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法律記事MONOLITH LAW MAGAZINE

IT・ベンチャーの企業法務

オーストラリア連邦の法律の全体像とその概要を弁護士が解説

オーストラリア連邦(以下「オーストラリア」)は、安定した民主主義制度と透明性の高い法制度を背景に、日本にとって極めて重要な経済・投資のパートナーであり続けています。広大な国土に眠る天然資源やエネルギー、高度に発達した金融・サービス産業、そして近年加速するテクノロジー分野への投資など、日本企業にとっての魅力は多岐にわたります。オーストラリアの法制度は、英国のコモン・ロー(慣習法)を継承しながらも、1901年に制定された連邦憲法に基づき、連邦政府と6つの州、および主要な準州が権限を分かつ連邦制を採用している点が最大の特徴です。

経済規模や地理的な近接性、政治的安定性を背景に、日豪両国間では包括的かつ先進的な経済連携協定(AJCEP)や環太平洋パートナーシップ(CPTPP)が締結されており、日本企業は他の外資と比較して一定の優遇措置を享受できる立場にあります。しかし、その法実務においては、成文法(Statute Law)だけでなく、膨大な裁判例(Precedent)の蓄積が極めて重要な役割を果たすコモン・ローの理解が欠かせません。また、労働者保護や消費者保護、プライバシー、さらには外資規制の面で、日本とは大きく異なる、あるいはより厳格な規制が敷かれている分野も存在します。

本記事では、オーストラリアへの進出やビジネス展開で問題となる、主要な法分野の構造と日本法との重要な相違点について、最新の法改正状況を踏まえて解説いたします。

オーストラリアの法体系と司法制度の基本構造

オーストラリアの法制度を理解する上で不可欠な出発点は、同国が英国由来のコモン・ロー体系に属しているという事実です。日本の民法がドイツ法やフランス法を範としたシビル・ロー(大陸法)体系であり、体系化された法典(Code)を基礎とするのに対し、オーストラリアでは議会が制定する成文法と並び、過去の裁判所による判決が将来の同種事件を拘束する「先例拘束性の原則(Stare Decisis)」が法の重要な源泉となります。

コモン・ロー伝統と成文法

オーストラリアでは、契約法や不法行為法の基本的な原則の多くが、今なお裁判例の蓄積、すなわちコモン・ローによって形作られています。一方で、社会の複雑化に伴い、会社法、消費者法、労働法、環境法といった主要な分野では、連邦議会が制定する詳細な成文法が整備されています。成文法とコモン・ローが競合する場合、成文法が優先されるのが原則ですが、その成文法の解釈自体が裁判例によって確立されるため、実務上は常に最新の判例を確認する必要があります。オーストラリアの共通法は、全州及び準州において一貫して適用される性質を持っています。

連邦制と州法の関係

オーストラリア憲法(Australian Constitution)は、連邦政府に与えられる立法権限を限定的に列挙しており、それ以外の権限は原則として州に留保されています。そのため、ビジネスに関連する法律も、連邦法として全国一律に適用されるもの(会社法、消費者法、所得税法、競争法、特許法など)と、州法によって規定されるもの(不動産法、多くの刑法、一部の労働安全衛生法など)に分かれます。連邦法と州法が衝突した場合、憲法109条に基づき、連邦法が優先されます。

裁判所の種類と構造

司法制度は、最高位のオーストラリア高等裁判所(High Court of Australia)を頂点とし、連邦系と州系の二層構造になっています。

裁判所の区分主要な役割と管轄
高等裁判所 (High Court)最終上訴裁判所。憲法解釈、連邦法・州法の重要事件の終審判決を行う。
連邦裁判所 (Federal Court)会社法、租税、知的財産、産業関係(労働)、貿易慣行(消費者保護)等を管轄。
連邦巡回・家庭裁判所 (FCFCOA)家庭法、および行政法、倒産法、著作権、プライバシー等の一般法律事務を扱う。
州最高裁判所 (Supreme Court)州内の最重要事件(重罪、高額訴訟)および下級裁判所からの控訴を扱う。
州中間裁判所 (District/County Court)一定規模の刑事・民事事件を扱う。
治安判事裁判所 (Magistrates/Local Court)軽微な刑事事件や少額の民事紛争を迅速に処理する。

