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法律記事MONOLITH LAW MAGAZINE

YouTuber・VTuber法務

YouTube利用規約をわかりやすく解説|違反行為とアカウント停止の基準

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YouTube利用規約をわかりやすく解説|違反行為とアカウント停止の基準

動画を上げるたびに規約を読み返す人はいません。違反警告のメールが届いて初めて開き、そこで見つかるのは自分がどの条項に触れたのかという答えではなく、1万字を超える契約条件です。

日本語版の利用規約は2023年6月1日発効の版が現行です。守るべきルールは規約だけではなく、コミュニティガイドラインと各種ポリシーを合わせた3つが1つの契約を構成します。

規約本文が禁じている行為と、違反警告が3回で永久削除に至る仕組みを整理します。あわせて、どの国の法律で判断するかを決める準拠法をカリフォルニア州法としていることが、日本のユーザーにどう効くのかまで見ていきます。企業チャンネルに効く条項は記事の後半にまとめました。

YouTube利用規約と守るべき3つのルール

YouTube利用規約とは、YouTubeを運営するGoogle LLCと利用者との契約条件を定めた文書で、投稿する人にも視聴するだけの人にも適用されます。

ただし規約を読み終えても全体は見えません。規約は「適用される規約」という条項で、本規約とコミュニティガイドライン、各種ポリシーを合わせて本契約と呼ぶと定めているからです。

参考:YouTube 利用規約(日本語版)(2023年6月1日発効)

利用規約とコミュニティガイドラインと各種ポリシーの関係

3つは役割が分かれています。利用規約が契約の骨格を決め、コミュニティガイドラインが投稿してよい内容の線を引き、各種ポリシーが細部を埋めます。

規約の条文だけを読んで問題ないと判断した動画が、ガイドライン違反で削除されることがあります。規約はガイドラインに違反するコンテンツを削除する権利を留保しているからです。逆に、ガイドラインに触れない内容でも規約本文の禁止行為にあたれば措置の対象です。

YouTube利用規約と守るべき3つのルール

日本語版と英語版で異なる発効日

日本語版の末尾には2023年6月1日発効、英語版の末尾は2023年12月15日発効で、原文はEffective as of December 15, 2023です、発効日が違います。同じサービスでも言語版によって版が分かれるため、英語の解説をそのまま日本に当てはめると食い違いが生じます。

どちらが優先するかを定めた条項は、日本語版には見当たりません。優先関係が示されていない以上、日本のユーザーは日本語版を基準に読むのが実務的です。改定の有無は解説記事ではなく、規約ページ末尾の発効日で確かめてください。同じ場所のリンクから旧版も確認できます。

参考:YouTube Terms of Service(英語版)(Effective as of December 15, 2023)

YouTube利用規約が禁止している行為

規約本文で禁止行為を定めているのは許可と制限事項という条項です。並ぶのは暴力的な表現といった内容面ではなく、サービスの使い方の制限です。

▼ YouTube利用規約「許可と制限事項」が禁止する主な行為

禁止される行為規約が定める例外
複製、ダウンロード、配信、展示、販売、改変YouTubeが明示的に承認した場合、権利所持者の事前の書面許可
セキュリティ機能やコピー制限機能の迂回、無効化なし
自動化された手段によるアクセスrobots.txtに従う検索エンジン
個人を特定できる情報の収集本人が許可している場合
視聴回数や高評価、チャンネル登録者数の操作なし
報告や異議申し立て、再審査請求の不正使用なし
個人的、非営利的な用途以外での視聴YouTubeが承認した仕組み
サービス上や周囲での広告、スポンサーシップの販売広告ポリシーで許可されているもの

参考:YouTube 利用規約(日本語版)許可と制限事項(2023年6月1日発効)

コミュニティガイドラインが定める内容面の禁止事項は、別に整理してあります。

アクセス権の販売と有料配信

限定公開の動画を有料会員だけに見せる運用は、規約が定める個人的、非営利的な用途の枠を外れ、規約違反と評価されるおそれがあります。現行版はサービス上での広告やスポンサーシップの販売も禁じています。ただしYouTube自身が用意しているチャンネルメンバーシップのように、YouTubeが承認した仕組みを使う場合はこの限りではありません。

