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景品表示法違反とは?違反事例と措置命令・課徴金までの流れを弁護士が解説

注意喚起

広告に「業界No.1」と書いた、キャンペーンで景品を配った、インフルエンサーに投稿を依頼した。どれも日常の販促ですが、やり方を誤ると景品表示法違反になります。

違反が疑われると、まず消費者庁や都道府県からの調査が入ります。そこで求められるのは、その表示の裏付けとなる資料です。求められてから探し始めても、提出期限は原則15日しかありません。広告を作った時点で根拠を残していたかどうかが、そのまま結論を分けます。

では、どこからが違反になるのか。調査が入ると何が起きるのか。実際に行政処分(措置命令)を受けた事例と、処分に至らせずに収める確約手続までを、条文に沿って見ていきます。

景品表示法違反とは|不当表示規制と景品規制の2つ

景品表示法違反とは、事業者が自分の供給する商品やサービスについて不当な表示をすること、または限度額を超える景品類を提供することをいいます。正式名称を不当景品類及び不当表示防止法といい、規制は表示と景品の2本立てです。

この2つは根拠条文も処分の重さも違います。表示の側は5条が直接に禁止していますが、景品の側は4条が制限や禁止の枠を定め、実際の限度額は内閣総理大臣の告示に置かれています。課徴金の対象になるのも表示の側だけです。

▼ 景品表示法が禁止している2つの行為

不当表示規制景品規制
根拠条文5条4条とこれに基づく告示
禁止される行為実際よりも著しく優良・有利だと一般消費者に誤認させる表示告示で定めた最高額・総額を超える景品類の提供
主な類型優良誤認表示(1号)/有利誤認表示(2号)/指定告示による表示(3号)一般懸賞/共同懸賞/総付景品/カード合わせ
措置命令対象(7条1項)対象(7条1項)
課徴金納付命令対象。ただし3号に該当する表示は除かれる(8条1項)対象外
直罰5条1号・2号のみ対象(48条)対象外
景品表示法違反とは|不当表示規制と景品規制の2つ

不当表示規制への違反|景品表示法5条

5条が禁止するのは、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれのある表示です。類型は3つに分かれます。

1号の優良誤認表示は、商品やサービスの品質・規格その他の内容について、実際のものよりも著しく優良だと示す表示です。2号の有利誤認表示は、価格その他の取引条件について、実際のものよりも著しく有利だと誤認させる表示をいいます。

3号は、内閣総理大臣が指定する告示で個別に定められた表示です。おとり広告、無果汁の清涼飲料水の表示、不動産のおとり広告などがあり、令和5年(2023年)10月1日からはステルスマーケティングもここに加わりました。施行前に依頼した投稿でも、現在も表示され続けていれば対象になり得ます。3号に当たる表示は課徴金の対象から外れており、この点だけは1号・2号と扱いが違います。

景品規制への違反|景品表示法4条と告示の限度額

景品の側は、4条が景品類の価額の最高額や総額を制限する枠を定め、具体的な金額は告示に置かれています。懸賞の形態によって限度額が変わり、複数の事業者が共同で行う共同懸賞は枠が広く、購入者や来店者全員に配る総付景品は別の基準になります。取引価額の区分ごとに上限が決まっているので、企画の段階で当てはめておく必要があります。

懸賞による景品類の提供に関する事項の制限のなかで、唯一、全面的に禁止されているのがカード合わせです。異なる種類の絵柄やアイテムを揃えさせて景品類を提供する仕組みが対象で、典型的にはオンラインゲームのコンプガチャがこれに当たります。該当するかどうかは、仕組みの設計をもとに個別に判断されます。

違反を問われるのは誰か

措置命令が向くのは、表示内容の決定に関与した事業者です。1つの表示について、複数の事業者が名宛人になることもあります。広告の制作を代理店に任せていても、自分が供給する商品について表示をしたのが自社であれば、責任を免れる理由にはなりません。

7条1項は、違反行為をした事業者が合併で消滅した場合の存続法人や、分割で事業を承継した法人、事業を譲り受けた事業者に対しても命令できると定めています。会社を再編しても処分が消えるわけではないという建て付けです。アフィリエイターやインフルエンサーが行った表示について広告主が責任を負うかは、依頼の内容や関与の度合いによって判断が分かれると解されます。

制作や発信を外部に委ねる場合は、契約で手当てしておきます。表示の根拠資料を提出させること、公開前に内容の承認を得ること、承認した表示を勝手に変えないこと、事業者の表示であることを明示させること。管理措置指針も、表示等の作成を他の事業者に委ねる場合にはその事業者に対しても周知・啓発と法令遵守の方針の明確化を行うよう求めています。

