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風評被害対策

爆サイ.comで書き込みの投稿者を特定する方法とは?ログ保存期間に注意

風評被害対策

爆サイ.comの誹謗中傷を書き込んだ犯人を特定する方法とは

爆サイ.com (以下、爆サイ) は、5ちゃんねる(2ちゃんねる)に次ぐ巨大掲示板です。そこで誹謗中傷されてしまった場合、まず最初に思うのは「犯人を特定したい!」ということではないでしょうか。

そこで、爆サイに誹謗中傷を書き込まれた場合に犯人を特定するための方法について説明します。

爆サイとは?

考えている女性

そもそも爆サイとはどういった掲示板なのか、その運営会社や特徴、問題点を解説します。

運営会社

爆サイの運営者は長らく明らかにされず、連絡先としてメールアドレスのみが掲示板に記載されている状態でした。しかし2020年2月、運営者の高岡賢太郎氏が脱税の疑いで逮捕されたことを期に、高岡氏が代表取締役を務めるAeGate株式会社が運営していることが明らかになりました。

東京地検特捜部は20日、法人税法違反などの疑いで、東京都渋谷区のインターネット広告会社「Aegate(エーゲート)」社長、高岡賢太郎容疑者(48)=東京都新宿区=を逮捕した。
(中略)
同社はインターネット無料掲示板「爆サイ.com」を運営し、多額の広告収入を得ていた。

産経新聞 2020年2月21日記事

ただし、現在は運営会社が変更されており、変更後の運営会社を相手方とした手続を行う必要があります。

爆サイの特徴

爆サイは、5ちゃんねる(2ちゃんねる)に次ぐ規模を誇る匿名掲示板です。掲示板が地域ごとに分けて設置されていることに最大の特徴があり、ローカルな話題が書き込まれやすいといえます。それ故、地域にある店舗や住んでいる人の個人情報や誹謗中傷が書き込まれることが多くあります。

爆サイの問題点

爆サイは地域密着型の掲示板であるが故に、その地域の住民など一般の人に関する書き込み、ひいては誹謗中傷が起きやすいという問題があります。

この場合、住所や勤め先が掲示板上で明らかにされてしまうとプライバシーが大幅に侵害され、私生活が脅かされる可能性が非常に高いです。

また、地域のお店や会社についての評判などの投稿も集まりやすく、これらは一旦書き込みがなされるとインターネット上で急速に広まってしまいます。その結果、風評被害が発生しお店の売り上げが低下するといったこともあります。

爆サイで書き込みされた!投稿者を特定する手順

悩んでいる女性

爆サイに誹謗中傷の書き込みをされた場合、問題の投稿の削除を求めるだけでなく、投稿をした犯人を特定することがあります。これを、投稿者の特定といいます。特に、同種の投稿が執拗に繰り返されているような悪質なケースでは、投稿を削除してもまた書き込まれることの繰り返しで解決しにくいといえます。このような場合には、投稿している犯人をつきとめて投稿自体をやめさせる必要があります。

また、悪質な投稿については慰謝料請求ができる場合があります。そのためにも、まず投稿者を特定する必要があります。なお、爆サイに書き込まれた誹謗中傷を削除する方法に関しては、下記記事にて詳細に解説しています。

投稿者を特定するための手続は、法律上、発信者情報開示請求といいます。この発信者情報開示請求がどのような手続であるかを次に説明します。

発信者情報開示請求を行う

匿名掲示板の場合、投稿するにあたって投稿者が個人情報を登録する必要はありません。このため、掲示板の管理者は投稿者がだれであるかを直接把握していません。これは、爆サイについてもあてはまります。爆サイは、スレッド作成時もレス投稿時も、自分に関する情報を一切記載する必要が無いからです。

爆サイのスクリーンショット
爆サイ.com

爆サイ運営者が、投稿者の個人情報について保有している可能性があるのは、誹謗中傷の書き込みをした際の投稿者のIPアドレスです。したがって、投稿者を特定するためにはまず、誹謗中傷を書き込んだ者のIPアドレスを開示させる必要があります。

