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風評被害対策

ホストラブ(ホスラブ)の書き込みを削除する方法を弁護士が解説

風評被害対策

ホストラブ(ホスラブ)の書き込みを削除する方法を弁護士が解説

近年、5ちゃんねる(旧2ちゃんねる)等の匿名掲示板が増えており、その中の1つとしてホストラブ(以下、ホスラブ)が挙げられます。

モノリス法律事務所では、ホスラブに関して2018年以降投稿単体の削除につき303件、スレッド全体の削除につき15件の削除実績があります(2025年2月13日時点)。削除に要する期間は約1~2週間と短く(注1)、クライアントの風評被害の拡大を防いできました。

注1:削除に要する期間はあくまで弊所の受任案件における目安となります。相手方の対応等によって前後するものであり、記載の期間に比べて長期化する可能性があります。

そこで、今回は弊所に蓄積されたデータをもとに、ホスラブにおける風評被害対策について解説します。

風評被害対策全般についてはこちら

ホスラブに関する解説

ホスラブの書き込みを規約違反で削除する方法

ホスラブとは、ホストクラブやキャバクラなど夜のお店専門の掲示板サイトです。2001年のスタート当時はホストクラブに特化していましたが、現在は派生して水商売や風俗、雑談などにも対応しています。月間利用者数は200万人を越え、47都道府県の専用掲示板を備えるローカルな側面も合わせ持つサイトです。(※18歳未満の方の利用はできません。)

ホスラブではどのような風評被害があるのか

ホスラブは、水商売や風俗中心かつ各都道府県ごとに専門掲示板を有しているという特徴を有するため、特定の人や店についての誹謗中傷が、その店や地域と関連付けた形で投稿されることとなります。この結果、その地域に住む人が閲覧すればすぐに誰に対する誹謗中傷であるかの特定が可能となってしまいます。

実際にホスラブの掲示板を見てみると、具体的な風俗店名や個人名が記載されたスレッドが数多く立ち上げられていることがわかります。誹謗中傷の内容としては多岐にわたるものの、例えば、同じお店の子やライバル店に対する誹謗中傷や、ライバル店が競合のお店の評判を落とすために悪評を書きこむケースがあります。

また、サービス業なのでお客さんからお店の対応などに対しクレームが寄せられる可能性もあります。具体的には「〇〇店の女の子はブサイクである」「□□は金をとるだけ取ってサービスをしない」「××はホス狂である」等の書き込みが見られます。これらの誹謗中傷を受けた場合、周囲から誤解を受けて不必要な軋轢を生むおそれがあります。

また、顧客が店の誹謗中傷記事を目にして来店をためらい客足が遠のく可能性があります。このように店舗や会社、キャストに対する誹謗中傷であれば、事業そのものに対する風評被害ははかり知れません。

ホスラブでの風評被害対策における削除の手段

ホスラブの書き込みを法的に削除請求する方法

ホスラブにおける書き込みを削除する方法は、大きく分けて裁判外での削除請求と裁判手続きによる削除請求の2つに分かれます。

このうち、裁判外での削除請求は、書き込みがサイトの利用規約に違反することを理由とするものと、書き込みが違法であることを理由とするものに分類できます。

また、裁判手続による削除請求は、仮処分手続によるものと、本案訴訟によるものに分けられます。

書き込みの利用規約違反を理由として削除請求する方法

利用規約違反を理由として、ホスラブに削除請求を行う場合には、トップページ下部の「>削除依頼」にある削除依頼フォームから請求を行うことができます。

もっとも、ホスラブでは削除請求を受けたすべての投稿を削除するのではなく、利用規約や削除依頼ガイドラインに違反するもののみを削除しています。

ホスラブの利用規約では、「本サイトは、本規約に反していると認められる発言等について、利用者の同意を得ることなしに削除することができるものとします。」と定められています(利用規約4条1項)。このため、削除を請求する場合には、どの投稿が利用規約のどの条項に違反するのかを特定して行う必要があります。

ホスラブの利用規約3条(注2)には、サイト利用上の禁止事項として以下の行為が挙げられています。

  1. 公序良俗に反する行為、日本国の法律で禁止されている全ての行為
  2. 第三者の知的財産権、その他の権利を侵害する行為又は侵害する恐れのある行為
  3. 性器の露出、性器を描写した画像の掲載等を行う行為
  4. 残虐な情報、動物を殺傷・虐待する画像等の投稿、その他社会通念上他人に著しく嫌悪感を抱かせる情報を不特定多数の者に対して送信する行為
  5. 児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(いわゆる児童ポルノ法)の規制となる行為
  6. 虚偽または故意に誤解を与える発言
  7. 民族的・人種的差別につながる発言、倫理的観点から問題のある発言
  8. 特定の政党もしくは政治団体のための活動、宗教活動または専ら営利を目的とした発言、その他勧誘、宣伝、広告を目的とした行為
  9. 同一内容の投稿を繰り返す行為
  10. 本サイトまたは本サイトに接続しているサーバーもしくはネットワークを妨害したり、混乱させたりする行為
  11. 本サイトの目的及び開設されたテーマとは無関係な発言
  12. 本サイトが禁止を明示した発言または削除した発言と同一または類似する内容の発言
  13. 本サイトの運営を妨害する行為または当該行為を誘引・助長させる行為
  14. 第三者の本サイト利用を妨害する行為
  15. 第三者の個人情報を無断で収集、開示する行為
  16. 第三者に対する誹謗中傷または名誉き損、もしくは他者に対して不利益または不快感を与えるおそれのある発言
  17. 自分以外の人物を名乗ったり、代表権や代理権がないにもかかわらず文化団体などの組織を名乗る発言、または他の人物や組織と提携、協力関係にあると偽ったりする発言
  18. その他本サイトが不適切と判断した全ての行為
ホストラブご利用規約