動画そのものを商品として売る形をYouTubeは想定していません。一方で、チャンネルに企業広告を載せる、自社の認知度を上げるために動画を出すといった間接的な使い方は制限されていません。線引きは視聴に対価を取るかどうかです。

企業では有料ウェビナーの配信URLに限定公開を使う運用が典型です。

2018年5月25日版には、本サービスに対するアクセスの販売という文言がありました。現行版で削除されていますが、非営利の用途の制限と広告の販売禁止は維持されており、同様の運用は依然として違反と評価される可能性が高いと考えられます。もっとも旧版ほど明確ではありません。

参考:YouTube 利用規約(2018年5月25日版・アーカイブ)(2018年5月25日公表)

動画の埋め込みとリーチサイト規制

ブログへの埋め込みを規約は禁止しておらず、埋め込み型YouTubeプレーヤーへの表示を明示的に認めています。問題になるのは量と目的で、記事がないまま大量に埋め込み広告収入だけを狙うサイトは規約違反にあたるとYouTubeが示しています。

参考:YouTube ヘルプ「YouTube ウェブサイトの商用利用が禁止されるケースと許可されるケース」

著作権法の側にも変化がありました。令和2年(2020年)の改正で、いわゆるリーチサイトの規制が入りました。条文は侵害著作物等利用容易化ウェブサイト等と呼び、公衆を侵害コンテンツに殊更に誘導すると認められるサイトや、主として侵害コンテンツの利用に使われているサイトを指します。こうしたサイトでリンクを提供し、侵害コンテンツだと知っていたか、知ることができたと認めるに足りる相当の理由があったときは、著作権侵害とみなされます。この場合、著作権侵害とみなされる行為を行ったリンク提供者は、3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金に処され、またはこの拘禁刑及び罰金が両方とも科されます(著作権法120条の2第3号等)。また、リーチサイト運営行為・リーチアプリ提供行為については、5年以下の拘禁刑・500万円以下の罰金(併科も可)(同法119条2項4号・5号等)が科されることとなります。

もっとも、上記リーチサイトにあたらない通常のブログで記事の中に関連動画へのリンクを貼る行為は、113条2項の要件を満たさず、著作権侵害とみなされないのが通常です。

参考:著作権法 113条2項・119条2項4号(e-Gov法令検索)

参考:文化庁「令和2年通常国会 著作権法改正について」(リーチサイト対策の施行日 令和2年10月1日公表)

スクレイピングとダウンロードと技術的制限の回避

動画のダウンロードは、規約が明示的に承認した場合か権利者が事前に書面で許可した場合を除いて禁じられています。ダウンロード支援サイトや変換ツールはこの条項に触れます。自動化されたアクセスも同じで、例外は検索エンジンだけです。

著作権法の問題も別に生じます。私的使用のための複製を認める規定には除外事由があり、技術的保護手段を回避した複製や、侵害コンテンツと知りながら行うダウンロードがこれにあたります。このうち刑事罰の対象は後者で、有償の著作物を侵害コンテンツと知りながら録音・録画した場合に2年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金が定められています。録音・録画以外のデジタル複製は、継続的または反復して行ったことが要件です。技術的保護手段を回避した複製は民事上の侵害にとどまり、この罰則の対象ではありません。

参考:著作権法 30条1項・119条3項(e-Gov法令検索)

再生回数やチャンネル登録者数の水増し

規約は本来のユーザーエンゲージメントの測定結果を歪める行為を禁じています。例として挙がっているのは、金銭やインセンティブによる視聴回数や高評価数、チャンネル登録者数の増加です。数字を買う業者に発注した側にも、規約違反の評価が及びます。

なりすましと個人情報の収集と申立て制度の濫用

ユーザー名や顔の映像といった個人を特定できる情報を、本人の許可なく収集する行為は禁止されています。切り抜き動画や検証動画で第三者の情報を集めて公開する運用は、この条項に触れる可能性があります。社員や顧客が動画に映る場合は、出演者の同意や肖像権の問題も別に生じます。

見落とされやすいのが、報告や異議申し立て、再審査請求のプロセスを不正使用することの禁止です。根拠のない申請、濫用的な申請、嫌がらせ目的の申請が含まれます。身に覚えのない通報を繰り返し受けている場合、その通報自体がこの条項に触れる可能性があります。ただし濫用にあたるかは通報者側の事情によります。反論の通報で対抗すると自分の側が不正使用と評価されるおそれがあるため、正規の手続で対応してください。

