いえらぶにおけるネガティブな口コミの削除方法とは
いえらぶとは、不動産賃貸や不動産売買の総合情報サイトです。いえらぶ不動産会社検索のページでは、不動産会社や店舗を検索したり、不動産に関する相談をしたりすることができます。不動産会社の口コミを投稿する機能もあるので、ユーザーは、それらの口コミを見て、自分に合った会社を探すことができるのです。それらの口コミの中には、「○○の△△支店の社員A(実名)、仕事遅すぎてむかつく。□□に住んでると言ってた」「勧められて契約した物件が欠陥住宅だった。欠陥住宅だと知ってて勧めてきたのでは」といったネガティブな内容の口コミが投稿されてしまうケースもあります。そうした場合には、GoogleやYahooなどの検索エンジンやいえらぶで不動産会社を検索しているユーザーが、ネガティブな口コミを見てしまう可能性があります。いえらぶにネガティブな口コミが書き込まれている場合、このような口コミを削除してもらうことは可能なのでしょうか。また、どういった場合に弁護士へ相談した方がよいのでしょうか。
この記事の目次
いえらぶとは
いえらぶでは、不動産を検索するだけでなく、不動産会社の口コミを投稿したり、それらの口コミを見たりすることができます。また、不動産や住まいに関する悩み相談をすることもできます。そのため、いえらぶにネガティブな口コミが書き込まれている場合、Googleなどの検索エンジンやいえらぶ内で物件や不動産会社を探しているユーザーが、それらの口コミを見てその不動産会社への仲介依頼を避けてしまうかもしれないといったリスクがあります。
いえらぶに投稿されるネガティブな口コミとは
いえらぶ不動産会社検索で不動産会社を検索すると、その会社の会社情報、スタッフ、取扱物件や口コミなどを見ることができます。その口コミの中には、誹謗中傷にあたるのではないかと思われるようなネガティブな口コミが投稿されている場合もありえます。いえらぶ不動産会社検索に載せられるネガティブな口コミには、どのようなものが考えられるのでしょうか。以下に、ネガティブな口コミを例示します。
支店や社員の実名が記載されている口コミ
「○○の△△支店の社員A(実名)、仕事遅すぎてむかつく。□□に住んでると言ってた」といった口コミが書き込まれている場合です。その不動産会社の担当社員と顧客との間で意思疎通がうまくいっておらず、そのような口コミが書き込まれてしまった可能性があります。このようなネガティブな口コミが掲載されてしまうと、その不動産会社は、顧客が減るなどの悪影響を被るおそれがあります。
欠陥住宅だという口コミ
「勧められて契約した物件が欠陥住宅だった。欠陥住宅だと知ってて勧めてきたのでは」という口コミが投稿されたケースです。実際に欠陥住宅であることを知りながら、それを隠して契約を勧めたとしたら問題になりますが、ちゃんと調査をしていてもわからない欠陥だった可能性もあります。このような場合に、「勧められて契約した物件が欠陥住宅だった。欠陥住宅だと知ってて勧めてきたのでは」という口コミを投稿されると、その不動産会社は、その口コミにより顧客や取引先が減るといった損害を被る可能性があります。
その他、根も葉もない誹謗中傷や風評被害投稿など
いえらぶ不動産会社検索には、不動産会社やそのスタッフに関する口コミの範囲を超えて、特定の会社やスタッフに対する誹謗中傷口コミや風評被害口コミの投稿が行われる場合もありえます。こうした口コミは、5ちゃんねる(旧2ちゃんねる)などの匿名掲示板の誹謗中傷書き込みや風評被害書き込みと同様に削除されるべきであると考えられます。5ちゃんねる(旧2ちゃんねる)の書き込みの削除依頼の方法については、下記記事にて詳細に解説しています。
口コミガイドライン違反で削除請求する方法
いえらぶの口コミガイドラインに反すると思われる投稿があった場合には、口コミ左下の「通報する」ボタンから通報することができます。
口コミ左下の「通報する」ボタンを押すと、以下の画面が現れて、通報内容(カテゴリ)や通報内容の詳細などを記載して事務局へ連絡することができます。
通報フォーム上部の注意書きによれば、内容を確認の上、事務局で対応を行うが、通報があった場合の削除等を確約するものではないとのことです。また、いえらぶ口コミガイドラインによると、虚偽の内容を含む口コミ投稿やプライバシーの侵害になる内容の投稿は禁止されており、不適切な投稿に関しては事務局で削除する場合もあるものとされています。
いえらぶ利用規約第10条(禁止行為)により禁止されている行為は、以下の通りです。
<いえらぶ利用規約第10条(抜粋)>
いえらぶ利用規約URL:https://www.ielove.co.jp/rules/
(1) 本サービスによって提供される情報を、当社の事前の同意なく、複写、もしくはその他の方法により再生、複製、送付、譲渡、頒布、配布、転売、改変またはこれらの目的で使用するために保管すること
(2) 本規約に違反すること
(3) 公序良俗に反すること
(4) 犯罪的行為に結びつくこと
(5) 当社もしくは他の利用者または第三者の知的財産権(著作権、意匠権、実用新案権、商標権、特許権、ノウハウが含まれるがこれに限定されない)、名誉、プライバシーその他の権利又は利益を侵害し、または侵害するおそれがある行為をすること
(6) 当社もしくは他の利用者または第三者に不利益を与えること
(7) 利用者以外の者になりすまして本サービスを利用すること
(8) 虚偽の情報を送信すること
(9) 当社の運営を妨げること、または信用を毀損すること
(10)その他、当社が不適当と判断すること
