TikTokの利用規約とは?禁止事項・著作権・商用利用の注意点を弁護士が解説

TikTokは、TikTok Pte. Ltd.などが運営するショート動画のプラットフォームです。10代の個人から企業のアカウントまで、使う人の幅が広いサービスです。アカウントを作って使い始めると、利用者はTikTokと利用契約を結んだことになります。
その契約の中身が利用規約です。何歳から使えるのか、何を投稿すると消されるのか、投稿した動画をTikTokがどこまで使えるのか、企業がPRに使うときに何が加わるのか。規約の条文と日本の法律の両方から、利用者が押さえておくべき点を整理します。
この記事の目次
TikTokの利用規約の要点
TikTokの利用規約とは、運営会社のTikTok Pte. Ltd.などと利用者との関係を定めた契約です。中心はサービス規約で、コミュニティガイドラインとプライバシーポリシーもあわせて適用されます。規約は、アクセスや利用をした時点で受諾したものとして扱うと定めています。
利用者に直接かかわる条項を7つに絞ると、次の表のとおりです。
| 項目 | 規約の定め | 根拠 |
|---|---|---|
| 1 年齢 | 13歳以上の人だけが利用できる | 11条e |
| 2 利用目的 | 個人向けのサービスで、商業目的のものではない | 1条・7条A |
| 3 アカウント | パスワードの管理を含め、アカウントで起きたことは利用者が責任を負う。違反すればいつでも無効にされうる | 4条 |
| 4 禁止事項 | 規約5条の禁止行為に加え、コミュニティガイドラインに従う | 5条 |
| 5 投稿の権利 | 著作権は投稿者に残るが、TikTokに無償・永続の利用許諾を与える | 7条B |
| 6 責任の制限 | TikTokの賠償責任は、利益の損失などを除外したうえで過去12か月の支払額に限られる | 10条 |
| 7 日本の補足条項 | 裁判は東京地方裁判所でしか起こせない。TikTokに故意や重大な過失があれば責任の上限は外れる | 特定法域向け補足条項 |
参考:TikTok サービス規約(日本語)(最終更新日:2020年2月)
TikTokの利用規約を構成するルール
TikTokで利用規約と呼ばれているものは、1つの文書ではありません。サービス規約2条は、プライバシーポリシーとコミュニティガイドラインもサービスの利用に適用されると定めています。目的ごとに分かれた主な文書は次のとおりです。
▼ TikTokの主なルールと定めている内容
| 文書 | 定めている内容 | 版・日付 |
|---|---|---|
| サービス規約 | 契約の本体。年齢、禁止行為、投稿の権利、責任の制限、紛争の解決方法 | 最終更新日 2020年2月表示 |
| コミュニティガイドライン | 投稿してよいものと、してはいけないもの。違反したときの措置 | 2026年8月25日公開・9月24日発効 |
| プライバシーポリシー | 収集する個人情報と、その使い方 | 最終更新日 2025年6月2日 |
| 知的財産権ポリシー | 著作権・商標権の侵害の報告と異議申し立て | 2025年3月27日公開・4月26日発効 |
| ブランドコンテンツポリシー | 対価を受けて商品を宣伝する投稿のルール | 2026年8月4日公開・8月31日発効 |
| TikTok For Businessの商用利用規約 | 広告や企業向けツールを使う事業者との契約 | 2026年1月改訂の英語版 |

改訂の頻度は文書ごとに違います。サービス規約の日付が古いままでも、コミュニティガイドラインは2026年9月24日に新しい版が発効しています。
参考:TikTok コミュニティガイドライン(2026年8月25日公開・2026年9月24日発効)
TikTokを利用できる年齢と未成年の利用
TikTokのアカウントを作れるのは13歳以上です。ただし13歳になれば全機能が使えるわけではなく、コミュニティガイドラインは機能ごとに別の年齢を定めています。
▼ 年齢ごとに使える主な機能
| 年齢 | 使えるようになること | 根拠 |
|---|---|---|
| 13歳以上 | アカウントの作成 | サービス規約11条e、ガイドライン『アカウントと機能』 |
| 16歳以上 | ダイレクトメッセージの利用、おすすめフィードへの動画の表示 | ガイドライン『青少年の安全とウェルビーイング』『アカウントと機能』 |