YouTube利用規約で違反となりやすい3つのケース

当事務所に持ち込まれる規約違反の相談は、ほとんどが3つに収まります。大量の動画を埋め込んで広告収入だけを狙う場合、限定公開の動画を有料会員向けの特典として配る場合、ガイドライン違反の動画を投稿してしまう場合です。

3つ目が最も多く、しかも自覚が薄いまま起こります。利用規約はガイドラインに違反する動画の投稿を禁じているため、規約だけを読んで判断した時点で漏れが生まれ、他人が著作権を持つ音楽や画像を無断で使っていれば著作権法の問題も重なります。

ジャンルごとの注意点は別記事にあります。動画で使う音楽や効果音の扱いも別記事にまとめてあります。

YouTube利用規約に違反するとどうなるか

コミュニティガイドライン違反の措置は段階制です。初回は通常、事前警告にとどまり、90日以内に違反警告が3回に達するとチャンネルが永久に削除される可能性があります。効いてくるのは、この90日という期間と、その間に次の警告を受けるかどうかです。

▼ コミュニティガイドライン違反の段階と措置

段階措置の内容期間と失効
事前警告機能制限はなく、チャンネルに記録が残る任意のトレーニング受講で90日後に失効。起算は受講完了時点
1回目の違反警告動画やライブ配信のアップロード、プレミア公開の設定、カスタムサムネイルの作成ができない制限は1週間で自動解除。警告は90日間残る
2回目の違反警告すべての投稿と配信の機能が停止する1回目から90日以内の場合。制限は2週間
3回目の違反警告チャンネルが永久に削除される可能性がある90日以内に3回目を受けた場合
重大な違反事前警告なしで停止されることがある悪質な不正行為が一度でも確認された場合

参考:YouTube ヘルプ「YouTube のコミュニティ ガイドラインの違反警告に関する基礎知識」

YouTube利用規約に違反するとどうなるか

著作権侵害の警告は別にカウントされる

ガイドライン違反の警告と、著作権侵害を理由とする警告は別々の系統で数えられます。ガイドライン違反があと1回だから大丈夫という計算は、著作権の警告を受けていれば成り立ちません。規約は侵害を繰り返すユーザーについて、状況に応じて本サービスへのアクセスを解除する、つまり利用できなくすると定めています。

制限中に別チャンネルを使うと重大な違反になる

制限を受けたときに別のチャンネルへ切り替えて投稿を続ける対応が、最も危険です。規約は制限を迂回する目的で別のチャンネルを使うことを禁じ、これを本契約の重大な違反と定めています。

ヘルプ側では、この迂回は技術的保護手段の回避とみなされ、既存のすべてのチャンネルと新しく作成または取得するチャンネルまで停止される場合があるとされています。ここでいう回避は規約上の評価で、著作権法上の技術的保護手段の回避とは別の概念です。1回目の違反警告であれば制限は1週間で自動解除されます。迂回してすべてを失うより、待つほうが損は小さくて済みます。誤って発出されたと考える場合は再審査請求ができます。

YouTubeに投稿した動画の権利とライセンスの範囲

投稿した動画の所有権は投稿者に残ります。ただし投稿と同時に、YouTubeへのライセンスと他のユーザーへのライセンスを与えることになります。YouTubeへのライセンスは複製や配信、派生的著作物の作成まで含む広いものです。他のユーザーへのライセンスは、再生や埋め込みなど本サービスの機能でのみ可能な方法に限られます。

注意が要るのは、このライセンスが動画を削除した後も商業的に合理的な期間にわたって存続する点です。削除した動画の複製をYouTube側がサーバーに残す場合があることにも、規約は同意を求めています。残された複製が表示や配信に使われることはないとされています。

収益化に関する権利もYouTubeに付与されます。2021年6月1日以降、Super Chatやチャンネルメンバーシップ、パートナープログラムからの支払いは、ロイヤルティとして扱われます。法律上義務付けられている場合には、Googleが源泉徴収を行います。税務上の扱いは税理士にご確認ください。

参考:YouTube 利用規約(日本語版)お客様のコンテンツと行動(2023年6月1日発効)