オーストラリアの司法制度に関する詳細な情報は、以下の公式ウェブサイトで確認することができます。

参考:オーストラリア連邦政府 裁判所・司法概要

オーストラリアの契約法と不動産法

契約法と不動産法

オーストラリアにおけるビジネス上の契約や不動産取引を検討する際、日本の民法体系とは異なる法理に留意する必要があります。

コモン・ロー上の契約成立要件

日本の民法では、当事者の合意があれば原則として契約が成立し、贈与であっても書面によれば強力な拘束力を持ちます。これに対し、オーストラリアの契約法では、申込み(Offer)と承諾(Acceptance)に加え、双方が対価を出し合う「約因(Consideration)」が存在しなければなりません。

また、大陸法で重視される「信義誠実の原則(Good Faith)」は、オーストラリアの契約法全体に一般原則として浸透しているわけではありません。契約書に明記されていない限り、各当事者は自己の利益を追求して行動することが許容される傾向にあります。そのため、日本的な「協議解決条項」に頼ることなく、想定されるリスクを網羅的に文書化することが極めて重要です。

債務不履行時の救済方法についても、日本法では「特定履行(履行の強制)」が原則的な権利であるのに対し、オーストラリアでは「損害賠償(Damages)」が主たる救済手段であり、特定履行は金銭賠償では不十分な場合にのみ認められる例外的な「エクイティ上の救済」と位置づけられています。

不動産法とトレンス・システム

オーストラリアの不動産法で最も特徴的なのは「トレンス・システム(Torrens Title System)」です。

日本では不動産登記に「公信力」がないため、買主は登記の真実性を自己責任で調査する必要があります。これに対し、オーストラリアのトレンス・システムでは、州政府が管理する登記簿への登録そのものが、権利の絶対的な証拠(Indefeasibility of Title)となります。

  • 鏡の原則(Mirror Principle):登記簿は現在の権利関係を正確に反映しているとみなされます。
  • カーテンの原則(Curtain Principle):買主は登記簿の裏側にある過去の複雑な権利変遷を調査する必要がありません。
  • 補償の原則(Indemnity Principle):登記の誤りや詐欺により権利を失った者に対し、州政府が補償基金から賠償を行います。

このシステムにより、不動産取引の安全性と効率性が極めて高く保たれています。一方で、外国投資家がオーストラリアの土地を取得する際には、FIRBの承認が必要となるケースが多く、そのしきい値は非常に低く設定されている点に注意が必要です。

不動産タイトルの仕組みに関する詳細は、南オーストラリア州政府の解説ページ等で確認できます。

参考:南オーストラリア州政府 土地登記と不遡及性の原則

会社法とコーポレートガバナンス

オーストラリアにおける企業活動の根幹を成すのは、連邦法である「2001年会社法(Corporations Act 2001 (Cth))」です。この法律は3,700ページを超える膨大なもので、会社の設立から運営、ガバナンス、資金調達、および清算に至るまでの全プロセスを全国一律に規律しています。

Corporations Act 2001の概要とASICの役割

かつては州ごとに異なっていた会社法は、現在では連邦法として一本化され、オーストラリア証券投資委員会(ASIC)が全国の企業登録と監視を担っています。日本法と比較して、会社の「設立の自由度」が高い反面、設立後の「取締役の責任」が非常に重く設計されているのが特徴です。

会社形態と設立

日本での株式会社に相当する最も一般的な企業形態は「非公開有限責任会社(Proprietary Company Limited by Shares)」であり、社名に「Pty Ltd」を付すことが義務付けられています。

非公開会社 (Pty Ltd)公開会社 (Public Company)
株主数1名から50名まで下限1名、上限なし
取締役数最低1名(居住者必須)最低3名(うち2名居住者必須)
会社秘書官任意必須(居住者1名)
財務報告義務大規模企業を除き免除が多い厳格な報告・監査義務

日本の定款に相当するものとして、独自の「会社憲章(Constitution)」を作成することもできますが、2001年会社法に規定された「代替可能規則(Replaceable Rules)」をそのまま利用することも可能です。