具体的には、爆サイの管理者から問題の投稿に関するIPアドレスおよび投稿した日時を示すタイムスタンプを開示してもらいます。そして、WhoisというIPアドレスやドメインの登録情報を提供するサービスを利用して管理者から開示を受けたIPアドレスを検索すれば、投稿に利用されたインターネットサービスプロバイダが判明します。

そのうえで、投稿者が利用したインターネットサービスプロバイダに対して、問題の投稿を行った利用者の個人情報の開示を求めるというのが一般的な流れです。

まとめると、以下のとおりです。

  1. 爆サイからIPアドレスとタイムスタンプを開示してもらう
  2. Whois検索により投稿者が利用したインターネットサービスプロバイダが判明
  3. インターネットサービスプロバイダに対して投稿者の個人情報の開示を求める

発信者情報開示請求に関しては、下記記事にて詳細に解説しています。

仮処分による発信者情報開示請求を行う

上でいう1の手続であるIPアドレスの開示請求に関しては、爆サイの場合は受け付けられないことが多いと思われます。

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爆サイ「よくある質問」

爆サイでは投稿者情報の開示に関して「情報開示につきましては、早急に警察機関へご連絡頂けますようお願い申し上げます。警察機関からの依頼につきましては、ほぼ100%対応させていただいております。」としています。したがって、実際には被害者本人がメール等で爆サイに対してIPアドレス開示請求を行っても受け付けられないことが多いと思われます。

爆サイでは弁護士用の問い合わせ窓口が設置されており、少なくとも弁護士からの開示請求には応じる運用になっています。

また、後述する厳しいタイムリミットを考慮するとより確実に開示を実現できる仮処分の手続を利用することが得策です。仮処分とは簡略な裁判手続であり、結論が出るまでに約1カ月程度と比較的短期に開示を実現できる可能性があります。

ただし、投稿者を特定するための最後の段階であるインターネットサービスプロバイダに対する投稿者の個人情報の開示請求は、一般的に仮処分は利用できず通常の民事裁判の手続となります。したがって、最終的に投稿者の個人情報を入手できるまでには1年程度を要することがあります。

爆サイで書き込みした投稿者の特定後は損害賠償請求が可能

PCで確認する男性

誹謗中傷にあたるような書き込みの投稿者が特定できれば、相手に対して様々な手段をとることができます。特に、名誉権を侵害するような書き込みと認められるものに対しては、民法709条の不法行為に基づく損害賠償請求を行うことができます。

この損害賠償請求を行う方法は複数あり、それぞれ費用や手順が異なります。どういった方法で請求するのが自分の状況に合っているか、弁護士と相談してみましょう。

以下の記事で実例を紹介しています。

爆サイで書き込みした投稿者の特定が難しい場合

時間のイメージ画像
投稿者の特定は、ログ保存期間が短いため直ちに法的措置を講じることが必要となります。

爆サイの管理者からIPアドレス等の開示を受けても、投稿者が特定できない場合があります。大きく分けると、投稿者が誹謗中傷を投稿するのに利用したサービスに問題がある場合とインターネットサービスプロバイダが利用者を特定できなかった場合です。

投稿者が誹謗中傷を投稿するのに利用したサービスに問題があるケース

例えば、投稿者が誹謗中傷の投稿をするにあたり登録不要の公衆Wi-Fiを利用していた場合には、そのWi-Fiを提供しているプロバイダは投稿者の個人情報の保有をしていないので投稿者の特定をすることができないことになります。

投稿者がネットカフェから誹謗中傷の書き込みをしているような場合も、投稿者の特定は困難です。投稿者が利用したインターネットサービスプロバイダが直接契約しているのはネットカフェとなりますので、プロバイダは実際に投稿した人の個人情報がわかりません。

