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法律記事MONOLITH LAW MAGAZINE

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効果に根拠のない商品を販売するリスクとは?育毛剤の事例を元に景品表示法について解説

2021年9月、消費者庁は「BUBKA ZERO」という育毛剤に関する表示が景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)違反に当たるとして、販売会社の株式会社T.Sコーポレーションに対し課徴金1747万円の支払いを命じました。

本記事では、この「BUBKA ZERO」に関する事例をもとに、効果に合理的な根拠がない商品を効果があると謳って販売するリスクについて解説します。

「BUBKA ZERO」に関する一連の経緯

「BUBKA ZERO」という育毛剤は、短期間で効果が出るかのような宣伝をして売られていましたが、消費者庁はその効果に合理的な根拠があるとは認められないと判断し、措置命令や課徴金納付命令を出しました。

問題となった表示の概要

合理的な根拠がないにもかかわらず、短期間で効果が出るかのような表示をアフィリエイトサイト上で行ったことが景品表示法上の優良誤認表示にあたるとされました。具体的には、下記の表示が問題となりました。

「『有名大学がマウス実験で実証』医療関係者も勧める『90%がフサフサになった育毛剤』がヤバイ!」、毛髪が薄い頭頂部の画像及び毛髪が濃い頭頂部の画像を矢印で結んだ画像と共に、「悩んでいたのがウソのように、たった2ヶ月で髪がフサフサになったんです!!!今ではもう頭皮が見えないくらい生えるので、理髪店に行っても『髪の量多いですね~』と言われるように(笑)抜け毛が嫌だったシャンプーもガシガシ洗えるし、まるで20代に戻ったみたいです。」

令和3年3月3日付消費者庁ニュースリリース「株式会社T.Sコーポレーションに対する景品表示法に基づく措置命令について」

こうした表示には「※イメージです」及び「※個人の感想です」といった文言を添えてありましたが、「当該表示は、一般消費者が上記の表示から受ける本件商品の効果に関する認識を打ち消すものではない」と判断されました。

措置命令

2021年3月、消費者庁は「BUBKA ZERO」の販売会社である株式会社T.Sコーポレーションに対し、以下の措置命令を出しました。

  • 表示が実際のものよりも著しく優良であると示すものであり、景品表示法に違反するものである旨を一般消費者に周知徹底すること
  • 再発防止策を講じて、これを役員に周知徹底すること
  • 今後、表示の裏付けとなる合理的な根拠をあらかじめ有することなく、今回違反とされた表示と同様の表示を行わないこと

課徴金納付命令

2021年9月には、株式会社T.Sコーポレーションに対し、1747万円の課徴金納付命令が出されました。景品表示法第8条第1項但し書きには課徴金納付命令を免れる規定があります。その条件とは「当該事業者が当該課徴金対象行為をした期間を通じて当該課徴金対象行為に係る表示が優良誤認表示や有利誤認表示に該当することを知らず、かつ、知らないことにつき相当の注意を怠った者でないと認められるとき、又はその額が150万円未満であるとき」はです。しかし、「T.Sコーポレーションは、表示の裏付けとなる根拠資料を十分に確認することなく、課徴金対象行為をしていた」とされ、この但し書きには該当しないものとされました。

景品表示法とは

景品表示法とは、

商品及び役務の取引に関連する不当な景品類及び表示による顧客の誘引を防止するため、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれのある行為の制限及び禁止について定めることにより、一般消費者の利益を保護することを目的

景品表示法第1条

として制定された法律です。不当な景品や広告等によって、一般消費者が効果のない商品を購入する等して不利益を被ることがないよう、不当表示の禁止や景品類の制限及び禁止が定められています。

