YouTube利用規約で違反となりやすいケースを弁護士が解説
今や世界中の人が気軽に動画を投稿できるようになったYouTube。さまざまなジャンルの動画を見ることができるYouTubeには、利用規約のほかさまざまなルールがあります。
本記事では、YouTube上で動画を公開する場合に、一般的に気を付けるべき重要なルールを、YouTube利用規約等を中心に解説します。
この記事の目次
確認しておくべきYouTube利用規約
YouTubeで守るべき3つのルール
YouTube上で動画を公開する際には、利用規約も含めて下記の3つのルールが適用されます。
- 利用規約
- コミュニティガイドライン
- 各種ポリシー等
これら3つのルールをすべて理解しなければ、YouTubeでの動画の投稿などの行為がルール上問題あるかどうかを正確に判断することはできません。
例えば、「利用規約上はOKに読める行為が、コミュニティガイドラインでは禁止されている」ということもあります。
この3つのうち、利用規約では、コミュニティガイドラインや各種ポリシーに違反すると、投稿した動画やアカウントが削除される可能性があると記載されています。
また、コミュニティガイドラインや各種ポリシーは、利用規約には定められていない細かい事柄について網羅的に規定する役割を果たしています。
そして、「法律的には違法ではない」としても、利用規約およびコミュニティガイドライン、各種ポリシーに違反してしまうと動画を削除されてしまうので、投稿する場合には、気を付ける必要があります。
以下では、利用規約上で定められている具体的なルールについて解説します。
YouTubeの利用者
YouTubeを利用するには、13歳以上である必要があります。ただし、親または保護者によって有効にされていれば、あらゆる年齢で、YouTubeおよび YouTube Kids の利用が可能です。
ユーザーの親または保護者は、子どもがYouTubeを利用することを許可することにより、契約の規定対象となり、YouTube上での子どもの行為について責任を負うことになります。
また、YouTubeを会社や組織として使用する場合、ユーザーは当該会社や組織のために行為する権限を有していること、および当該会社や組織が本契約に同意しているものとみなされます。
YouTubeの利用
YouTubeでは、Google アカウントに登録することで、動画を投稿したり、他の動画を評価したりすることが可能となります。
もっとも、YouTubeの利用に関しては、利用規約上いくつかの行為が禁止されています。以下では、禁止行為の一部を抜粋しています。
・ユーザーの意向を無視した宣伝または営利目的のコンテンツを配信したり、一方的な勧誘や大量の勧誘を行ったりするために本サービスを使用すること。
・本来のユーザー エンゲージメントの測定結果を歪めること、またはそのように仕向けること。たとえば、ユーザーに金銭を支払ったりインセンティブを与えたりして、動画の視聴回数、高評価数、低評価数を増やす、チャンネル登録者を増やす、またはその他なんらかの方法で指標を操作することなどが含まれます。
・報告、フラグ立て、申し立て、異議申し立て、または再審査請求のプロセスを不正使用すること。これには、根拠のない、濫用的な、または嫌がらせ的な申請なども含まれます。
・本サービスを個人的、非営利的な用途以外でコンテンツを視聴するために利用すること(たとえば、不特定または多数の人のために、本サービスの動画を上映したり、音楽をストリーミングしたりすることはできません)。
利用規約 (youtube.com)
特に気を付けなければいけないのは、「本来のユーザーエンゲージメントの測定結果を歪める」ことの禁止です。
YouTubeチャンネルを開設したばかりの時期は、なかなかチャンネル登録者が増えずに苦戦することが多いと思われます。
しかし、チャンネル登録者を増やすために金銭を支払うなどの行為は、利用規約において明確に禁止されているため、注意が必要です。
また、それ以外にも、虚偽の違反報告、YouTubeの投稿動画を不特定多数の者に向けて上映する行為などが禁止されています。
YouTube利用規約で違反となりやすいケース
ここでは、YouTube動画の利用や投稿に関して、特に注意すべきケースを詳しく解説します。
ケース1.動画の埋め込み利用
YouTube動画をブログなどに埋め込んで表示する行為は多くのサイトで行われています。YouTubeでは、動画の埋め込み利用について、原則として禁止していません。
お客様は、本契約および適用される法律を遵守する限り、本サービスにアクセスして利用できます。お客様は個人的で、非営利目的の用途でコンテンツを視聴できます。また、埋め込み型 YouTube プレーヤーに YouTube 動画を表示させることもできます。
利用規約 (youtube.com)
