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法律記事MONOLITH LAW MAGAZINE

風評被害対策

じゃらんnetの口コミを削除する方法

風評被害対策

旅行の宿泊先の予約にじゃらんnet(以下、じゃらん)を利用するという方は多いものです。もし、じゃらんの口コミに悪い内容の口コミが掲載されていたら、利用を検討していた旅館を予約するのを躊躇してしまいます。近年、ネット社会の発展により、サイトにおける風評被害が大きな問題となっています。今回はじゃらんの口コミによる風評被害とその対策について説明していきます。

じゃらんとは?

じゃらんではホテルや旅館などの予約が行えたり、観光地の情報などを得ることができます。

じゃらんとは、ネットを介して温泉宿やホテルなどの予約が取れる国内大手旅行サイトです。温泉宿やレジャー・遊びの特集が多いという特徴があります。運営母体が広告業を本業とするリクルート社ということもあり、ブームや流行を自ら生み出しお客様に提示する手法を取っているのです。Pontaポイントの利用ができ、当日予約やじゃらん限定プランもあります。

じゃらんに投稿される悪質な口コミとは?

宿泊する宿を決める際に、口コミを参照することも多いでしょう。その口コミに宿の評判を落とすような内容が書きこまれていたら客足が遠のく恐れがあります。ここでは、じゃらんに投稿される悪質な口コミにはどういった内容のものがあるのか紹介していきます。

実体験に基づかない口コミ

「二度と利用しない」「最低のホテルだった」などの内容を、実際にその宿泊施設を利用したことが無い人が投稿することもあります。こういった口コミは、宿泊施設側にとっては絶対に許せないことです。じゃらんが独自に定めている「口コミ投稿の掟」の禁止事項には「利用者自身の体験や、じゃらんを利用しての利用経験に基づいていない投稿をすること」や「実際に宿泊していない会員が投稿すること、又は会員以外に投稿させること」という文言があるため、実体験に基づかない口コミはこの規定に抵触する恐れがあります。

ウソの口コミ

「不満な場合は返金してもらえる」「サイトには載せられていない隠しサービスがある」といった、事実と反する内容の口コミも悪質な口コミの一種です。ホテルの管理者から見れば、実際には存在しないサービスのことが書きこまれているため、ウソであることは一目瞭然ですね。「口コミ投稿の掟」の禁止事項第5項「事実と反する内容・虚偽の内容を投稿すること」に抵触する恐れがあります。

連続投稿された口コミ

同一の内容を連続して投稿するのも悪質な口コミのひとつです。俗にいう、口コミ投稿欄の荒らし行為に当たるといえます。連続投稿の口コミも「口コミ投稿の掟」の禁止事項第6項「同一内容を意図的に多数投稿すること」に抵触する恐れがあります。

利用者と施設間で起きた問題に関する口コミ

ホテルに泊まったことで何らかのトラブルに巻き込まれたとしても、それはホテルと利用者の当事者間の問題であり、施設とは関係ありません。例えばホテル内で財布を盗まれたとしても、その事件と他の利用者は関係ありません。「口コミ投稿の掟」の禁止事項9項「当該利用者と掲載施設にまつわる、当事者間の問題と当社が判断した内容を投稿すること」に抵触する恐れがあります。

内容や表現的に問題のある口コミ

誹謗中傷や名誉毀損といった表現や内容の口コミも宿の評判を落とす悪質な口コミの一種です。「口コミ投稿の掟」には内容・表現に関する禁止事項も定められており、具体的には以下のような制限が設けられています。

  • 名誉など、他人の権利を侵害する表現
  • 個人のプライバシーに関する事項を含むもの
  • 誹謗中傷や差別表現など不適切な内容を含むもの
  • わいせつや卑猥な表現を含むもの

内容に関する制限は上記が全てはないため、更に詳しく知りたい方は規約を確ご参照下さい。。

利用規約違反で削除請求する方法

悪質な口コミを削除請求する方法とは?

