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法律記事MONOLITH LAW MAGAZINE

風評被害対策

マンションノートの口コミ・悪口を削除する方法

風評被害対策

マンションノートにおける風評被害対策とは?

マンションへの引越しを検討する際に、そのマンションの内部事情は非常に気になる点です。

内部情報は住人に知り合いがいれば情報を容易に得られます。しかし、情報収集が困難な場合、参考とされることが多いのが「マンションノート」という全国のマンションについての口コミを集めたWEBサイトです。

マンションノートには多くの口コミがあり、多岐に渡る生の情報を得られる反面、マンションの管理・運営を行う人にとっては、思いもよらない悪質な口コミや悪口などが投稿されて風評被害が発生する可能性もあります。

そこで本記事では、マンションノートに投稿された誹謗中傷の口コミ・悪口を削除する方法について解説します。

マンションノートとは

マンションノートとは
マンションノートの風評被害対策について解説します。

マンションノートとは、「日本最大級のマンション口コミサイト」と称して株式会社レンガにより運営されるWEBサイトです。

マンションノートには、全国にあるマンションについて入居者などによる詳細な口コミが投稿されており、口コミ件数は100万件以上にものぼります。

マンションノートでは、建物の管理状況、共用設備、住人の雰囲気、部屋、マンション周辺の買い物事情、子育て環境、病院、治安、自然環境など、細かく分かれた項目ごとに5点満点の評価と口コミが投稿されています。

多岐に渡る評価項目があるため、マンションノートに投稿される口コミは非常に具体的であり、入居者の生の声が反映されています。

マンションノートは多くの貴重な生の情報を入手でき、マンションへの入居を検討している人にとって役立つ情報が非常に多いといえるでしょう。

口コミ投稿から公開、閲覧までの仕組み

マンションノートに投稿された口コミを閲覧するためには、まずは口コミを投稿することが必要です。

さらに、マンションノートには限定口コミがあります。口コミ1文字につき1ポイントもらえるポイントを100ポイント貯めるたびに、口コミの対象としたマンションやエリアに関する非公開の限定口コミを閲覧できるようになる、という仕組みです。

上記のような仕組みになっているため、口コミを閲覧したいがために、1度も入居したことがないマンションについて憶測で事実と異なる口コミが投稿される可能性があるといえます。

他方で、マンションノートでは、投稿された口コミを運営者が一つ一つ目視でチェックしてから公開するため、明らかな誹謗中傷の口コミは公開されにくい仕組みにもなっています。

しかし、マンションノートは「世の中に完璧なマンションも、魅力が全くないマンションも存在しない。」との理念に基づき、口コミをする際には必ず「良い点」と「気になる点」の両方の投稿を求めていることを特徴としています。

そのため、上記のような仕組みでも、口コミによる風評被害が発生する可能性は依然として高いといえるでしょう。

マンションノートの口コミ・悪口を削除できる基準とは

マンションノートの口コミ・悪口を削除できる基準とは
マンションノートの口コミ・悪口を削除できる基準を解説します

前述した通り、マンションノートに投稿口コミは運営者が一つ一つ目視でチェックしているため、基本的に削除することは難しいです。

しかし、特定の条件に該当すれば口コミを削除することも可能です。ここではマンションノートの口コミ・悪口を削除できる基準について解説します。

口コミ投稿に関する禁止事項の利用規約違反

運営会社に口コミの削除依頼する場合、問題とする口コミがサイトの利用規約に違反することを理由として、当該口コミの削除を求める方法があります。そのために、まずはマンションノートの利用規約を確認することが重要です。

マンションノートの利用規約では、15条5項から7項および10項に口コミの投稿に関する禁止事項が定められています。

5.違法行為・犯罪的行為・重大な危険行為に結びつく行為またはこれらを助長する行為
6.当社、他の利用者、第三者の権利または利益を違法に侵害する行為またはそのおそれがある行為
7.他の利用者を含む他者を差別もしくは誹謗中傷し、または他者の名誉もしくは信用を毀損する行為
(略)
10.マンションノートの口コミ投稿に、当社が考える趣旨とは異なる、下記のような内容を書き込む行為
ⅰ.商業目的もしくはそれに準ずる目的と捉えることができる内容(但し、本利用規約で認められている一部限られた利用方法は除く)
ⅱ.個人が特定できてしまう恐れのある内容
ⅲ.公序良俗に反する内容
ⅳ.「特にありません」など、口コミの価値が低いと判断される可能性のある内容
ⅴ.意味の無い文字列の羅列など、価値が無いと判断される可能性のある内容
ⅵ.サクラを目的とした内容
ⅶ.その他当社が適切でないと判断した内容

マンションノート利用規約

マンションノートにおいては、利用規約上の禁止事項を具体化したものとして口コミ投稿ガイドラインが定められています。ガイドラインの項目をピックアップすると以下のとおりです。

