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法律記事MONOLITH LAW MAGAZINE

風評被害対策

フォートラベル(4travel)における風評被害とその対策とは?

風評被害対策

フォートラベル(4travel)における風評被害とその対策とは?

旅行先を決める際に、口コミを参考にする方も多いのではないでしょうか?
フォートラベルでは、自分の旅行体験を旅行記にまとめたり、おすすめスポットの口コミを投稿したりすることができます。宿泊先でも交通手段でも旅のことなら何でも投稿が可能なため、利用者も多いサイト。その分、風評被害が生じる危険性もあるサイトなのです。この記事では、フォートラベルの風評被害の内容や対策について解説します。

フォートラベルとは?

フォートラベルは、食べログや価格.comでも有名なカカクコムグループが運営しているサイト。旅行情報に特化し、旅行に関する様々な情報・サービスを提供しています。口コミや旅行記を投稿するためには、専用の会員サービスである「トラベラー会員」に登録する必要があります。旅行先や目的別に検索することが可能なので、自分の求めていた旅行記や口コミを見つけやすいのが特徴です。
さらにコミュニティ機能も備えており、旅好きの方同士で交流することもできます。トラベラー会員登録者数は100万人を超え、多くのユーザーが利用しているサイトです。そのため、フォートラベルに誹謗中傷の書き込みがなされると、影響力は甚大だといえるでしょう。宿泊施設を決める際などは、評判を重要視する方も多いです。フォートラベルの口コミが原因で利用者が減少する事態も起こりかねないため、風評被害への対策法を知っておくことが大切です。

フォートラベルにはどのような風評被害があるのか?

フォートラベルで投稿される口コミや旅行記で、風評被害に当たる内容を施設ごとに紹介します。

ホテルの場合

ホテルの口コミでは、「思っていたより駅から遠かった」「わかりづらい立地にある」などアクセス面での不満を投稿するユーザーが多いです。旅行は荷物が多いので、アクセスのしやすさを旅行者は重視します。また、「部屋が狭い」という口コミも見受けられます。事前の確認では写真しか見ていないため、実際に部屋に入ってみるとギャップを感じてしまうのです。

空港の場合

フォートラベルでは、交通手段への投稿も可能なため、空港への風評被害も発生する可能性があります。空港の場合、ホテルと同様アクセスのしにくさを批判する口コミのほか、人ごみの少なさや内部施設の充実度などへの投稿がなされます。空港内でお土産を調達する人も多いので、施設の充実度も重要なポイントです。

観光地

フォートラベルでは観光地への投稿も可能です。例えば、横浜では「横浜中華街」や「山下公園」などがあげられます。観光地への口コミですから、「期待外れだった」「わざわざ行く価値はない」など、楽しさに対する不満をもらす体験談が多いです。美しい景観を魅力とする観光地で「景色が大したことなかった」と言われると、行くのを止めてしまう人が多いでしょう。観光地の魅力のなさを伝える投稿がなされると、近くにあるホテルやレストランなども、間接的にダメージを受け、利用者が減少してしまいます。

レストラン

フォートラベルでは、レストランへの口コミの投稿も可能です。レストランの風評被害で一番ダメージが大きいのは「料理がまずい」という内容の口コミでしょう。また、「味のわりに高すぎる」など、コストパフォーマンスに対する不満が生じる可能性もあります。さらに、店員の対応などサービス面でのクオリティの低さを指摘される可能性もあるでしょう。フォートラベルは、利用規約第7条(不適切投稿の禁止)の中で、以下のような投稿は禁止すると述べています。

  • 特定の事業者の評判を下げ、信用不安を引き起こす場合
  • ホテルやレストランなどの第三者に対し、不利益・不快感を生じさせる場合
  • ホテルやレストランなどの第三者への誹謗中傷の場合

これらに該当する投稿がなされた場合、投稿情報の変更や削除対応をする場合があると謳っています。また、上記以外にもわいせつな内容や虚偽記載、個人的なクレームといった内容の投稿も削除の対象です。ただ、削除するかどうかの判断はフォートラベル自身に委ねられています。そのため、運営側の監視の目を通り抜けて、「風評被害に該当するのではないか」と感じる投稿がなされることはあるでしょう。また、口コミのガイドラインでは、以下に該当する口コミはしないでほしいと述べられています。

  • 旅行とは関係のないもの「私はこの歯科医院を利用しています」など
  • 具体的ではないもの「このホテルはなかなかです」の一文のみの投稿など
  • 他人への誹謗中傷や施設へのクレーム「〇〇というホテルマンの接客態度は最低」「旅行記で絶賛されていたから、行ってみたが最悪の施設だった」など
  • 独断的・断定的な意見「こんな料理がまずいレストラン、美味しいと評価するやつの味覚は狂っている」「あんな宿に泊まるのは時間の無駄だ」など
  • 分自身の体験に基づいていないもの「友人によると、この宿はぼったくりだ」など
  • 一つの施設に対する複数投稿
  • 宣伝・告知・募集・勧誘活動
  • グロテスク、わいせつな内容
  • 犯罪行為の助長、法令に反するもの
  • 著作権・肖像権・プライバシーを侵害するもの
  • 旅行業関係者の投稿について
  • その他