| 18歳以上 | LIVEの開始、LIVE中のギフトの送付、収益化機能の利用 | ガイドライン『アカウントと機能』 |

参考:TikTok コミュニティガイドライン『アカウントと機能』(2026年9月24日発効)
13歳未満は利用できない
サービス規約11条eは、利用者が規定の年齢以上であることを保証したものとみなし、13歳未満の利用がわかった場合はアカウントを終了させると定めています。ガイドラインも、最低年齢に達していないと判断したアカウントは永久停止するとしています。
子どもが登場する動画を投稿したいときは、保護者など13歳以上の人が自分のアカウントで投稿することになります。ガイドラインは、親が子どもの登場する動画を投稿する場合、自己紹介やプロフィール写真、ユーザー名で成人のアカウントであることを明確にするよう求めています。
参考:TikTok コミュニティガイドライン『青少年の安全とウェルビーイング』(2026年9月24日発効)
18歳未満の課金は取り消せることがある
日本では18歳未満が未成年者です。未成年者が、親権者などの法定代理人(未成年者に代わって契約や同意をする人)の同意なく結んだ契約は、あとから取り消せます。子どもが保護者に黙ってTikTokコインを買った場合が典型です。取り消せるのは本人と保護者で、追認できる時から5年で時効にかかります。
取り消せない場面もあります。保護者が使い道を決めて渡したお金をその範囲で使った場合と、使い道を決めずに渡したお小遣いを使った場合です。うそをつくなどして成年だと信じさせた場合(民法の言う詐術)も取り消せません。生年月日を偽って登録しただけでこれにあたるかは事情によります。App StoreやGoogle Play経由の課金なら、まずストアに返金を申請するのが現実的です。
TikTokで禁止されている行為と投稿
TikTokのルール違反には2つの入口があります。サービス規約5条が定める禁止行為と、コミュニティガイドラインが定める許容されない投稿です。どちらに触れても投稿の削除やアカウントの停止につながります。
サービス規約で禁止されている行為
5条は、投稿の中身よりも、サービスの使い方を広く縛っています。主なものは次のとおりです。
▼ サービス規約5条の主な禁止行為
| 類型 | 内容 |
|---|---|
| サービスの複製・解析 | 権原なくサービスやコンテンツを複製・改変し、リバースエンジニアリングなどでソースコードやアルゴリズムを解明しようとすること |
| 無断の商用利用 | TikTokの明示的な書面による同意なく、商用の広告、勧誘、スパムなどに使うこと |
| 自動化ツール | 自動化されたスクリプトで情報を収集し、またはサービスとやり取りすること |
| なりすまし | 他人や他の団体になりすまし、関係について虚偽を述べること |
| 第三者の情報の掲載 | 住所、電話番号、身分証の番号、クレジットカード番号など第三者の個人情報を載せること |
| 権利侵害 | 著作権、商標権その他の知的財産権やプライバシーを侵害し、他人の名誉を毀損すること |
5条は最後に、TikTokが理由の有無を問わず、事前の通知なくコンテンツを削除できると定めています。規約上は、違反かどうかをTikTokが判断して削除できる建て付けです。こうした条項がどこまで有効かは別の問題で、不当な削除を争う余地が残ることもあります。
コミュニティガイドラインで許容されない投稿
ガイドラインは許容されない投稿をテーマごとに分けています。2026年9月24日発効の現行版の分類は次のとおりです。
▼ コミュニティガイドラインの主な分類と許容されない例
| 分類 | 許容されない投稿の例 |
|---|---|
| 安全と礼節 | 暴力や犯罪の助長、ヘイトスピーチ、ハラスメントやいじめ |
| 精神的・行動上の健康 | 自殺や自傷行為の助長、身体的危害につながる危険なチャレンジ |
| 慎重に扱うべきテーマと成人向けテーマ | ヌードや性的行為、極度に生々しい描写、動物虐待 |
| 誠実性と真正性 | 重大な危害を与えうる誤情報、知的財産権の侵害、ラベルのないAI生成コンテンツ、偽のエンゲージメント |
| 規制対象の商品・サービス・商業活動 | 規制品の取引、開示のない宣伝、詐欺 |
| プライバシーとセキュリティ | 被害につながる個人情報の共有、システムへの不正な侵入 |
ガイドラインに違反しなくても、おすすめフィードに載らない投稿があります。新しい要素を加えずに他人の素材を再利用しただけの動画などがその例で、削除はされなくても見られにくくなります。
