YouTube利用規約のポイントは?商品紹介・レビュー投稿動画の注意点を弁護士が解説
YouTubeでは、商品紹介をしたり、商品に関する使用感をレビューしたりする動画は人気のコンテンツの一つです。実際に使用している人の評判を知ることで、商品を購入する際の参考にしようとしています。
では、動画で特定の商品を紹介したり、レビューを投稿したりする場合、どのような点が問題になるのでしょうか。本記事では、YouTubeで商品紹介・レビュー投稿の動画を制作し配信する場合に注意すべき点を解説します。
この記事の目次
商品紹介・レビュー動画とは
商品紹介・レビューとは、特定の商品を使用している様子や感想などをまとめた動画のことをいいます。こうした動画を多くのYouTuberが配信しています。
企業からの広告やプロモーションの一環として制作・配信されている「商品の良さ」を伝える内容のものが多い一方で、中には「商品を使用した際の不満」など、ネガティブな感想を率直に動画にしているものもあります。
商品の紹介やレビューに関しては、ブログ記事やAmazonなどの商品レビュー機能があるサイトがあります。
ただ、動画を使うことで、より具体的になり、わかりやすいくなるというメリットがあるため、人気があります。
YouTubeの利用規約等
YouTubeには、大きく言って、3つの「規約」が存在します。
- 利用規約
- コミュニティガイドライン
- 各種ポリシー等
これらの関係は分かりやすく言えば、利用規約は抽象的なものであり、それを具体的にしたのがコミュニティガイドラインと各種ポリシー等である、というのが基本的な構造です。
そこで、本記事では、コミュニティガイドラインと各種ポリシー等を中心に、解説を行います。
規制品
まずコミュニティガイドラインにおいて定められている規定として、YouTubeでは、特定の規制対象の商品やサービスを販売することを目的としたコンテンツは許可されていません。
規制対象の商品とは、
- アルコール
- 偽造文書や偽造通貨
- 麻薬などの規制薬物
- 爆発物
- ニコチン製品(電子タバコ関連商品を含む)
- Google または YouTube による審査が完了していないオンライン ギャンブル サイト
- 処方箋なしの医薬
等です。
これらの販売者に直接連絡できるリンク、メールアドレス、電話番号などの手段を投稿することで、こうした商品の販売やサービスの利用促進を可能にする行為は許可されていませんし、このポリシーは、動画、動画の説明、コメント、ライブ配信などの YouTube のサービスや機能に適用されるので、次のようなコンテンツは、YouTubeでは許可されていません。
- 承認されていないオンラインギャンブルサイトやスポーツ賭博サイトへのリンク
- 偽造パスポートの販売、偽造公文書の作成方法の解説
- デートクラブ、売春、アダルト マッサージの広告
- ダークウェブで薬物を購入する方法の説明
- 偽のクレジットカード番号を生成するソフトウェアを使用して商品を購入するユーザーの動画
- 処方箋が不要なオンライン薬局へのリンクを含める
参考:YouTubeのポリシー/違法または規制対象の商品やサービスの販売に関するポリシー
これらの紹介やレビュー投稿は、削除されることとなります。
有害または危険なコンテンツに関するポリシー
コミュニティガイドラインにおいて定められている規定についてYouTube では、深刻な身体的危害や死亡のおそれがある危険行為または違法行為の助長を目的とした、以下のようなコンテンツは許可されません。
- 非常に危険なチャレンジ(身体に重傷を負う恐れがある差し迫ったリスクを伴うチャレンジ)
- 危険ないたずらや危険を感じさせるいたずら(重大な身体的危険が差し迫っていると相手に感じさせたり、未成年者に深刻な精神的苦痛を与えたりするようないたずら)
- 殺害方法や危害を加える方法(他の人を殺したり、危害を加えたりする方法や爆弾の作り方を説明する)
- ハードドラッグの使用や作成(コカインやオピオイドなどのハードドラッグを乱用する人を映したコンテンツや、その作り方を説明するコンテンツ)
- 摂食障害(拒食症や他の摂食障害を称賛または美化するコンテンツや、視聴者に真似ることを促すコンテンツ)
- 窃盗の手順や不正行為(有形商品を盗む方法を視聴者に示したり、不正行為を助長したりする)
- ハッキング( 認証情報を盗む、個人情報を漏洩させる、他者に深刻な危害を与える目的でパソコンや情報技術の使用方法を紹介する)
- デジタルコンテンツまたはサービスの支払いの回避(有料のコンテンツなどに、無料で不正にアクセスするためのアプリ、ウェブサイト、その他の情報技術の使い方を紹介する)
- 危険な治療薬や治療法の宣伝(有害な物質または治療法に健康上のメリットがあると主張する)
参考:YouTubeのポリシー/有害または危険なコンテンツに関するポリシー
元々YouTubeは、過激なコンテンツでも投稿可能でした。ですが、最近では、生命や身体に危険を及ぼすような挑戦を行う過激な動画は削除されてしまうケースがあります。
上にあげたような有害または危険なコンテンツや、それらを商品紹介・レビューする動画は、避けなければなりません。
特に、未成年者が危険な行為に関与しているコンテンツや、未成年者に危険な行為への関与を促すコンテンツを投稿してはいけません。
偽造品
YouTube を含め、Google のサービスを使用して偽造品の販売や販売促進活動を行うことは禁止されています。