取締役の義務と支払不能取引の防止

オーストラリアの会社法における取締役の義務は、日本法よりも具体的かつ厳格に規定されています。主要な義務には、注意と勤勉の義務(180条)、誠実な不作為と正当な目的のための行動義務(181条)、情報の不当使用の禁止(183条)などがあります。

特に留意すべきは、会社が債務超過の状態、あるいは債務を支払えないことが予見される状態で取引を継続することを禁ずる「支払不能取引の防止義務(Duty to prevent insolvent trading, 588G条)」です。これに違反した場合、取締役は会社債務に対して個人的に無制限の賠償責任を負うだけでなく、多額の民事罰や刑事罰の対象となる可能性があります。日本法における善管注意義務違反と比較しても、不履行に対する当局の追及は非常に厳格です。

会社法に関する公式な情報は、ASICのウェブサイトから参照可能です。

参考:ASIC (オーストラリア証券投資委員会) 会社法ガイド

オーストラリアの外資規制と日本企業による法人買収

外資規制と日本企業による法人買収

日本企業がオーストラリアの法人を買収、あるいは新規投資を行う際、最大の法的留意点は「1975年外国買収・乗っ取り法(Foreign Acquisitions and Takeovers Act 1975 (Cth), 以下FATA)」に基づく外資審査です。

FATAとFIRBの審査体制

オーストラリア政府は、外国投資が「国益(National Interest)」や「国家安全保障(National Security)」に反しないかを確認するため、外国投資審査委員会(FIRB)による審査を行っています。

審査の対象となるか否かは、投資家の性質(民間か政府系か)、対象資産の種類(土地、既存企業、メディア、国家安全保障関連ビジネス等)、および投資金額のしきい値(Threshold)によって決まります。近年、国家安全保障の観点から規制が強化されており、重要なインフラやデータ、防衛関連といった「国家安全保障ビジネス」への投資については、投資額にかかわらず0豪ドルから事前届出が義務付けられています。

日本企業に対する優遇措置

日豪経済連携協定(AJCEP)やCPTPPの効果により、日本からの民間投資家は、特定の機微な分野を除き、他の非協定締結国よりも格段に高い金額しきい値を享受できます

一般的なしきい値 (2025年)日本を含むFTA国投資家へのしきい値
一般ビジネス/企業(非機微)3億3,900万豪ドル14億6,400万豪ドル
アグリビジネス7,300万豪ドル14億6,400万豪ドル (一部例外有)
国家安全保障ビジネス0豪ドル0豪ドル
農業用地1,500万豪ドル (累積)1,500万豪ドル (累積)

ただし、しきい値は毎年インフレ調整されており、最新情報については随時の確認が必要です。

公開会社の買収手法

オーストラリアの公開会社(または50名超の株主を持つ非公開会社)を買収する場合、2001年会社法第6章(Chapter 6)の適用を受けます。主な手法は以下の2つです。

  1. テイクオーバー・ビッド (Takeover Bid):買収者が各株主に対して直接売却を勧誘する手法。90%の株式を取得できれば、残りの株式を強制収用できます。敵対的買収でも利用可能です。
  2. スキーム・オブ・アレンジメント (Scheme of Arrangement):対象会社の提案により、裁判所の承認と株主総会の決議を得て、全株式を一括して買収者に譲渡する手法。出席株主の頭数で50%超、かつ議決権の75%以上の賛成が必要ですが、可決されれば100%の取得が確実となるため、友好的買収ではこちらが主流です。

外国投資規制に関する最新のガイダンスは、FIRBの公式サイトで確認できます。

参考:FIRB (外国投資審査委員会)

オーストラリアの労働法とFair Work制度

オーストラリアの労働法制度は、雇用主にとって非常に厳格であり、コンプライアンス違反に対するペナルティも巨額です。中心となるのは「2009年フェアワーク法(Fair Work Act 2009 (Cth))」です。

