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法律記事MONOLITH LAW MAGAZINE

風評被害対策

ホストラブ(ホスラブ)の書き込みを削除する方法を弁護士が解説

風評被害対策

ホストラブ(以下ホスラブ)はホストクラブやキャバクラなど夜のお店専門の掲示板サイト。お店やスタッフの評判から、お店とは関係ない雑談にいたるまで幅広い内容の投稿が寄せられています。

ホスラブでは名誉毀損やプライバシーの侵害に当たる内容の口コミも少なくありません。自身に対する誹謗中傷や個人情報漏洩の投稿を発見した場合、一刻も早く削除したいと考えますよね。

そこで、今回はホスラブの書き込みを削除する方法を法律のプロである弁護士が解説しています。法律に疎い方でも分かりやすいように丁寧に説明していますのでぜひご一読ください。

ホスラブの概要

ホスラブは夜の業界のための情報交換サイト。2001年のスタート当時はホストクラブに特化していましたが、現在は派生して水商売や風俗、雑談などにも対応しています。月間利用者数は200万人を越え、47都道府県の専用掲示板を備えるローカルな側面も合わせ持つサイトです。(※18歳未満の方の利用はできません。)

ホスラブの削除対象の書き込みとは?

ホスラブでスレッドを検索したところ、誹謗中傷の口コミを見つけてしまうことは少なくありません。サイトの利用規約違反であることや違法であることを証明すれば、書き込みを削除がすることが可能です。ホスラブで削除対象となり得る口コミの内容は「誹謗中傷」と「プライバシーの侵害」の2つです。

ホスラブで起こり得る誹謗中傷

利用者に水商売の人が多いこともあり、誹謗中傷が行われることが多いサイトです。例えば、同じお店の子やライバル店に対する誹謗中傷や、ライバル店が競合のお店の評判を落とすために悪評を書きこむケースがあります。また、サービス業ですのでお客さんからお店の対応などに対しクレームが寄せられる可能性もあります。

ホスラブは非常に利用者が多いため、お店に対する不満やクレームが書き込まれると、客足にダイレクトに影響を与えます。店舗側としては、ホスラブでの誹謗中傷・風評被害に対する対策が必要だといえるでしょう。

プライバシーの侵害

例えば、ホストの太客や惚れ込んでいる客が、ストーカーまがいの行動を取り、ホストの彼女の写真などをサイト上に公開することがあります。ネットで個人情報が晒されてしまうと、日常生活に影響を与えることも多々あります。会社にバレたら今までと同じように働けなくなるかもしれません。

また、従業員がお客さんの個人情報を流出させるケースも考えられます。「この前芸能人の〇〇の相手したけど、けちけちしていた」など書きこまれると、特にアイドルや女優などの場合、大きなイメージダウンにつながるでしょう。

また、接待などで企業の社長や役員が利用する場合もあります。「この前〇〇社の社長が来たけど、不倫した話を聞かされた」など告発されると、社員からの信頼の失墜はもちろん、企業のイメージダウンにもつながり、売上や業績にも損害を与える恐れがあります。

ホスラブの書き込みを規約違反で削除する方法

ホスナビの削除依頼ガイドラインには、以下の通り記載されています。

ホスラブの削除依頼ガイドライン

個人名・住所・帰属について

〈削除対象〉

  • 誹謗中傷の個人特定が目的のもの

〈削除対象とならない〉

  • SNSや電話帳などですでに公開されているもの
  • 情報価値があるもの
  • 公益性があるもの

電話番号

電話番号は一部伏せ字や示唆する文字列が使用されていたとしても、すべてが削除対象

例外的に

  • 明らかに公的なもの
  • 投稿者のハンドルキャップやホスト情報付き
  • リンク先で確認できる

等の情報は削除されません。

メールアドレスやホスト情報

悪意が明らかで攻撃を目的としている・趣旨説明がなく公衆の目に晒すことが目的であると判断された場合のみ、削除対象

誹謗中傷について

公益性があり板の趣旨にのっとった記述、直接の関係者や被害者からの事実関係に関する記述等以外のものは、個人を特定できる内容が含まれていれば全て削除対象

私生活情報

公益性のない私生活情報や、第三者のプライベートな情報は、個人が特定できなくとも中傷が含まれていなくとも一律削除対象

上記の通り、削除の基準がかなり具体化されています。度々出てきた公益性とは「社会一般のためになる」という意味です。ライバル店の評判を落とすための書き込みには公益性は認められません。

サイトへの削除請求方法

サイトへの削除依頼は、問い合わせフォームに記入することで完了します。トップページ下部の「×削除依頼」をクリックします。問い合わせフォームには

  • 対象URLの14桁の数字(スレッド)
  • 対象レス番号
  • 削除理由 (ガイドラインから抜け出して表記)

