美容医療の口コミ広場の口コミを削除する方法
美容医療の口コミ広場というサイトをご存じですか?美容医療の口コミ広場とは、美容整形・皮膚科治療などのクリニックを検索し、予約することができるサイトです。また、クリニックの口コミを書き込んだり、口コミを見たりすることもできます。しかし、中には「看護師が偉そうな態度でいやな気持になった。院長とつきあってるらしい」、「手術前のカウンセリングが雑で、必要な情報を教えてもらえなかった」といったネガティブな口コミが投稿される場合があります。そのような口コミが投稿された場合、クリニックの名前をGoogle等で検索したユーザーが、ネガティブな口コミを見てしまう可能性があります。こういったネガティブな口コミの削除などについては、どのような対応が必要なのでしょうか。また、弁護士に相談すべきなのはどのようなケースでしょうか。
この記事の目次
美容医療の口コミ広場とは
美容医療の口コミ広場では、美容整形や皮膚科治療を行っているクリニックを探して予約することができます。また、クリニックの口コミを確認できるので、ユーザーは口コミを参考に行きたいクリニックを決めることができます。そのため、ネガティブな口コミが投稿されてしまうと、美容医療の口コミ広場やGoogle等の検索エンジンでクリニックを検索して予約しようとしているユーザーが、それらの口コミを見て予約を控えてしまう可能性があります。
美容医療の口コミ広場に投稿されるネガティブな口コミとは
美容医療の口コミ広場でクリニックを検索すると、施術の内容や痛み、かかった時間などの口コミを見ることができます。リアルな口コミを確認することができてとても便利なのですが、中には、誹謗中傷などのネガティブな口コミが書き込まれていることもあります。美容医療の口コミ広場に投稿されるネガティブな口コミとは、どのようなものなのでしょうか。以下にネガティブな口コミの例を挙げます。
「看護師が偉そうな態度でいやな気持になった。院長とつきあってるらしい」という口コミ
「看護師が偉そうな態度でいやな気持になった。院長とつきあってるらしい」といった投稿です。こういった投稿は、クリニックの施術とは関係がありませんが、クリニックのイメージダウンにはつながりますので、当該クリニックの経営に悪影響を及ぼす可能性があります。
「手術前のカウンセリングが雑で、必要な情報を教えてもらえなかった」
「手術前のカウンセリングが雑で、必要な情報を教えてもらえなかった」といった口コミが投稿される場合もあります。このような口コミも、真実であれば、クリニックを決めようとしているユーザーの役に立つものと考えられます。ただ、ユーザーとスタッフのコミュニケーションの行き違いにより、きちんと必要な情報を伝えているにもかかわらず、ユーザーはそう認識していないという可能性もあります。このような場合に「手術前のカウンセリングが雑で、必要な情報を教えてもらえなかった」という口コミを投稿されてしまうと、当該クリニックは、その口コミにより予約者数が減ってしまうといった損害を被る可能性があります。
その他、根も葉もない誹謗中傷投稿や風評被害投稿など
美容医療の口コミ広場では、「施術の内容や満足度」といった範疇を超え、当該クリニックや当該クリニックの医師やスタッフに対する何の根拠もない誹謗中傷口コミや風評被害口コミが投稿されるケースもあります。このような投稿は、5ちゃんねる(旧2ちゃんねる)などの匿名掲示板の誹謗中傷投稿や風評被害投稿と同じく削除されるべきであると考えられます。
美容医療の口コミ広場の利用規約違反で削除請求する方法
ネガティブな口コミが、美容医療の口コミ広場の利用規約違反であると考えられる場合は、利用規約第5条に基づき、削除申請フォームから削除申請を行うことができます。
第5条 コンテンツの削除、編集
「美容医療の口コミ広場」利用規約
当社はメンバーが投稿したコンテンツを削除、編集、再構成できる権利を有するものとし、利用者はこれらに対し、意義を申し立てないものとします。また当社の削除、編集により、利用者もしくは第三者に何らかの損害が発生したとしても、当社は一切の責任を負わないものとします。本規約第7条の禁止事項に該当するコンテンツや権利の侵害につきましては、削除依頼フォームからお知らせください。 削除申請フォーム以外の方法での削除依頼には対応しかねます。 詳しくはこちらの削除ガイドラインを参照ください。
利用規約第5条の削除申請フォームのリンクを押すと、以下の画面が現れて、申請理由などを記載して送信することができます。
美容医療の口コミ広場の削除ガイドラインには、投稿の削除の基準が詳しく記載されています。美容医療の口コミ広場の投稿に対する削除の基準は、以下の通りです。
- プライバシーの侵害
- 名誉毀損
- 企業・法人の権利の侵害
- 著作権侵害
- 虚偽情報
- 規約違反
この削除ガイドラインによれば、上記の例の「看護師が偉そうな態度でいやな気持になった。院長とつきあってるらしい」といった投稿は、「プライバシーの侵害」を理由として削除請求ができるものと思われます。
違法を理由として削除請求する場合の例
削除ガイドラインの「名誉毀損」については、名誉毀損(名誉権の侵害)を検討する必要があります。名誉毀損とは、不特定多数の人に伝わるかもしれない場で、その人の社会的な評価を貶めるような事実を提示することです。名誉毀損とは、どういった場合に成立するのでしょうか。名誉毀損は、以下の三つの要件を満たしたときに成立します。
- 公然と