前章で悪質な口コミの具体例とともに、該当するじゃらんの「口コミ投稿の掟」の禁止事項も紹介しました。この禁止事項に抵触していれば、規約に違反しているとして削除請求することが可能です。別途、違反の証明は必要無いので単純な作業で削除請求することが可能です。

なお、投稿者を特定する方法については、下記の記事で解説しております。

削除請求の方法

じゃらんの管理画面からサポートデスクの連絡先を見つけ、電話やメモで削除請求を行います。その際に、伝える内容としては以下の通りです。

【必須事項】

  • 生年月日
  • 予約番号
  • 宿泊施設名
  • 削除の理由

削除の理由として、具体的に伝える項目には以下のものが考えられます。

  • 対象の口コミを行ったユーザー名
  • 対象の口コミの投稿日
  • 削除請求を行いたい表現
  • 内容の箇所
  • 違反していると思料される規約

実は、じゃらんの運営側でも口コミを審査し、削除しています。「口コミ投稿の掟」のなかには掲示板運営者の権限に関する項目があり、その中で「掲載前の事前審査を行う権利」や「内容の一部修正又は削除する権利」があると定められています。注意して頂きたいのはこの審査はあくまでも「事前」審査にとどまるということです。つまり、掲載された口コミは修正や削除することができないのです。事前審査の段階での確認漏れが無いとも言い切れないため、違反だと思われる内容の口コミを発見したら報告しておくのが賢明です。

違法だとして削除請求する場合の例

悪質な口コミの中には法律に違反している内容のものも考えられます。風評被害に該当する口コミに関して、まず検討されるべきは「名誉毀損」です。名誉毀損は、「真実に反する、企業のイメージダウンに結びつくような具体的な事柄の口コミ」だと認められると成立する可能性が高いです。

ポイントは事実に反するかどうかという点です。例えば、「料理がマズイ」という口コミを名誉毀損で訴えようとしても、その訴えはほとんど却下されるでしょう。料理がマズイというのは利用者の主観による表現なので、事実に反しているとまでは言えないためです。これが、実際に存在しないサービスに関して述べられていて、かつ企業のイメージダウンを引き起こすような内容であれば、明確に事実に反しているため、名誉毀損が成立する可能性があります。この意味の「名誉毀損」に関しては、下記記事にて詳細に解説しています。

仮処分による削除

違法だとして削除を求める場合、裁判所を通じて削除を申し込むことになります。裁判を起こすと時間がかかるため、より迅速な方法として仮処分の手続きが考えられます。仮処分の場合、上記のような法律上の主張だけでなく主張を裏付ける証拠が必要です。こうした主張・立証は弁護士に依頼しないとなかなか難しいです。また迅速だからといって簡単に勝てる手続きとは限りません。むしろ仮処分の場合、審尋手続において実質的な議論が発生しやすいため弁護士の腕によって結果が左右されることが多いです。そのため、誹謗中傷の仮処分への経験がある弁護士に依頼するのが得策です。

仮処分による投稿者特定

弁護士に依頼し、悪質な口コミの投稿を特定するために、発信者情報開示請求を行うことも可能です。発信者情報開示請求では、口コミを行った投稿者のIPアドレスなどの情報開示を求めることができます。「発信者情報開示請求の手続き」に関しては、下記記事にて詳細に解説しています。

じゃらんでは会員として予約し実際に宿泊された方であれば、口コミの投稿が可能です。そのため、ライバルの宿泊施設やいたずらなどによって、根も葉もない誹謗中傷の口コミをされてしまう可能性は十分あります。そのような場合でも、投稿者のIPアドレスが分かれば、投稿者と特定できるでしょう。

まとめ

じゃらんでは「口コミ投稿の掟」というものを定め、様々な口コミの禁止事項を定めています。運営側で事前審査を行い、禁止事項に該当する口コミは修正・削除してくれています。確認漏れなどにより、投稿が公開されてしまうこともありますが、サポートデスクに連絡し削除請求を行えば対応してもらえます。しかし、規約違反には該当しないと言われてしまうと、裁判所に対し違法による削除を求めるしかありません。仮処分や投稿者特定といった手続きも可能ですが、こうした手続きには法律の知識が必要となるので弁護士に依頼するのがおすすめです。

弁護士 河瀬 季

モノリス法律事務所 代表弁護士。元ITエンジニア。IT企業経営の経験を経て、東証プライム上場企業からシードステージのベンチャーまで、100社以上の顧問弁護士、監査役等を務め、IT・ベンチャー・インターネット・YouTube法務などを中心に手がける。

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