【1】住まいを探す人にとって有益な情報になるよう心がけましょう

【2】節度のある表現、丁寧な言葉遣いを心掛けましょう

【3】良い点・気になる点の両方を必ずご記載ください

【4】虚偽、誹謗中傷、権利侵害を含む口コミのご投稿はお控えください

【5】個人特定ができる可能性がある口コミはご遠慮ください

【6】犯罪を助長するような口コミはご遠慮ください

【7】マンションオーナー様、仲介業者様、その他不動産関係者様が口コミを投稿する場合は、必ず立場を明示してください

【8】その他、以下のような不適切な表現はご遠慮ください

口コミ投稿ガイドライン

したがって、利用規約違反を理由として口コミの削除を求める際には、まずは口コミ投稿ガイドラインに反する口コミであるかを検討する必要があります。

ガイドライン違反に該当するか実際の口コミをもとに解説

では、どのような口コミがガイドライン違反に該当するのか、ここでは実際の口コミをもとに解説します。

外国人が多く入居しているためゴミ出しのマナーが悪いという口コミ

実際には外国人が入居していないにもかかわらず「マンションAは外国人が多く入居しているため、ゴミ出しのマナーが悪いようだ」という口コミが投稿された場合、マンションオーナーとしては口コミ投稿ガイドライン【4】における「虚偽」の口コミにあたると主張して削除請求をすることが考えられます。

ただし、マンションノートの運営者側としてはマンションの入居者の属性について事実関係を確認して真実であるかを判断することは困難です。したがって、単にマンションノートの口コミが虚偽であると主張するだけでなく、他の項目にも違反しないかを検討して削除請求を行うことが必要です。

上記の口コミについては、外国人はマナーが悪いという根拠のない差別意識に基づくものといえますので、マンションノートの口コミ投稿ガイドライン【4】における「誹謗中傷」にあたるという点もあわせて主張して削除請求をする必要があるでしょう。

駐車場から誰でも入れてしまうので安全性に疑問があるとの口コミ

マンションノートにセキュリティの脆弱性に関する口コミがあると、悪意をもった第三者が建物内に侵入するきっかけを与えることになります。

建造物侵入自体が犯罪ですが、それだけでなく侵入後に窃盗などにより重大な犯罪発生につながる危険性もあります。このため、口コミ投稿ガイドライン【6】の「犯罪を助長するような口コミ」にあたると主張して削除を求めることができます。

マンションノートの口コミ削除依頼はお問い合わせフォームから

マンションノートの悪質な口コミの削除方法を紹介します。

マンションノートの口コミの削除方法には、運営会社へ削除依頼をする方法と弁護士に依頼する方法の2つがあります。まずは、運営会社へ削除依頼する方法を紹介します。

運営者に直接口コミの削除を求めるためには、マンションノートのお問い合わせフォームから削除を求める口コミとその理由などを具体的に記載して送信します。

運営側の審査を通過しているため口コミの削除は難しい

上記で口コミの削除方法を記載しましたが、マンションノートのどの口コミも削除できるとは限りません。

マンションノートの口コミは事務局側の人が目視によって口コミの掲載審査を行っています。

問題がない口コミを掲載しているため、そのような厳格な審査を通過した口コミの削除を行うことは困難な場合があります。

投稿者に依頼しても削除できない可能性が高い

また、マンションノートでは、口コミの削除に関して以下のような規約があります。

マンションノートではご投稿いただく全ての口コミについて、ガイドラインに基づいた目視による審査を行い、「誹謗中傷の含まれる口コミ」や「公序良俗に反する口コミ」が掲載されないような運営を行っております。このため、サイトに掲載されている口コミは全て基本的にマンションノートの掲載基準を満たしたものであり、削除のご依頼があったとしても、原則としてはご依頼に応じかねますので、あらかじめご了承ください。

マンションノート:投稿した口コミを削除したい

このように、マンションノートの運営側は、原則として削除依頼に応じない旨を表明しているため、投稿者側も自主的な削除に応じてくれない可能性が高いといえるでしょう。

マンション情報も削除が出来ない可能性が高い

さらに、マンション情報の削除に関して以下の様な規約もあります。

マンションノートに掲載されているマンション情報は、削除のご依頼があったとしても、原則として削除は行っておりませんので、あらかじめご了承ください。
ただし、マンションの情報が事実と異なる事が明確に確認できた場合に関しては、修正させていただく可能性がございます。
このようなケースがございましたら、事実が客観的に証明できる資料などを添えて、お問い合わせフォームよりご連絡ください。