以上の内容に抵触する口コミであれば、削除してもらえる可能性があるでしょう。

利用規約違反で削除請求する方法

上述した通り、フォートラベルでは誹謗中傷に該当する口コミや旅行記に対しては、削除の対応をすると説明しています。しかし、なかには確認漏れや運営がOKと判断した内容でも施設等の経営に支障が生じるため、削除したいケースも存在するでしょう。では、誹謗中傷に該当する内容の口コミや旅行記が投稿された場合、どのようにすれば削除請求できるのでしょうか?フォートラベルは、サイト上で「電話による問い合わせには一切、応じていない」と述べています。そのため、問い合わせフォームを利用して削除請求することになりますが、削除専用の問い合わせフォームはありません。サービス全般に関するお問い合わせフォームを利用し、「利用規約違反(通報)」を選択し、削除を依頼します。その際は、削除したい口コミがどれかをわかるような記載を心がけましょう。

また、合わせて利用規約のどの部分に抵触するのか記載してください。ユーザーから通報があった場合も、迅速な対応ができない場合があると記載されているので、対応に時間がかかる場合もあります。なお、自分で行った口コミや旅行記を削除する場合は、マイページからご自身の判断で削除が可能です。

違法だとして削除請求する場合

削除請求しても対応してもらえない場合の対策・手段とは?

自ら直接サイトに削除請求しても対応してもらえない場合、裁判所に対して違法を主張することになります。誹謗中傷の違法性を主張する場合、名誉毀損を利用するケースが多いです。しかし、残念ながら、ネット上の口コミに対する名誉毀損の主張は認められにくいのが現状です。なぜなら、フォートラベルに寄せられる誹謗中傷の口コミや旅行記の多くは、主観に基づく内容だからです。「料理が美味しくなかった」「アクセスが悪い」などの内容は、あくまで本人の感想を述べているに過ぎません。意見の内容が虚偽であったり、表現方法が限度を超えていたりするなら主張が認められる可能性もあります。

しかし、「美味しくなかった」だけで削除請求が認められるのは、現状厳しいでしょう。また、口コミの違法を主張する場合、侵害された権利やなぜ権利が侵害されたといえるのかという点に関しても述べる必要があります。このような議論は素人だけでは厳しいので、そうしても違法性を主張したいのであれば、弁護士に依頼するのをおすすめします。

仮処分による削除

裁判で違法を主張すると、審理過程に時間がかかってしまいます。その間、該当の口コミはネット上に晒されたままです。時間が経ち閲覧者が増えると、風評被害がどんどん大きくなります。そのため、もっと短期間で削除したいと考える方もいるでしょう。そのような方は仮処分による削除請求を利用するのがおすすめです。仮処分とは、実質的な審理の前に主張が認められた時と同様の状態を実現させることです。裁判所に依頼する必要がありますが、主張が認められれば裁判よりも短期間で求めている状態が達成できます。裁判所からフォーサイトに「該当の投稿を削除せよ」と命令がいくのです。ただ、裁判を起こす場合と同様の法的な主張を行わなければなりません。裁判に比べ仮処分は主張が認められやすいわけではないため、その点はご注意ください。

仮処分による投稿者特定

仮処分では、投稿を行った投稿者を特定することも可能です。削除が成功したとしても、その投稿者が再度、誹謗中傷の投稿を行ったのでは意味がありません。その点、投稿者を特定できれば、本人に対して直接もう口コミを投稿しないよう、念を押すことができます。

しかし、投稿者特定の場合、仮処分に比べやるべきことが多いです。まず「フォーサイトに対して、投稿を行ったパソコン等のIPアドレスを開示するよう命令してほしい」という請求を、裁判所に行います。この主張が認められれば、どの端末から投稿を行ったかという点は分かります。ただ、IPアドレスだけでは、投稿者の本名や住所といったことは分かりません。こうした情報を知っているのは、投稿者が利用するプロバイダだけです。そのため、さらにプロバイダに対し、投稿者の住所や本名などの情報を開示する請求を行わなければいけません。プロバイダも個人情報を保護する必要があるため、この求めには応じないケースが考えられます。そうなると、また裁判所に仮処分を依頼する必要があります。2度、仮処分を行う可能性もあるため、手続きが煩雑だといえるでしょう。

まとめ

フォートラベルは、旅行関連の口コミや旅行記を投稿できるサイトです。旅行に関する内容ならあらゆることが投稿できるので、宿泊施設や観光地、交通手段、レストランなど様々な情報を入手できます。その分、様々な施設にとって風評被害の被害者となる可能性もあります。フォートラベルは「誹謗中傷に該当する口コミは削除する」と利用規約に明記されています。そのため、あまりに酷すぎる内容の口コミはこちらで対応しなくても、削除してもらえる可能性が高いです。しかし、運営の監視の目を通り抜け公開されてしまうリスクもあります。そうした場合、自分でサイトに削除請求するか、裁判所に対して違法を主張しなくてはいけません。違法を主張する場合、法的な議論が求められるため、素人だけでは厳しいでしょう。そのため、ネットの誹謗中傷に強い弁護士に依頼するのをおすすめします。

弁護士 河瀬 季

モノリス法律事務所 代表弁護士。元ITエンジニア。IT企業経営の経験を経て、東証プライム上場企業からシードステージのベンチャーまで、100社以上の顧問弁護士、監査役等を務め、IT・ベンチャー・インターネット・YouTube法務などを中心に手がける。

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