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法律記事MONOLITH LAW MAGAZINE

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eスポーツ施設と風営法 どのような場合に風営法違反になるのか

近年のeスポーツ人気の高まりに伴い、気軽に立ち寄ってeスポーツを楽しむことができる施設が増加しています。

当たり前ですが、eスポーツの施設では、ゲームをプレイします。では、eスポーツ施設とゲームセンターにはどのような違いがあるのでしょうか。

本記事では、eスポーツ施設の経営者や利用者を対象に、eスポーツ施設が、どのような場合に、風営法による規制を受けるのかについて、説明をします。

eスポーツとは

eスポーツ(esports)とは、ビデオゲームやコンピュータゲームをスポーツ競技として捉えた呼称のことをいいます。

eスポーツの「e」は、エレクトロニックスポーツ(electronic sports)の頭文字である「e」を取ったものです。

eスポーツ施設とはどのような施設か

eスポーツに関する施設と一概にいっても、その内容は、様々で、これらを分類すると以下のように分類することができます。

eスポーツを観戦する施設

eスポーツ施設の一つの分類として、eスポーツの選手のプレイを観戦する施設があります。

例えば、eスポーツの大会が開催され、それを観戦する施設が考えられます。こうした施設は、eスポーツアリーナと呼ばれることもあります。

都内では、池袋にあるLFS(ルフス)が有名です。

LFSは、2018年4月15日に誕生したeスポーツ施設で、実際にeスポーツをプレイすることもできますが、プレイを観戦する施設でもあります。

eスポーツを練習する施設

他のeスポーツ施設の分類として、プロゲーマーやプロゲーマーを目指す人が、eスポーツを練習する施設があります。

最近では、プロゲーマーやプロゲーマーを目指す人専用のシェアハウスであるゲーミングハウスという施設も登場しています。

eスポーツを気軽にプレイする施設

他の分類としては、一般の人が気軽にeスポーツをプレイする施設があります。

ゲームセンターの場合、オンラインでプレイできるものもあります。ただ、オフラインゲームやUFOキャッチャーやプリント倶楽部など、eスポーツの範疇ではないゲームの筐体も置かれています。eスポーツの施設の方がよりオンラインの要素が強く、また、ゲーミングPCを用いて、世界規模でゲームをプレイすることができます。

eスポーツ施設に関係する法律

eスポーツは、ゲームという関係上、映像の使用を伴うことになりますので、著作権法が関係します。

また、eスポーツの大会では、上位のチームに賞金や商品が贈呈されるものがあります。

eスポーツの勝ち負けにより、賞金や商品の獲得が決まるため、刑法の賭博罪(刑法第186条)との関係も問題となります。

eスポーツの大会の中には、ゲームメーカーが主催者やスポンサーとなり、大会が開催されるケースがあります。

このようなゲームメーカーが主催者やスポンサーとしてeスポーツの大会に関与しているケースでは、大会がゲームを購入させるための手段として利用される場合もあり、不当景品類及び不当表示防止法との関係も問題となります。

このように、eスポーツ施設は、様々な法律との関係が問題となりますが、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(以下「風営法」といいます。)との関係が問題となるケースも多いです。

そこで、本記事では、以下で、風営法との関係を説明します。

風営法とは

風営法がどのようなことを目的として制定された法律であるかについては、以下の第1条で規定されています。

第一条 この法律は、善良の風俗と清浄な風俗環境を保持し、及び少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するため、風俗営業及び性風俗関連特殊営業等について、営業時間、営業区域等を制限し、及び年少者をこれらの営業所に立ち入らせること等を規制するとともに、風俗営業の健全化に資するため、その業務の適正化を促進する等の措置を講ずることを目的とする。

風営法は、簡単にいえば、風俗営業等について、営業時間、営業場所、入場規制等を規定することにより、善良な風俗と清浄な風俗環境及び少年の健全な育成の実現を目指す法律です。

風営法の規制を受ける施設はどのような施設か

風営法による規制を受ける施設に該当する場合、施設を営業するためには、「当該営業所の所在地を管轄する都道府県公安委員会(以下「公安委員会」という。)の許可を受けなければならない。」とされています。

そして、風営法第2条第1項各号では、以下の営業態様が風俗営業に該当するとされていますが、eスポーツ施設との兼ね合いで問題になりそうなのが、風営法第2条第1項第5号に定められた以下の要件です。