景品表示法違反となる表示の類型と実際の違反事例

景品表示法違反となる表示の類型と実際の違反事例

処分の実例を見ると、どこで線が引かれているかが分かります。以下はいずれも消費者庁が公表している事案で、命令日と適用条文まで公表資料で確認できます。

優良誤認表示の事例

消費者庁は令和7年8月1日、P&Gジャパン合同会社に対して措置命令を行いました。同社が供給する浴室用の防カビ剤の表示について、5条1号に該当する行為が認められたためで、根拠条文は7条1項です。問題になったのは、商品パッケージの「お風呂に置くだけで黒カビを防ぐ」「防カビ効果は約6週間持続します」といった表示です。消費者庁が7条2項に基づいて根拠資料の提出を求めたところ資料は提出されましたが、表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものとは認められませんでした。

参考:消費者庁|P&Gジャパン合同会社に対する景品表示法に基づく措置命令について

令和8年4月27日と28日には、尿失禁対策用の下着を販売する2社に対して、同じく5条1号に該当するとして措置命令が出ています。効果や性能をうたう表示は、その裏付けを求められる場面がとくに多い領域です。

参考:消費者庁|尿失禁対策用の下着販売事業者2社に対する景品表示法に基づく措置命令について

有利誤認表示の事例

令和8年6月11日、消費者庁はスマートフォンとタブレットの買取サービスの表示について、5条2号に該当するとして措置命令を行いました。価格や取引条件を実際より有利に見せる表示は、売る側だけでなく買い取る側の広告でも問題になります。この事案は消費者庁と公正取引委員会の調査結果を踏まえたものと公表されています。問題になったのは、SNSの公式アカウントで「買取金額10%UP」と期限つきのキャンペーンを告知していた表示です。実際には、期限後に申し込んだ場合でも、期限内と同じか、それ以上に有利な割増率で買い取っていました。

参考:消費者庁|株式会社ゲオストアに対する景品表示法に基づく措置命令について

指定告示に基づく違反の事例

ステルスマーケティングは、5条3号の告示に基づいて処分されます。令和8年6月29日には健康食品の販売事業者に対して措置命令が出ました。令和8年8月6日には写真加工アプリの提供事業者2社が、同じく5条3号に該当するとして措置命令を受けています。

参考:消費者庁|高光製薬株式会社に対する景品表示法に基づく措置命令について

参考:消費者庁|「SNOW」と称するアプリケーションの利用サービスの提供事業者2社に対する景品表示法に基づく措置命令について

運用基準は、事業者が表示内容の決定に関与したと認められる場合を対象としています。関与が認められれば、投稿したのが第三者であっても、処分の名宛人になるのは広告主の側です。関与の有無は、表示内容への指示、対価の提供、継続的な関係などから判断されます。

参考:消費者庁|「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」の運用基準

景品表示法違反が発覚してから処分までの流れ

調査が始まってから処分が出るまでには、いくつもの分岐があります。どの段階でどう動くかによって、措置命令まで進むのか、確約手続で収めるのかが変わります。

景品表示法違反が発覚してから処分までの流れ

端緒|消費者からの情報提供と調査の開始

消費者庁は、景品表示法違反の疑いがある表示について情報提供を受け付ける窓口を設けています。調査はこうした情報提供のほか、職権でも始まります。疑いがあると判断されると、関連する資料を集められ、担当者が事情を聴かれることになります。

参考:消費者庁|景品表示法に関する情報提供・相談の受付窓口

報告の徴収と立入検査への対応

消費者庁は、事業者に報告や帳簿書類の提出を命じ、事務所に立ち入って検査や質問をすることができます(25条1項)。

これに応じなかったり、虚偽の報告をしたりすると、47条により1年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金の対象になります。元の表示に問題があったかどうかとは別に、調査への対応それ自体が罰則付きの義務です。社内で回答を作る前に、求められている事項の範囲を正確に特定し、事実と評価を切り分け、社内の資料の所在を確認しておく必要があります。回答を拒む、遅らせるという選択肢はありません。

連絡を最初に受けるのは、多くの場合は現場か広報です。受けた者が社内の誰に上げるのか、回答案を誰が作るのか、どの段階で外部の弁護士に連絡するのかを、あらかじめ決めておきます。調査が始まってから社内の役割を決めていると、それだけで期限を使い切ります。