しかし、何ら記事がなく単に大量のYouTube動画を埋め込んでいるだけで、意図的に広告収入を得ようとするのみのサイトは、利用規約において禁止されています。
YouTube ウェブサイトの商用利用が禁止されるケースと許可されるケース
YouTube では利用規約を更新し、ウェブサイトと YouTube 埋め込み型プレーヤーの使用方法としてどのようなことが許可されるかを明確にしました。ブログで時々 YouTube の動画を貼り付けてコメントを付けたり読者に好きな動画を見せたりすること自体は問題ではなく、それが一般向けの広告を含んでいるブログであったとしても YouTube はその行為を禁止しません。ただし、大量の YouTube 動画を埋め込んだだけで、意図的に広告収入を得ようとするだけのウェブサイトは、利用規約に違反しているものと見なします。
YouTube ウェブサイトの商用利用が禁止されるケースと許可されるケース – YouTube ヘルプ (google.com)
なお、他人の作成した動画に関する著作権との関係について、リンク自体は著作物でない以上、単にリンクを貼って動画を埋め込むという行為は、著作権侵害にならないのが原則です。
ケース2.アクセス権の販売
YouTube動画を限定公開にして、有料会員のみが視聴できるようにするような行為は、アクセス権の販売行為として禁止されています。
現在公開されている利用規約では明確にされていませんが、2018年5月25日に公開された利用規約では、アクセス権の販売が禁止事項として明示されていました。
お客様は、本サービスを、YouTubeの事前の書面による承諾なく、以下に記載する商業目的に利用しないことに合意します。
・本サービスに対するアクセスの販売
利用規約 (youtube.com)
現在、アクセス権の販売行為が多くみられますが、利用規約に違反する行為として規制される可能性があるため十分注意をする必要があります。
ケース3.ガイドライン違反の動画を投稿してしまう
利用規約では、「コミュニティガイドライン」や各種ポリシーに違反する動画を投稿することは禁止されています。
そのため、例えば暴力的な動画、性的コンテンツなどのデリケートな動画の投稿は、利用規約違反となります。
また、投稿した動画において他人が著作権を有する音楽や画像を勝手に使用している場合には、著作権法および「著作権についてのルール」に違反することになります。
投稿する動画の内容が、これらの禁止項目に該当しないことや、著作権を侵害しないことを確認する必要があります。
YouTubeへのライセンス付与について
YouTubeに投稿した動画について、ユーザーは所有権を有しています。
もっとも、投稿した動画について、YouTubeに対してライセンスを付与することになります。
これにより、YouTubeは投稿された動画のコピーや配信、派生物の作成などをユーザーの個別の同意を取得することなく行うことができるようになります。
また、他の各ユーザーに対しても一定のライセンスを付与することになります。
これにより、他のユーザーは、YouTubeを通じて動画にアクセスして、動画の再生や埋め込みなど、YouTubeの機能によってのみ可能な方法で、コピーや配信をすることができるようになります。
これらのライセンスについては、ユーザーがYouTubeに投稿した動画を削除した後も、商業的に合理的な期間にわたって存続することになります。
YouTubeの規約に違反してしまった場合
YouTubeの利用規約に違反した場合、YouTubeにより動画の削除が行われる可能性があります。
また、違反の程度が深刻であったり繰り返される場合には、アカウントの停止、解除が行われる可能性もあります。
投稿した動画の内容がスパムや暴力的であるなど、コミュニティガイドラインやそれに付随する各種ポリシーに違反している場合、YouTubeから「違反警告」が段階的に発されて、さまざまな制限が課せられることになります。
基本的な流れについては、YouTubeヘルプの「YouTube のコミュニティ ガイドラインの違反警告に関する基礎知識」をご覧ください。
YouTube によるアカウントの停止、解除が行われる場合には、原則として、YouTubeからその理由とともに通知が行われます。
まとめ:YouTubeの法的トラブルなら弁護士へ
YouTubeでは、ユーザーのクリエイティビティに合わせて自由に動画を公開し、さまざまな人に見てもらうことができます。
もっとも、YouTube動画の投稿や利用に際しては、利用規約やコミュニティガイドライン、各種ポリシー等を守る必要があります。
また、投稿する動画が、著作権侵害に当たらないなど、適法な内容となっていることについても注意が必要です。
具体的な動画の内容や動画の利用方法について、個別に判断する必要がある場合は、専門の弁護士にご相談ください。
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