マンションレビューの信憑性は?口コミによる風評被害対策について
「マンションレビュー」は、口コミなどを含めた不動産のさまざまな詳細情報が見られる情報提供サイトで、不動産を購入したり、借りたりする際にはとても参考になります。
その一方で、その内容に信憑性があるのか、気になる方も多いと思います。
また、不動産の所有者にとっては、誹謗中傷の口コミなどによって風評被害を受けると、その口コミを読んだユーザーが当該不動産の契約を渋ったりするなどの不利益が発生することもあります。
本記事では、マンションレビューの信憑性や、口コミなどによる風評被害の対策について解説します。
この記事の目次
マンションレビューとは?
マンションレビューとは、株式会社ワンノブアカインド (One of a kind inc.)が運営する、データ量と充実のコンテンツが強みのマンション情報提供サイトです。
全国のマンション・アパートの過去の販売価格や賃貸価格が見られるほか、対象となるマンションの現時点での適正価格もチェックできます。また、物件の口コミや概要、画像、地図情報なども確認できるので、物件をお探し中の方にも参照されています。
このサイトでは、物件を偏差値で評価しており、各地域内でのランキングの閲覧も可能です。物件所有者向けにも、売買や賃貸時の査定を無料で行ってくれます。
マンションレビューの評判
マンションレビューを利用している人からの評判はさまざまです。
- 「マンションの売却について、不動産会社に提示された金額と実際の資産価値にずれがあることが知れて良かった」
- 「マンション購入について、不動産会社に購入を焦らされるような発言をさせられ不安になっていたところ、マンションレビューのおかげで不動産会社からお得だと言われた物件が相場よりも高いことがわかった」
- 「ユーザーの口コミがリアルなので、購入判断に役立つ」
などの高評価が寄せられています。
購入と売却の双方に関して、情報源が不動産会社しかないという不安を持っていたところ、実態を知り、選択肢を広げるためにマンションレビューが役立ったという点が特に高く評価されているようです。
一方で、
- 「一括査定についてはHOME4Uに移動するといった表記がわかりにくい」
- 「売却予定のマンションの口コミが酷く、納得できない」
などの低評価も寄せられています。
マンションレビューの信憑性
マンションレビューは、ビックデータとAIで算出された数字による情報と、居住者の口コミによるリアルな情報により、数字と実態の双方に基づいた優れた情報が確認できるサービスです。
「ビックデータ×AI」によるデータは、販売情報や価格の変動履歴、不動産相場、景気など様々な角度からの情報をもとに算出され、過去10年分の蓄積された情報が将来価格を予測します。このような膨大かつ緻密なデータは不動産業界においても需要が高く、多くの企業から信頼を得ているようです。
豊富な情報から最善策を得られる点で利用者からも高く評価されているように、データの信憑性は高いと言えます。
ただし、居住者が投稿する口コミについては、個人的な意見や根拠のない憶測も含まれるため、信憑性が疑わしいものもあるでしょう。
マンションレビューで考えられる風評被害
マンションレビューにおける口コミの役割は、「不動産取引の際に参考となるマンション情報を提供すること」です。
しかしながら、物件に対する批判的な口コミが投稿されることがあります。口コミは投稿者の主観によるところが大きく、良い面だけでなく悪い面が含まれるのは致し方ありません。
もちろん、プライバシー侵害や特定の物件・人物への誹謗中傷までもが許容されているわけではありません。マンションレビューの「投稿マナー」では、以下のような投稿は不適切だと明記されています。
- マンション、人、地域、企業への攻撃、中傷、批判
- 事実かどうかわからない風評の書き込み
「住民の質が低いため夜中の騒音がひどい」という口コミ
例えば、「住民の質が低いため、夜中の騒音がひどい」と書き込まれた場合についてです。
この投稿は明らかに住民に対する批判に該当しますし、「住民の質が低い」と断言できる客観的な根拠を挙げるのは難しい内容です。個人の印象や捉え方によって内容が変わるものを断定的に述べることは、不当に住民を傷つけることになります。
その物件に住んでいる常識的な人までマナーの悪い人だと近隣住民などから思われる恐れもあり、こうした投稿は不適切だとされています。
「管理人や不動産管理会社の管理が行き届いていない」という口コミ
また、「管理人や不動産管理会社の管理が行き届いていない」といった口コミも、不動産管理会社や管理人への批判になり得ます。
「管理がなっていない」とまで言うのは、根拠のない憶測での批判になります。このような口コミは、管理会社への風評被害につながり、この投稿が原因で大きく社会的な信用を落とす恐れもあります。
マンションレビューの口コミを規約違反で削除する方法
誹謗中傷に当たる口コミを削除したい場合は、まずサイト側に削除申請を行いましょう。
マンションレビューのサイトのお問い合わせフォームから削除依頼を行う必要があります。
「4・投稿削除依頼について」を選び、必要事項を記入してください。
ただ、削除依頼をしたからといって、必ず削除してもらえるとは限りません。
サイト運営会社が確認を行い、削除の必要がないと判断した口コミは削除されません。
依頼のあった件に関して削除したかどうかの報告もなされませんので、依頼から一定期間経っても削除されず残っているのであれば、運営会社が削除の必要なしと判断したと考えざるを得ないでしょう。
削除依頼の際は、利用規約の禁止事項に該当することを伝えると、成功する確率が高まる可能性があると覚えておきましょう。
禁止行為
利用規約(抜粋)│マンションレビュー