- 事実を摘示し
- 人の名誉を毀損する
上記のように「手術前のカウンセリングが雑で、必要な情報を教えてもらえなかった」と書かれてしまった場合であれば、
- 「手術前のカウンセリングが雑で、必要な情報を教えてもらえなかった」といった記載は、具体的な意味内容であり、
- 手術前のカウンセリングでの情報提供は法律上一定の規制を受けるものであり、必要な情報提供を怠っているクリニックだと思われることは当クリニックにとって不利益であるところ
- 当クリニックは、手術前のカウンセリングで必要な情報は全て提供している
といった主張をすることになります。
ただし、名誉毀損の要件を満たしていたとしても、以下の条件を満たしている場合、名誉毀損は成立しませんので、注意が必要です。
- 公共性がある
- 公益性がある
- 真実である又は真実相当性が認められる
上記の例に限らず、その他の誹謗中傷口コミや風評被害口コミも同様に、名誉毀損に該当するどうかを検討する必要があります。ただ、こういった主張や法律的な議論に基づく削除交渉は、法律に詳しくないと難しいかもしれません。詳しい知識を持つ弁護士へ相談することにより、スムーズに削除できるケースもあります。名誉毀損の成立要件については、下記記事にて詳細に解説しています。
仮処分による削除
削除申請フォームから削除申請を行っても口コミが削除されなかった場合、裁判所を通じて削除請求を行っていくことになります。美容医療の口コミ広場の口コミは、訴訟手続による削除だけではなく、仮処分という手続によっても削除することができます。訴訟は、判決が出るまでおよそ3-12ヶ月程度はかかり、年単位にまで長引いてしまう可能性もあります。一方、仮処分は、風評被害に強い弁護士へ相談すれば、依頼から削除まで2-3ヶ月ほどで終わることが多いようです。
仮処分は、以下の流れで行われます。
仮処分の申立て→審尋(口頭弁論のような手続)→担保金の納付→仮処分命令の発令→執行
仮処分を行う場合は、法律上の主張に加え、その主張を立証するための証拠も必要です。例えば、上記の「手術前のカウンセリングが雑で、必要な情報を教えてもらえなかった」といったケースであれば、
- 当該患者の手術前同意書
- 当該患者のカルテ
- 手術前カウンセリングに関するマニュアル
などを証拠として提出し、「当クリニックは、手術前のカウンセリングで必要な説明は全て行っており、説明事項は同意書にも記載している」といった主張を行っていきます。ただ、弁護士に依頼せずに単独でこういった主張を行うのは難しいかもしれません。削除仮処分については、下記記事にて詳細に解説しています。
仮処分による投稿者の特定
いやがらせで、根拠のない誹謗中傷投稿や風評被害投稿が継続して大量に投稿されている場合は、弁護士へ依頼して、発信者情報開示請求を行うことができます。発信者情報開示請求とは、プロバイダ責任制限法第4条1項によって定められている手続です。この手続により、誹謗中傷・風評被害投稿の投稿者のIPアドレス、氏名、住所などの情報の開示を求めることができます。美容医療の口コミ広場の口コミには、「リアルレポート」と「参考レポート」という二種類の口コミがあります。リアルレポートとは、有料掲載を行っているクリニックのホームページの予約・問い合わせフォームより会員が予約を行い、施術を受けた際に、クリニックが施術の実績を登録することにより、投稿が可能となる口コミです。そのため、リアルレポートを投稿できるのは、あらかじめ氏名と連絡先を登録し、施術を受けた会員のみです。サイトに表示される投稿者名はニックネームとなりますが、匿名での口コミではありません。
一方、参考レポートとは、有料掲載を行っていないクリニックについて、誰もが匿名で、無料で投稿できる口コミです。美容医療の口コミ広場では、リアルレポート数が約20万件であるのに対し、参考レポート数は約2千件であり、口コミのほとんどはリアルレポートで占められています。そのため、数は少ないものと思われますが、参考レポートについてはクリニックとトラブルになった人物が、根拠のないデマや誹謗中傷を投稿しているケースがありえます。その場合、投稿者のIPアドレスなどがわかれば、投稿者を特定できることがあります。発信者特定の手続は、どのように行うのでしょうか。流れを以下に記載します。
- コンテンツ・サービス・プロバイダへ情報開示請求を行う
- 発信者情報開示の仮処分を申請する
- 経由プロバイダを特定する
- 経由プロバイダへ発信者情報消去禁止の仮処分申請を行う
- 発信者情報開示請求の訴訟を提起する
- 裁判所の判決に基づき、発信者を特定(住所、氏名など)
上記の手続を経て、悪質な口コミの投稿者が判明した場合は、投稿者に対し、特定に要した弁護士費用や慰謝料を損害賠償請求することができます。発信者情報開示請求については、下記記事にて詳細に解説しています。
まとめ
美容医療の口コミ広場は、ネット上でクリニックの口コミを確認でき、予約もできる便利なサイトです。しかし、中には誤解やいやがらせによる誹謗中傷口コミや風評被害口コミ投稿も全くないとは言い切れません。そのような悪質な投稿に対しては、削除申請フォームによる削除申請、裁判所を通した削除請求や投稿者特定手続をしたほうがよいケースもあります。名誉毀損などの法律的な主張は、弁護士へ依頼しないで単独で行うのは難しい場合も少なくありません。誹謗中傷口コミや風評被害口コミでお悩みの場合は、豊富な知識を持つ弁護士に相談することが大切です。
カテゴリー: 風評被害対策