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風評被害対策

ハナユメへのネガティブな口コミに対する風評被害対策とは?

風評被害対策

ハナユメへのネガティブな口コミに対する風評被害対策とは?

結婚式は多くの人にとって一生に何度もあることではありません。また、結婚式は単価も高いため、結婚式場の選定のあたってはブライダルフェアなどに足を運び、慎重に決めるカップルもよくみられます。このようなカップルにとって参考となるのがハナユメという全国の結婚式場について基本情報や口コミを集めたサイトです。ハナユメは匿名掲示板とは異なり、口コミの投稿にあたって氏名・電話番号等の登録が必要となるため、同業者などによる悪質な誹謗中傷は多くありません。しかし、結婚式場の利用客から批判的な口コミが投稿される可能性はあり、これを多くの検討客が閲覧することになれば売上への影響は避けられません。そこで、ハナユメの口コミによって結婚式場が風評被害を受けた場合の対応方法について説明します。

ハナユメに関する解説

ハナユメは、株式会社エイチームブライズが運営する結婚式場のポータルサイトです。全国各地および海外の結婚式場と提携して各式場の情報を提供しており、掲載されている結婚式場は2500か所以上にも及びます。また、ハナユメで特徴的なのはハナユメ割といわれる割引制度です。ハナユメ割とは、ハナユメのサイトを通してウェディングフェアなどに申し込むことで特別な割引価格が提示されるものです。このような割引制度があるため、結婚式場を探すカップルはハナユメを利用して結婚式場を探すことが多いのです。ハナユメに掲載される結婚式場情報の中には、実際にウェディングフェアに参加した人やその式場で結婚式を行った人のリアルな口コミも投稿されています。口コミの内容としては、ウェディングプランナーの対応や、会場の雰囲気、設備、アクセス、料理についてなど多岐にわたります。口コミの内容はいずれも結婚式場を探すカップルが気にするポイントばかりであるため、不当に低い評価が付けられていたり、また実際に提供しているサービスと異なる内容が記載されている場合には、検討客がその式場によほど強い思い入れを抱いているなどの事情がない限り検討から外されてしまうでしょう。特に大都市圏であれば結婚式場の数が非常に多いため、その傾向は強いといえます。したがって、ハナユメに掲載されている口コミの内容は結婚式場としてはよく確認しておく必要があります。

ハナユメではどのような風評被害があるのか

ハナユメで起こりうる風評被害について説明していきます。

ハナユメでは、口コミの投稿をするにあたり氏名・電話番号・メールアドレスの登録が必要となります。このため、誹謗中傷の口コミをすることへの心理的ハードルは相当高いといえます。このせいもあってか、悪質な中傷の口コミはそれほど多くはありません。もっとも、結婚式場の利用料金の算定は複雑であるため、利用客が誤解により「当初は割引が適用されると聞いていたが契約段階で適用されていなかった」などという口コミを投稿することはあり得ます。結婚式場の利用料金は100万円を超えるような高額なものであるため、検討客は料金に対してシビアに考えています。このため、料金に関するネガティブな口コミがあると不安を感じて問合せをためらうことが想定され、結婚式場の売上の減少に直結します。また、「来場者に提供する料理についてアレルギー対応の食事を依頼していたのに、実際には通常の料理が出されていた」などの口コミも想定されます。これは、健康被害に関わる内容であるため仮に利用客の勘違いによる口コミであったとしても非常にマイナスの影響が大きいといわざるを得ません。

利用規約違反で削除請求する方法

ハナユメに風評被害につながる口コミが投稿された場合、まずは利用規約違反を理由として運営者に対して直接口コミの削除を求める方法があります。運営者に直接削除を求めるためにはまず、ハナユメのWEBサイト下部の「お問い合わせ」ボタンをクリックして表示される「式場様・企業様向け」というリンクからお問い合わせフォームを表示させます。

ハナユメ式場様・企業様向けお問い合わせ画面より

このお問い合わせフォームにおいて、削除を求める投稿を指摘した上で、利用規約に違反していると考える事情を具体的に記載して送信します。
利用規約はトップページ下部にある「ご利用規約」のボタンをクリックすることで表示されます。この利用規約11条1項にサイト利用上の禁止事項が定められています。

第11条 禁止事項
全ての利用者に、本サービスを快適にご利用していただくため、利用者が以下の行為を行う事を禁止いたします。
(1) 利用者が本サービス利用時に虚偽の入力をする行為およびそれらのおそれのある行為
(2) 犯罪行為および犯罪行為に結びつく行為およびそれらのおそれのある行為
(3) 公序良俗に反する行為およびそれらのおそれのある行為
(4) 他の利用者、提携事業者または当グループの著作権、財産権、プライバシー、もしくはその他の権利を侵害する行為およびそれらのおそれのある行為
(5) 他の利用者、第三者、提携事業者または当グループに不利益もしくは損害を与える行為およびそれらのおそれのある行為
(6) 本サービスを通じたもしくは本サービスに関連した営利を目的とする行為およびそれらのおそれのある行為
(7) 本サイトまたはそこに含まれる情報等(提携事業者の連絡先等の情報を含みます)の一部または全部を改竄、改変もしくは消去する行為およびそれらのおそれのある行為
(8) 本サービスが用いるネットワークシステムの正常な運用を妨害またはネットワークシステムを破壊する行為およびそれらのおそれのある行為
(9) 法令に違反する行為およびそれらのおそれのある行為
(10) 上記各号のいずれかに該当する行為を助長する行為およびそれらの行為を助長するおそれのある行為
(11) 上記各号の他、当グループが不適切と判断する行為