偽造品とは、他の商標と同一か、ほとんど区別がつかない商標やロゴを含む商品を指しますが、偽造品の宣伝や販売をしているチャンネルは停止されることがあります
Google広告ポリシーにより、そうした商品の紹介をしたり、レビューしたりすると、チャンネルを停止される可能性があります。
不正行為を助長する商品やサービス
Google広告ポリシーでは、「不正行為を助長する商品やサービス」が定められており、以下は許可されません。
- 人を欺く商品やサービス
- システム、デバイス、プロパティへの不正アクセスや不正な変更を可能にする商品やサービス
- 個人やその活動を本人の許可なく追跡またはモニタリングすることを可能にする製品またはサービス
1の例としては、
- 「パスポートや卒業証書などの偽造文書の作成、国民識別番号を模倣した番号の販売」
- 「代筆や受験代行サービス、無効なクリックやレビュー」
- 「ソーシャル メディアでのおすすめ情報の形式での偽装ユーザー操作の販売」
などがあげられ、2の例としては、
- 「ハッキングサービス」
- 「ケーブルテレビの不正受信」
- 「レーダーの妨害」
- 「信号機の不正操作」
- 「電話の盗聴や通信の傍受」
などがあげられ、3の例としては、
- 「親しい相手を監視するために使われるスパイウェアおよび技術」
- 「相手の同意なく個人を監視または追跡することを明確な販売目的とするGPS トラッカー」
- 「スパイ行為を明確な販売目的とする監視機器(カメラ、音声レコーダー、ドライブ レコーダー、ベビーシッター カメラ)のプロモーション」
などがあげられています。
参考:Google広告ポリシー
これらの紹介をしたり、レビューしたりすると、チャンネルを停止される可能性があります。
著作権侵害
商品を撮影して配信することが、商品に関する著作権を侵害するということは、普通はありません。
例えば、パソコンやiPhoneなどの最新機種は、商品紹介やレビュー動画でよく取りあげられます。ただ、これらが著作物にあたることは基本的にありません。なぜなら、著作権法上で保護の対象となるためには、思想や感情が創作的に表現されていることが必要だからであり、パソコンやiPhone、家電製品は著作権法により保護されることはありません。
しかし、他人が撮影した商品写真を商品紹介やレビュー動画に使用する場合には、その写真の著作権に注意する必要があります。
また、商品の配置や角度などに工夫を凝らした写真には著作物性が認められることがあります。このような写真を権利者に無断で利用すると著作権侵害となってしまいます。
商品写真や動画を利用したい場合には、フリー素材を用いるか、自分で撮影するようにしましょう。
著作権に関しては、以下のコンテンツが禁止されています。
- 著作権で保護されたコンテンツの取得、コピー、アクセスを可能にする不正なサイトやソフトウェア(音声ガイド、電子書籍、アニメ、ゲーム、映画、MP3、着メロ、音楽、ソフトウェア、テレビ番組、コンテンツ制作者による作品の不正なストリーミング配信、共有、複製、ダウンロードを可能にするサイト、ソフトウェア、ツールバー)
- 著作権で保護されたコンテンツをオフラインで不正配布するサイトやアプリ(著作権で保護された CD、DVD、ソフトウェアの物理的な不正コピーを配布するサイト)
- 著作権で保護されているコンテンツからデジタル著作権管理(DRM)技術を解除したり著作権を回避したりするソフトウェア、サイト、ツール(音声、動画、電子書籍、ソフトウェアの DRM 技術を解除または迂回することにより、著作権で保護されたコンテンツへのアクセスを可能にする商品やサービス)
参考:Google広告ポリシー
名誉毀損との関係
商品を批判する内容の商品紹介動画を配信した場合には、名誉毀損が問題となることがあります。
名誉毀損は、不特定または多数の人に対して、個人または法人の社会的評価を低下させる具体的事実を摘示した場合に成立します。
商品紹介やレビュー動画の場合、YouTubeで配信するのであれば不特定又は多数の人が閲覧することになります。
また、名誉毀損罪が保護するのは個人の名誉だけでなく会社など法人の名誉も含まれます。そこで、商品紹介動画で取りあげられる商品に関しては、その商品を製造又は販売している会社の名誉を毀損するものであるか否かも問題となり得ます。
名誉毀損罪の成否において重要なのは、社会的評価を低下させる具体的事実が摘示されたことです。
例えば、「この牛肉は松坂牛だと言っているが実際は輸入牛だ」などという商品紹介動画を配信した場合において、その指摘が間違いや嘘だったとしたら、虚偽の事実の配信によって不当にメーカーの社会的評価を低下させたといえます。このような商品紹介動画は名誉毀損にあたり違法となる可能性があります。
これに対し、「この牛肉はまずい」とか「盛り付けが雑で見映えが悪い」といった内容の商品紹介やレビュー動画の場合には、あくまでも個人の主観的な感想であるため、具体的事実の摘示とはいえず、意見や論評となり、名誉毀損が成立する可能性は低いといえます。
まとめ
ここで解説したように、YouTubeでは、厳しい基準が設けられています。
「法律的には違法ではない」としても、規約に違反してしまうと動画を削除されてしまうので、商品紹介・レビュー投稿を行う場合には、こうした利用規約等に気を付ける必要があります。
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カテゴリー: YouTuber・VTuber法務