の3つを記入します。削除理由では、対象の投稿がどのようにガイドラインに違反しているか500字以内で記述します。

削除は96時間以内に行われます。結果については特に連絡がこないため、一週間以上たっても口コミが公開されたままであれば、削除が失敗したと判断して良いでしょう。

注意してほしいのは、削除の可否を判断する削除人は、ボランティアが行っていることです。このため、明らかに利用規約違反であるケースでも、ボランティアですから監視のチェックを潜り抜けてしまうケースは十分考えられます。

また、削除依頼内容は、サイト内で「削除依頼履歴」として公開されてしまいます。記載の仕方に十分注意しないと、二次被害が発生する可能性もあります。あまり個人が特定できる内容の記載は控えることをおすすめします。

ホスラブの書き込みを法的に削除請求する方法

サイトへの削除請求が失敗に終わったとしても、裁判所を通じて違法による書き込みの削除を請求することも可能です。ホスラブの削除対象となる書き込みは、誹謗中傷とプライバシーの侵害に分けられると説明しましたが、これらは法的にも、名誉権またはプライバシー権を侵害するものとして、違法と認められる可能性があります。

名誉毀損による削除

名誉毀損とは、公然とある事実を示すことで、他人や団体の社会的評価を下げることを指します。例えば、「〇〇会社の社長は不倫している」「この店はぼったくりだ」などと書きこまれると企業やお店の評判は落ちるので、社会的評価を落とす言動に該当します。

問題となるのは、適示の事柄が真実なのかどうかという点です。もし、真実であれば名誉毀損が成立する可能性は低くなります。

名誉毀損は、刑法230条に「公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。」とあります。このように、名誉毀損が認められると懲役となる可能性もあるのです。民事上においても、削除請求が可能です。

名誉毀損の条件に関してもっと詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

プライバシーの侵害

住所や氏名などの個人情報が書き込まれた場合、プライバシーの侵害を主張することが可能です。第三者に公開されていない私生活に関する事項が多くの目にさらされ、被害者が不快に感じた場合、プライバシーの侵害が認められる可能性が高いです。

名誉毀損との違いは、真実であっても主張が認められることです。プライバシーの侵害は刑法上記載されておらず、犯罪ではないといえます。ただし、民事上の責任を問うことは可能なため、プライバシーの侵害を根拠に削除請求は可能です。プライバシー権というのは比較的最近になって認知された権利であるため、民法も含め、法律には記載されていません。判例において認められるようになった権利です。

成立要件などプライバシーの侵害について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

裁判所を通じて削除を求める場合は仮処分手続

裁判所を通じた手続きというと訴訟を提起するイメージを持つ方も多いでしょう。しかし、ネット上の口コミの削除請求の場合、裁判ではなく仮処分という手続きが用いられます。仮処分とは、一言で言うと、迅速に進められる裁判のような手続です。

主張に根拠があると裁判所が認めれば、削除命令が、裁判所からサイトの運営会社に対して発出されます。仮処分と言えども、裁判所からの命令であるため、ほとんどの場合、サイト側は削除に応じます。仮処分は裁判に比べ、迅速に対応が可能なため、実務上はよく用いられる手続なのです。

しかし、仮処分が認められるためには、訴訟の場合と同様に、書き込みが違法だという法的な主張・立証が必要です。この書き込みはどういった権利を侵害しているのか、またなぜ侵害するといえるのか等主張し証拠を提示した上で、裁判所を納得させる必要があります。このような議論は素人だけでは難しいため、ネットの誹謗中傷に強い弁護士に依頼・相談すべきです。

ホスラブの書き込みの投稿者を特定する方法

場合によっては、投稿を行った者に対し、慰謝料を請求したいケースもあるでしょう。例えば、顔写真が公開されたことで日常生活に支障が来たす場合が考えられます。裁判所を通じた手続きを取れば、削除だけでなく投稿者を特定することで、損害賠償請求も可能になります。

その場合、まずサイトの運営にIPアドレスの開示請求を行い、プロバイダを割り出し、プロバイダに対し、発信者情報開示請求訴訟を提起するという決まった流れがあります。サイトの運営は投稿者の個人情報を保有していないことが多く、一度IPアドレスを取得する必要があるのです。ホスラブは掲示板型のサイトで登録無しで利用できるため、投稿者に関する情報は保有しておりません。

まとめ

ホスラブの書き込みを削除する方法は、「利用規約違反を主張し、サイトに直接削除請求を行う」「違法を主張し、裁判所を通じて削除請求を行う」の2つです。サイトに削除請求を行う場合、問い合わせフォームに必要事項を記入することで、問い合わせは完了します。ただし、削除対応は削除人と言ってボランティアが担当しているため、確実に削除されるとは限りません。

自らの手による削除に失敗したら、弁護士に依頼し、裁判所に対して書き込みの違法性を訴え、削除命令を出してもらう方法をおすすめします

弁護士 河瀬 季

モノリス法律事務所 代表弁護士。元ITエンジニア。IT企業経営の経験を経て、東証プライム上場企業からシードステージのベンチャーまで、100社以上の顧問弁護士、監査役等を務め、IT・ベンチャー・インターネット・YouTube法務などを中心に手がける。

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