YouTube利用規約はどこまで拘束力があるか

YouTube利用規約はどこまで拘束力があるか

規約に同意した記憶がない人ほど、この疑問に行き当たります。答えは民法の定型約款の規定にあります。もっとも規約は準拠法をカリフォルニア州法としており、以下は日本法が適用される場面を前提とした整理です。事業者として利用している場合は、この前提が当てはまりません。

同意した覚えがなくても条項に拘束される理由

定型約款とは、大勢の相手に同じ内容で使うことが想定された契約条項です。民法は、不特定多数を相手方とし、内容が画一的であることが双方にとって合理的な取引で、契約の内容とすることを目的として準備された条項の総体と定めています。YouTube利用規約もこれにあたると解されます。

民法548条の2第1項は、2つの場合に個別の条項も合意したものとみなすと定めています。定型約款を契約の内容とする旨の合意をしたときと、準備した側があらかじめその旨を表示していたときです。条文を実際に読んだかどうかは問われません。

歯止めも置かれています。相手方の権利を制限し、または義務を加重する条項のうち、その取引の態様や実情、取引上の社会通念に照らして、守るべき公正さである信義誠実の原則に反して相手方の利益を一方的に害すると認められるものは、合意をしなかったものとみなされます。民法548条の2第2項です。ただしこの規定をYouTube利用規約の個別条項に適用した裁判例は、当事務所が確認した限り見当たりません。

参考:民法 548条の2(e-Gov法令検索)

YouTubeが規約を一方的に変えられるのはなぜか

定型約款を準備した側は、民法548条の4第1項により、一定の場合に個別の合意なく契約内容を変更できます。認められるのは、変更が相手方の一般の利益に適合するときと、契約の目的に反せず、変更の必要性、変更後の内容の相当性、約款に変更がある旨の定めの有無とその内容などに照らして合理的であるときです。YouTube規約は変更に関する定めを置いており、この点は合理性を支える方向に働きます。

手続の要件もあります。効力発生時期を定め、変更する旨と変更後の内容を適切な方法で周知しなければならず、合理性を根拠とする変更は効力発生時期の到来までに周知しなければ効力を生じません。

規約が、重大な変更を加える場合には合理的な事前通知を行い確認の機会を提供すると定めているのは、この周知の要件を満たす仕組みだと考えられます。同意しない場合は、アップロードしたコンテンツを削除して利用を停止するものとされています。

参考:民法 548条の4(e-Gov法令検索)

YouTube利用規約をめぐる紛争はどこの国の裁判所か

規約の末尾近くに、読み飛ばされやすい条項があります。準拠法をカリフォルニア州法とし、訴訟は米国カリフォルニア州サンタクララ郡の連邦裁判所または州裁判所でのみ提起できるとする条項です。

参考:YouTube 利用規約(日本語版)準拠法(2023年6月1日発効)

文字どおり読めば、動画を削除された日本のユーザーはカリフォルニアまで行くことになります。実際には、結論はその人が消費者にあたるかどうかで分かれます。収益の有無だけで機械的に決まるものではありません。

▼ 消費者にあたるかどうかで変わる扱い

区分あてはまる人準拠法条項と管轄条項の効き方
消費者事業としてでも事業のためでもなく使う個人。収益化していない視聴者や投稿者。少額で継続性のない収益にとどまる個人も含まれうる消費者の側から日本の裁判所に訴えを提起できる余地がある。合意で変えられない日本法の強行規定の適用を求める余地も
事業者事業として、または事業のために利用している個人、法人チャンネルを運用する企業規約どおりカリフォルニア州法とその裁判所だけで裁判すると決めるサンタクララ郡の専属管轄に拘束される可能性が高い

収益化していない個人は日本の裁判所に訴えを起こせる余地がある

消費者とは、事業としてまたは事業のために契約の当事者となる場合を除く個人です。趣味で動画を上げている人や見るだけの人がこれにあたります。

民事訴訟法は、将来の紛争についての管轄の合意を、消費者との間では原則として認めていません。効力を持つのは、契約時に消費者が住んでいた国の裁判所に提起できる旨の合意や、消費者がその合意を援用したときなどです。サンタクララ郡においてのみという専属的な合意は、消費者との関係でそのままの効力を持たない余地があります。