注2:ホスラブホームページ上に複数の類似するが内容のやや異なる同名の「ご利用規約」が掲示されており、上記抜粋はそのうちの1つとなります。

また、削除依頼ガイドライン記載事項として以下の基準が挙げられています。

  1. 個人名・住所・所属について

公開されているもの・情報価値があるもの・公益性が有るもの・等は削除しません。

公開されたインターネットサイト・全国的マスメディア・電話帳で確認できる・等、隠されていない情報については削除しません。

趣旨説明も公益性も無い・誹謗中傷の個人特定が目的である・等の場合は削除対象になります。

  1. 電話番号について

電話番号は、一部伏字・それを示唆するような文字列・等でも、確認方法が確立していない為に原則として全て削除対象です。

ただし、投稿者の自己責任があるものは削除されないことがあります。

明らかに公的な物・投稿者のハンドルキャップやホスト情報つき・文意によって本人が公開したと判断できるもの・リンク先で確認できるもの・等です。

  1. メールアドレス・ホスト情報について

騙りの可能性や悪意が明らかで攻撃を目的としている・趣旨説明が無く衆目に晒すことを目的としている・等の場合のみ削除対象になります。

メール欄に書かれていても同様です。判断は文意によります。

  1. 誹謗中傷について

公益性が有り板の趣旨に則した事象・直接の関係者や被害者による事実関係の記述・等が含まれたものは削除しません。

個人(ホストを含めた有名人を除く)を特定する情報を伴っているものは全て削除対象です。

  1. 私生活情報について

公益性の無い私生活情報・第三者の確認できないプライベート情報は、個人(ホストを含めた有名人)が完全に特定されなくても中傷が伴わなくても、一律削除対象とします。

削除依頼ガイドライン

利用規約違反のある書き込みの見分け方

仮に書き込まれた情報が真実であっても人の私生活にわたる事項であれば、削除依頼ガイドラインにおける基準5に定める「私生活情報」にあたるとして削除請求することができます。例えば、不倫関係の書き込みにおいて「▽▽嬢が、ナンバー▼▼の車で男と待ち合わせててアフターに行った」といった情報は、真実であるか否かにかかわらず本来他人に知られたくない私生活上の情報にあたり、プライバシー権により保護されているとの主張が可能です。

プライバシー権の侵害に関しては、下記記事にて詳細に解説しています。

関連記事:ネット上の誹謗中傷行為とプライバシーの侵害

また、ホスラブでは、人の氏名が書き込まれた投稿がしばしばあります。これが本名であれば、利用規約における禁止事項15に定める「個人情報」に該当するものとして削除請求をすることになります。こうした事例は、個人対個人の場合に限らず、キャストに対するカスタマーハラスメントとして書き込みが行われる場合もあるため、店舗経営者においても注意が必要です。

もっとも、ホスラブ側が利用規約違反を認定することはそれほど多くはなく、違法を理由とする送信防止措置請求や裁判上の請求が主な削除手段となります。

送信防止措置請求及び裁判上の請求に関しては、以下の記事で詳細を説明しておりますので、そちらをご確認ください。

まとめ:ホスラブでの誹謗中傷は弁護士に相談を

このようにホスラブは、ホストクラブやキャバクラなど夜のお店専門の情報を気軽に書き込める掲示板サイトであるが故に、誹謗中傷や風評被害の温床となりやすい面があります。

書き込みの削除を行うことは様々な手法がある中で、その中で適切な手法を見極め実効的な解決を図るためには、弁護士に依頼せずに自力で対応することは困難です。

そして、ネット上の誹謗中傷や風評被害への対策は、ITに関する専門的な知識が必要となるため、この分野について経験豊富な弁護士に相談することが重要です。

関連記事:ホストラブ(ホスラブ)に誹謗中傷を書き込んだ犯人を特定する方法とは

当事務所による対策のご案内

モノリス法律事務所は、IT、特にインターネットと法律の両面で豊富な経験を有する法律事務所です。近年、ネット上に拡散された風評被害や誹謗中傷に関する情報は「デジタルタトゥー」として深刻な被害をもたらしています。当事務所では「デジタルタトゥー」対策を行うソリューション提供を行っております。下記記事にて詳細を記載しております。

モノリス法律事務所の取扱分野:デジタルタトゥー

弁護士 河瀬 季

モノリス法律事務所 代表弁護士。元ITエンジニア。IT企業経営の経験を経て、東証プライム上場企業からシードステージのベンチャーまで、100社以上の顧問弁護士、監査役等を務め、IT・ベンチャー・インターネット・YouTube法務などを中心に手がける。

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