景品表示法の二重価格表示については、以下の記事をご参照ください。

不当表示の種類

景品表示法では、

  • 優良誤認表示
  • 有利誤認表示
  • その他消費者に誤認されるおそれがある表示

の3つが不当表示として定められています。

このうち、上記「BUBKA ZERO」の事例のように、効果に根拠がないにもかかわらず効果があるかのように表示して販売することは「優良誤認表示」にあたります。

優良誤認表示とは、「商品・サービスの品質、規格その他の内容についての不当表示」で、

  • 実際のものよりも著しく優れているかのような表示
  • 実際はそうではないにもかかわらず、競合他社の商品よりも著しく優れているかのような表示

を指します。

具体的には、

  • 合理的な根拠がないにもかかわらず、「塗るだけでシミが消える!」と表示
  • 実際は競合事業者も使用している部品にもかかわらず、「この部品を使っているのは当社のこの商品だけ」と表示

する等が優良誤認表示にあたります。

優良誤認表示を行った場合の罰則

表示が優良誤認表示にあたり、景品表示法違反とされた場合、

  • 一般消費者へ当該表示が優良誤認表示にあたる旨を周知徹底すること
  • 再発防止策を講じること
  • 今後同じような違反行為を行わないこと

等を内容とした措置命令が出されます。

措置命令に違反した場合は、2年以下の懲役または300万円以下の罰金が科されます。また、法人等の事業者には3億円以下の罰金刑が科されるだけでなく、法人の代表者について 300万円以下の罰金が科されることもあります。

また、課徴金納付命令が出されます。課徴金の額は、課徴金対象期間(上限3年)における、不当表示をした商品・サービスの売上額に3%を乗じた金額です。この売上額は、原則として、不当表示をして課徴金対象期間に販売された商品やサービスの対価を合計する方法によって算定されます。

課徴金納付命令は、前述のように、以下の場合には出されません。

  • 課徴金対象行為をした期間を通じて、著しく優良または有利であると示す表示であることを知らず、かつ、知らないことにつき 相当の注意を怠った者でないと認められる場合
  • 算定額が150万円未満の場合
  • 返金措置を実施し減額後の課徴金額が1万円未満となる場合

消費者庁は、優良誤認表示である疑いがある場合には、表示の裏付けとなる合理的根拠を示す資料の提出を求めることができますが、資料の提出がない場合や資料が合理的な根拠を示すものと認められない場合には、その表示は措置命令との関係では優良誤認表示とみなされ、課徴金納付命令との関係では優良誤認表示と推定され、措置命令や課徴金納付命令の対象となります。

まとめ

広告では、商品を売りたいがためにどうしても大げさな表現を使いたくなってしまうこともあるかもしれませんが、合理的根拠のない効果を謳って商品を販売することは景品表示法違反にあたります。景品表示法に違反した場合、消費者庁から措置命令や課徴金納付命令が出されることがあります。企業としての信用を損なうだけでなく、経済的な損失も発生します。

どのような表示が不当表示にあたるのかは、判断が難しいものもあるでしょう。知らず知らずのうちに違反してしまうことのないよう、広告を作る際には広告関連の法律に詳しい弁護士へ相談しながら進めるのが安心です。

本記事では、景品表示法の優良誤認表示について解説しましたが、商品の種類等によっては、他の法律の規制を受ける場合もあります。誇大広告の事例と罰則については、以下の記事をご参照ください。

当事務所による対策のご案内

モノリス法律事務所は、IT、特にインターネットと法律の両面に高い専門性を有する法律事務所です。近年、ネット広告をめぐる優良誤認などの景品表示法違反は大きな問題となっており、リーガルチェックの必要性はますます増加しています。当事務所は様々な法律の規制を踏まえた上で、現に開始したビジネス、開始しようとしたビジネスに関する法的リスクを分析し、可能な限りビジネスを止めることなく適法化を図ります。下記記事にて詳細を記載しております。

弁護士 河瀬 季

モノリス法律事務所 代表弁護士。元ITエンジニア。IT企業経営の経験を経て、東証プライム上場企業からシードステージのベンチャーまで、100社以上の顧問弁護士、監査役等を務め、IT・ベンチャー・インターネット・YouTube法務などを中心に手がける。

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