また、消費者から事業者への訴えは、提訴時または契約締結時の住所が日本国内にあれば日本の裁判所に提起できます。準拠法についても、法の適用に関する通則法により、消費者が事業者に対して、日本法の特定の強行規定を適用すべき旨の意思を表示したときは、その規定もあわせて適用されます。適用を求める条文を特定して主張する必要があり、日本法全体が当然に適用されるわけではありません。

参考:民事訴訟法 3条の4・3条の7(e-Gov法令検索)

参考:法の適用に関する通則法 11条(e-Gov法令検索)

収益化しているYouTuberや企業は事業者として扱われうる

この保護が働くのは消費者に限られます。広告収益を得ている個人や法人チャンネルを運用する企業は、事業として、または事業のために契約の当事者となる側にあたります。

この場合、民事訴訟法の消費者向けの規定も通則法の特例も使えず、規約どおりの準拠法と管轄に拘束される可能性が高くなります。どちらにあたるかは収益の有無だけでなく運用実態や契約の目的も踏まえて判断され、実際に争えるかは個別の事情で結論が変わります。

YouTube利用規約の免責条項と責任の上限

動画が誤って削除されても、YouTubeが損害を賠償する場面はほとんど想定されていません。規約は、サービスをあるがままの状態で提供するとして品質を保証せず、そのうえで責任の制限を置き、免責の対象にコンテンツの削除やアクセス不能を含めています。

責任の総額は、請求を書面で通知した日までの12か月間にYouTubeがそのユーザーに支払った収益と、500米ドルのいずれか高い方が上限です。収益を受け取っていない利用者には実質的に500米ドルが天井になります。ただし規約は、法律により義務付けられる場合と、故意または重大な過失に基づく責任の場合を、この制限から除いています。逆にユーザーの側は、自分の利用や規約違反が原因でYouTubeが第三者から請求を受けた場合に、その損害を肩代わりする義務を負います。弁護士費用もその範囲です。

参考:YouTube 利用規約(日本語版)その他の法的条項(2023年6月1日発効)

日本法の側には歯止めがあります。消費者契約法は、事業者の債務不履行による損害賠償責任の全部を免除する条項を無効としています。一部を免除する条項も、事業者の故意または重大な過失による場合には無効です。軽い過失に限る趣旨が条項上明らかでない一部免除条項も無効です。500米ドルという上限は一部免除にあたるため、帰責性の程度や条項の書きぶりによって無効となる余地があります。

法令の任意規定に比べて消費者の権利を制限し義務を加重する条項で、信義誠実の原則に反して消費者の利益を一方的に害するものも無効です。ただしこれらが働くのも消費者に対してです。収益化しているYouTuberや企業チャンネルは消費者にあたらない可能性が高く、その場合は保護を受けられません。個別の条項が無効となるかは、契約の性質と条項の内容を踏まえた判断です。

参考:消費者契約法 8条・10条(e-Gov法令検索)

企業がYouTubeを使うときに追加で確認すること

企業がYouTubeを使うときに追加で確認すること

法人チャンネルの運用では、個人の投稿者とは別の条項が効きます。

事業用の利用は会社が同意したものとみなされる

規約は、会社のためにサービスを使う場合、利用者がその会社のために行為する権限を有し、かつその会社が本契約に同意していることを表明するものと定めています。もっともこれは表明を求める条項であり、権限のない担当者が個人のアカウントで法人チャンネルを開設した場合に、当然に会社が契約当事者になるわけではありません。日本法では無権代理(民法113条以下・109条以下)の問題となり、会社が追認しない限り効果が帰属しないこともあります。

運用上の課題はここから生じます。担当者の退職や異動で管理権が失われると、チャンネルごと手が届かなくなります。所有者アカウントを会社名義にすること、管理権限と引き継ぎ手順を社内の台帳に残すこと。これだけでも、退職時に手が届かなくなる事態は避けられます。

社内研修や店舗での上映は非営利の用途を外れる

規約は、不特定または多数の人のために動画を上映したり音楽をストリーミングしたりすることを認めていません。店舗やイベント会場での再生、社内研修での上映は、いずれも個人的、非営利的な用途の枠外にあります。