表示の裏付けとなる資料の提出は原則15日

7条2項は、表示が5条1号に当たるかを判断するために必要があるときは、その表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができると定めています。求めに応じて資料を出さないと、その表示は5条1号に該当する表示とみなされます。これを不実証広告規制といいます。この規定は1号の優良誤認表示についてのもので、2号の有利誤認表示には及びません。提出した資料は、客観的に実証された内容で、表示された効果や性能と対応している必要があります。課徴金の判断過程にも、8条3項に同じ資料提出の求めがあります。課徴金納付命令の判断のために求められた資料を出さない場合は、その表示は5条1号に該当する表示と推定されます。

提出期限は、資料の提出を求められた日から原則15日後です。書面で申し出て正当な理由があると認められれば延長されますが、新たに試験や調査を実施する必要があるといった理由は正当な事由として認められにくいとされています。つまり、広告を出した後に根拠を作ることは想定されていません。

参考:消費者庁|不当景品類及び不当表示防止法第7条第2項の運用指針―不実証広告規制に関する指針―

処分を行うのは消費者庁だけではない

38条11項により、消費者庁長官に委任された権限の一部は都道府県知事が行うことができます。施行令23条で都道府県知事が行うとされているのは、措置命令と不実証広告の資料提出要求、報告の徴収などです。課徴金納付命令は含まれておらず、消費者庁が行います。

令和8年2月17日の課徴金納付命令は、令和5年3月14日に埼玉県が行った措置命令を踏まえて消費者庁が発出したものです。都道府県の措置命令を受けた後に、国から課徴金が課される流れが実際に起きています。

参考:消費者庁|株式会社くまのみに対する景品表示法に基づく課徴金納付命令について

景品表示法違反に科される処分と罰則

景品表示法違反に科される処分と罰則

処分といっても、行政・民事・刑事で性質がまるで違います。同じ違反行為に対して、行政処分と刑事罰が重なることもあります。

▼ 景品表示法違反に対する処分と罰則

処分・罰則根拠条文内容対象となる違反
措置命令7条1項違反行為の差止め、再発防止に必要な事項、一般消費者への周知などを命じる。命令を行った行政庁が公表する4条違反・5条違反
課徴金納付命令8条1項課徴金対象期間の売上額の3%。150万円未満は課されない5条1号・2号違反
課徴金の加算8条5項基準日から遡り10年以内に課徴金納付命令を受けていた場合は4.5%5条1号・2号違反
確約手続26条〜33条認定を受けると措置命令と課徴金納付命令が適用されない4条違反・5条違反の疑い
差止請求34条適格消費者団体が行為の停止や予防を請求できる。行政処分ではない5条1号・2号に相当する表示
刑事罰(措置命令違反)46条1項2年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金。情状により併科措置命令に従わなかった場合
刑事罰(調査妨害)47条1年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金報告拒否・虚偽報告・検査拒否など
刑事罰(直罰)48条100万円以下の罰金。措置命令を経ずに科される5条1号・2号の表示
法人重科49条1項46条1項違反は法人に3億円以下の罰金。47条・48条は各本条の罰金刑上記の刑事罰

措置命令と公表

措置命令は、違反行為の差止め、再発防止に必要な事項、一般消費者への周知などを命じる行政処分です。違反行為が既になくなっていても出すことができます。命令は措置命令書の謄本を送達して行われ、事業者名と違反の内容が消費者庁のサイトに掲載されます。報道されれば取引先や採用にも影響が及びます。

措置命令が出される前には、行政手続法に基づき、原則として弁明の機会が与えられます。

もっとも、措置命令を受けた場合でも、これを争うことができないわけではありません。行政不服審査法に基づく審査請求は、原則として処分があったことを知った日の翌日から3か月以内、行政事件訴訟法に基づく取消訴訟は、原則として処分があったことを知った日から6か月以内に提起する必要があります。また、これらとは別に、正当な理由がある場合を除き、処分の日から1年を経過すると審査請求や取消訴訟ができなくなる期間制限もあります。そのため、措置命令を受けた場合には、命令の内容を確認した上で、速やかに不服申立てや取消訴訟の要否を検討する必要があります。

課徴金納付命令

対象になるのは、違反する表示をしていた期間(課徴金対象期間)の売上額です。そこに3%を掛けた額が課徴金になります。対象は5条違反のうち3号に該当する表示を除いたもので、景品規制の違反には及びません。算定額が150万円未満であれば納付は命じられません。対象期間は最長3年で、これを超えるときは末日から遡って3年分となります。違反行為をやめた日から5年を経過すると、納付を命じられません。