第5号に該当するか否かを判断する基準

①店舗その他これに類する区画された施設に、スロットマシン、テレビゲーム機その他の遊技設備で本来の用途以外の用途として射幸心をそそるおそれのある遊技に用いることができる遊技設備が存在すること

②遊技設備により客に遊技させる営業を行っていること

テレビゲーム機とは

eスポーツ施設の場合、利用者にゲームをプレイさせることとなるため、「テレビゲーム機」の意義を明らかにする必要があります。

この点、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則第3条第2号では、テレビゲーム機について、以下のように規定されています。

二 テレビゲーム機(勝敗を争うことを目的とする遊技をさせる機能を有するもの又は遊技の結果が数字、文字その他の記号によりブラウン管、液晶等の表示装置上に表示される機能を有するものに限るものとし、射幸心をそそるおそれがある遊技の用に供されないことが明らかであるものを除く。)

上記のテレビゲーム機の定義から考えれば、ほとんどのeスポーツ施設が、風営法の規制を受け、営業の許可を受ける必要があると考えられます。

ただ、実際には、風営法による許可を受けることなく営業を行っているeスポーツ施設も存在しますが、これは、以下のような事情が、根拠となっているものと考えられます。

風営法による規制の対象とならない可能性があるeスポーツ施設

eスポーツ施設の中には、営業形態によって、風営法による規制の対象とならないと考える余地がある施設があります。

そこで、以下では、風営法による規制の対象とならないと考える余地がある施設を紹介します。

テレビゲーム機をプレイする場所を提供する施設

風営法による規制を受けない施設であると考えるためには、前述の①及び②の要件に該当しない施設であるといえる必要があります。

そのため、テレビゲーム機をプレイする場所のみを提供する施設であれば、前述の②の要件に該当しない可能性があります。

例えば、スマホゲームや携帯型のゲームを、各利用者が持参し、その施設内でプレイするような施設では、②遊技設備により客に遊技させる営業を行っていると評価することまではできないとも考えられます。

インターネットカフェとして営業される施設

パソコンでプレイするゲームについては、パソコンが存在していればプレイすることができます。

そうすると、立て付けとしては、eスポーツをプレイする施設として営業を行っているのではなく、単なるインターネットカフェとして営業を行っていれば、風営法による規制を受けない可能性があります。

ただ、例えば、形式上はインターネットカフェであるとの建前をとっていても、実質的に、ゲーミングPCのみ設置されているなど、ゲームをプレイすることに特化していると評価できるような施設では、風営法による規制が及ぶ可能性があります。

1回限りの催しとしてeスポーツの大会を開催する場合

eスポーツ施設が風営法の規制を受けるためには、当該施設が、遊技設備により客に遊技させる営業を行っているといえる必要があります。

営業については、警察庁が公表している「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律等の解釈運用基準について」で、「財産上の利益を得る目的で、同様の行為を反復継続して行うことを指す。」定義されており、例えば、1回限りの催しとしてeスポーツ大会を開催するために設置した仮設施設等は、風営法の規制を受けない可能性があります。

風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律等の解釈運用基準について(通達)

まとめ

以上、eスポーツ施設の経営者や利用者を対象に、eスポーツ施設が、どのような場合であれば、風営法による規制を受けるのかについて、説明をしました。

eスポーツと風営法の関係については、実務上、明確になっていない部分もありますので、eスポーツ施設の運営を行っている又は行おうとしている方は、専門の知識を有する弁護士に相談をすることをオススメします。

当事務所による対策のご案内

モノリス法律事務所は、IT、特にインターネットと法律の両面に高い専門性を有する法律事務所です。

eスポーツ施設を営業するには風営法を始め、多くの法律に違反していないかが重要です。当事務所では、東証プライム上場企業からベンチャー企業まで、リーガルチェックを承っております。もし自社の事業の適法性について疑問点があれば、下記記事をご参照ください。

弁護士 河瀬 季

モノリス法律事務所 代表弁護士。元ITエンジニア。IT企業経営の経験を経て、東証プライム上場企業からシードステージのベンチャーまで、100社以上の顧問弁護士、監査役等を務め、IT・ベンチャー・インターネット・YouTube法務などを中心に手がける。

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