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法律記事MONOLITH LAW MAGAZINE

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高額すぎるキャッシュバック(ポイント還元)はなぜ違法なのか

LINE Pay、PayPayなどのスマホ決済サービスやクレジットカードなどのキャッシュレス決済サービスでは、期間限定のキャッシュバック(ポイント還元)キャンペーンが行われていることがありますが、こうしたキャンペーンは、気を付けないと違法になってしまう可能性があります

本記事では、キャッシュバック(ポイント還元)キャンペーンをご検討中の企業の方向けに、キャッシュバックやポイント還元が違法になるのはどのような場合かについて解説します。

キャッシュバック(ポイント還元)は何%から違法になるのか

キャッシュバック(ポイント還元)キャンペーンは、景品表示法の規制対象となりえます

景品表示法とは

景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)は、不当表示の禁止や景品類の制限・禁止により、消費者が商品やサービスを自主的かつ合理的に選べるようにして、消費者の利益を保護することを目的としています。つまり、消費者が不当な表示や過大な景品に目を奪われて、あまり質の良くない商品やサービスを選んでしまうことを防いでいるのです。

なお、景品表示法で、「通常価格から半額!」などの謳い文句が過激な場合、法律の規制を受けてしまう二重価格表示については、下記の記事で詳しく解説しております。

ポイント還元は景品表示法の規制対象なのか

景表法ガイドラインには、規制対象となるポイントの種類が定められています。LINE PayやPay Payなどのポイントは、「支払の一部にのみ使える&他店でも利用可能なポイント」にあたるため、景品表示法の規制対象となることがわかります。

景品・金品などに交換できるポイント ⇒ 規制対象

支払の一部にのみ使える&他店でも利用可能なポイント ⇒ 規制対象

支払の一部にのみ使える&自店のみで利用可能 ⇒ 割引なので対象外

景表法ガイドライン

景品表示法に定められた上限パーセンテージ

サービス利用者に提供されるキャッシュバック(ポイント還元)キャンペーンは、「総付景品」にあたり、総付景品の限度額は以下の表の通りです。

総付景品の限度額

取引価額 景品類の最高額
1,000円未満 200円
1,000円以上 取引価額の10分の2

取引価額が1,000円以上の場合は、取引価額の20%がポイント還元の上限額となります。LINE PayやPayPayなどで行われていたポイント還元キャンペーンは、この上限額に則って還元率が20%となっていたのです。

一般懸賞における景品類の限度額

なお、LINE Payの「もらえるくじ」、「送金Max20倍キャンペーン」やPayPayの「やたら当たるくじ」は「一般懸賞」にあたります。

景品表示法では、一般懸賞における景品類の限度額は以下の通りと定められています。LINE Payの「送金Max20倍キャンペーン」やPayPayの「やたら当たるくじ」は、下記の規定に基づき、上限額が10万円に設定されていたものと思われます。

消費者庁ホームページ「景品規制の概要」

なお、この話は、eスポーツ大会など、企業がリリースする商品(例えばゲーム)と関連する「賞金」にも一定程度関わる話です。eスポーツ大会の賞金額規制に関しては、下記記事にて詳細に解説しています。

キャッシュバック(ポイント還元)キャンペーンが景品表示法違反となった事例

2020年3月、消費者庁は、イオン銀行に対し、同社のクレジットカードまたはデビットカードに係る役務の表示について、景品表示法に違反する行為があったとして、措置命令を行いました。対象となったのは、「(新規ご入会者限定)最大20%キャッシュバックキャンペーン」です。

このキャンペーンでは、入会期間中にクレジットカードに新規入会し、キャンペーンに応募した上で利用期間中にカードを利用した場合、キャッシュバックの上限金額を合計10万円として、該当代金の最大20%相当額のキャッシュバックを受けられるかのように表示していました。実際は、例外条件が記載されており、キャッシュバックを受けられない場合があったとのことです。

消費者庁は、

「取引条件について、実際のものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示であり、景品表示法に違反するものである旨を一般消費者に周知徹底すること」「再発防止策を講じて、これを役員及び従業員に周知徹底すること」「今後、同様の表示を行わないこと」

を命令しました。


株式会社イオン銀行に対する景品表示法に基づく措置命令について

この事例では、キャッシュバックのパーセンテージに問題があったわけではありませんが、例外条件があり、キャッシュバックを受けることができないケースがあったことが問題視されました

また、ポイントなどのキャッシュバックではなく、口コミやレビューなどの投稿によって報酬を支払う場合についての法的リスクについては、下記記事にて詳しく解説しております。

まとめ

キャッシュバック(ポイント還元)キャンペーンを組む際には、そのポイントが景品表示法上の「景品」にあたるかどうかやポイントの還元方法が「景品」のうちのどの分類になるかなどによって上限額等が変わってきますので、十分に検討を加える必要があります。

また、消費者に誤解を与えるような表現を避けることも大切です。判断が難しい部分もありますので、ご不安な場合は景品表示法に関する事例を多く扱う弁護士へ相談するのがおすすめです。

弁護士 河瀬 季

モノリス法律事務所 代表弁護士。元ITエンジニア。IT企業経営の経験を経て、東証プライム上場企業からシードステージのベンチャーまで、100社以上の顧問弁護士、監査役等を務め、IT・ベンチャー・インターネット・YouTube法務などを中心に手がける。

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