表示が優良誤認や有利誤認に当たると知らなかった場合で、知らなかったことに落ち度がなかったと認められるときも、納付は命じられません。社内で表示の根拠を確認する仕組みがあったかどうかが、ここで問われます。

ただし、この規定が適用される場面は限定的です。管理上の措置を整えていれば当然に免れる、という性質のものではありません。

参考:消費者庁|不当景品類及び不当表示防止法第8条(課徴金納付命令の基本的要件)に関する考え方

確約手続による処分の回避

令和6年10月1日に施行された確約手続は、消費者庁から通知を受けた事業者が、是正の計画を作って認定を申請する仕組みです。事業者の側から任意に始められる制度ではありません。認定を受けると、その行為について措置命令と課徴金納付命令は適用されません。

認定を受けた後でも、計画どおりに措置が実施されていないと認められれば認定は取り消され、その行為は措置命令と課徴金納付命令の対象に戻ります。

手続は行為が現に行われているかどうかで2本に分かれます。現に行われている場合は26条の通知を受けて是正措置計画を、既になくなっている場合は30条の通知を受けて影響是正措置計画を作ります。どちらも、通知を受けた日から60日以内に申請しなければなりません。

実際に、有料会員制ファンクラブのサービス内容の表示をめぐる事案で、令和7年12月5日に通知を受けた事業者が確約計画の認定を受けています。消費者庁は、この認定は違反を認定したものではないと明示しています。

参考:消費者庁|株式会社千葉ロッテマリーンズから申請があった確約計画の認定について

ただし、措置命令を出す前段階の手続(行政手続法30条の通知)に進むと、確約手続の入口である26条・30条の通知は行われません。使えるかどうかは早い段階で決まるため、調査の初期に方針を立てる必要があります。

参考:消費者庁|確約手続に関する運用基準

適格消費者団体からの請求

適格消費者団体とは、消費者に代わって差止請求ができる団体として内閣総理大臣の認定を受けた消費者団体です。優良誤認表示や有利誤認表示に相当する表示について、行為の停止や予防に必要な措置を請求できます。行政処分ではなく民事上の請求なので、消費者庁の調査とは別に進みます。

35条は、適格消費者団体が事業者に対し、表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の開示を要請できると定めています。事業者は、営業秘密が含まれる場合その他の正当な理由がある場合を除き、この要請に応じるよう努めなければなりません。

刑事罰と法人への重科

措置命令に従わなかった場合、46条1項により2年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金が科されます。情状により両方を科すこともできます。この違反については、49条1項1号によって法人に3億円以下の罰金が科されます。

令和5年改正では、措置命令を経ずに罰則を科す直罰規定が新設されました。48条により、優良誤認表示や有利誤認表示をした者は100万円以下の罰金の対象になります。行政処分と違って刑事罰なので故意が必要となり、過失による表示が直ちに対象になるわけではありません。行為者本人だけでなく法人にも同額の罰金刑が科されるため、役員や担当者が個人として処罰される可能性がある点が、従来との大きな違いです。

参考:消費者庁|令和5年改正景品表示法(概要)

景品表示法違反を防ぐために企業がすべきこと

表示の適正さを担保する仕組みは、任意の取り組みではありません。景品表示法は事業者に体制の整備を求めています。

景品表示法違反を防ぐために企業がすべきこと

表示等の管理上の措置は法律上の義務

22条1項は、事業者に対し、景品類の価額や表示に関する事項を適正に管理するための体制整備などの措置を講じるよう求めています。努力目標ではなく、事業者に課された義務です。

もっとも、指針は規模や業態、取り扱う商品の内容などに応じて必要かつ適切な範囲で措置を講じれば足りるとしています。小規模な事業者では、代表者が表示を管理しているのであれば代表者をその担当者と定めることもできます。

運用に落とすときは、誰が起案し、誰が確認し、誰が承認するのかを決めておきます。事業部が原稿を起案し、表示管理担当者が根拠資料と突き合わせ、法的な評価が必要なものだけ法務や外部に回す。この順序を規程に書いておくと、現場が判断に迷ったときの逃げ道になります。

何をすればよいかは、22条2項に基づく指針が示しています。挙げられている措置は次のとおりです。そのまま社内規程の章立てに使えます。指針は令和6年4月18日に改正されており、古い版で社内規程を作っていれば見直しが必要です。

