えば、それだけ風評被害のターゲットの幅も広いといえるでしょう。この章では、考えうる様々な風評被害のなかでも代表的なものをご紹介します。ここに挙げるのは、FC2ブログに限定した被害というよりは、ブログ全体において発生しやすい風評被害となるので、その点ご留意ください。
企業への風評被害
企業に対する根も葉もない誹謗中傷がブログに書きこまれることで、その企業の売上が落ちたり入社を希望する学生が減少したりといった風評被害が生じる危険性があります。例えば、「私は以前、〇〇という企業の社員だったんだけど、あそこはサービス残業の温床でパワハラも日常的に行われているよ」と、あたかも告発のような投稿がされているとしましょう。ネット上でこのブログを見た就活生は「社員の実体験みたいだから信用できそうだ。この企業の面接を受けるのは辞めておこう」と考える可能性が高いですよね。また、製品・サービスに関しても「この商品を利用してみたのだけど、全然良くなかった」と書き込まれると、売上や利用者減少の一因となり得ます。このように、ブログの書き込みから特定の企業への風評被害が生じる可能性もあるのです。
地域への風評被害
例えば、東京や埼玉など特定の地域への風評被害が生じる危険性もあります。具体的な被害としては、その地域への旅行者が減る、野菜や果物など地域で採れた農産物等の購入者が減るなどです。例えば、「千葉で新型インフルエンザの感染者が確認された」とのニュースがブログで拡散されたとしましょう。この記事の読者は「自分も感染の可能性があるな」と思い、千葉に足を踏み入れないよう注意しますよね。また、2011年に起きた東日本大震災による原発事故により、いまだに福島県で採れた野菜は敬遠される傾向があります。ブログで「福島県の野菜は放射能まみれだ」などと書き込まれると、事故から10年近く経過しているにもかかわらず、福島県産の野菜は避けようと考えてしまうものです。
個人への風評被害
個人の名誉やプライバシーを侵害する記事が投稿されることもあります。特にターゲットになりやすいのは有名人や政治家でしょう。例えば「アイドルの△△は結婚しているけど、この前奥さんではない若い女性と二人で歩いているのを見かけた」「政治家の□□は、汚職している」といった内容です。事実無根だったとしても、このような悪評が流布されると人気が落ち仕事に影響が出る可能性は高いです。また、一般人でも個人を特定できるような誹謗中傷を受けた場合、名誉権やプライバシー権の侵害に該当する可能性もあります。
風評被害となるFC2ブログの記事を規約違反で削除する方法
前章で見てきたように、FC2ブログでは風評被害が生じやすいです。では、実際に誹謗中傷と思われるブログ記事を見つけた場合、どのように対処すべきなのでしょうか?まず考えたほうが良いのは、サイトの規約違反により削除できないかという点です。この章では、FC2ブログの規約内容とサイトへの削除請求の方法を見ていきましょう。
まず、運営側で個人のブログ記事を削除してもらえるのかという点ですが、結論をいうと削除してもらうことは可能です。FC2の利用規約「6.免責事項」には「ユーザーの利用行為が、FC2やほかのユーザー、第三者の権利を侵害すると判断した場合、警告無しに、ユーザーIDやユーザーコンテンツを凍結削除する」とあります。運営が問題ありと判断すれば、本人の了承無しにブログ自体を削除できるのです。ただ、運営側にはコンテンツの監視の実施や、削除義務が無いことにご注意ください。利用規約には「発信した全ての情報に関する責任はユーザーが負うこととし、コンテンツを削除しなかったことによる損害に対する責任は、FC2としては一切負わない」と明示しています。つまり、FC2が自ら削除を行うことはなく、削除したい記事がある場合、こちらからFC2に働きかける必要があるのです。利用規約「6.免責事項」でも「自身が作成したコンテンツの内容に関しては、ユーザー側が削除・管理義務を担う」とあります。ここまでを要約すると「削除には応じますが、こちらから積極的に削除対応をすることはないので、削除してほしければそちらから申し出てください」となります。
規約違反による削除の基準
削除請求を成功させるには、規約に違反していることを示す必要があります。誹謗中傷に関連する規約として「4.禁止事項」には以下の通り記載されています。
02他の利用者または第三者の信用もしくは名誉を侵害し、他人のプライバシー権、肖像権その他一切の権利を侵害する行為
(一部引用:FC2利用規約「4.禁止事項について」)
06社会道徳・公序良俗に反する行為及び表現。他の利用者または第三者に対して、卑猥な映像・音声・文字列などの情報公開、及びその幇助