参考:TikTok コミュニティガイドライン 概要(2026年8月25日公開・2026年9月24日発効)
AI生成コンテンツにはラベルが必要
本物のように見える人物や場面を、AIで生成し、または大幅に編集して表示する投稿には、ラベルを付ける必要があります。ラベルのない投稿は、引き起こしうる害に応じて削除や表示の制限を受け、TikTok側でラベルが付けられることもあります。
ラベルを付ければ何でも許されるわけではありません。公共的に重要な事柄について誤解を招くものや、個人に害をもたらすものは、ラベルがあっても許容されません。
参考:TikTok コミュニティガイドライン『誠実性と真正性』(2026年9月24日発効)
TikTokの利用規約と著作権
TikTokに投稿した動画の著作権は、投稿した人に残ります。ただし投稿と同時に、TikTokに広い利用許諾を与えます。
投稿した動画の著作権とTikTokへの利用許諾
7条Bによれば、利用者は動画を投稿することで、TikTokに対し、形式や媒体を問わず動画を使用し、変更し、複製し、派生物を作成し、配信する権利を与えます。TikTokが他のユーザーや第三者にこれらを許諾する権利も含まれます。
規約はこの許諾を、無条件・撤回不能・非排他的・無償・譲渡可能・全世界・永続のものと定めています。あとから取り消せず、TikTokは対価を払わず、期限も地域の限りもないということです。非排他的なので、投稿者自身も同じ動画をほかで使えます。ユーザー名や写真、声、似顔絵を無償で使う権利も与えます。他社から使用許諾を受けた写真や出演者の映像を企業が投稿するときは、TikTokへの再許諾まで認められているかを素材の契約で確かめておく必要があります。

著作権とは別に、作者には、公表の時期、名前の表示、意に反する改変の拒否に関わる著作者人格権があります。この権利は著作者の一身に専属し、譲渡できません。そこで規約は、人格権に基づく主張をしないと約束させる形をとっています。動画を切り取られたり加工されたりしても異議を述べない、という約束です。こうした不行使の合意がどこまで有効かには議論があり、無制限に効力が認められるとは限らないと解されます。
参考:著作権法 18条〜20条・59条(e-Gov法令検索)
TikTokの楽曲や音源を使うときの注意
7条Aは、サービスから利用できる音声と、それに含まれる音楽作品について、利用者にいかなる権利も許諾しないと定めています。TikTokの中で使える楽曲だからといって、その音源を切り出して別のサービスや広告に使ってよいことにはなりません。
また7条Bは、音声の権利を持っていても、含まれる楽曲の権利がなければ、許諾なしにその音声を投稿できないとしています。CD音源を流す動画は、作詞・作曲の著作権とは別に、レコード会社などが持つ原盤の権利(レコード製作者の複製権・送信可能化権)にも触れるおそれがあります。楽曲に合わせて踊る動画の著作権は、次の記事で扱っています。
他人の動画の無断転載と著作権侵害
他人がTikTokに上げた動画を無断で保存し、自分のアカウントや別のサービスに上げたとします。これは原則として、複製権と公衆送信権(インターネットで公開する権利)の侵害になります。アプリの合作機能など、TikTokの中で他の投稿を使う場合は規約上の許諾の範囲です。引用と認められるには、公正な慣行に合い、報道や批評など目的上正当な範囲にとどまり、出所を明示することが必要です。
規約の側でも、知的財産権を侵害すると、6条によりアカウントへのアクセスを止められ、アカウントを終了されることがあります。知的財産権ポリシーは、常習的に著作権を侵害する利用者のアカウントを永久に停止し、新しいアカウントの開設を拒むことがあるとしています。
参考:著作権法 21条・23条・32条(e-Gov法令検索)
参考:TikTok 知的財産権について(2025年3月27日公開・2025年4月26日発効)
YouTubeとTikTokを併用するときの注意点
YouTubeと同じ動画をTikTokにも載せるときは、音源の扱いと、収益化の権利主張に関するTikTok側の条項に特に注意が要ります。2つの規約は同じ発想で作られてはいません。
自分の動画をもう一方のサービスに転載する場合
