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【速報】「ゆっくり実況」商標騒動の顛末 ドワンゴが拒絶理由通知を公開

【速報】「ゆっくり実況」商標騒動の顛末 ドワンゴが拒絶理由通知を公開

2022年、第三者が「東方Project」に関する二次創作動画のカテゴリーとして生まれた「ゆっくり茶番劇」の商標登録を出願し、正式に登録されるという騒動がありました。

2023年2月16日、ドワンゴは「ゆっくり実況」などの商標登録出願に対する拒絶理由通知を公開し、「よろこばしい進捗」とコメントしました。いったい何が起こっていたのでしょう。

ここでは、ドワンゴの公式見解と報道から、この経緯を解説します。

「ゆっくり実況」をめぐる商標の経緯

「ゆっくり実況」とは、音声合成ソフト「棒読みちゃん」などを使って、キャラクターの声を作り出し、動画やラジオなどで実況や解説を行うジャンルのことです。ニコニコ動画などで人気が高まり、多くのクリエイターやファンが参加しています。

しかし、このゆっくり実況にも商標問題が発生しました。2022年6月には、「ゆっくり茶番劇」という文字商標が個人によって登録されたことが判明しました。この登録は、ドワンゴやニコニコ動画の利用者から強い反発を受けました。ドワンゴは、「当該商標登録は不正であり、無効であるべきものである」として、特許庁に対して異議申立てや無効審判請求を行いました。

ドワンゴが「ゆっくり実況」等の文字商標を出願

ドワンゴが「ゆっくり実況」等の文字商標を出願

さらに、ドワンゴは、2022年5月24日に「ゆっくり実況」「ゆっくり解説」「ゆっくり劇場」の3件の商標について特許庁に商標登録を出願していたことを明らかにしました。

この出願は、さらなるゆっくり関連の商標独占防止を目的として行ったとのことです。

弊社は、そもそも「ゆっくり○○」は動画のジャンルやカテゴリー、動画の内容を示す表示として広く一般に使用されており、特定の企業や個人が独占すべき文字列ではない、と考えます。

ニコニコ公式Twitterより引用

ドワンゴが拒絶理由通知を公開して「喜ばしい進捗」と歓迎

2023年2月15日付けの公開商標公報で、特許庁がこれら3つの文字商標登録を拒絶したことがわかりました。これを受けて、翌2月16日、ドワンゴはこれらの拒絶理由通知書を公開し、見解を発表しました。

「拒絶理由通知」とは、特許庁が商標登録出願に対して、登録できない理由を書面で通知することです。

特許庁は、「広く使用されており、多数の者により動画が作成・配信されている実情が見受けられ」ることなどの理由を挙げています。

この結果に対して、ドワンゴは「喜ばしい進捗」として受け止めており、「弊社の見解とおおむね一致している」とコメントしています。ドワンゴは、「当該文字列(『 ゆっくり 』)自体がインターネット上では一般的な用語又は表現であり、他人が使用する可能性も高いことから『 ゆっくり 』関連文字列自体についても弊社では商標登録しない方針です」と述べています。

また、「当該文字列(『 ゆっくり 』)自体及び当該文字列(『 ゆっくり 』)関連文字列自体について他者から不正な出願・登録等されることを阻止するために必要な措置等も引き続き講じてまいる所存です」とも付け加えています。

参考:文字商標「ゆっくり茶番劇」に関するドワンゴの見解と対応について

なお、ドワンゴ側は、特許庁に対して次のような感謝の言葉を表明しています。

また、インターネットミームのようなネット文化に対して丁寧に審査していただいたうえ、拒絶理由について丁寧にご説明くださいましたことにも敬意と感謝を表明いたします。

ニコニコインフォ|文字商標「ゆっくり茶番劇」に関するドワンゴの見解と対応について

商標等の知的財産権侵害のリスクについては以下の記事をご参照ください。

関連記事:特許・商標・著作権などの知的財産権侵害リスクとその対策とは

関連記事:事例で学ぶ「商標権侵害」の基準と罰則(懲役・罰金)について

一方、「ゆっくり茶番劇」の文字商標登録者は、2022年6月8日付けで放棄による抹消登録を行っており、「本件問題は既に解決済みです」と主張しています。

まとめ:商標に関するトラブルは弁護士に相談を

ここでは、「ゆっくり解説」などの商標登録に関する経緯を解説しました。

この問題は、インターネット上で広く使われている用語や表現を商標登録することの是非や、クリエイターやファンの権利や利益を守る方法などについて、多くの議論を呼び起こしています。ドワンゴ側は、今後も不正な出願・登録等を阻止するための措置を講じると宣言しており、今後も注目されるニュースです。

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弁護士 河瀬 季

モノリス法律事務所 代表弁護士。元ITエンジニア。IT企業経営の経験を経て、東証プライム上場企業からシードステージのベンチャーまで、100社以上の顧問弁護士、監査役等を務め、IT・ベンチャー・インターネット・YouTube法務などを中心に手がける。

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