国家雇用基準 (NES) とモダン・アウォード

同法は、すべての従業員に適用される最低限の労働条件として「国家雇用基準(National Employment Standards:NES)」を定めています。

NESの主要項目概要
最大週労働時間週38時間(+合理的な追加時間)
年次有給休暇原則として年4週間
傷病・介護休暇年10日間の有給休暇(フルタイム時)
解雇予告と冗員手当勤続年数に応じた予告期間と手当の支払い義務

さらに、特定の産業や職種ごとに詳細な最低賃金や手当を規定した「モダン・アウォード(Modern Awards)」が存在します。日本企業が直面する最大の課題は、このアウォードの適用判断ミスによる「賃金の過少支払い(Underpayment)」です。意図的でないミスであっても、多額の追徴金や社会的信用の失墜、場合によっては刑事罰につながるため、給与計算には細心の注意が必要です。

雇用終了と不当解雇 (Unfair Dismissal)

オーストラリアでは、解雇の正当性が厳しく審査されます。解雇が「苛酷、不当または不合理(Harsh, unjust or unreasonable)」であると判断された場合、従業員は職場復帰や損害賠償を求めてフェアワーク委員会(FWC)に申し立てを行うことができます。日本法における解雇権濫用法理に近い面もありますが、オーストラリアでは手続きの適正さ(Procedural Fairness)が重視され、弁明の機会を与えたか、警告を行ったかといったプロセスが厳密にチェックされます。

労働法に関する詳細は、フェアワーク・オンブズマンのウェブサイトで確認できます。

参考:Fair Work Ombudsman (フェアワーク・オンブズマン)

オーストラリアにおける消費者保護と広告規制

オーストラリアでは、日本における景表法、独占禁止法、および消費者保護法を包含する包括的な法律として「2010年競争・消費者法(Competition and Consumer Act 2010 (Cth), 以下CCA)」およびその附則である「オーストラリア消費者法(Australian Consumer Law, 以下ACL)」が存在します。

誤認を招く行為の禁止 (Section 18)

ACLの核心は、第18条に規定された「取引における誤認を招く恐れのある、または欺瞞的な行為(Misleading or deceptive conduct)」の禁止です。これは「故意」や「過失」を要件とせず、客観的に消費者が誤解する可能性があれば違反とみなされる、非常に強力な規定です。広告表現だけでなく、商談における口頭の説明や沈黙も対象となります。

不当な契約条項 (Unfair Contract Terms)

2023年以降、標準的な契約約款における「不当な契約条項(UCT)」に対する規制が劇的に強化されました。以前は不当条項が無効になるだけでしたが、現在は不当な条項を契約に含めること自体に巨額の民事罰が科されます。これはB2C取引だけでなく、一定規模以下の小規模事業者とのB2B取引にも適用されるため、日本企業の代理店契約や利用規約の見直しが急務となっています。

薬機法および医療広告

医療品や医療機器の広告については「1989年治療用品法(Therapeutic Goods Act 1989 (Cth))」が適用されます。

オーストラリアでは、サプリメント(補完医療品)を含む治療用品を一般消費者に広告する場合、その内容が正確かつ客観的な根拠に基づいていることはもちろん、特定の深刻な疾患の治療を謳う表現については当局(TGA)の事前承認が必要です。また、製品が「安全である」「副作用がない」といった絶対的な表現を用いることは禁じられています。

消費者保護法に関する詳細は、ACCCのウェブサイトで確認できます。

参考:ACCC (オーストラリア競争・消費者委員会)

オーストラリアのプライバシー法とデータ保護

プライバシー法とデータ保護

オーストラリアの個人情報保護法制は「1988年プライバシー法(Privacy Act 1988 (Cth))」を柱としています。

13のオーストラリア・プライバシー原則 (APP)

同法は、個人情報の収集、利用、開示、管理に関する13の原則(APPs)を定めています。対象となる「APPエンティティ」は、主に年間売上高300万豪ドル超の民間組織や政府機関です。

  • 透明性:プライバシーポリシーの公開と、情報の種類・利用目的の明示が求められます。
  • 利用の制限:情報は収集時の目的、または本人が合理的に期待する範囲内でのみ利用可能です。
  • 海外移転:オーストラリア国外に個人情報を移転する場合、移転先でもAPPと同等の保護が確保されるよう「合理的な措置」を講じる義務があります。