そして、ネットカフェは通常、利用者がどのようなサイトにアクセスしたか等の情報は保有していないのです。このため、誹謗中傷の投稿がネットカフェで書き込まれている場合には投稿者の特定は難しくなります。

さらに、投稿者が誹謗中傷の書き込みをする際に、自分の情報が特定されることを避けるため意図的に海外プロキシサーバーを経由していることがあります。先ほど説明したWhoisを利用したIPアドレスの検索結果において、tor、proxy、tor+vpnなどと表示されるものがそれです。この場合には、それ以上の追跡は諦めざるを得ません

インターネットサービスプロバイダが利用者を特定できないケース

先ほども説明したとおり、インターネットサービスプロバイダはIPアドレスとタイムスタンプによって投稿者を特定することが一般的です。ところが、場合によってはインターネットサービスプロバイダからIPアドレスとタイムスタンプだけでは特定できないとして追加の情報を求められることがあります。

特にインターネットサービスプロバイダが携帯電話会社の場合には「接続先IPアドレス」などを追加で求められる事例があります。携帯電話会社では、同一の日時に多数の携帯端末が同一のIPアドレスを利用するということがあり得るため、IPアドレスとタイムスタンプだけでは投稿者を特定することが困難となるのです。

しかし、同じ日時に同一のIPアドレスを利用した携帯端末のアクセス先までが同一である可能性は低いため、アクセス先のIPアドレスである「接続先IPアドレス」がわかれば投稿者を特定できることがあるのです。爆サイの場合は、弁護士からサイト管理者に接続先IPアドレスの開示を求めれば応じてもらえることが多いです。

もっとも、接続先IPアドレスによっても投稿者が特定できないこともあります。この場合には、さらに携帯電話の個体識別番号等の情報を取得して特定を試みることになります。ただし、このような方法によっても確実に投稿者の情報を開示してもらえるとは限らず、あきらめざるを得ないケースが存在するのも事実です。投稿者の特定が難しいケースに関しては、下記記事にて詳細に解説しています。

爆サイで投稿者を特定する際の注意点!ログ保存期間は短い

注意点のマーク

インターネットサービスプロバイダは、IPアドレスやタイムスタンプから顧客である投稿者を特定するための接続ログを保存しています。発信者情報開示請求を受けた場合、インターネットサービスプロバイダはこの接続ログを利用して投稿者を特定することになります。

ただし、接続ログの保存期間は短く、携帯電話会社の場合には投稿から約3カ月といわれます。また比較的ログの保存期間が長い固定回線の場合でも保存期間は半年から約1年程度とされます。したがって、少なくとも爆サイからIPアドレスの開示を受けてインターネットサービスプロバイダを割り出してプロバイダに連絡をするところまでを、ログの保存期間内に行う必要があります。

インターネットサービスプロバイダが判明すれば、ログの抹消禁止を求める仮処分を申し立てることによりログの消滅を防ぐことができますし、プロバイダによっては仮処分によらなくてもログの保存に応じてくれることもあります。

まとめ:爆サイで書き込みした犯人の特定は弁護士に相談しよう

弁護士
投稿者の特定には専門的な知識が必要です。

投稿者の特定については、ログ保存期間が短いため誹謗中傷を受けたことが判明したら直ちに法的措置を講じることが必要です。

また、投稿者の特定にあたっては法的な知識だけでなくインターネットの仕組みに関する技術的な知識も必要となります。したがって、爆サイの投稿者の特定について弁護士に依頼する場合には、IT分野に関する知識や経験を有する弁護士に依頼した方が安心です。

弁護士 河瀬 季

モノリス法律事務所 代表弁護士。元ITエンジニア。IT企業経営の経験を経て、東証プライム上場企業からシードステージのベンチャーまで、100社以上の顧問弁護士、監査役等を務め、IT・ベンチャー・インターネット・YouTube法務などを中心に手がける。

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