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法律記事MONOLITH LAW MAGAZINE

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国際仲裁とは何か?紛争に巻き込まれた際に知っておくべきことを解説

人物

国際仲裁は、国際的な紛争や問題を解決するための手段として広く利用されています。国際仲裁の知識を深めることは、私たちが国際的なコミュニケーションを円滑に進め、世界各地で起こり得るさまざまな問題を解決する上で有益です。

この記事では、紛争時におさえておくべき国際仲裁手続きの要点やメリットについて、分かりやすく説明します。

国際仲裁とは

地球儀

国際仲裁とは、国際的な紛争を解決するADR(裁判外紛争解決手続)の一つです。

国際的な取引等をめぐる紛争が発生した場合、その紛争は裁判所ではなく独立した仲裁裁判所で解決されるケースが多くあります。仲裁所とは紛争解決を目的とする機関であり、当事者が選んだ仲裁人によって裁判が行われます。仲裁は国際法や関連する契約に基づいて行われ、国際的に認められることが特徴です。

当事者は仲裁人を合意のもとに選定し、専門性や当事者双方の信頼性を確保します。仲裁所は公正で中立な立場をとり、当事者の意見や国籍に左右されずに判断することが求められます。

異なる法体系や文化を考慮しながら、公正かつ効果的に紛争を解決するために、ビジネスや国際関係の分野で広く利用されるのが国際仲裁です。

国際商事仲裁について

紙幣

国際商事仲裁とは、異なる国や地域に拠点を置く企業が商業上の紛争を解決するための紛争解決手続きです。

通常、国際商事仲裁は独立した仲裁所で行われます。仲裁所では、ビジネスのプロフェッショナルであり、商事に関する知識や経験が豊富な仲裁人が任命されています。

国際商事仲裁は、国際ビジネスにおいて異なる法的文化や言語の壁を超え、公正かつ迅速な判決を得るために必要とされるものです。

当事者は、契約書の仲裁条項をもとにどの機関を指定するか検討することが可能です。仲裁条項とは、当事者が仲裁による紛争解決に合意する法的な規定を指します。

以下は、代表的な国際商事仲裁機関の例です。

機関の名称本部の所在地特徴
国際商業会議所仲裁裁判所(ICC)フランス、パリ世界的に広く利用されている。ICC仲裁ルールは、国際商事仲裁における標準的な手続きに関する一般的な原則を規定している。
国際センター for 仲裁(ICSID)アメリカ、ワシントンD.C.国際的な投資紛争に特化した仲裁機関。国際連合の一機関であり、多国籍企業と国々の紛争を解決する役割を果たしている。
ロンドン国際仲裁裁判所 (LCIA)イギリス、ロンドン商事仲裁に特化した機関であり、柔軟性と専門性が強調されている。ロンドンが国際的な商業取引の中心地の一つであるため、多くの国際的な紛争がLCIAで処理される。
香港国際仲裁センター(HKIAC)香港アジア太平洋地域における商事仲裁の中心的な機関。アジア地域での商業取引の増加に伴い、HKIACの重要性も高まっている。

これらの仲裁機関は、国際的な商事紛争を効果的かつ公正に解決するためのさまざまなサービスを提供しています。詳細は、各センターのWebサイトでご確認ください。

国際商事仲裁のメリット

ビジネスマン

国際商事仲裁のメリットは以下の通りです。

  • 専門家による手続きが迅速
  • 中立性を確保できる
  • 国際的なインフラが整備されている

国際商事仲裁は、商事紛争を迅速かつ効率的に解決し、その結果を確実に実行するための手段として有効です。また、商事の秘密を保護するための手段としても有効です。以下でそれぞれの項目について詳しく解説します。

専門家による迅速な手続き

国際商事仲裁のメリットの一つに、手続きが迅速である点が挙げられます。

紛争の解決において、専門的な仲裁人が迅速で効率的な判断を行い、仲裁裁判所が効果的に管理することで手続きの遅延を最小限に抑えられます。

仲裁判決は国際的に認められるので、終結後は迅速な実務への移行が可能です。準拠法となる法律や、一般には知られていない国際商慣習の適用について信頼性の高い判断を仰げることもメリットと言えます。