08トラブルに発展しうる個人、特定団体、統治機構、国家、製品、政治体制、信仰、思想、主義、民族、宗教、人種、性その他を差別し、誹謗中傷を行うなど、名誉や信用を毀損する行為及びそれを助長する行為
09事実がないにも関わらず個人や企業、組織を騙ったり、他の人物や会社、組織と業務提携や協力関係があると偽ったり、それ相応の行為
例えば、「××は人間の屑。生きている価値がない」との記載があった場合、上の4つのうちの02や08に抵触する可能性が高いです。また、事実無根の誹謗中傷なら09が利用できるでしょう。
規約違反による削除の方法
FC2のサイトには「不適切サイト報告・異議申し立てフォーム」という問い合わせフォームがあるので、これを利用します。問い合わせフォームには氏名や住所などの個人情報を入力する必要があるので、ご注意ください。「削除を依頼する理由」の欄には、該当のブログ記事がどの規約に違反しているのか記載しましょう。 通常、1~2週間程度で削除は完了しますが、それ以上経過しても削除されない場合、削除に失敗している可能性があります。その場合、法律に違反していることを理由に、裁判所に対して削除を請求することになります。
FC2のブログの違法を理由に削除する方法
ネット上での誹謗中傷による違法を主張するケースでは、名誉毀損に該当しているか争うケースが多いです。名誉毀損とは、不特定多数の前でその人の社会的信用を低下させる発言を行うことです。名誉毀損では「公然と」「事実を適示し」「人・団体の名誉を棄損する」の3つの要件を満たす必要があります。例えば、「☆☆という企業のレトルトカレーを食べたら、食中毒を起こした」とブログに書き込まれたとしましょう。この場合、
- 「レトルトカレーが原因で食中毒を起こした」というのは具体的な内容であり
- 食中毒を引き起こす商品を販売している企業だと思われるのは、☆☆にとって著しく不利益である
- レトルトカレーが原因で食中毒が起きたのではない
という主張を行います。ただ、上記の要件を満たしても「公益性」や「公共性」が認められる場合、つまりその事実を公表することが公の利益にあたると認められる場合、名誉毀損は成立しないので、この点頭に入れておいてください。いずれにせよ、裁判で名誉毀損を主張するとなると、法律的な議論を行う必要があります。「どういった権利を侵害しているのか」「どの行為が権利を侵害しているといえるのか」といった法的な議論は、正直なところ、素人の方だけでは難しいです。そのため、弁護士に依頼することをおすすめします。
FC2のブログを仮処分により削除する方法
裁判は慎重に議論してくれますが、時間がかかるのがデメリットです。削除したい記事が公開されたままでは風評被害は広がる一方ですから、一刻も早く記事を削除したいのが本音でしょう。このため、ネット上での誹謗中傷を争う場合、裁判よりも迅速に進められる仮処分の手続きを取る方が良いとされています。仮処分とは、裁判で実質的な審理を行う前に、要求が満たされた状態を実現することです。仮の処分とはいえ、記事の削除は行われるので、一安心です。ただ、仮処分とはいえ裁判同様、法的な主張を行わなければなりません。そのため、弁護士に依頼するのが賢明です。
FC2に投稿した投稿者を仮処分で特定する方法
仮処分では、削除を請求できるだけではなく、ブログ記事を書いた投稿者を特定することが可能です。投稿者を特定できれば、本人に直接「やめろ!」といえるので再発防止につながります。ただ、投稿者特定の場合、手続きが複雑になってしまいます。まず、FC2のサイトに投稿者のIPアドレスの開示を請求するのですが、この段階ではIPアドレス以外の個人情報は入手できません。なぜなら、サイト側は投稿者のIPアドレス以外の情報を保有していないためです。住所や氏名といった情報を入手するには、別途でプロバイダに対して情報開示請求を行う必要があります。もちろん、プロバイダ側も個人情報保護の要請があるので、簡単に要求に応じてくれないケースが考えられます。このように、投稿者を特定する場合、長期戦となる覚悟も必要です。
まとめ
FC2ブログは国内で利用者数トップクラスを誇る無料ブログプラットフォームです。利用者が多いため、様々な風評被害が生じる危険性があります。まずはサイトの利用規約違反により自分の手で削除請求を行い、うまくいかなければ裁判所に対し、仮処分を主張する流れが良いでしょう。法的な議論が必須なので、ネットでの誹謗中傷に強い弁護士に依頼するのをおすすめします。
カテゴリー: 風評被害対策
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