マンションノート:掲載されているマンションを削除してほしい

したがって、口コミの削除と同様に、マンション情報の削除にも応じてくれない可能性も高いといえます。

以上のように、運営会社に直接口コミの削除を依頼する方法もありますが、実際には、困難な場合も多いです。しかし、運営会社に直接依頼しても口コミの削除ができない場合であっても、弁護士であれば削除が可能な場合もあります。

弁護士に依頼してマンションノートの口コミ・悪口を削除する方法

 弁護士へ依頼してマンションノートの口コミ・悪口を削除する方法

弁護士から照会があると、運営側は大事だと思って削除してくれる可能性が高くなります。

そこで、弁護士による口コミ等の削除方法について解説します。

名誉毀損が成立するか検討

誹謗中傷の書き込みが違法となる場合の典型例は、名誉毀損です。

名誉毀損は、人の社会的評価を低下させる事実が書き込まれた場合に成立します。ただし、投稿された事実が真実である場合、または真実であると信じるべき正当な理由・根拠がある場合には名誉毀損は成立しません。名誉毀損の成立要件に関しては、下記記事にて詳細に解説しています。

参考記事:名誉毀損で訴える条件とは?認められる要件と慰謝料の相場を解説

例えば、マンションノートにおいて「〇〇号室のBという住人が他の入居者の郵便物をとっているところを目撃した」といった口コミが投稿された場合を想定します。

他人の郵便物を勝手にとることは窃盗罪にあたるため、この口コミは住人Bの社会的評価を低下させる事実を内容とするものといえます。したがって、口コミの内容が真実と異なる場合には、住人Bに対する名誉毀損が成立します。

口コミが違法となる場合、プロバイダ責任制限法に基づきサイト運営者やホスティングプロバイダに対して送信防止措置依頼を行うこともでき、これによって口コミが削除された場合と同じ結果を得ることができます。

ただし、あくまでもサイト運営者側の判断によって行うものであるため、直接問い合わせフォームから削除を求める場合と結果が変わらないことがあります。

仮処分による口コミの削除

このような場合には。裁判所を通じた仮処分手続きを申し立てることになります。仮処分は、簡略な裁判手続であり通常約1~2か月程度で結論が出ます。仮処分によって削除すべきとの結論が出れば、運営者は口コミを削除することになります。

投稿の削除を求める仮処分に関しては、下記記事にて詳細に解説しています。

参考記事:誹謗中傷対策において重要な「削除仮処分」とは

仮処分による投稿者特定

口コミを削除するだけではなく、投稿者に損害賠償請求などを行うことも可能です。損害賠償請求を行うためには発信者情報開示請求といわれる投稿者を特定するための手続が必要になります。

発信者情報開示請求においては、まずサイト運営者から問題となった口コミを特定するためのIPアドレスおよびタイムスタンプを開示してもらい、これらの情報を活用して投稿に利用されたインターネットサービスプロバイダを特定します。

そして、インターネットサービスプロバイダに対して、投稿者の個人情報を開示するよう請求することになります。発信者情報開示請求は、個人情報という秘匿性の高い情報のため、裁判手続を通してしか開示を受けられないことが通常です。

また、プロバイダが保有するログの保存期間が短いため、投稿者を特定したいのであれば問題の口コミを確認したらできるだけ早く手続を開始する必要があります。発信者情報開示請求に関しては、下記記事にて詳細に解説しています。

参考記事:発信者情報開示請求とは?やり方と注意点を弁護士が解説

まとめ:マンションノートの口コミを削除して風評被害を止めよう

仮処分による削除

マンションノートには、マンションに入居を検討する人向けの詳細な内部情報が投稿されています。したがって、マンションノートの口コミがマンションの選択に非常に重要な役割を果たすといえます。

特にマンションオーナーにとっては賃貸マンションの稼働率に直結することがあるため、問題のある投稿を見つけたら素早く弁護士といった専門家に相談して削除することが必要です。

特に、ネット上の誹謗中傷や風評被害への対策はITに関する専門的な知識が必要となるため、この分野について経験豊富な弁護士に相談して削除を行うことを推奨いたします。

当事務所による対策のご案内

モノリス法律事務所は、IT、特にインターネットと法律の両面に高い専門性を有する法律事務所です。近年、ネット上に拡散された風評被害や誹謗中傷に関する情報は上場企業等に深刻な被害をもたらしています。ITと法律両面のスペシャリストとして、企業における立場を理解し、企業の風評対策をサポートすることが可能です。詳細な情報は、下記記事をご参照ください。

モノリス法律事務所の取扱分野:上場企業等の風評被害対策

弁護士 河瀬 季

モノリス法律事務所 代表弁護士。元ITエンジニア。IT企業経営の経験を経て、東証プライム上場企業からシードステージのベンチャーまで、100社以上の顧問弁護士、監査役等を務め、IT・ベンチャー・インターネット・YouTube法務などを中心に手がける。

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