上記の「○○の△△支店の社員A(実名)、仕事遅すぎてむかつく。□□に住んでると言ってた」という口コミは、いえらぶ口コミガイドライン7.「プライバシーの侵害になる内容の投稿」及びいえらぶ利用規約第10条第1項(5) 「(前略)プライバシーその他の権利又は利益を侵害し、または侵害するおそれがある行為をすること」にあたるとして、通報できるものと考えられます。その場合、通報フォームの「通報内容(カテゴリ)」は、「個人情報を含む内容を記載している」を選択することになるでしょう。
違法を理由として削除請求する場合の例
いえらぶ利用規約第10条第1項(5)の「当社もしくは他の利用者または第三者の知的財産権(著作権、意匠権、実用新案権、商標権、特許権、ノウハウが含まれるがこれに限定されない)、名誉、プライバシーその他の権利又は利益を侵害し、または侵害するおそれがある行為をすること」については、名誉毀損(名誉権の侵害)を検討する必要があります。名誉毀損が成立するための要件は、以下の三つです。
- 公然と
- 事実を摘示し
- 人の名誉を毀損する
上記のように、「勧められて契約した物件が欠陥住宅だった。欠陥住宅だと知ってて勧めてきたのでは」という口コミが投稿された場合であれば、
- 「勧められて契約した物件が欠陥住宅だった。欠陥住宅だと知ってて勧めてきたのでは」といった記載は、具体的な意味内容であり、
- 欠陥住宅であることを知りながら、それを隠して契約を勧めるという行為は法律上一定の規制を受けるものであり、そうした行為を行っている不動産会社であると思われることは当該会社にとって不利益であるところ
- 当該会社は欠陥住宅と知りながらそれを隠して契約を勧めるような行為は行っていない
という主張をすることになります。ただし、名誉毀損の要件を満たしていても、以下の条件を満たしている場合は、名誉毀損は成立しません。
- 公共性がある
- 公益性がある
- 真実である又は真実相当性が認められる
上記の例にとどまらず、その他の誹謗中傷口コミや風評被害口コミも同じように、名誉毀損に該当するか否かについて検討を加える必要があります。ただし、こうした専門的な主張や法的な議論に基づく削除交渉は、法律に詳しくないと難しい場合もあります。豊富なノウハウを持つ弁護士へ相談すれば、円滑に削除できるケースも多数あります。名誉毀損の成立要件については、下記記事にて詳細に解説しています。
仮処分による削除
いえらぶの通報フォームから事務局へ連絡しても口コミが削除されなかった場合は、裁判所を通じて削除を請求することも可能です。いえらぶの口コミは、訴訟手続によらずとも、仮処分という手続によっても削除することができます。訴訟は、問題なく進んでも3-12ヶ月程度はかかることが多く、場合によっては1年以上の長期間にわたる場合もあります。一方、仮処分は、風評被害に豊富な知識を持つ弁護士へ依頼すれば、依頼から削除まで2-3ヶ月ほどで終わることが多いです。 仮処分の流れは、以下の通りです。
- 仮処分の申立て
- 審尋
- 担保金の納付
- 仮処分命令の発令
- 執行
仮処分の場合、法的な主張に加えて、その主張を証明するための証拠も提出しなくてはいけません。例えば、上記のように、「勧められて契約した物件が欠陥住宅だった。欠陥住宅だと知ってて勧めてきたのでは」と投稿された場合であれば、
- 当該不動産の重要事項説明書
- 契約締結に関するマニュアル
- 当該不動産について適切な調査を行ったことがわかる書面
などを証拠として提出し、「当該不動産会社は、仲介をする物件について適切な調査を行っており、欠陥住宅と知りながらそれを隠して契約を勧めるような行為は行っていない」といった主張を行うことになります。ただ、このような主張やその立証は、弁護士へ依頼しないで単独で行うのは難しい場合も多くあるでしょう。削除仮処分については、下記記事にて詳細に解説しています。
仮処分による投稿者の特定
根も葉もない誹謗中傷口コミや風評被害口コミが、長期間にわたって何度も投稿されている場合は、弁護士に依頼して、発信者情報開示請求を行うことができます。発信者情報開示請求とは、プロバイダ責任制限法第4条1項に基づく手続です。この手続により、誹謗中傷口コミや風評被害口コミを投稿している人のIPアドレス、氏名、住所などの情報開示を請求することができるのです。
いえらぶには、特定の不動産会社やそのスタッフに恨みを持つ人物が、デマや誹謗中傷などを書き込んでいる可能性もあります。そのような場合に投稿者のIPアドレスなどの情報がわかれば、投稿者を特定できることがあります。 発信者特定の手続を以下に記載します。
- コンテンツ・サービス・プロバイダへ情報開示請求
- 発信者情報開示の仮処分申請
- 経由プロバイダを特定
- 経由プロバイダへ発信者情報消去禁止の仮処分申請
- 発信者情報開示請求の訴訟
- 裁判所の判決に基づき、発信者を特定
上記の手続を経て、投稿者を特定した場合は、投稿者の特定にかかった弁護士費用や慰謝料を投稿者に対して損害賠償請求することができます。発信者情報開示請求については、下記記事にて詳細に解説しています。
まとめ
いえらぶは、物件だけでなく、不動産会社を検索して、その会社情報や口コミなども見ることができるサイトです。とても便利なサイトですが、誤解や悪意などに基づく誹謗中傷や風評被害の口コミが投稿されてしまうことが全くないとは言いきれません。悪質な口コミについては、通報フォームから通報をすることができますが、万が一、通報しても口コミが削除されない場合は、裁判所を通じて削除請求や投稿者特定手続をした方がよいケースもあります。名誉毀損などの法的な主張は、弁護士へ依頼せずに行うのは難しい場合が多いでしょう。誹謗中傷口コミや風評被害口コミに悩まされている場合は、豊富な知識を持つ弁護士に相談することが重要です。
カテゴリー: 風評被害対策