Hanayume|利用規約

料金に関する誤った情報が書き込まれた場合

上で例に挙げた「当初は割引が適用されると聞いていたが契約段階で適用されていなかった」との口コミについてはどうでしょうか。
ハナユメの利用者はハナユメ割が適用されることを期待してサイトを利用していることが多いと考えられますので、割引が適用されなかったとの口コミがあればその結婚式場に対してネガティブなイメージを持つことになります。その結果、見込み客であるウェディングフェアへの来場者が減少する可能性があります。したがって、このような口コミが投稿された場合には、利用規約が定める禁止事項(5)号「…提携事業者…に不利益もしくは損害を与える行為およびそれらのおそれのある行為」に該当するということができます。また、この口コミが投稿者の勘違いで投稿された誤った情報であった場合には、禁止事項(1)号「利用者が本サービス利用時に虚偽の入力をする行為およびそれらのおそれのある行為」にあたるとして削除を求める余地もあります。

提供した料理に関して問題のある情報が書き込まれた場合

「来場者に提供する料理についてアレルギー対応の食事を依頼していたのに、実際には通常の料理が出されていた」との口コミについては参列者への健康被害を生じさせるおそれがあるものといえ、結婚式場の評判の低下は必至です。
場合によっては営業停止にもなりかねないものといえますので、内容が事実であるか否かにかかわらず禁止事項(5) 号「…提携事業者…に不利益もしくは損害を与える行為およびそれらのおそれのある行為」にあたるということができます。

違法だとして削除請求する場合の例

誹謗中傷の書き込みは違法行為となることがあります。特に問題となるのは名誉毀損です。名誉毀損は、原則として人の社会的評価を低下させる事実が書き込まれた場合に成立します。ただし、投稿された事実が真実である場合または真実であると信じるべき正当な理由・根拠がある場合には名誉毀損は成立しません。
なお、真実であったとしても投稿の目的に公益性がない場合や事実が公共の利害に関しない場合にはやはり名誉毀損が成立する余地がありますが、争点となることが少ないので割愛します。名誉毀損の成立要件に関しては、下記記事にて詳細に解説しています。

上で例に挙げた「来場者に提供する料理についてアレルギー対応の食事を依頼していたのに、実際には通常の料理が出されていた」との口コミの内容は健康被害が生じた場合には社会的にも大きな問題となり得るものであり結婚式場の社会的評価を低下させる事実といえます。したがって、仮にこの口コミが事実無根であるとすれば名誉毀損が成立することになります。名誉毀損が成立する場合のように口コミが違法となるときは、プロバイダ責任制限法に基づきサイト運営者やホスティングプロバイダに対して送信防止措置依頼を行うこともできます。これによって、口コミが削除された場合と同じ結果を得ることができます。ただし、あくまでも依頼を受けたサイト運営者側の判断によって行うものですので、判断次第では送信防止措置が行われない可能性に留意する必要があります。

仮処分による削除

削除依頼に応じてもらえない場合は仮処分にて申立てを行います。

ハナユメの運営者が削除依頼に応じてくれないこともあります。特に、内容が虚偽であることを理由とする削除依頼についてはハナユメ側が真実か否かを調査するにも限界がありますので削除に至らない可能性があります。このような場合に、強制的に削除を求める方法として裁判所を通じた仮処分申立てがあります。仮処分は簡略な裁判手続であり通常約1~2か月程度で結論が出ます。仮処分によって削除すべきとの結論が出れば、運営者はこれに従い口コミを削除することになります。 投稿の削除を求める仮処分に関しては、下記記事にて詳細に解説しています。

仮処分による投稿者特定

ハナユメの場合にはあまり無いと思われますが、悪質な誹謗中傷の口コミがなされたような場合には再発防止や慰謝料等の請求のために投稿者を特定する必要があります。投稿者を特定するための手続を発信者情報開示請求といいます。発信者情報開示請求においては、まずサイト運営者から問題の口コミに対応するIPアドレスおよびタイムスタンプを開示してもらい、これを手掛かりに投稿に利用されたインターネットサービスプロバイダを特定します。そして、今度は投稿者と契約しているインターネットサービスプロバイダに対して、投稿者の個人情報を開示するよう民事裁判手続を通して請求することになります。発信者情報開示請求に関しては、下記記事にて詳細に解説しています。

なお、ハナユメに口コミを投稿するには氏名・電話番号・メールアドレスの登録が必要であるため、ハナユメに対して裁判手続を通じて登録された個人情報の開示を求めることも可能です。ただし、投稿者が虚偽の個人情報を登録していた場合には特定が困難となるため、発信者情報開示請求も同時並行で行うべきでしょう。

まとめ

ハナユメは結婚式を考えているカップルは参考にすることが多いサイトであるため、万が一事実と異なる口コミや悪質な誹謗中傷が書き込まれた場合には、式場の売上に大きな影響を及ぼします。ハナユメでは悪質な口コミは少ないですが、顧客が誤った内容の口コミを投稿することは十分に想定されますので、口コミの内容については十分に確認することが大切です。削除請求や投稿者を特定する手続を迅速に進めるためには、問題となる口コミを発見したらすぐに弁護士等の専門家に相談することが必要です。ネット上の誹謗中傷や風評被害への対策はITに関する専門的な知識が必要となるため、この分野について経験豊富な弁護士に相談することをおすすめします。

ハナユメ以外のウエディング関連口コミサイトの削除方法については下記からご覧いただけます。

弁護士 河瀬 季

モノリス法律事務所 代表弁護士。元ITエンジニア。IT企業経営の経験を経て、東証プライム上場企業からシードステージのベンチャーまで、100社以上の顧問弁護士、監査役等を務め、IT・ベンチャー・インターネット・YouTube法務などを中心に手がける。

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