加えて、当事者間の円滑なコミュニケーションを支える通訳や翻訳のサポートを受ければ、さらなる効率化が可能です。

中立性を確保できる

国籍等に配慮した適切な仲裁人の選定により、中立性を確保できることも、国際商事仲裁のメリットです。

国際商事仲裁は、中立な仲裁人を選定する仕組みが整っています。当事者は仲裁人を共同して選定し、その際には当事者の国籍や文化背景、関与する国々とのつながりの考慮が可能です。

このようなプロセスにより、紛争解決に関わる仲裁人にはは公正で中立な判断が期待でき、双方の当事者にとって公平な環境が構築されます。公平性と中立性のある仲裁判決は他国の裁判所も信頼し、手続きを進めやすくなることが利点です。

国際的なインフラが整備されている

国際商事仲裁には、仲裁判断の国際的な通用性を確保するための取り決めとして「外国仲裁判断の承認及び執行に関する条約」(通称「ニューヨーク条約」)があり、仲裁合意の尊重や仲裁判断の承認および執行について、国際的なインフラが整備されています。

これにより、異なる国々で発生した商事紛争に対しても、効率的かつ信頼性の高い解決手段が提供されます。これは、国際的なビジネス取引において、安定性と予測可能性を向上させる観点から重要なポイントです。

日本における国際仲裁手続

執筆中

日本における国際仲裁手続には、主に「日本商事仲裁協会(JCAA)」が関与します。JCAAは東京を拠点に国際仲裁を主導し、仲裁手続の公正かつ中立的な進行を確保する機関です。国際仲裁においては当事者が仲裁人を選定でき、経験豊富で専門的な知識を持つ仲裁人が紛争解決にあたります。

日本の国際仲裁手続は、国際的な法的基準に則りつつも、日本の法的文化や商習慣を尊重します。柔軟な手続きができ、当事者のニーズに合わせた対応が可能な点も特徴的です。

また、JCAAは英語での手続きのサポートで、国際的な環境における円滑な紛争解決を可能にしています。

国際仲裁・国際調停の活性化に向けた取り組み

コンサルティング

国際仲裁の活性化に向けた主な取り組みは、以下の2つです。

  • 外弁法・仲裁法の改正
  • 特別措置法の改正案成立

以下でそれぞれの項目について詳しく解説します。

外弁法・仲裁法の改正

国際仲裁の活性化を目指す取り組みとして、外弁法(外国認証法)・仲裁法の改正が挙げられます。

外弁法や仲裁法が改正されると、手続きの合理化や法的な障壁の低減につながることがあります。また、国際的な法的枠組みや、条約との整合性を確保するための対応が改正に含まれることもあるでしょう。

これらの改正は、国際仲裁の利用を奨励し、その効率性や信頼性を向上させることを目的としています。改正が国際的な標準や要件に合うように調整されることで、紛争の解決を円滑かつ効果的に進められることが期待できます。

特別措置法の改正

2020年5月に「外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法(外弁法)」が改正されました。外国弁護士による法律事務の取扱いが一部緩和され、これまでよりも広範な法的業務が外国弁護士によって取り扱えるようになっています。

例えば、以前よりも広範な法的紛争に関与できるようになり、外国弁護士が日本で法的業務を行うために必要な登録手続きが簡略化されました。

外国弁護士が日本でより活発に法的業務を行えるようになることで、国際仲裁においても柔軟かつ効果的な対応が期待できます。

まとめ:国際仲裁手続きは弁護士にご相談を

弁護士

国際仲裁は、異なる法体系や文化を考慮しながら、公正かつ効果的に紛争を解決する手段です。また、商業上の紛争を解決するための手段として国際商事仲裁があります。

国際商事仲裁は、手続きがスムーズで承認・執行が容易であること、そして守秘義務を課すことができることなどがメリットです。

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モノリス法律事務所は、IT、特にインターネットと法律の両面に豊富な経験を有する法律事務所です。近年、グローバルビジネスはますます拡大しており、専門家によるリーガルチェックの必要性はますます増加しています。当事務所では国際法務に関するソリューション提供を行っております。

モノリス法律事務所の取扱分野:国際法務・海外事業

弁護士 河瀬 季

モノリス法律事務所 代表弁護士。元ITエンジニア。IT企業経営の経験を経て、東証プライム上場企業からシードステージのベンチャーまで、100社以上の顧問弁護士、監査役等を務め、IT・ベンチャー・インターネット・YouTube法務などを中心に手がける。

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