著作権法の側にも別の要件があります。公表された著作物を公に上映できるのは、営利を目的とせず、聴衆または観衆から料金を受けず、かつ出演者等に報酬が支払われない場合に限られます。店舗の集客のために流す時点で営利目的にあたるため、この規定は使えません。社内研修での上映も営利目的と評価される可能性があります。自社が権利を持つ動画を自社サイトから再生する形なら規約の射程外です。

企業チャンネルで事故が起きやすいのは、規約よりも広告表示の側です。自社商品の紹介やインフルエンサーへの依頼には、ステルスマーケティング規制が別に効きます。

参考:著作権法 38条1項(e-Gov法令検索)

パートナープログラムの新規約が2027年2月1日に発効する

動く期限は2027年1月31日です。2026年8月11日にYouTubeが発表したパートナープログラムの変更で、新しい利用規約が2027年2月1日に発効します。収益化の機会を引き続き利用するには、その前日までにYouTube Studioで更新された規約に同意しておく必要があります。既に参加しているクリエイターの参加要件に変更はありません。

収益化していない企業チャンネルに直接の影響はありませんが、運用を委託しているなら期限の管理だけ社内に残してください。

▼ 2027年2月1日からの主な変更点

項目変更の内容
新規参加の要件チャンネル登録者1,000人以上に加えて、直近365日間で8,000時間の有効な公開動画の総再生時間、または直近90日間で2,000万回の有効な公開ショート動画の視聴回数
ショート動画の収益クリエイタープールから毎月収益を得るには直近90日間で1,000万回の視聴回数が必要。満たさなくてもプログラムから除外されず、他の収益にも影響しない
Premium Liteの拡大Premiumを提供しているすべての国と地域に拡大。純サブスクリプション収益の60%が収益プールとして分配される

参考:YouTube 公式ブログ「YouTube パートナー プログラムの新しい収益機会と変更点」(2026年8月11日公表)

参考:YouTube ヘルプ「YouTube パートナー プログラムに関する変更」

同意の期限を過ぎて収益が止まった場合に、どちらが責任を負うのか。これを書いていない委託契約は少なくありません。外部に委託するなら、同意手続の分担、付与する権限区分、素材のライセンス証憑、契約終了時の権限返還の4点を契約で決めておきます。

YouTube利用規約に関するよくある質問

YouTubeは何歳から使えますか

13歳以上である必要があります。ただし親または保護者が設定を行って利用を許可していれば、年齢を問わず子どもがYouTubeを利用でき、YouTube Kidsも利用可能な地域であれば使えます。許可した親または保護者は本契約の対象となり、子どもの行為に責任を負います。

規約違反と法律違反は何が違うのですか

規約違反はYouTubeとの契約上の問題で、動画の削除やチャンネルの停止につながります。法律違反は著作権法や刑法などの問題で、損害賠償や刑事罰の対象になります。規約に違反しても法律には触れない行為があり、逆に、規約上は問題なくても法律に触れる行為もあります。

まとめ:YouTube利用規約のトラブルは弁護士へ

YouTube利用規約は2023年6月1日発効の日本語版が現行で、コミュニティガイドラインと各種ポリシーを合わせた3つで1つの契約を構成します。規約本文が禁じるのは、ダウンロードや自動アクセス、数値の操作、有料での視聴提供といった使い方の制限です。

違反した場合の措置は段階制で、90日以内に違反警告が3回に達するとチャンネルが永久に削除される可能性があります。規約は定型約款として拘束力を持ち、準拠法はカリフォルニア州法、管轄はサンタクララ郡です。収益化の有無で、日本で争える余地が変わります。

違反警告を受けてチャンネルが制限された場合、企業チャンネルの運用ルールを整えたい場合、運用の委託契約を見直したい場合は、早い段階で弁護士に相談したほうが取れる選択肢が残ります。

当事務所による対策のご案内

モノリス法律事務所は、ITとインターネットに関する法律問題を中心に扱う法律事務所です。YouTuberやVTuberの顧問案件、企業のチャンネル運用に関する規約対応、違反警告やアカウント停止への対応、利用規約の作成とレビューを承っています。

弁護士 河瀬 季

モノリス法律事務所 代表弁護士。元ITエンジニア。IT企業経営の経験を経て、東証プライム上場企業からシードステージのベンチャーまで、100社以上の顧問弁護士、監査役等を務め、IT・ベンチャー・インターネット・YouTube法務などを中心に手がける。

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