自分で撮影し、権利を持っている動画であれば、TikTokからYouTubeショートへ、またはその逆に載せること自体は規約で禁じられていません。7条Bも、TikTokの楽曲やステッカーなどを含む投稿を外部のプラットフォームに送ることを認めています。
条件は2つあります。1つは、TikTokの規約に加えて転送先のガイドラインも守ることです。もう1つは音源で、TikTokで付けた楽曲は外部での利用まで許諾されていないため、そのまま転載すると転送先で権利処理の問題が残ります。転載するなら音源を差し替えておくのが安全です。
TikTokの投稿で他サービスの収益を主張するときの制限
7条Aによれば、規約や個別の契約で認められない限り、利用者は投稿から収益や対価を得る権利を持ちません。TikTokや第三者のサービスで投稿を収益化する権利を行使することも禁じられています。
規約はその例として、「収益化のために、YouTube等のソーシャルメディアプラットフォームにアップロードされているユーザ·コンテンツに関する権利主張を行うことは禁止されます」と明記しています。誰かが自分のTikTok動画をYouTubeに転載したとします。そのときContent IDなどで広告収益を自分に回すよう申し立てる行為が、これにあたると読める可能性があります。無断転載の削除を求める申立てまで禁じているとは読めません。自分の動画を自分でYouTubeに上げて収益化することまで禁じる趣旨かは文言からは明らかでなく、射程と有効性には議論の余地があります。
参考:TikTok サービス規約(日本語)7条A(最終更新日:2020年2月)
TikTokを商用利用するときのルール

サービス規約1条は、TikTokを個人向けで商業目的ではないサービスと位置づけています。ただし企業が使えないわけではなく、ビジネス向けの規約に同意して運用するのが前提です。個人向けの規約だけでは足りない部分が出てきます。
企業アカウントに加わるビジネス向けの規約
サービス規約2条によれば、事業や団体を代表して利用する場合は、その事業者自身が規約の当事者になります。担当者は事業者を拘束する権限があることを保証し、事業者は従業員や委託先がアカウントを使うことについて法的にも金銭的にも責任を負います。
5条は、TikTokの明示的な書面による同意なく商用の広告や勧誘に使うことを禁じています。TikTok For Business、広告マネージャー、ビジネスセンターのアカウントで利用する事業者には、TikTok For Businessの商用利用規約が別に適用されます。運用を代行会社に任せている場合でも、規約の当事者は企業自身です。違反でアカウントを失ったときの責任分担は、委託契約で決めておく必要があります。委託契約では、アカウントの名義と管理者、ログイン情報の扱い、投稿前の承認、素材の権利処理、違反時の補償、終了時の引き継ぎを決めておきます。
参考:TikTok For Business Commercial Terms of Service(Last Revised: January 2026)
PR投稿はコンテンツ開示設定とステマ規制に注意
ガイドラインは、自社の商品やサービスを宣伝する投稿と、見返りを受けてブランドの商品を紹介する投稿に、開示を求めています。コンテンツ開示設定を使って、商業目的であることを示す仕組みです。開示のない投稿は表示を制限され、繰り返せば投稿の制限やアカウントの永久停止につながる可能性があります。対価を受けて宣伝する投稿には、2026年8月31日発効のブランドコンテンツポリシーも適用されます。
日本の法律でも、2023年(令和5年)10月1日から、広告であることを隠した宣伝、いわゆるステルスマーケティングは景品表示法の不当表示にあたります。規制を受けるのは商品やサービスを供給する事業者で、依頼を受けて投稿するだけのインフルエンサーは原則として罰則の対象外です。ただし、事業者と一体と認められる従業員の投稿は事業者の表示に含まれ、自社の商品を宣伝するインフルエンサーは本人が事業者として規制を受けます。TikTokのガイドライン上は、投稿者自身がコンテンツ開示設定を使う義務を負います。
PRを依頼する企業は、契約に広告の表示と開示設定の使用を義務として書き、投稿前に内容を、公開後に表示を確かめて記録を残しておくと、指摘を受けたときに説明できます。PR動画を自社のサイトや広告に使い回すなら、媒体と期間、出演者の肖像の扱いも契約で決めておきます。
参考:消費者庁『令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。』
