クラブハウスでの楽曲使用は著作権違反?注意点を解説
最近、利用者が急増して話題となっている「Clubhouse(クラブハウス)」というアプリをご存じでしょうか。Clubhouseは、招待制の音声SNSアプリです。
このClubhouseで、トークのBGMやカラオケ用に音楽を流すことは、著作権法上問題はないのでしょうか。
本記事では、Clubhouseのユーザーの方向けに、Clubhouse内で音楽を流す際の注意点について詳しく解説します。
この記事の目次
Clubhouseとは
Clubhouseは、2020年4月にアメリカで開始された完全招待制の音声SNSアプリです。2021年には日本でもユーザーが増え始め、芸能人などの有名人も利用しています。
コロナ禍で家にいることが推奨される中、在宅で雑談ができるアプリとして世界でも大ヒットしており、注目度の高いサービスです。
2021年3月現在、iOS版アプリのみの仕様になっているため、iphoneやipadでしか使うことができません。実名登録が基本で、登録の際には電話番号を入力します。また、twitter(ツイッター)と連携する機能もあります。
ユーザーは、ルームを立ち上げたり、すでにあるルームに参加したりして会話を楽しむことができます。会話を聞くだけでなく、挙手をして承認されれば、スピーカーとして会話に参加することもできます。
Clubhouseで音楽を流す際に気を付けるべき点とは
Clubhouseのルーム内で、BGMやカラオケ用に曲を流す際には、どのような点に気を付けるべきなのでしょうか。
著作権侵害にあたる可能性が高い
Clubhouseのルーム内において、不特定多数の人が聞くことができる状態で曲を流した場合、著作権(公衆送信権)の侵害にあたります。
Youtubeでも音楽を演奏している人や歌っている人はいますが、Youtubeは、日本で主に音楽著作権の管理をしているJASRACやNexToneと利用許諾契約を締結しています。
そのため、JASRACやNexToneが管理している曲であれば、ユーザーが個別に利用許諾手続をしなくても著作権の侵害にはあたらないのです。
現状、ClubhouseはJASRACやNexToneと利用許諾契約を締結していないため、ルーム内で曲を流すことは著作権侵害にあたる可能性が高く、完全にオリジナルの曲であれば、著作権は自分に帰属するため問題ありませんが、他人の曲を流すのはやめておいた方がよいでしょう。
特許・商標・著作権などの知的財産権侵害リスクとその対策については、以下をご参照ください。
原盤権の侵害にあたる可能性も
CDや配信音源を流す場合、著作権だけでなく、著作隣接権(原盤権)の侵害にあたる可能性もあります。
著作権は、歌詞や曲に関する権利であり、楽曲の制作者に帰属します。一方、原盤権は、録音された音に関する権利であり、レコード製作者に帰属します。
曲を演奏して配信する場合は、CDや配信音源は使わないため、原盤権侵害にはあたりませんが、CDや配信音源をそのまま流す場合は、著作権だけでなく原盤権にも気を配る必要があります。
著作権と原盤権については、以下で詳しく解説しています。
著作権侵害にあたらないケース
生活音の範囲内で曲が流れているようなケースでは、著作権法第30条の2「付随対象著作物の利用」にあたると考えられるため、著作権や原盤権の侵害にはあたりません。意図的にその曲を流しているかどうかがポイントになります。
それでも音楽を流したい場合はどうしたらよいか
流したい曲が、JASRACやNextoneが管理しているものかどうかを調べて、該当する場合は、JASRACやNexToneに利用許諾の手続をして、著作権使用料を支払う必要があります。ただ、原盤権については、著作権とは別に、原盤権を持っているレコード会社の許諾を得なければなりません。これはわりと難しいケースが多いようです。
許諾を得るのが難しい場合は、著作権フリーの曲を買って流すこともできますが、その際はしっかりと運営者や条件を確認して安心できるところから買うようにしましょう。
まとめ
Clubhouseは、JASRACやNexToneと包括契約を結んでいないため、意図的に曲を流した場合、著作権侵害にあたる可能性があります。
著作権については、著作権使用料を支払うことで著作権侵害にあたることなく曲を流すことができるようになりますが、原盤権はまた別の話になります。
レコード会社の許諾を得るのは難しいケースもありますので、CDや配信音源をClubhouseのルームで流すのは控えた方がよいでしょう。
カテゴリー: YouTuber・VTuber法務