当社は、本サービスにおいて、利用者が以下の事項に該当する、もしくはそのおそれがあると当社が判断した行為を行うことを禁止します。利用者が以下に掲げる事項を含むコメントを投稿したと当社が判断した場合は、当社の裁量により予告なく削除・編集を行うか、掲載をしないことがあります。なお、当社は、削除・編集をしたことについて、当該利用者に対して報告は致しません。
例えば、「この物件は壁が薄いから隣の声が聞こえてきて安心して住めない」といった書き込みについては、壁が薄いかどうか実際に測ってみて比較したわけではないでしょう。
事実に基づかない投稿といえ、「2.事実かどうか確認できない内容を本サービスに書き込む、または送信する行為」に該当する可能性が高いと思われます。
また、実際には外国人が住んでいないのに「外国人が多いのでゴミ出しのマナーがなっていない」といった口コミをしたのなら、シンプルに嘘の投稿として「1.事実と反する内容を本サービスに書き込む、または送信する行為」に抵触する可能性が高いです。
マンションレビューの口コミを裁判手続で削除請求する方法
マンションレビューの口コミが違法である場合は、名誉毀損を主張して削除請求するのが一般的です。
ただし、口コミで名誉毀損が成立するためには、不特定多数が閲覧できる環境で、相手の社会的信用を損なうような事実を指摘することが必要です。
この事実は嘘である必要があり、指摘されたことが真実である、真実だと信じるのに正当な理由があると認められる場合、名誉毀損は成立しません。
名誉毀損の成立要件に関しては、下記記事で詳しく解説しています。
関連記事:名誉毀損で訴える条件とは?認められる要件と慰謝料の相場を解説
例えば、「202号室の住人が別の部屋をのぞき見しているところを発見した」といった投稿の場合、軽犯罪法違反に該当するため、社会的信用を落とす口コミといえます。この事実が真実でなければ、名誉毀損が成立する可能性が非常に高いです。
仮処分による削除
裁判所を通じて違法による削除請求をする場合、仮処分の申し立てを行うのが一般的です。
仮処分とは裁判に比べて迅速・簡便な手続きであり、早ければ1か月程度で結論が出て、裁判所からサイト側に削除命令を出してくれます。
風評被害の拡大を防ぐには一刻も早く該当の口コミを削除する必要があるので、仮処分による迅速な対応を取るケースが増えています。
ただ、裁判を行わないとはいえ、どのような権利が侵害されているか、なぜ侵害されているといえるのかなど、法的な主張が必要です。こうした主張を法律の知識のない方が自力で行うのは難しいので、弁護士に依頼することをおすすめします。
仮処分による投稿者特定
あまりにも内容がひどすぎて実際に何らかの損害が生じている場合には、削除だけでは気持ちがおさまらずに投稿者に対して損害賠償請求をしたいと考えることもあるでしょう。
投稿者に対して損害賠償請求の訴訟提起を行うには、その相手方について氏名・住所が必要になります。
口コミの削除を請求するだけではなく、仮処分の手続きを用いることで、誹謗中傷の口コミ投稿者を特定することも可能です。
まず、サイト運営者に投稿者のIPアドレスを開示するよう求めます。
請求が認められ投稿者のIPアドレスを入手できたら、次はプロバイダに対して情報開示請求を行います。
プロバイダに対する情報開示請求が認められれば投稿者の氏名・住所情報が開示されるので、その後、投稿者に対して損害賠償請求の訴訟を提起することが可能となります。手続きの詳細については、以下の記事にて詳しく解説していますので、ご参照ください。
関連記事:発信者情報開示請求とは?やり方と注意点を弁護士が解説
悪質な口コミの投稿者に対して損害賠償請求するまでの流れ
発信者情報開示請求により投稿者が特定できれば、内容証明郵便の送付や訴訟を通じ、投稿者に対して損害賠償請求を行うことができます。
一般的には、投稿者の特定後も引き続き弁護士に依頼して、内容証明郵便の送付や訴訟の提起、訴訟手続きにおける期日対応を行います。
風評被害対策の業者に依頼する前に:違法な非弁業者に注意
風評被害対策を業者に依頼する場合、その業者の行為が違法な非弁活動に該当しないかどうかに注意する必要があります。
サイト管理者との交渉、削除仮処分においては、弁護士以外の誹謗中傷対策業者や司法書士が扱えない分野があり、違法な非弁活動に該当する恐れがあります。
また、いわゆる掲示板の埋め立てサービス(大量の書き込みをすることによって、古いスレッドが見られないようにすること)にも注意が必要です。
多くの無意味な投稿をするなどによる掲示板の埋め立て行為は業務妨害罪、埋め立ての指示は業務妨害罪の教唆罪にそれぞれ該当する恐れがあります。
まとめ:口コミによるトラブルは弁護士へご相談を
本記事では、マンションレビューの風評被害とその対処法について解説してきました。
令和4年10月からは、発信者情報開示請求の新制度も始まりました。下記の記事で解説していますので併せてご参照ください。
参考:令和4年10月1日開始の「発信者情報開示命令事件」を解説 投稿者特定が迅速化される
そして、誹謗中傷の口コミ削除には、インターネットについての知識がある専門家の力を借りることが必要不可欠です。ネットの誹謗中傷に強い弁護士への相談をおすすめします。
当事務所による対策のご案内
モノリス法律事務所は、IT、特にインターネットと法律の両面に高い専門性を有する法律事務所です。近年、ネット上に拡散された風評被害や誹謗中傷に関する情報を看過すると深刻な被害をもたらします。当事務所では風評被害や炎上対策を行うソリューション提供を行っております。下記記事にて詳細を記載しております。
モノリス法律事務所の取り扱い分野:上場企業等の風評被害対策
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