PINKちゃんねるの悪質なコメント投稿者を特定する方法
PINKちゃんねるという掲示板をご存じでしょうか。主にAVやアダルトサイト、風俗など大人向けのテーマを扱う匿名掲示板で、18歳未満は利用することができません。
PINKちゃんねるでは、その匿名性から個人やお店へ風評被害をもたらすような悪質なコメントが書き込まれる場合もあります。
本記事では、PINKちゃんねるに投稿された悪質なコメントの投稿者を特定する方法について解説します。
この記事の目次
PINKちゃんねるについて
PINKちゃんねるは、成人向けの匿名掲示板です。
この掲示板は「ピンク板」「BBSPINK」とも呼ばれ、利用者は、スレッドを立てたり、レスを書き込んだりすることができます。「使い方&注意(仮)」ページによれば、PINKちゃんねるはアメリカ人の「JIM」さん(詳細非公開)によって運営されているということです。
悪質な書き込みの例
PINKちゃんねるの悪質な書き込みには、どのようなものが考えられるのでしょうか。
- ○○店勤務のAに性病うつされた
- △△店Bの実名は「C」、昼間は□□株式会社で働いてるよ
こうした書き込みがされている場合、削除依頼をすればPINKちゃんねる削除ガイドラインに従って削除される可能性があります。
ただ、削除依頼は掲示板上で行うため、公に依頼をすることでかえって悪質な書き込みが増えるリスクがあります。
また、削除ガイドラインで削除対象となっていても、すぐに削除されない可能性もあります。書き込みによる被害の拡大を防止するためには、投稿者特定手続を検討しましょう。
投稿者特定手続とは
PINKちゃんねるの投稿者特定手続は、以下の手順で進行します。
- IPアドレス開示請求
- ログの削除禁止
- 住所氏名開示請求
- 損害賠償請求
各々の手続について、詳しく説明します。
IPアドレスの開示請求
投稿者特定手続では、まずIPアドレスの開示請求を行います。
IPアドレスとは
IPアドレスとは、インターネットに接続された機器(PCやスマホなど)が持つナンバーを指します。PINKちゃんねるは匿名掲示板であり、利用時にユーザー登録をする必要はありません。そのため、PINKちゃんねるの運営者は利用者の個人情報を知りません。悪質な投稿者の個人情報を得るためには、まずIPアドレスを開示してもらう必要があります。
仮処分手続き
サイトの運営者に対して、IPアドレスの開示請求を行います。この手続は、仮処分という民事保全法に基づく手続によって行います。仮処分は、正式な裁判による判決を待たずに、同様の効果を得られる手続です。裁判をすると判決まで時間を要しますが、仮処分の場合は約1~2ヶ月程で決定が出るため、スピード感を要する手続に向いています。
書き込みの削除請求とIPアドレスの開示請求を弁護士へ依頼した場合の費用相場は、インターネット上の情報では
着手金が30万円ほど、成果報酬金が30万円程度
https://monolith.law/reputation/reputation-lawyers-fee
などと言われています。この手続では、IPアドレスの開示と削除を、同時に求めることが可能です。上記は両方を行うための費用となります。対象とする投稿の内容や量によっても、当然費用は変わってきます。
PINKちゃんねるのような匿名掲示板の場合は、お店や個人に関する誹謗中傷が多数投稿されてしまうケースもあり、さらに費用がかかってしまう可能性も高いでしょう。
なお、PINKちゃんねるの運営者はアメリカ人ということで、必要書面の英訳などが必要になる場合、さらに経費がかかるおそれがあります。
違法性の立証
PINKちゃんねるの削除ガイドラインに基づき、書き込みが削除される場合は、違法性の有無は問われません。削除ガイドラインによれば、下記の通り、私生活情報は削除対象とされていますが、こうした書き込みに必ずしも違法性があるとは限らないでしょう。
私生活情報
PINKちゃんねる削除ガイドライン
情報価値が無く、私事のみの情報・第三者の確認できないプライベート情報は、個人が完全に特定されなくても、対象者に不利益が発生する可能性があれば、一律削除対象となります。
一方、裁判所は、違法性があると認めた場合にのみ、IPアドレスの開示命令を出します。そのため、IPアドレスの開示請求手続の際には、その書き込みの違法性を法的に主張したり、その主張を裏付ける証拠を集めて提出したりする必要があります。
ログの削除禁止
IPアドレスが開示されれば、IPアドレスから投稿者のプロバイダを特定することができます。
プロバイダには、IPアドレスユーザーの記録(ログ)が一定期間保存されていますが、しばらくすると削除されてしまいます。ログが削除されると投稿者の詳細を確認できなくなるため、別の裁判手続をして、裁判所にログの削除禁止命令を出してもらわなければなりません。
ただし、「これから投稿者の住所氏名開示請求手続を行うので、ログを保存しておいてほしい」という内容の通知を出すことにより、ログを保存してもらえるケースも多いです。まずは通知を出すことを検討したほうがよいでしょう。
この通知を出す際にも、書き込みの違法性についての主張やその証拠は必要です。こうした書面の作成は専門知識がないと難しいため、ネットの誹謗中傷に詳しい弁護士へ相談しましょう。通知の作成を弁護士へ依頼した場合の相場は、約10万円とされています。
住所氏名開示請求
次に、投稿者の住所氏名開示請求手続を行います。住所氏名開示請求は、仮処分ではなく、正式な裁判手続を通して行う必要があります。
PINKちゃんねるにお店や個人に関して評判を落とすような書き込みがされていた場合であっても、その事実を公表することが公共の利益に合致すると考えられる場合には、投稿者の権利は守られるべきであり、住所氏名が開示されるのは適切ではないでしょう。裁判所は慎重に審議し、その投稿が違法であると認めた場合にのみ、住所氏名の開示命令を出します。
この手続を弁護士へ依頼した場合の費用の相場は、
着手金が30万円程度、成果報酬金が20万円程度
https://monolith.law/reputation/reputation-lawyers-fee
とされていますが、こちらも書き込みの量や投稿により変動します。
損害賠償請求
裁判所が書き込みの違法性を認め、住所氏名の開示命令を出せば、投稿者が投稿時に使用していた回線の契約者の住所氏名が開示されます。住所氏名が判明すれば、慰謝料や弁護士費用などの損害賠償請求が可能になります。
ただ、投稿者の特定に失敗するリスクや、たとえ投稿者を特定できたとしても、一連の手続に必要な弁護士費用も安くはないため、損害賠償金ではまかなえずに被害者に金銭負担が発生したままになってしまうリスクもありますので、ご注意ください。この点については、下記記事で詳細に解説しています。
PINKちゃんねるのような掲示板は、会社のPCからはアクセス禁止になっていることも多いため、自宅のPCや個人のスマホから書き込んでいる場合が多いと思われます。そのため、他のサイトに比べると個人を特定しやすいかもしれません。
まとめ
PINKちゃんねるに悪質な書き込みをされ、運営元に投稿を削除してもらえない場合は、裁判手続きによる投稿者の特定を検討しましょう。
投稿者特定手続は、仮処分のような簡易手続であっても、ネットや法律についての専門知識を要し、書面の作成など素人には対応が困難です。
PINKちゃんねるの悪質な投稿で被害に遭っている場合は、ネットの風評被害に対し豊富な経験を持つ弁護士へ、すみやかに相談しましょう。