▼ 指針が挙げる表示等の管理上の措置

指針が挙げる措置社内で決めておくこと
景品表示法の考え方の周知・啓発誰に、どの頻度で、どこまで伝えるか
法令遵守の方針等の明確化方針を文書にするか、既存のコンプライアンス規程に組み込むか
表示等に関する情報の確認表示を作る前に何を確認するか、確認した記録の残し方
表示等に関する情報の共有事業部と法務、外部の制作会社との間で何を共有するか
表示等を管理するための担当者等を定めること表示管理担当者を誰に置くか、兼務を認めるか
根拠となる情報を事後的に確認するための措置根拠資料の保存場所、保存期間、参照できる範囲
不当な表示等が明らかになった場合の迅速かつ適切な対応誰に報告し、誰が公表や自主報告の可否を決めるか

参考:消費者庁|事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針

根拠資料を残すタイミング

提出を求められてから根拠を作ることはできません。表示内容を決めた時点で、その根拠となる試験結果や調査資料、誰がその内容を確認したのかを記録として残しておく必要があります。

とくに効果や性能をうたう表示、他社との比較、価格の表示は、後から説明できるかどうかで結論が変わります。広告の原稿と根拠資料をひとつのファイルにまとめておけば、15日という期限のなかで何を出すかを選ぶ余地が残ります。ただし資料が合理的な根拠と認められるかは内容次第で、保管しているだけでは足りません。

保存期間の目安は、掲載が終わった後も課徴金を命じられる可能性がある期間から逆算します。課徴金は違反行為をやめた日から5年を経過すると命じられません。広告1本ごとにフォルダを分け、担当者が異動しても辿れるようにしておくと、調査が入ったときに探し直す手間がなくなります。

課徴金を減らせる場合

9条は、課徴金対象行為に該当する事実を自ら報告したときは、課徴金の額を50%減額すると定めています。ただし、調査が入ったことを察してから報告しても、減額は受けられません。減額されるのは課徴金だけで、措置命令や公表を免れるものではありません。気づいた時点で動くかどうかで、減額を受けられるかが決まります。

そのためには、現場が疑いに気づいた時点で法務に上がる道筋と、自主報告するかどうかを誰が決めるのかを、あらかじめ決めておく必要があります。社内で持ち回っているうちに調査が始まれば、報告しても減額の対象から外れます。

10条は、対象期間に取引をした一般消費者へ返金措置を実施した場合に、その金額を課徴金から減額する仕組みを定めています。あらかじめ実施予定返金措置計画を作り、弁明書の提出期限までに提出して認定を受けることが前提で、返金額は購入額の3%以上である必要があります。独自に返金しても当然に減額されるわけではありません。令和5年改正により、返金の方法として電子マネー等も使えるようになりました。

社内チェックと外部レビューの線引き

表示のチェックには、文言が誇大かどうかを見る作業と、その表示が5条のどの号に当たり得るのかを判断する作業があります。後者は法的な評価なので、条文と告示、運用基準、過去の処分事例を突き合わせて検討します。社内で完結させてよいのは、事実をそのまま伝える表示です。効果や性能をうたう表示、他社との比較、No.1をうたう表示、価格を訴求する表示は、外部のレビューに回す線引きにしておくと事故が減ります。

まとめ:景品表示法違反を疑われたら早い段階で弁護士に相談を

まとめ:景品表示法違反を疑われたら早い段階で弁護士に相談を

景品表示法違反への対応は、時間との勝負になります。表示の裏付けとなる資料の提出期限は原則15日、確約計画の申請期限は通知を受けた日から60日です。しかも確約手続は、措置命令の手続が進んでしまうと選べなくなります。

調査の連絡を受けた段階で何をどう答えるかが、その後の分岐を決めます。社内で回答をまとめてから相談するのではなく、回答を作る前の段階で法的な見通しを立てておくほうが、選べる手段は多く残ります。

当事務所による対策のご案内

モノリス法律事務所は、IT分野、とくにインターネットと法律の両面に強みを持つ法律事務所です。広告表現のリーガルチェック、キャンペーンや懸賞の景品設計、表示管理体制の整備、調査が入った後の対応まで対応しています。詳細は下記のページをご覧ください。

弁護士 河瀬 季

モノリス法律事務所 代表弁護士。元ITエンジニア。IT企業経営の経験を経て、東証プライム上場企業からシードステージのベンチャーまで、100社以上の顧問弁護士、監査役等を務め、IT・ベンチャー・インターネット・YouTube法務などを中心に手がける。

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