参考:一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示(令和5年内閣府告示第19号)(令和5年3月28日告示・令和5年10月1日施行)
TikTokの利用規約に違反した場合の措置
違反に対する措置は、投稿の削除からアカウントの永久停止まで段階があります。
投稿の削除やアカウントの停止
ガイドラインは、違反の内容に応じて、警告、機能やアカウントの一時的な制限、アカウントの永久停止を使い分けるとしています。永久停止になりうるのは、違反を繰り返した場合、1回でも重大な違反をした場合、措置を逃れようとした場合などです。
規約の4条と5条も、違反時のアカウントの無効化と、事前の通知なしの削除を定めています。重大な違反や措置の回避があると、関連するアカウントも含めてすべて停止されることがあります。サブアカウントに移っても措置を逃れられるとは限りません。
参考:TikTok コミュニティガイドライン『アカウントと機能』(2026年9月24日発効)
アカウントの停止に納得できないときの異議申し立て
アカウントの永久停止や投稿の削除、おすすめフィードからの除外が誤りだと考える場合は、その決定に異議を申し立てることができます。申し立ての状況はアプリ内のセーフティセンターで確認できます。
著作権侵害の報告で削除された場合は、著作権者に通知の撤回を求めるか、アプリ内の通知から異議を申し立てます。どちらでも、自分で撮影した、許諾を得ているなど、削除が誤りだと言える理由を具体的に示さないと認められにくくなります。知的財産権ポリシーは、異議の内容が連絡先とともに申立人に転送されることがあり、それをもとに訴訟を起こされうると説明しています。権利関係に自信がなければ、申し立てる前に専門家に相談してください。
参考:TikTok コミュニティガイドライン『執行』(2026年9月24日発効)
権利侵害の申立てと身元の開示
7条Bは、投稿が知的財産権やプライバシーの侵害にあたると申し出た第三者に対して、TikTokが投稿者の身元を開示する権利を持つと定めています。無断転載などで知的財産権やプライバシーを侵害した側にとっては、匿名のアカウントでも相手に身元が伝わりうるということです。
被害を受けた側から見ると、TikTokが任意に身元を明かす場面は限られます。投稿者の特定は、情報流通プラットフォーム対処法に基づく発信者情報開示の手続で裁判所に求めるのが一般的です。権利侵害が明らかであることなどが要件で、通信記録の保存期間は短いため早めに動く必要があります。誹謗中傷の対応は次の記事で扱っています。
TikTokの利用規約は法的にどこまで有効か

規約はTikTokが一方的に用意したものです。それでも利用者を拘束するのか、書かれていることは全部有効なのか。本則は準拠法、つまり契約を解釈する国の法律をシンガポール法としています。それでも日本に住む消費者は、法の適用に関する通則法11条により、日本法のうち合意で外せない規定(強行規定)の適用を主張できます。消費者として使う人には、日本の民法と消費者契約法が手がかりになります。
利用規約が定型約款として契約内容になる仕組み
定型約款とは、大勢の人と同じ内容で契約するために、事業者があらかじめ用意した契約条件のまとまりです。SNSの利用規約は、一般に定型約款にあたると解されています。
サービスを使う合意をした利用者は、規約を契約の内容とすることに合意したとき、またはTikTokがあらかじめその旨を利用者に表示していたときに、個々の条項にも合意したものとみなされます。条文を読んだかは問われません。ただし、利用者の権利を狭め、義務を重くする条項のうち、取引の実情や社会通念に照らして信義則に反し、利用者の利益を一方的に害するものは、合意しなかったものとみなされます。信義則とは、相手の信頼を裏切らず誠実にふるまう原則です。
規約の変更はいつから効力を持つか
サービス規約3条は、改訂日以降もサービスを使い続けた利用者は改訂後の規約を受諾したことになると定めています。重大な変更をするときは、プラットフォーム上の通知などで知らせる努力をするともしています。
民法上、定型約款を個別の同意なしに変更できるのは、変更が利用者全体の利益になる場合か、契約の目的に反せず、必要性や内容の相当性などから合理的な場合に限られます。変更が効力を持つ日を決め、内容とともにインターネットなどで知らせる必要もあります。合理性を理由とする変更は、その日までに知らせなければ効力を持ちません。使い続けたという事実だけで、どんな変更でも有効になるとは限りません。