データブリーチの通知義務 (NDBスキーム)

2018年より、個人情報の漏洩等が個人に「重大な危害」を及ぼす可能性が高い場合、情報コミッショナー事務局(OAIC)および本人への通知が義務化されています。2022年の法改正により、大規模なデータ漏洩に対する罰金は、最大で「企業のグローバル売上高の30%」などにまで引き上げられており、日本企業にとっても無視できないリスクとなっています。

プライバシー規制の詳細は、OAICのウェブサイトで公開されています。

参考:OAIC (オーストラリア情報コミッショナー事務局)

金融・税務および特定産業の規制

資金決済とAML/CTF

決済サービスに関しては、RBAが「1998年決済システム(規制)法」に基づき監督を行っています。また、マネーロンダリング対策については、AUSTRACが管轄する「2006年反マネーロンダリング・テロ資金供与対策法」が極めて重要です。送金サービスや暗号資産交換業を行うフィンテック企業は、AUSTRACへの登録と、厳格な顧客確認(KYC)が義務付けられています。

法人税とGST

オーストラリアの法人税率は、大企業で30%、一定の中小企業で25%です。また、日本の消費税に相当する「物品サービス税(GST)」の税率は10%です。

特筆すべきは「フランク・配当(Franked Dividends)」制度です。会社が法人税支払い済みの利益から配当を出す際、その税額分を「フランキング・クレジット」として株主に割り当て、二重課税を回避する仕組みが整っています。

フランチャイズ行動規範

オーストラリアでは、フランチャイズは「フランチャイズ行動規範(Franchising Code of Conduct)」という強制力のある産業規範によって管理されています。本部は、契約締結の14日前に詳細な「開示文書」を提供しなければならず、これには過去の訴訟歴や既存加盟者の連絡先リストなどが含まれます。この透明性の高さは、加盟者保護において世界で最も進んだ制度の一つと言えるでしょう。

ビジネスの開始と許認可

オーストラリアでビジネスを開始する際、法人の登録以外に、業種に応じた許認可が必要です。

  1. ABN (Australian Business Number):すべての事業者に必須のビジネス番号。
  2. ACN (Australian Company Number):ASICに会社登録した際に付与される番号。
  3. 特定の許認可:酒類販売、鉱山開発、金融サービスなどは、それぞれの連邦法または州法に基づき、個別のライセンス取得が求められます。

海事法分野においては、2012年航海法に基づき、船舶の安全性や船員の福祉、海洋汚染防止に関する厳格な基準が適用され、オーストラリア海事安全局(AMSA)による強力な監視が行われます。

まとめ

オーストラリアの法制度は、そのコモン・ローの伝統からくる柔軟性と、強力な規制当局による厳格な規律が共存する、洗練された体系を有しています。日本企業にとっては、トレンス・システムによる不動産取引の安全性や、日本投資家に対するFIRBしきい値の優遇など、大きなメリットが存在します。一方で、取締役の責任や、Fair Work法に基づく複雑な労働条件管理、さらには広範な消費者法違反のリスクなど、日本国内の感覚とは異なる「厳しさ」への適切な理解と対応が求められます。特に2025年以降のAI規制や労働法改正、プライバシー法の抜本的見直しなど、法的環境は常に変化し続けています。

本記事で解説した内容は、オーストラリアにおける法的リスクを管理し、持続可能なビジネスを構築するための基礎となるものです。当事務所では、こうしたオーストラリア特有の法制度や最新の法改正動向を踏まえ、日本企業の皆様が現地で直面する法的課題の解決や、コンプライアンス体制の構築、さらにはM&Aにおけるスキーム策定やデューデリジェンスの実施など、多角的な側面からビジネスの成功をサポートいたします。

弁護士 河瀬 季

モノリス法律事務所 代表弁護士。元ITエンジニア。IT企業経営の経験を経て、東証プライム上場企業からシードステージのベンチャーまで、100社以上の顧問弁護士、監査役等を務め、IT・ベンチャー・インターネット・YouTube法務などを中心に手がける。

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