責任の制限と日本のユーザー向けの補足条項
サービス規約10条は、利益の損失やデータの喪失などについてTikTokは責任を負わないとしています。その他の損失も、過去12か月間に利用者がTikTokに支払った金額が上限です。11条aは準拠法をシンガポール法とし、紛争は裁判所ではなく仲裁人が判断する仲裁で、シンガポール国際仲裁センターの手続により解決すると定めます。
日本で利用する人には特定法域向けの補足条項が適用され、本則と食い違う部分は補足条項が優先します。補足条項は、裁判を東京地方裁判所でしか起こせない専属管轄とし、TikTokの故意または重過失による損害には10条の責任の制限を適用しないと定めています。補足条項は見出しに準拠法を掲げながら本文では管轄だけを定めており、どの国の法が準拠法になるかには解釈の余地が残ります。
▼ 責任の制限と紛争解決の条項の比較
| 項目 | サービス規約の本則 | 日本の補足条項 |
|---|---|---|
| 紛争の解決 | シンガポール法を準拠法とし、シンガポールでの仲裁 | 東京地方裁判所の専属管轄 |
| 責任の制限 | 利益の損失などは責任を負わず、その他も過去12か月の支払額まで | 故意・重過失による損害には制限を適用しない |
消費者契約法8条は、事業者の債務不履行に基づく損害賠償責任を全部免除する条項と、故意・重過失による債務不履行に基づく損害賠償責任を一部でも免除する条項を無効としています。軽い過失に限ると明示しない一部免除の条項も無効です。補足条項の故意・重過失の除外は、この線引きに沿った建て付けです。
ただし消費者契約法が働くのは、個人として利用する消費者との契約です。企業アカウントは消費者にあたらず、事業として収益を得るクリエイターも実態によってはあたらない可能性があります。それでも民法の定型約款の規律は残りえます。企業アカウントにはビジネス向けの規約が別に適用されるため、上の表は個人の利用者向けの比較として読んでください。
参考:消費者契約法 2条・8条・10条(e-Gov法令検索)
参考:TikTok サービス規約(日本語)特定法域向け補足条項(最終更新日:2020年2月)
TikTokの利用規約に関するよくある質問
TikTokの利用規約がやばいと言われるのはなぜですか
投稿への利用許諾が広いことと、収集される情報の幅が広いことが主な理由です。投稿した動画は、TikTokが変更や配信に使い、ほかのユーザーにも使わせられる契約です。プライバシーポリシーは、位置情報、端末の情報、キーストロークのパターン、投稿に写った顔や身体的特徴、音声の特性などを収集しうると定めています。
参考:TikTok プライバシーポリシー(最終更新日:2025年6月2日)
利用規約に同意しないとどうなりますか
TikTokを利用できません。サービス規約2条は、規約に同意しない人はサービスへのアクセスと利用を控えるよう求めています。規約上はアクセスした時点で受諾したものと扱われ、条項ごとに拒む方法は用意されていません。ただし、法律上無効とされる条項は、同意していても効力を持ちません。
最新の利用規約はどこで確認できますか
TikTokの公式サイトの法務ページで確認できます。サービス規約は冒頭に最終更新日が、コミュニティガイドラインには公開日と発効日が表示され、ガイドラインのページからは以前の版も見られます。
まとめ:TikTokの利用規約は投稿前と商用利用の前に確認を
TikTokの利用規約は、サービス規約とコミュニティガイドライン、プライバシーポリシーなどが重なってできています。13歳以上で使え、投稿した動画の著作権は手元に残る一方で、TikTokには無償で永続的な利用許諾を与えます。
企業がPRに使う場合は、個人向けの規約に加えて商用の規約と景品表示法のステマ規制がかかります。規約に書かれていることがすべて有効とは限らず、日本の利用者には補足条項と消費者契約法による歯止めもあります。アカウントの停止や権利侵害の申立て、企業アカウントの運用で判断に迷ったときは、早い段階でご相談ください。
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カテゴリー: YouTuber・VTuber法務
タグ: YouTuber:利用規約

































